99年の展望と課題(商業界 飲食店経営1999年1月号)

1.99年の課題
バブルがはじけた後、外食企業の多くはリストラ、リエンジニアと言うことで、店舗の指導に当たるSV制度やトレーニング部門のカットを行った。それだけでなく、新業態の開発に乗り出し多角化や低価格路線に乗り出した。それらは実はよりいっそうのトレーニングと現場指導が必要にも関わらずだ。その結果最初は売り上げがよく、利益がでていたが、店舗に対する教育制度の低下により店舗QSCがだんだん低下し、それが景気の低迷による相乗的に店舗売り上げと利益を停滞させている。
この景気低迷期にも関わらず大人気の飲食店として、ロイズという米国から来たレストランがある。価値観のあるトレンディーな料理を出すのが人気の秘密だと思われているが、実は従業員の個性的なサービスが特徴だ。ロイズはハワイ在住のロイ山口氏の手になるレストランだが、氏は料理だけでなくサービスも個性的で楽しくなるような工夫をしている。オーダーエントリーシステムを使用せず、分散型のPOSを使用することで顧客と目を合わせてオーダーを取るとか、サービススタッフにも名刺を持たせて顧客に積極的に応対する、誕生日を迎えるお客には簡単な誕生ケーキと従業員のバースデーソングでもてなす、などきめの細かいヒューマンタッチのサービスで若い人に大人気だ。

大阪で急成長しているちゃんとフードサービスというチェーンがある。低価格で変わった料理が出すのが成長の原因だと思っていたが、実はユニークな従業員教育にある。店舗のメニューは決まっているが、細かな盛りつけまでは強制をしていない。年をとった世代は白黒のテレビで育っているが、若い世代はカラーテレビで育っており色の感覚は抜群で、そのセンスを引き出せばユニークな格好のより盛りつけが可能になるからだという岡田社長の持論からだ。と言っても利益管理にはシビアーで15店舗を5つの事業部に分け毎月月次決算で厳しい数字による比較を行うという競争原理をしっかり導入している。このような若い従業員のやる気を引き出す手法の開発と人材開発こそが業績不振を吹き飛ばすために必要だろう。

2.99年、期待される(有望)業種業態
景気低迷の時代には実質的な料理を家族や友人と楽しくカジュアルに食べられる業態が人気を出すだろう。昨年度は中華料理の見直しが行われ、きれいでカジュアルなレストランがでてきた。今年は和食の分野でより低価格なカジュアルな和食がでてくるだろう。ちゃんとフードサービスの新業態の橙家の用に本格的な和食を4000円台で提供できれば大繁盛店が可能になる。従来の本格的な和食は高すぎたのだ。
また、韓国料理や東南アジア料理でより食べやすい形の物がカジュアルに登城するはずだ。これらのエスニックは従来のように高級な本格的な物ではなく、より食べやすいカジュアルな物になるだろう。

バブルの時代から料理の鉄人の番組を経て今の消費者はものすごく料理の知識を持っている。これからは消費者の知識に負けないように素材の工夫、盛りつけ、味付けであっと驚かせる工夫が必要だろう。チェーン店も今までと同じでなく、より一層の洗練された料理の開発とサービスのトレーニングが必要になるだろう。

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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