米国レストランピリ辛情報 「健康志向の動向」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2004年8月号 NO.455)

Atkin’sダイエットのブームは米国の景気が回復し、低価格の商品やサービスから、より高品質で体に良い物を求める消費者の傾向を物語っている。この傾向の中で急成長しているのが、オーガニックの食品スーパー・ホールフーズWhole Foodsだ。1980年にテキサスで1号店を開店してから現在までに160店となっている。http://www.wholefoods.com/
高級食品スーパーの趣の内外装デザインで、入り口を入ると壁に生産者の写真を貼った下のショーケースに野菜やフルーツを豊富に陳列している。同社の南カルフォルニアにあるディストリビューションセンターはオーガニック認定のグローバルリーダーであるQuality Asurance Internationalによって認可された本格的なものだ。
http://www.qai-inc.com/
http://www.qai.jp/
肉売り場にはオーガニックの高価な食肉が色艶よく陳列されている。国際動物愛護団体VIVAとPETAが、過去2年間同社に対して基準導入を働きかけてきた結果、マクドナルドやバーガーキングが基準採用したのに続き、食品スーパー初の動物の扱いに関する倫理的基準を定めた指針も導入している。

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入り口横にオープンキッチンを設置しオーガニックの安全な持ち帰り惣菜を用意している。その売り場の前にはレストランと同レベルの見事なサラダとスープバーを設置している。野菜、果物、精肉、魚介類、チーズ、コーヒー、ベーカリー製品など、すべての製品で硬化油、人工の添加物、保存料、甘味料、着色料、香味料が入っていない物だけを販売するというこだわりだ。勿論そこで食べたい人にはイートインスペースを用意している。
筆者は米国を訪問して一番買い物をするのがホールフーズだ、漢方薬やビタミン、オーガニック食材を買い求めるが、一番気にいっているのがケーキだ。同店には大きなオープンキッチンの横に、インストアー・ベーカリーを置いて焼き立てパンとケーキを販売している。米国のケーキは見た目には綺麗なのだが、その甘さと大きさには辟易とする。米国人は日本人と異なり生クリームよりも砂糖をまぶしてあるようなガリガリのバタークリームが好きであり、これには参ってしまうが、例外がホールフーズだ。春先はカリフォルニアのイチゴが旬であるが、その時に販売するストロベリーショートケーキは日本製のように甘くなく美味しい。
米国はいち早く、漢方薬などの比較的安全な薬は食品スーパーなどでも健康補助食品として販売を認めるようになっており、同社は大きな漢方薬のスペースを割いて販売をしている。素晴らしいのは従業員の商品知識だ。ビタミンや漢方薬はその効能書きを読むのが難しいのだが、充分な知識を持った従業員が的確に説明してくれる。
ホールフーズの凄いのは消費者の健康と安全をうたうだけではなく、従業員にとっても働きやすい環境を備える活動をしている。現在店舗は米国、カナダ、イギリスで160店舗、2003年の総売上は31億ドル、2万7千人もの従業員をかかえる大企業であるにも関わらず、フォーチュン誌では7年連続「Best Company to Work for」(優良企業100)に選ばれているほどだ。
食品スーパーというのは食という保守的な消費を販売しているので、広大な米国全土に展開するのは難しい。しかし、同社は10年ほど前にサンフランシスコダウンタウンの高級住宅街に巨大な店舗を開店し、アンドロニコス、ドレイガース、等の高級イタリアン食品スーパーがあるにも関わらず、大繁盛店となってしまった。
次に同社が目指したのはニューヨークのマンハッタンだった。マンハッタンはドイツ系デリカテッセンのゼイバースやイタリア系の高級食品スーパーのディーン&デルーカが軒を並べており、一時は一世を風靡したHMRの元祖イーチーズが開店したがあっという間に撤退に追い込まれてしまった難しいマーケットだ。その難しいマーケットに2004年2月にマンハッタン内では最大規模の店舗をコロンバスサークルのタイム・ワーナー・センター内にオープンした。この新店舗には、250席収容のカフェとフード・コートを備えニューヨーカーに大受けし、2004年6月7日にはニューヨーク近郊の人口5万3千人が居住するホワイト�プレーンズに開店するという勢いだ。

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