米国レストランピリ辛情報 「マルチコンセプト:シカゴのレタス社」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2002年2月号 NO.425)
「マルチコンセプト:シカゴのレタス社」
Lettuce Entertain You Enterprises, INC.
本社所在地
Lettuce Entertain You Enterprises, INC.
5419 N. Sheridan Rd. Chicago, IL. 60640
773-878-7340
http://www.leye.com
米国はITバブルの崩壊と9月11のテロ事件以来米国の景気が低迷しているが、それにもめげず元気な外食グループは存在する。会社の規模は小さいが、経営する店舗の殆どがコンセプトの異なる店舗を経営する、マルチコンセプトチェーンだ。R&I誌(http://www.rimag.com)が11月15日号でその特集を行い、上位75社のランキングを発表している。今回はそのうちの第3位シカゴで50店舗以上のチェーン店を経営している、Lettuce社を取り上げよう。シカゴのレストラン王と言われるリチャード・メルマン氏率いる会社で、2000年売上220ミリオンドル、32のコンセプトで74店舗経営だ。
同社は自分で経営するだけでなく、ダラスに本社を構えるカジュアルレストランチェーン最大のBlinker International社などにベーカリーカフェのコーナーベーカリーとマジアーノというニューヨークスタイルの古典的イタリアンのコンセプトを売却し、チェーン展開をサポートしている。コンセプト会社でもあるわけだ。
Lettauce社はシカゴでもトップクラスの超高級なフレンチのAMBRIAから、フードコートのfoodlifeまで数多くの超人気コンセプトを開発している。それらの店舗はシカゴを中心に出店し、成功したコンセプトはシカゴの店舗だけを維持して,他の地域での展開権を売却する。日本でもダスキンがツチバヌーチと言うイタリアンのコンセプトやエンターテイメントハンバーガーレストランのエド・デビックスを購入して店舗展開している。(エド・デビックスは残念ながら失敗に終わった)
最近3年ほどの新コンセプトを紹介しよう。古い順番に見ると、中華のBen PaoとタイフレンチのVONG、フレンチスタイルのステーキハウスのMON AMI GABI。2000年末に開店した最新の店舗はジョーズ・ストーンズクラブだ。では、それぞれのコンセプトを見てみよう。
Ben Paoは中華料理を綺麗な内装と格好の良い盛りつけで食べさせる米国人向けの中華料理店だ。厨房を見ると洋食のキッチンで調理している。今流行のオープンキッチンは中華では難しいのでタイ風焼き鳥のサティを焼くキッチンを入り口に置き、ライブ感の演出をしている。MON AMI GABIのコンセプトはフレンチビストロのステーキだ。カフェを改造し3種類のステーキ、油のない薄切りのステーキ、従来のステーキ、フィレステーキを用意した。特徴はソースで、ブルーチーズのソースや、ワインとたまねぎ、マッシュルームソース、などで,フィレはフォアグラで淡白さを補う工夫をしている。
Lettauce社はそれらの店舗を全て自分たちで開発しているのではない、1999年にICONというレストランコンセプト開発会社を作った。これは優れたノウハウをもつ地方の個人繁盛店があれば積極的に提携しようというものだ。その典型的な例が、VONGとマイアミジョーンズストーンズクラブだ。VONGはニューヨークで有名フレンチシェフVongerichtenが開店したタイフレンチというジャンルだ。タイなどの本格的なエスニック料理の店は店舗の内装やサービスがあまり良くないことに目を付けフレンチ風内装で、美しく盛りつけたタイ料理を提供するというコンセプトだ。
2000年はフロリダマイアミの超繁盛店のマイアミジョーズストーンズクラブと提携した。
マイアミのジョーズストーンクラブはストーンクラブの爪を提供しているが、資源の保護のために5月から10月まで閉店のシーズン営業だ。それでは不動産価格の高いシカゴダウンタウンでは営業できない。そこで、ステーキと組み合わせることにした。シカゴは牛肉の集散地であり、本格的なステーキレストランが多く、シカゴ人はステーキ好きだ。そこで、シカゴ人の好みに合わせて、ストーンズクラブとステーキの組み合わせにしたのだ。新店舗であるが、シカゴのクラッシックな町並みにあわせ、もう20年も営業していると言われても信じてしまうほど、クラシックで落ち着いた内装にしている。
Lettuce社は個性的な店舗コンセプトだけでなくチェーン向けのコンセプトも開発できるのが強みだ。2000年7月には米国国内の既存店の不振に悩むマクドナルド社がLettuce社とコンサルタント契約を締結し、リチャード・メルマンの力をかりて新しい魅力のある店舗やメニューを開発している。企業の売上は小さいがアイディアがLettuce社は要注目の米国外食企業の1つだろう。シカゴに行く際には是非同社の店舗群を見てみよう。