米国レストランピリ辛情報 「70# スタバ包囲網」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2007年6月号 NO.488)

スターバックス包囲網の動き その1
業界一位のマクドナルド社の売上げは10年間で1.7倍になったのに対して、スターバックス社の売上げは17倍、売上順位は10年前の56位から7位。同業のダンキンドーナツ社は10年前の16位から11位、売上げは2.06倍に過ぎないのに対して、スターバックス社の成長振りは素晴らしいものがある。しかし、2007年に入り、そのスターバックス社の成長神話に陰りが見えてきた。
その第一弾が、米国最大の消費者情報雑誌のコンシューマーレポート誌2007年3月号(2月2日発売)のコーヒーの比較調査だ。
比較テストはコンシューマーレポート誌の担当者とコーヒーの味覚テストの専門家によって実施された。2006年の11月に各企業の2店舗から、砂糖とクリームを入れない中サイズのコーヒーを購入し評価を行った。
その結果、マクドナルドのコーヒーは「1.35ドルで、上品で適度なコクがある。欠点はない」と高く評価された。
バーガーキングは「1.40ドルでコーヒーのようだがお湯のように薄く酸味がある。またかすかにチョコレートの香りがする」
ダンキンドーナツ「1.65ドルで水っぽく、スターバックスよりも高い。普通の味だが魅力がない。もし、家でダンキンのコーヒー豆で淹れるのなら濃くした方が良い」
スターバックスは「1.55ドルで濃いが焦げて目から涙が出るほど苦い味がするので目が覚める」と酷評された。
第2弾がスターバックス社の社内メモの流出だ。スターバックス創業者のハワード・シュルツ会長が2月14日に同社の幹部に送ったメールには「店舗の雰囲気やデザインが金太郎飴のように、どの店も同じ印象になって安っぽくなった。コーヒー豆の包装を変更(flavor-lock bags)したことにより店舗で、豆を挽く必要がなくなりコーヒーの香りが無い。また、大きく背の高い全自動のエスプレッソマシンの採用により、バリスタがコーヒーを丁寧に淹れている姿を見ることができないし、バリスタとのコミュニケーションもとることができない。スターバックスブランドがコモディティ化しているのではないか?」と述べられている。メモは幹部がブログに掲載して公となり業界は騒然としだした。
第3弾は3月に発表されたブランド�キー社による2007年顧客満足度調査だ。
その調査結果は1位ダンキンドーナツ、2位がスターバックス、3位がクリスピークリームと言う衝撃的な結果だった。調査内容は「便利な立地」�価値感�「店内での経験とサービス」「味などの品質と商品の品揃へ」の4つだ。
ブランドキー社のロバート�パッシコフ社長は
「コーヒーとデザートの分野では長らくスターバックスの顧客はスターバックスに最も強いロイヤリティを持っていたが、その評価に変動が起き、現在はダンキンドーナツが一位という大変優位な立場となった。スターバックスはコーヒー分野のブランドからライフスタイル分野のブランドへ移行してしまい、音楽CDやサンドイッチ、新聞などの商品を販売しだしてしまった。スターバックスは本質的にお店での体験が重要なブランドであることを忘れ去ってしまったのだ。店舗での体験が大変重要であると言う本質を見抜いたダンキンドーナツは、全世界の店舗のイメージアップを図る明確なマーケティング戦略を実行した。ダンキンドーナツは新たにシェフを採用し新製品を積極的に開発販売をしているが、その商品開発はコーヒーと菓子の分野に限定している。」と語っている。
調査においてダンキンドーナツは「店内での経験とサービス」「味などの品質と商品の品揃へ」の2項目においてスターバックスよりも高い評価を勝ち取った。ダンキンドーナツは米国34の州に5300店舗を展開しているのに対し、スターバックス社は50の州に8800店舗を展開しているにもかかわらず「便利な立地」と�価値感�という評価ではスターバックスと均衡した評価であった。
この調査の結果に元気付いたダンキンドーナツ社は、店舗展開においてミシシッピー州以西において70店舗あるに過ぎないのでそれらの地域への積極的な展開図ることにした。そこで、ダンキンドーナツ社はプロクター&ギャンブル社と米国内の食品スーパー数千箇所でダンキンドーナツ社のコーヒー豆を販売する業務提携を結び、新しい地域でブランドイメージを向上させ、フランチャイズ展開に拍車をかけることにした。

このように苦境に陥りつつあるスターバックスへさらに、ファストフード業界の逆襲が始まるなどコーヒー業界はホットな話題を提供しだしている。
続く

参考文献
コンシューマーレポート誌記事
http://www.consumerreports.org/cro/food/coffee-taste-test-3-07/overview/0307_coffee_ov_1.htm

ハワード・シュルツ氏のメモ

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ブランド�キー社発表の2007 Consumer Loyalty Engagement Survey of more than 20,000 consumersと言う消費者の顧客満足度調査。(ボストン�ヘラルド紙3月5日号)
http://business.bostonherald.com/businessNews/view.bg?articleid=186380&format=te

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