米国レストランピリ辛情報 「アメリカにおけるテーマレストランの最新動向 」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2001年8月号 NO.419)

米国外食産業1999年の話題はプラネットハリウッドの不振と会社更生法の申請であり、2000年はレインフォレストカフェの不振とランドリーによる買収であった。両社だけでなく、ファッションカフェ、ダイブ、モータウンカフェ、カントリースター、などのテーマレストランも不振を極めている。一時は成長株であったテーマレストランの衰退の原因は何であるか、プラネットハリウッドとレインフォレストカフェ2社の動向から分析してみよう。

プラネットハリウッド
歴史
プラネットハリウッドインターナショナル社はイギリス人のRobert Ian Earl 氏が1991年に創業した。氏はイギリス生まれの創業当時44歳のテーマレストランの経営のプロフェッショナルだった。父親はイギリスの有名な歌手であり、舞台で活躍していた。しかし、エンターテイメントの世界に入らず、イギリスのホテルレストラン学部を卒業後、テーマレストランの世界に入った。イギリスの大手テーマレストランの経営に手を染めた後、米国にわたり、ディズニーワールドのあるオーランドでテーマレストランを経営し、ハードロックカフェの運営も責任者としてまかされた経験を持つ。氏がディズニーランド風のサービスを身につけた原点だ。

そして、Sylvester Stallone、Arnold Schwarzeneggre, Bruce Willis, Demi Mooreなどの映画俳優に出資を募り、プラネットハリウッドをスタートした。 当初の店舗であるディズニーワールド内のディズニービレッジ店は、地球の形をした超大型の店舗で,年商20ミリオンを超える超繁盛店で急速な展開を行った。3年後には20店舗を超え、年商も170ミリオンドルと急成長していった。
営業形態
ディズニーワールド内の店舗は巨大な地球儀の形をして、600席以上の客席を設けた巨大な店舗だ。店内はユニバーサルスタジオのセットで食事をしているような雰囲気を味わえるように、ヒットした映画の小道具や衣装を置き、店内のスクリーンには映画を流して、ムード一杯だ。パブリシティも旨く、開店時には出資している有名ハリウッドスター出席の元に開店パーティーをやるので、店を訪問するとスターに会えるのではないかと思わせる。

客席だけでなくトイレに行っても鏡がジョーズの形をしており、覗くとまるでジョーズに食べられたような印象を受けるような遊びをちりばめている。勿論従業員もカジュアルな恰好をして客と一緒にわいわい楽しむわけだ。ま、米国版テーマ居酒屋の乗りだろう。 ハードロックカフェのが成功した要因は料理もあるが、Tシャツなどのお土産を販売したことだ。多くの米国人は世界各国のハードロックカフェをまわり、そのTシャツのコレクションをすることがブームになったくらいだ。勿論安いTシャツだけでなく、他の高価なお土産も販売し利益率を大幅に高めるようにしているわけだ。その手法をしっかり取り入れ入り口にはおみやげ物の販売店を設置し積極的に販売している。
レインフォレストカフェ
歴史
創業者のSteven Schusseler 氏はミネアポリス郊外の自宅で、10年ほどジャングル(熱帯雨林)を人工的に作り上げる研究をしていた。そこでは人工熱帯雨林、雷雨、実物大の動く動物、あたかも熱帯雨林にいるかのような効果、等の実験を繰り返していた。近所の人に気がふれたのではないかと言われるほど熱中して開発をしていた。その努力が認められ、1995年4月にミネアポリスの大型ショッピングモールのモール・オブ・アメリカ内に1号店を開き大評判を呼んだ。そして1号店の開店と同時に店頭公開を行い205ミリオンドルの資金を調達し、その後の急速展開を開始した。
営業形態
レインフォレストカフェの名声を確立したのは、オーランド・ディズニービレッジに620席の大型レストランを開店してからである。店内には熱帯雨林が茂り、アフリカ象やキリン、ゴリラ、チンパンジーたちが客を取り囲み動いたり声を出したりする。時には突然雷鳴が轟きスコールが降り出し稲妻が閃く。まるでジャングル内で食事をしている雰囲気で、ディズニーランドを訪問する客を魅了し、一週間で$714,000ドルと言う驚異的な売上を記録した。基本的に店内には生きた動物を置かないが、入り口には生きたインコをおいたり、大型水槽内に派手な熱帯魚を見せている。そして入り口横の池にワニの模型を置き、それが時々動いたりして、いかにも本物のジャングルにいるような雰囲気を醸し出している。入り口横には大型マッシュルームの形をしたバーカウンターがあり、カウンターの椅子は色々な野生動物の足の模型であり、客が座るとまるで動物の足が生えたような面白さを演出している。
平均的な店舗投資コストは当初は7ミリオンドル(NRA誌97年5月12日号)であり、98年7月15日号 R&I誌による店舗平均売上では1,400万ドル(年商)とその年のチェーンレストランで2位の売上の高さを誇っていた。

テーマレストランの特徴として付加価値が高いので、料理の原材料コストが低いというメリットがある。 99年7月15日号 R&I誌によると25%の原材料コストで、チェーン400社の平均32.9%より大幅に低い。

店舗面積の約1/3ほどはTシャツや動物のキャラクター商品を販売しており、売上の25%を占める重要な戦略商品となっている。

当初のデーターによると(NRA誌97年5月12日号)最初の来店動機は物珍しさであり、その客を再来店させるには料理の美味しさが必要だ。顧客の年間来店回数は平均年、4.3回である。

米国でテーマレストランが流行った理由。
経済的な理由
米国バブルは日本より早くはじけ、80年代後半から90年代全般は不況の時代であった。その結果、接待需要に支えられたフレンチレストランなどの高給レストランは衰退し、外食は接待の場から、仲の良い友人や家族と共に楽しむ場と替わっていった。自腹で食べるのだからあまり高くなく、気楽で楽しめるレストランを望むようになった。
服装
人口の老齢化と新興産業(ソフトやサービス業)の立地が気候が温暖で土地と人件費の安い南に立地するようになり、ポロシャツにチノパンツと言うカジュアルな服装が一般的になり、北部の企業でもカジュアルフライデーが普及しだした。 金曜日には仲間や家族と食事に行くわけだが、そんな気楽な恰好で雰囲気の重厚なフレンチレストランや高級ステーキハウスには入りにくい。カジュアルで気楽な店を要望するようになった。
出す料理
人口の老齢化と新興産業の勃興により、人口の南下が始まった。フロリダやメキシコの近くにだ。そして移動した土地の食事を食べる内にそれがすっかり気に入り、その食事を出すレストランが急に人気がでてきた。それが、カリビアン料理とテックスメックス料理だ。

テックスメックスはテキサスからメキシコ周辺で食べる、トウモロコシや豆を中心にした料理と、バーベキュウ料理の組み合わせだ。あまり油を使わない、繊維質の多い食事が特徴だ。カリビアン料理はフロリダ沖のカリブ海諸島の料理であり、ケイジャンや中南米、メキシコ料理の影響を受け、スパイシーで繊維質の多い健康な食事だ。

団塊の世代の老齢化により、米国人はお袋の味を求めるようになる。米国人のお袋の味はイタリアンだ。イタリアからの移民が多かったのと、イタリア人のお母さんは料理名人と言うイメージがあるので、イタリア系でなくても子供にイタリア料理(ラザニヤ、ミートボールスパゲティなど)を食べさていた。だから米国人のお袋の味はイタリア料理となる。それを英語でカンファタブルフードと言うわけだ。カンファタブルフードはイタリアンを意味するわけだが、高齢者が南部に移住するようになり,広義ではイタリアン、テックスメックス、カリビアンをも意味するようになった。 テーマレストランはカジュアルな服装でいける雰囲気を作り出し、食事を流行のイタリアン、テックスメックス、カリビアン、料理を取りそろえたのだ。人気のある食べやすいメニュー、別の表現をすれば特徴のない料理と言えるだろう。
米国の社会事情
アメリカでは誘拐の怖れがあるために、子供を一人で遊ばせておくことなど考えられない。しかもアメリカの法律では自宅であろうが、12歳以下の子供を家や車中に一人で放置するのは児童虐待として処罰される。誘拐されるだけでなく、火事等の災害にある危険性があるからだ。 外出する場合も子供を連れていくことが前提となる。しかし、欧米ではレストラン、特にアルコールの提供するレストランは大人の食事の場であり、12歳以下の子供を連れて行くと丁重にお断りされる習慣がある。そのために12歳以上のベビーシッターを探し子供の面倒を見てもらう必要がある。しかし、米国も少子化現象が起き、1家族の子供がだんだん少なくなり、なるべく子供と一緒に過ごしたいと要望する考え方が一般的になってきた。
また、アメリカの場合は離婚率も高い。しかし、離婚したとしても親権を主張して週に1回別れた子供と会うことも多い。その限られた時間の中で親は子供と楽しく時間を過ごす必要があるのだが、家に呼ぶのも大変だし、新しい家族もいる。 それらの社会環境の変化により、ファーストフードよりも単価は高くとも、レインフォレストカフェのような店が必要となってきたのだ。

レインフォレストカフェ以前の親と子供が一緒に楽しめるというお店の試みでは、マクドナルド社がリープス・アンド・バウンス社と言う屋内型大型プレイランド(マクドナルドの店外にある子供の遊び場を大型にした)とピザやホットドックなどのファーストフードの組み合わせのお店を実験した。入場には費用が必要で、親は子供が遊んでいるのは座りながら監督できる。セキュリティのため子供連れの親以外は入場できないようになっている。同社はその後、ディスカバリーゾーンと言う同業の会社と合併した。 その他ピザと人形劇やゲームセンターの組み合わせなどの業態があったが、どちらかというとファーストフード系であり、しっかりとした料理とアルコールを楽しみたいという親の要望には答えられず、そこに出現した本格的なアルコールと料理を出す、レインフォレストカフェは大人気となったのだ。

テーマレストランの強み
テーマレストランは投資額が高いが、1店舗当たりの売り上げが大きく、飲食だけでなく物販の売り上げも期待できる。また、独特のインテリアや外装により他の飲食店との差別化をつけやすい。また、珍しさから多くのマスコミなどに取り上げられ売上に貢献する
売上状況
プラネットハリウッドの売上状況
99年第一四半期の時点でプラネットハリウッドは売上は75ミリオンドルであったが、34.7ミリオンドルの損失を出した。6月の時点の株価は62セントと紙くず同然となっていた。そして8月にチャプター11〔米国会社更生法〕を申請した時点では,店舗数は80店弱で、負債は250ミリオンドルを超える悲惨な状態であった。

R&I誌1997年7月15日号の米国外食企業のトップ400のリスト〔1996年度の売上である〕。では222.5ミリオンドルの売上で102位〔前年比の売上は45%アップ〕、Hard Rock Cafe は216ミリオンの売上で107位であった。 98年7月15日号(97年度売上)ではプラネットハリウッドは342.7ミリオンドルの売上で75位まで上りつめた。(Hard Rock Cafeは250.1ミリオンドルで97位) そして99年7月15日号(98年度売上)ではプラネットハリウッドは80店舗で244.2ミリオンドル〔前年比マイナス28.7%〕で107位と悲惨な状況となった。(Hard Rock Cafeは271ミリオンドルで97位と維持をした) ハードロックカフェはプラネットハリウッドに比べ好調のようだが、収益性の低下と株価の低迷に悩み,社長等の経営陣の交代と店舗のリニューアル、コンセプトの変換を行っている。

レインフォレストカフェの売上状況
子供向けのテーマレストランであるレインフォレストカフェは98年度で214ミリオンドルの売上で前年に98%の売上伸びで好調のように見える。しかし、良く見てみると98年度の既存店の前年比売上は9%低下し、特に後半の第4四半期は10%減となっている。課題であった料理のレベルを上げようと有名シェフ数名と契約し、料理のレベルアップに懸命だが既存店の売上の落ち込みを防ぐことはできない状況だった。
2000年に入ると収益の落ち込みから買収の噂が数々出現したが、経営陣や投資家が拒否しているうちに株価が急落し、2000年10月にはカジュアルレストランのランドリーズに4月頃の半値で買収されるという悲惨な状況である。

買収したLandry’s Seafood Restaurants Inc.のCEOのTilman Fertittaによれば(R&I誌2000年7月15日号)買収後、「年間売上が5ミリオンドルに満たない不振店を数店舗へ移転すれば好転するだろう。閉鎖する不振店はレインフォレストカフェに適さない、郊外のショッピングモールなどで、家賃の設定が高すぎるケースがある。平均的な店舗は600席であり、総投資額は20ミリオンドルだ(筆者注:前述の当初の店舗よりも総投資額が上昇しているのも大きな問題だろう)。レインフォレストカフェは2000年の消費者調査においてもっとも雰囲気の良いお店として評価を受けており、今後の課題は評判の悪い料理の質を向上するために、複数の調理コンサルタントや料理人とメニュー開発を行っていく。」と述べている。 このコメントを見ると、ロケーションの失敗、投資額の高騰=ROIの低下、料理の質の低下による再来店率の低下、等飲食店としての基本的なバランスがかけたのが大きな不振の原因だろう。

以下の表はR&I誌TOP400社よりテーマレストランのジャンルを集計して 95年から99年までの売り上げ順位と売上額、売り上げ伸び率、店舗数、店舗伸び率 を表にしてみた。どのチェーンも急速に売り上げ伸び率低下が見られることで、どうもテーマレストラン業態の寿命そのものが短いのではないかと推測される。

順位 売上 売伸率 店舗数 店伸率
95年 Hard Rock Cafe 73 330.6 23.9% 57 23.9%
96年 Hard Rock Cafe 107 216.0 15.5% 76 31.0%
97年 Hard Rock Cafe 97 250.1 15.8% 88 15.8%
98年 Hard Rock Cafe 97 271.0 8.4% 95 8.0%
99年 Hard Rock Cafe 65 396.0 2.9% 104 9.5%

95年 Planet Hollywood 119 164.5 30.6% 28 64.7%
96年 Planet Hollywood 102 222.5 45.4% 55 111.5%
97年 Planet Hollywood 75 342.7 54.0% 78 41.8%
98年 Planet Hollywood 107 244.2 -28.7% 80 2.6%
99年 Planet Hollywood 108 222.0 -19.0% 72 -10.0%

95年   0 0.0 0.0% 0 0.0%
96年 Rainforest Cafe 279 48.0   6
97年 Rainforest Cafe 181 108.1 125.4% 16 166.7%
98年 Rainforest Cafe 117 214.0 98.0% 23 43.8%
99年 Rainforest Cafe 103 248.0 15.8% 24 4.3%
テーマレストランが衰退した理由
一時は急成長を遂げたプラネットハリウッドやレインフォレストカフェが失墜した原因を見てみよう

ブランドの確立
テーマレストランは、日常性からはなれた憧れの店でなくてはいけない。ハンバーガーチェーンのように町にあふれていては価値がなく店舗の希少価値がないのだ。プラネットハリウッドやレインフォレストカフェは当初、フロリダオーランドのディズニーワールド内やニューヨーク、サンフランシスコ、ラスベガス、ロサンゼルスなどの観光地に開店し、わざわざ行く希少価値があった。しかし、急速展開すると大都市には複数のプラネットハリウッドやレインフォレストカフェを見るようになり、希少価値を失ってしまった。

例えばプラネットハリウッドのシカゴの展開において、ダウンタウンに1号店、次に州境のガーニーミルズアウトレットモールに出店した。ダウンタウンの店舗も一応レストラン街であるが、町の中心から外れ、視認性が悪く、アウトレットモールの店舗においてはの店舗の規模が小さく、顧客もバリューのある商品を買いにくる価格志向の強い顧客であり、料理がまずく値段が高いテーマレストランに興味を覚えるわけがなかったのだ。 また、これらの店舗ではTシャツやグッズなどを売っているが、あまりに急速展開したのと、郊外展開のために格好の良さを演出できず、ハードロックカフェのようにロゴの入ったTシャツを収集し,誇らしげに着て歩く熱烈なファンを作り上げることができず、商品販売面でも失敗に終わってしまった。 レインフォレストカフェを買収した、

投下資本が高い
プラネットハリウッドやオールスターカフェ、レインフォレストカフェは大型の建物と特殊な内装を要求し、多額の投下資本がかかる。しかも、観光客に依存しており、平日よりも,休日,日曜日に売上が高いという稼働率の問題もあり、損益分岐点が他の外食店舗よりも高すぎるのが、既存店売上の落ち込みにより収支が急速に悪化した原因だろう。
価値がない R&I誌2001年3月1日号のChoice in Chains Winnersと言う消費者調査を見てみよう。調査会社のNFOリサーチ社が全米の4000家庭に調査用紙を配布し、1439通の回答を元に作成した物である。

内容は業態別にチェーンを分け、総合評価(総合)料理の品質(品質)、メニューの種類の多さ(種類)、払った料金に価する価値があったか(価値)、サービス(S)、楽しい雰囲気にあふれているか(雰囲気)、清潔さがあるか(清潔さ)、近所の店舗があり便利か(便利さ)で評価を5点満点でつける。高い点数が高い評価と言うことになる。

全てのジャンルを網羅できないのでテーマレストランの内、レインフォレストカフェ、プラネットハリウッド、ハードロックカフェと、ディナーハウス、ステーキハウス、ハンバーガーチェーン等のジャンル別の評価を参考までに掲載したので比較していただきたい。
テーマレストランはその独特の内装と雰囲気に多額の投資をしているので、雰囲気の評価はレインフォレストカフェは評価トップと高い評価を得ている。しかし、カジュアルで楽しいというのがテーマレストランに求められる条件であり、雰囲気と共に良いサービスを求められる。その大事なサービスの点でディナーハウスのMacaroni GrillやT.G.I. Friday、ステーキのRuth’s Chris ,Outbackに大差を付けられているだけでなく、より低価格のハンバーガーチェーンの評価よりも低いのは致命的である。 テーマレストランチェーンにとって,他のテーマレストランだけではなく、客にとってカジュアルで楽しい店は全競合となる。

ここ10年ほどの外食のカジュアル化は全ての分野に広がり、ディナーハウスのMacaroni Grill(中食の超繁盛店イーチーズを生み出した,フィル・ロマーノ氏率いるイタリアンチェーン)やT.G.I. Friday〔最近ワタミと合弁会社を設立し渋谷に一号店を開店し、楽しい雰囲気とサービスで盛況だ〕、ステーキのOutback(ハードロックカフェやカプリチョーザを展開するWDIが提携し東京で3店舗展開している)はそのカジュアルな雰囲気と良いサービスの両方の面で客の評価が高いのだ。

さらに大きな違いは料理の品質の評価だ。Outbackの77点、Macaroni Grillの77点は、レインフォレストの53点、プラネットハリウッドの51点を凌駕している。 そして、一番問題なのは価値観だ。プラネットの26点、ハードロックの25点,レインフォレスト21、と他のジャンルに比べ圧倒的に低いのだ。

つまり、雰囲気は良いが、サービスや料理も大したことがなく、価値観は最低だというのが米国人の下した評価だ。

Outback、Macaroni Grill、 Ruth’s Chris、The Olive Garden、The Cheesecake Factory 等の繁盛店はQSCの点でテーマレストランよりもはるかにバランスがよく、そのため客の総合評価ははるかに高くなっているのだ。

総合得点で言えばテーマレストラン両社とも30位とふるわず、傾向を見ると年々低下しているのが大きな問題である。 テーマレストランといえども料理を出すからには外食であり、客にとってはバランスの取れた価値観が重要だ。テーマレストランの内装雰囲気を優先した装置産業の発想が客に価値観を抱かせず、凋落した最大の原因だろう。 また、アルコールを出す本格的なステーキハウスのOutbackやイタリアンのMacaroni Grillも、最近は子供連れ大歓迎と言う南部スタイルのホスピタリティーを打ち出し、レインフォレストカフェの優位性が失われてきている。

R&I誌1998年~2001年のChoice in Chains Winnersより作成 テーマレストラン

1997年テーマレストラン 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Rainforest Cafe 52 65 62 24 47 81 65 22
Planet Hollywood 44 52 47 18 42 70 60 20
Hard Rock Cafe 43 53 47 18 41 67 55 21
1998年テーマレストラン 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Rainforest Cafe 52 65 62 24 47 81 65 22
Planet Hollywood 44 52 47 18 42 70 60 20
Hard Rock Cafe 43 53 47 18 41 67 55 21
1999年テーマレストラン 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Rainforest Cafe 50 60 55 26 49 80 55 25
Hard Rock Cafe 41 50 41 21 41 63 50 21
Planet Hollywood 36 42 34 19 35 60 47 19
2000年テーマレストラン 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Rainforest Cafe 44 53 45 21 40 71 58 21
Planet Hollywood 44 51 46 26 47 60 50 26
Hard Rock Cafe 43 52 46 25 43 59 50 25

2000年ディナーハウス 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Romano’s Macaroni Grill 63 77 67 47 71 67 70 42
The Olive Garden 58 72 65 49 59 61 61 42
The Cheesecake Factory 56 74 75 37 55 65 59 27
Applebee’s 51 63 62 38 48 51 53 40
Chili’s Grill & Bar 51 65 61 40 49 50 50 39
Pizzeria Uno 48 62 54 39 47 48 46 40
T.G.I. Friday’s 48 59 62 36 47 50 48 35
Bennigan’s 47 59 59 38 40 49 49 35
Ruby Tuesday 46 57 56 34 42 46 49 38
Red Robin 43 54 52 32 44 48 45 29
Fuddruckers 39 59 39 35 36 34 39 31
2000年ステーキハウス 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
Ruth’s Chris 62 82 65 35 75 71 73 36
Stuart Anderson’s 61 74 65 52 61 65 66 45
Outback Steakhouse 59 77 63 43 65 62 62 41
Lone Star Steakhouse 51 64 51 35 58 55 55 40
Tony Roma’s 51 69 58 37 51 54 54 32
Ryan’s Family Steakhouse 50 57 64 55 50 39 39 39
Steak and Ale 48 62 50 37 49 57 57 30
Golden Corral 44 51 62 47 41 31 31 38
Ponderosa 44 50 54 45 44 34 34 42
Western Sizzlin’ 43 47 55 40 45 36 36 38
Sizzler 36 42 45 36 34 27 27 31

2000年Burger 総合 品質 種類 価値 S 雰囲 C 便利
In-N-Out 48 72 25 53 53 40 54 41
Sonic Drive-Ins 44 50 48 41 50 34 37 49
Wendy’s 40 54 50 42 34 25 34 42
Steak’n Shake 34 51 45 27 32 30 34 23
Whataburger 33 50 30 30 32 19 33 35
Rally’s Hamburgers 33 41 27 43 33 22 26 41
McDonald’s 32 31 34 35 26 20 28 49
Carl’s Jr. 32 41 33 29 29 19 28 41
Burger King 31 37 30 33 25 19 27 44
Jack In The Box 30 39 40 32 23 15 24 38
White Castle 28 38 21 44 28 16 22 28
Hardee’s 28 34 31 30 23 18 24 35
Checkers Drive-In 27 41 28 33 26 13 17 28

2000年消費者評価総合ランキング

チェーン名 得点
Romano’s Macaroni Grill 63
Ruth’s Chris Steak House 62
Stuart Anderson’s 61
Cracker Barrel 60
Outback Steakhouse 59
The Olive Garden 58
The Cheesecake Factory 56
Red Lobster 55
Bob Evans 52
Applebee’s 51
Chili’s Grill & Bar 51
Lone Star Steakhouse 51
Tony Roma’s 51
Marie Callender’s 50
Piccadiliy Cafeterias 50
Old Country Buffet 50
Luby’s 50
Ryan’s Family Steakhouse 50
In-N-Out Burger 48
Don Pablo’s 48
Pizzeria Uno 48
T.G.I. Friday’s 48
Steak and Ale 48
Bennigan’s 47
Fazoli’s 47
HomeTown Buffet 47
Krispy Kreme Dougnuts 47
CiCi’s Pizza 46
Ruby Tuseday 46
Sonic Drive-Ins 44
Einstein Bros. Bagels 44
Rainforest Cafe 44
Planet Hollywood 44
IHOP 44
Perkins 44
Chick-fil-A 44
Golden Corral 44
Ponderosa 44
Chi-Chi’s 43
Red Robin 43
Hard Rock Cafe 43
Country Kitchen 43
Western Sizzlin’s 43
Starbucks 43
Baskin-Robbins 43
Schlotzsky’s 42
Subway 42
Wendy’s 40
Boston Market 40
日本のテーマレストランの将来
日本の経済は米国よりも5-10年ほど遅れており、米国と同じ路をたどっている。フレンチや和食などの高額な店は,企業の経費削減のあおりでどんどんつぶれていき、客は低価格で楽しい店を求めている。その声に応えて、居酒屋やカジュアルレストランのジャンルでは凝った内装のテーマレストラン風の店舗が増加しているし、ラスベガスのフォーラムショッピングモールデッドコピーのビーナスフォートが臨海副都心で開業した。 しかし、料理を出すからにはバランスの取れたQSCが大事だということを忘れてはいけない。さもないと米国のテーマレストランのように一瞬の流れ星、いや、星屑となってしまうのだ。
ホームページ

東京ガスTASKのホームページ、テーマレストランの画像集
http://www.tokyo-gas.co.jp/task/usa/index.html
レインフォレストカフェ
http://www.rainforestcafe.com/
プラネットハリウッド
http://www.planethollywood.com/
ハードロックカフェ
http://www.hardrock.com/
R&I誌
http://www.rimag.com/
NRN誌
http://www.nrn.com/

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