米国レストランピリ辛情報 「アメリカン料理サンフランシスコ編 その3 サンフランシスコベイエリアの新レストラン ラーメンと丼」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2002年5月号 NO.428)

「アメリカン料理 サンフランシスコ編 その3」
サンフランシスコベイエリアの新レストラン
ラーメンと丼
米国では鮨、麺のブームが巻き起こり、高級食品スーパーのアンドロニコスダンビル店では、5つのオープンキッチンの1つに鮨と麺のコーナーをおいているようになっている。

では麺、特にラーメンの歴史を見てみよう。米国では30年ほど前に日本のラーメンチェーンの北国商事がニューヨークでどさん子を開店したのが、ラーメンチェーンの米国進出の始まりだ。その後、20年ほど前にはリンガーハット社が西海岸のシリコンバレーに長崎チャンポン店を3店舗開店した。

しかし、2001年10月号で紹介したように英語では日本語の猫舌に当たる形容詞は存在しない、つまり、米国人は全て猫舌であり、ラーメンのように熱々の汁を食べることには抵抗があった。また、米国人は旨味調味料(グルタミン酸ソーダーなどのMSG)に対するアレルギー体質であり、中華料理のようにMSGを大量に使う料理を食べると、赤面などの症状を引き起こし、チャイニーズレストランシンドロームと言われている。そのため、ラーメンのようにMSGを使用する料理が好まれないと言う問題も発生した。と言う味や習慣の問題からラーメンは米国居住や観光の日本人の食べ物として細々と生きながらえていた。

しかし、この30年間で米国人の食生活が大きく変化をしてきた。その大きな原因は東南アジアとの交流だ。現在米国製の電気製品や衣料品などの日常品は殆ど見あたらず、その殆どが東南アジア製となっている。米国の物価が安定しているのは東南アジアからの消費財の輸入を積極的に行っているからであると言える。また、第2次世界大戦終了後米軍は継続して大量の軍隊を日本、韓国、フィリピン、タイ、等に駐留させている。また、ベトナム戦争終了後、多くのベトナム人とベトナム戦争に従事した韓国人が米国に住み着くようになった。また、中国との貿易の高まりと、香港の返還から多くの中国系移民が増加している。

また、日清食品が発明した、カップヌードルが米国でも販売され、麺ではなく、ヌードルスープとして消費がすすみ、麺に対する認知度が進んでいる。そのような社会的環境から、米国人は麺を消費する機会が多くなり、だんだん熱い汁のラーメンを食べるようになった。

では、日本のラーメンが支持されているかというと、米国人のMSGに対するアレルギーの問題と、健康志向から、日本のラーメンのように脂ぎったラーメンは受け入れられないようだ。では、どんなラーメンの人気があるかというと、ベトナムのフォーや香港ラーメン等だ。フォーはラーメンの味付けに魚醤系のニョクマムを使う、どちらかと言うとあっさり系のラーメンだ。ベトナム麺チェーンのPho Hoa が積極的にチェーン店開始し、西海岸を中心に、若い人に大人気だ。麺と野菜をたっぷり付け合わせ、ヘルシーなイメージを訴求し、ちょっとピリカラな味が中南米系の人にも受けている。

もう一つの人気のチェーンはTK NOODLEだ。

創業は83年、現在サンフランシスコベイエリアを中心に12店舗展開している。メニューはスープヌードルが中心だが、麺の種類を、中華麺、きしめん風、ビーフン、とそろえており、1つの丼に2種類の麺のコンビネーションも楽しめるように工夫を凝らしている。

また、麺も大小のサイズがあり、小と言っても十分な量があり、値段も3ドル台とリーズナブルで、Pho Hoaよりも薄味で、きれいな店舗が人気のポイントのようだ。

丼はどうだろうか? 牛丼の吉野家はLAを中心に店舗を展開しており、地元ハンバーガーチェーンのジャックインザボックスもチキン丼を売り出すなど丼の人気が出ている。その吉野家がサンフランシスコ周辺に店舗展開を開始したが、あまり人気が出ていないのが現状だ。それに引き替え、今、大ブームを巻き起こしつつあるのが、豆腐チゲ鍋の専門店だ。Tofu House と言うお店で韓国人の個人経営店だ。メニューは豆腐とスープを土鍋に入れぐつぐつと煮込んだものと石釜で炊いたご飯がセットになっている。

韓国料理の鍋というと辛すぎて閉口する人も多いのだが、ここは辛子なし、マイルド、中辛、檄辛、と辛さのレベルを指定できるので、辛いものが駄目な人も大丈夫だ。鍋の他にキムチやナムルがたっぷり出てくる。ご飯は石鍋で炊きあげ、残ったおこげにはお湯を

かけ、それを食後に食べると口の中に残った辛味が洗い流されすっきりとする。お店は狭いのだが、こぎれいで従業員もきびきびと働いており大変感じの良いお店だ。若いカップルが多く、洒落た食堂として人気がでており、類似の豆腐チゲのお店が西海岸に増加しておりいずれチェーン化が始まるだろう。

麺も丼もそうだが、米国で受けるためには、差別化として野菜や豆腐などの健康的な食材を訴求するという事が重要なようだ。

<Tofu Houseメニュー>
値段は全て8.11ドル

Original Soft Tofu
Tofu boiles with beef or pork with mushrooms
Combination Soft Tofu
Tofu boiled with beef,shrimp,and clam
Seafood Soft Tofu
Tofu Boiled with oyster,shrimp,and clam
Kimchi Soft Tof
Tof boiled with Kimch and beef or pork
Assorted Mushroom Tofu
Tofu boiled with assorted mushuroom
Tofu Salad 3.75ドル

Soda 1ドル

バーベキュービーフ 11.34ドル

http://www.tofutofu.com/ サンディエゴの同名の店舗だ。経営は異なるがメニューは似ている。
味に対する評価はhttp://www.stanford.edu/group/SJA/REST/rest_dataj.html
メニューの写真 http://www.bug.org/‾momo/diary/CA-200007/

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