米国レストランピリ辛情報 「サンフランシスコの新旧レストラン」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2004年12月号 NO.459)

サンフランシスコ・ベイエリアでは予約が取れないので有名なシェ・パニーズChez Panisseを訪問した。(伝説の調理人アリス・ウオータース氏Alice Watersが経営、日本ではロックフィールドが12人の調理人シリーズで海外から唯一採用したのでなじみがある。)サンフランシスコ市からベイブリッジ(地震で橋桁が落下したが、今では完璧に修理完了)をバークレー市側に渡り、UCバークレー校のちょっと手前を左折したところにある。近所にはスターバックスの原型であるピーツ・コーヒーPeetsの1号店やベイエリアの高級食品スーパーのアンドロニコスがある、洒落た場所だ。小さな間口の木造2階建てで、緑に囲まれた瀟洒な建物だ。ちょっと階段を上がった1階がレストラン、2階がカフェとなっている。
アリス・ウオータースはフレンチをベースに、カリフォルニアの豊かな野菜を使い、カリフォルニア・フレンチと言うジャンルを築き上げ、米国料理界に大きな影響を与えた。その料理は今ではカリフォルニア料理とかニューアメリカンとも言われるようになっている。1階のレストランは毎日メニューが変わるコース料理のみとなり、HPには毎日メニューが掲載されている。
訪問日は、突き出しにオリーブ、 前菜は野菜のソテー、ラビオリ、骨付きチキンソテー、デザート、と言うあっさりした胃袋に優しい味の料理だった。地元の友人は「雰囲気は良いのだが、料理と価格を比較するとどうも」と言うバリューに対して厳しい評価だった。シェ・パニーズを楽しむにはアリス・ウオーター氏のバックグラウンドや思想を理解し、オーガニックの野菜や素材に対する知識を持っていないといけないのだろう。
料理に付いては見解が分かれるだろうが、素晴らしいのは調理場の従業員だ。厨房はオープンキッチンで男女の調理人が元気に働いている。外から写真を撮っていたら中に入りなさいと親切に案内してくれた。
http://www.chezpanisse.com/

サンフランシスコ市内ではフレンチのアクアAquaに行くことにした。Michael Minaが総調理長としてサンフランシスコの有名フレンチレストランと仕立てたお店で、同名の店をラスベガスにも開店し大人気となっている。
ビジネス街に近いカリフォルニアストリートにあるお洒落なお店だ。外はガラス張りで客席が見える。ニューヨークのソホーにあるレストランのように洒落た造りだ。
メニューはサンフランシスコ周辺の魚介類をふんだんに使った料理が多く、盛りつけの美しさ、火加減の良さ、味付け、等、日本人の方にぴったりのお店だ。シーバス(スズキ)、サーモン、帆立等の魚介類を注文したが、火をさっと通して提供するので、まるで刺身のような感覚で食べられる。シェ・パニーズはオーガニックの野菜をふんだんに使うが、魚介類のメニューは少ないので日本人にはアクアの方が好まれるだろう。
http://www.aqua-sf.com/
うっかりAquaには共同オーナーで総調理長のMichael Minaがいると思っていたら、実は辞めてサンフランシスコ市内に新レストランを開店したという。ユニオンスクエアーの伝統あるウエスティン・セント・フランシス Westin St. Francis の1階 に4百50万ドルを費やしたお店(氏名が店名)を開店し、8月いっぱいは予約でいっぱいだった。ディナーの予約が取れず、ランチをと思ったのだがランチ営業はしていないので、アフタヌーン・ティーを楽しんできた。見事なサンドイッチとデザート、お茶、それにシャンパンのセットで42ドルだった。お店はセント・フランシスのロビーを見下ろす一段高い場所にある。優雅に生演奏の音楽を楽しみながらサンフランシスコの午後をゆったりと過ごすことができる素晴らしい雰囲気だ。
食後、厨房見学をさせて貰うことにした。米国の高級レストランでは客から厨房を見たいと要望されたら必ず案内してくれる。マネージャーの案内で厨房に入ったが、ゆったりとした造りの客席と相反して、厨房は狭く使いづらそうであった。ニューヨークのダニエルの広々とした厨房と比べるとちょっと見劣りするだろう。マネージャーに大変だねと聞いたら、既存レストランの改造なので面積的な制約があるのだと言っていた。
ユニオンスクエアー周囲には日航ホテル、ハイアット、マリオット、フォーシーズン等の宿泊施設や、メイシーズ、ノードストローム等の百貨店やブランドショップが並んでおり、日本からの観光客も多い場所だ。サンフランシスコを訪問する前にはぜひ予約を入れて訪問することをお勧めする。
http://www.aqua-sf.com/aqua/framed_index.htm

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