店舗におけるインフォーマルなコミュニケーション

チェーン本部サポート 第9回(商業界 飲食店経営2002年)

◆個々の技術者とのコミュニケーション

<コミュニケーション とは?>

コミュニケーションは、人と人との考えの交換です。コミュニケーションの質は、相互の信頼関係に直接影響します。

当社のようなサービス業にとって、よいコミュニケーションスキルは欠くことのできないものです。このようなスキルは、気づいていてもいなくても、言葉、言葉以外のものに、常に活用されています。皮肉なことに、声が大きければ、よいコミュニケーションがとれるというわけではありません。

ピープルマネージメントを効果的に行える店長になるには、よいコミュニケーションの取り方を理解していなくてはなりません。

<よいコミュニケーションの5つの特徴>

  1. よいコミュニケーションは、相互に行われるものです――相手のいうことを聞こうとしなければ、自分の言いたいことも相手に聞いてもらえません。相手には、反応する 時間を必ず与えて下さい。
  2. よいコミュニケーションでは合意が得られます――あなたと技術者が問題点と解決策について合意していないと、アクションが起こされることはないでしょう。どのようなアクションをとるかについては、必ず一緒に決めていくようにして下さい。
  3. よいコミュニケーションでは、情報、指示がきちんと与えられます――技術者は、自 分がどのような状態にあり、どうすれば改善できるかを明確に知る必要があります。ネガテイブな点よりも、ポジテイブな点を強調するようにして下さい。
  4. よいコミュニケーションでは、具体例が挙げられ、手本が示されます――言いたいこ とを明確に示すため、具体例を挙げて説明して下さい。また、技術者に期待すること は自ら手本を示して、信頼を失わないようにして下さい。
  5. よいコミュニケーションは、一貫して行われます――ラップセッションや技術者ミーティングをたまに開くだけでは十分ではありません。コミュニケーションは日常的な 仕事の一部です。コミュニケーションは、絶えずとるようにして下さい。”おはよう ございます””お疲れさま”という簡単な挨拶が、コニュニケーションを維持してい していく上で欠くことのできない要素です。

◆やる気を出させる動機付け(相手にある種の感情を起こさせる言動)

大部分の人は、他人の前で誉められたいと思っています。このようなよい動機を与えて欲しいという気持ちは普遍的なもので、これがないために会社を辞めることになる場合もあります。

給与など、店舗で働くことによって得られるその他の様々なメリットが名声や地位と同様に、技術者を辞めさせないための重要なモーティベーターとなりうることはいうまでもありませんが、調査によるとモーティベーションを与える上でもっとも重要なのは、”誉める”つまり、よい動機を与えることであるということです。技術者にとっては、良い仕事をした場合に誉められる、達成感が得られる、自分の価値を見出すことができるというようなことが大切なのです。

このように動機を与えることは非常に重要なのです。しかし、注意しなくてはならないことがあります。動機を与えた場合の効果は予測できます。つまり、よい行為に対してよい動機を与えると、それは繰り返し行われるということです。しかし、良くない行為に対して誤ってよい動機 与えてしまった場合も、それが繰り返し行われることになってしまいます。良くない例を認めて、悪い習慣をつけさせてしまうと、それは繰り返されることになるのです。ですから動機 を与える場合は、必ず状況をよく判断して、適切な動機を与えるようにして下さい。

◆カウンセリング

<カウンセリングとは?>

カウンセリング の”counsel”は動詞で使うと”アドバイスする”ということ、そして、名詞で使うと”行動計画”という意味です。カウンセリングは、問題があったために行うこともありますし、動機を与えるためだけに行われることもあります。カウンセリングは、定義によるとアドバイスを必要にとしている人が行動計画を立てやすくするようにするために行われるポジティブな形のツーウェイコミュニケーションです。

今日のビジネスにおいて、カウンセリング は”指導する”という概念と同じような意味で使われていますが、再度定義を考えてみるとコミュニケーションやマネージメントを上手に行う上では、指導とカウンセリングのいずれもが必要にとなります。技術者を育成する際に適切な指導とカウンセリングを行い、方向性を示し、また、毎日しっかりマネージメントを行っていれば、よい結果が生まれます。技術者のカウンセリングを行うことにより、その人の成長を促進できるかもしれません。また、生産性の低い技術者の生産性を高めたり、売り上げ不振店舗を売上の高い店にしたり、あるいは、規則やポリシーが更に守られるようにしたりすることができるようになるかもしれません。このようなことに成功するか否かは、カウンセリングの6ステップで説明されているようなカウンセリングのテクニックをいかにうまく使うかにかかっています。躾をすればよいとか、罰を与えればよいという考え方を改め、今後はそれらをトレーニングとカウンセリングとして力をいれていかなくてはなりません。技術者が物事を正しく行えるようなカウンセリングとトレーニングを行えば、彼らはあなたの期待どおりに行動するはずです。

<カウンセリングの6ステップ>

1. 目的を述べる

雑談は、相手を心配させるだけです。すぐに本題に入って下さい。例:「佐藤さん、君が3日間遅刻してきたことが気になっているんだけれど、今日はそのことを話そう」「田中君、今日は、君が昨日カットをやっている時に気がついた問題点について話そうと思って来てもらったんだ」

技術者には、何について話しをするのをしっかり伝えて下さい。

2. 問題点を説明する

これによって、この話し合い全体の調子が決まるので、これはカウンセリングのプ ロセスの中で極めて重要なポイントです。問題点は自分が観察した事実に関連して説明して説明して下さい。技術者自身にも一緒に判断するチャンスを与えなくてはなりません。攻撃的に話していくと、それだけ守りも堅くなります。防御は、問題解決に とって最大の障害となります。問題点は、見たとおりに簡潔に説明し、技術者に反応 する機会を与えてください。

正:観察――「このところ、3日も続けて30分ずつ遅刻をいているけれど」

誤:評価――「どうしてスケジュールをしっかり守らないんだ」

問題点は観察したとおりのことを簡潔に説明し、それから技術者に反応する機会を与えて下さい。

3. 相手の話を聞く

これは最も難しいところかもしれません。ステップ1と2をどんなに上手にやっても、ここで相手が防御の態勢に入ってしまうことがあるので、ここでは相手の話しを最 後まで聞くようにして下さい。目的を述べ、問題点を説明していれば、守りの態勢はそれほど強くならないはずです。そのような相手の態勢をどう扱うかによって、問題点を良い方向に持っていくことができるか、また、より大きな成果が得られるかが決 まります。その時は技術者の立場にたって相手の話しを聞いて下さい。

以下によい聞き方のテクニックをいくつか挙げておきます。

  1. 受け入れる――「なるほど」と言ったり、相づちを打ったり、うなずいたりしながら相手の話しを聞くようにします。相手が話している間、積極的に聞いている という姿勢を示して下さい。
  2. 繰り返す――相手がいったことを同じ言葉で繰り返す。
  3. 言い換える――相手が言ってきたことをわかりやすい言葉に言い換えて伝えます。

    例:「つまり、家の仕事が忙しくなってしまったということですね」
  4. 相手の考えを引き出す質問――「はい」とか「いいえ」で答えられる質問でなく、相手が話せるような質問をします。

    例:「以前の職場ではどのようなことをしていましたか」

    「なに?」「いつ?」「どのように?」
  5. 黙っている――相手が話し終わった後、すぐに店長が話し出さないで間をおいて黙っていると、技術者は引き続き話し始めます。これは「引き続き話して下さい」と言っていることになります。

技術者の言い分を聞くことにより、あなたは彼らから尊敬されるようになると同時 に、問題点を更に詳しく把握できるようになるでしょう。

4. 問題点に関して同意を得る

双方が問題点の存在を認めない限り、効果的な解決策を得ることはできません。技術者 ーに、技術者自身がその問題点をどう見ているかを言わせて下さい。技術者の考えが あなたの考えと一致した場合は、次のステップに進んで下さい。一致しなかった場 合は、ステップ2と3を繰り返して下さい――問題点を見たとおりに説明し、技術者の話しを聞いて下さい。

問題点に関して同意が得られるまでは、次のステップに進まないで下さい。

5. 相手と一緒に解決策を決める

ルーと一緒に解決策を決めることが大切な理由は2つあります。

  1. 現実的である:技術者は、自分自身で達成できる解決策を選びたがるものです。
  2. 技術者が解決策に力をいれるようになる:技術者は上司であるあなたがプランを 立ててしまった場合よりも、自分でアクションプランを立てた時の方がよく努 力します。

解決策を練ることに技術者を関与させるには”この問題を解決するためにはどうした らよいのだろう”と聞くとよいでしょう。

6. 相手にまとめさせる

話し合いを終える前に、技術者が次にどうしたらよいのかを理解しているかどうか を見るため、フィードバックさせて下さい。このテクニックを用いると、技術者が その問題点をどれだけ認め、解決策を理解しているかを把握できるようになります。 両者が何をいつまでに行うかについて考えの違いがなく、話し合いを終えること が大切です。

<誰のカウンセリングを行うか、なぜその人のカウンセリングを行うのか>

基本的に、カウンセリングをする相手は2種類あります。

  1. 良い仕事をしている技術者
  2. 良い仕事をいていない技術者

カウンセリングで取り上げるものには次の2つがあります。

  1. 勤務状態
  2. 規則の違反

以上の結果、カウンセリングを必要とする人は4つのタイプに分けられます。

  1. 勤務状態の良い技術者
  2. 勤務状態の悪い技術者
  3. 勤務状態は良いが規則の違反をした技術者
  4. 勤務状態が悪く、規則の違反もした技術者

1. 勤務状態の良い技術者

これは4つの状況の中で最も容易なものです。それは問題がないからです。この場 合のカウンセリングは、技術者に新しいことを教えたり、その人が更に伸びるよう にしたりすることを目標とします。いずれにしろ、前向きで積極的な行動をより強 化することです。

2. 勤務状態の悪い技術者

この場合は、技術者に問題があると言わなくてはならないのでカウンセリングは難 しくなります。このカウンセリングの目的は行動を改善させることであり、相手は防 御の態勢をとることが予想されます。このカウンセリングがどれほどむずかしいか は、話し合いの過程でどれだけ防御の態勢がとられるかによってきまります。話し合 いのもっていき方が成功に左右します。

3. 勤務状態は良いが規則の違反をした技術者

技術者が規則を破った場合、カウンセリングを行う前に答を出しておかなければな らないことと、とるべき手順があります。

どの規則が当てはまるか?――その規則のことが既に技術者に伝えられていたか確認してください。破られたと思う規則の内容を確認し、技術者が前からその規則のことを知っていたかチェックしてください。

その規則は現状にあったものか?――規則の中には古いものもあります。規則は常に最新のものにして、現状に合わないものは取り消していくようにしてください。

どのようなアクションを取るか?――規則が破られるたびに、それに対するアクションを考え出すのではなく、規則をつ技術者時点で、それが破られた場合に取るアクションを決めておいてください。

その規則は一貫性をもって適用されているか?――扱いに一貫性がないと不公平に なるばかりでなく、差別ということで問題にされることになるかもしれません。また これは当社の方針に合わないものでもあります。全員がその規則のことを知 っており、それに違反した場合は同様の扱いを受けるようにしてください。ある規則 が、十分理解されていないために破られたと思われる場合は、その規則をしっかりと 伝え、いつから実施されるかを公表して下さい。

4. カウンセリングをする前に事実を集める――噂だけを頼るのではなく、必要な証拠を集めて下さい。

相手の言い分も聞く――技術者には自分の立場を述べる権利があります。カウンセ リングの6ステップは、この権利を確かなものにするように作られています。

解雇すべきかどうかはスーパーバイザーや人事部と一緒に決める――解雇ということ も考えられる場合は、そうするのが適切か、また自分のやり方が一貫しているかを確 認するため、必ず上司と話し合って結論を出した方がよいでしょう。

5. 勤務状態が悪く、規則の違反もした技術者

勤務状態が悪い技術者は、既に仕事ぶりのことでカウンセリングをしていると思いま す。このような人が規則を破った場合、状況によってはカウンセリングの結果、解 雇することになることがあります。解雇を決定する前に必ず自分のアクションが、

  1. 公平か
  2. 一貫しているか
  3. 事実に基づいているか
  4. 証拠はあるか

を確認するようにして下さい。

◆解雇

できれば技術者は解雇したくないものです。解雇するのは気分のよくないものですが、その必要がある場合は、必ず正しく対処するようにして下さい。解雇は、その人の自我に大きな影響を及ぼすもので、時には訴訟問題になることがあります。ですから解雇が、証拠が十分あり、事実に基づいており、これまでにとったアクションと一貫している公平な唯一のアクションであることを確認してから判断を下すようにしてください。

解雇の理由は基本的に2つあります。

  1. 勤務状態
  2. ポリシーや規則の違反

<冷却期間>

状況がどんなに厳しいものでも、どんなに腹が立つことであろうと、技術者をその場で解雇することはしないでください。一般的には解雇通告を出すまでに、少なくとも24時間は冷却期間をおいて下さい。そうすれば解雇した場合の法的および個人的な効果を考えることができるので、感情的な判断を避けることができます。

その技術者は直ちに仕事から外し、事実を検討した後、一定期間内に連絡する旨伝えて下さい。そして冷却期間中に証拠を集めて下さい。

店長が調査をしないうちに技術者を辞めさせてはいけません。これは、技術者の扱いを公平かつ一貫したものにするためです。

<解雇にあたってのチェックリスト>

・ 技術者に行動を正す機会を与えたか?

勤務状態に問題がある技術者を解雇することになった場合は、その前に必ずカウンセ リングを行い、行動を正す機会を与えるようにして下さい。規則を破ったため解雇す ることになった場合は、その規則を伝えてあったかどうか確認してからにして下さい。

・ 相手の話を聞いたか?

勤務状態に関する場合も、規則の違反に関する場合も、第三者の話だけで判断しない よう注意して下さい。

・ 評価表に記録したか?

カウンセリングを行った時には、話し合ったことと合意をみているアクションのこと を書き留めておいて下さい。この書類には、あなたと技術者の双方が署名しなくては なりません。

・ 解雇を決定する前に事実を確認したか?

冷却期間中にカウンセリングを行う技術者に関する事実と、あなたの判断を裏づけ る証拠を集めて下さい。証拠は人が言っていることや、パーソナリテイの対立に基づくものでなくてはなりません。

・ 扱い方に一貫性があるか、またチェックしたか?

規則やポリシーは、すべての技術者に一貫して適用されていなくてはなりません。同 じことをして、ひとりは解雇され、もうひとりはそうでなかったとすると、これは扱い方が一貫していないということで不公平であり、当社のポリシーにも合わないやり方です。また、このようなことは訴訟問題にもなりかねません。勤務状態の問題の場合も、ポリシーの違反に関する問題の場合も、技術者には行動を正す機会を平等に与えてください。あるポリシーに違反した場合は即刻解雇というのとになっているのであれば、必ず全技術者に前もって知らせておいてください。

<店長が問題ではないか?>

店長や管理者が行っているあることによって、技術者が不正なことを行わざるを得ない時があることをご存知でしょうか? 自分たちが技術者をどう扱っているか考え、採用の仕方を検討してみると、正直な技術者に解雇につながるような不正なことをさせるものをよりよく理解できるようになるでしょう。

以下に説明するような気持ちをもった技術者がいるかもしれません。このような技術者はどのような行動をとるかを考えてみてください。

1. 店舗の一員であるという意識が低い人

この技術者は、自分が店舗の一部であると感じることがありません。”私の店、我々、ぼくたち”と言うのではなく。”君たち、君、彼ら”という言い方を常にします。友人の悪口を言うより、他人の悪口の方が言いやすいものです。技術者が自分は店舗の一員であると感じるようにしてください。少し敬意を払うだけで、大きな効果が得られます。

2. フラストレーション(欲求不満)を感じている人

技術者が無視されている、店舗の一員ではないと感じていませんか? これはフラストレーションにつながります。休憩が欲しくてもその要求が受け入れられず、約束されていた昇給もなく見過ごされている。このような人はフラストレーションに陥ってしまいます。ひどい場合には、”時給を上げてくれないのなら、レジから取るまでだ”と考えて盗みを働くこともあります。

3. 自分がつまらない人間だと思っている人

このタイプの技術者は、自分に対する誇りに欠けています。自分を低く見ている人にとっては、盗みなど何でもありません。採用の段階でしっかりした面接を行えば、このタイプの人はわかるはずです。技術者の不足分は、ただ人数を埋め合わせればよいというものではありません。応募者と話をし、その人のパーソナリティを理解するようにしてください。この状況については、技術者が働いている時に注意するようにしてください。

4. 仕事に対する責任感に欠ける人

技術者には、全員が自分の行動に責任があることを理解させてください。店長は起こっていることに注意を払わなくてはなりません。

5. 他の人々に対して無関心な人

他の人々に敬意を払ってない技術者には注意してください。仲間に対して何の感情も抱かず、また仲間との関係を尊重していない人にとっては、他の人とトラブルを起こすことなど何でもありません。技術者の会話に注意してください。当社で働きたくないと思っている技術者には注意をする必要があります。

6. 他の人がした悪いことにすぐに従う人

“みんなやっている””キャッシャーは、みんな友達に商品をあげている””みんなお金を少しずつ盗んでいるんだ”このような雰囲気は、テレビ、家族、友人などによって影響されることもありますが、いい加減に採用し、十分にトレーニングやモーティベーションをされていない技術者によって作られることもあります。

7. 店舗の収益状況を誤解している人

“当社は儲かっているのに、僕には少ししか給料をくれない。少しくらい盗んだって何とかなるはずだ””当社は私にこれくらい支払ってもいいんだ。だから、これくらいとっても問題ない”。

お金を出しっぱなしにしておいたり、中抜きを行っていなかったり、キャッシュシートやセールスジャーナルなどを放置しておいて、盗みを働きやすくするようなことがないようにしてください。

8. 盗難に対する措置を誤ってとらえている人

“みんながやって、誰も捕まっていないのだから私も大丈夫だ””私は頭がいいんだから、捕まるわけがない”。

現金の問題がなかったとしても、ドロアのスポットチェックを行ってください。現金管理が第一であることを技術者に示し、予防策を講じてください。

以上のようなことは、みなさんが技術者を採用した時点から始まっています。その中には店長の店舗運営のやり方によって起こるものもありますので、あなたの店舗でこのようなことが起こらないようにしてください。

第6節 技術者評価表

◆ 評価の目的

勤務評価は重要なコミュニケーションであり、正しく扱えば1体1のミーティングで個々の技術者の勤務状態を改善していくための最高の機会が得られます。この目的はこれまでの勤務状態を評価し、改善できるように指導することによって、今後の仕事ぶりをよくしていこうとするものです。評価は、技術者が自分のレベルを知るのに役立ち、また時給アップの基準ともなります。

◆ 評価はいつ実施するか?

評価は、定期的にまた問題が起こった時や、ある技術者に個人的に注意を払い、誉めたりする必要性が生じた時に実施します。さらに技術者の仕事ぶりのよい傾向を強化するために実施することもできます。昇給ボーナス評価の前には、必ず評価を行うようにしてください。評価は年に3回以上実施することになっています。

注:ワークレビューとは仕事ぶりに関しての非公式な話し合いのことです。評価より細かな頻度で必要に応じて実施し、仕事ぶりに関してアドバイスを与えるためのものです。

◆ 基準の設定

技術者の評価を行う場合は、前もって公平な勤務状態の基準を設定しておかなくてはなりません。それには、評価するカテゴリー(勤務状態、信頼性、態度、アピアランス、仕事内容、技術レベル.)を取り出し、評価の各レベルにおいて、どのようなことが期待されているかを定義しておきます。

<勤務状態>

勤務状態を評価する時には、次のことを考慮してください。

・ 技術者の仕事が、マニュアルや基準通りに行われているか。

<信頼性>

信頼性を評価する時には以下の点について考慮してください。

  1. 欠勤
  2. スケジュールへの貢献度
  3. 仕事の完成度
  4. 時間を守ること(遅刻、その他)
  5. 店長がフォローアップしなくてはならない量

<態度>

態度を評価する時には以下の点について考慮してください。

  1. 与えられた仕事をどれだけ積極的に実施するか。
  2. 他の技術者と一緒に仕事をする能力(協調性)
  3. お客様に対する丁寧さ
  4. 他の技術者や店長に対する丁寧さ

<アピアランス>

アピアランスを評価する時には以下の点について考慮してください。

  1. 技術者ユニフォームの着用
  2. 技術者ユニフォームはきちんとしているか
  3. 身だしなみ
  4. 衛生面
  5. くせ
  6. 仲間に及ぼす影響
  7. お客様に及ぼす影響

<技術>

技術を評価する時には以下のことを考慮してください。

  • できることが証明されている技術の数と、経験の長さ

◆ 総合評価

これは技術者の勤務状態の全体的な評価で、これに基づいて昇給額が決められます。大部分の店舗はそれぞれの評価の項目の平均を出して総合評価を決定しています。店長によっては、特定の項目に重きを置いているかもしれませんが、その場合は評価する全ての技術者に対してそのような処置をとるようにしてください。

<標準的な総合評価システムのランク>

  •  5=優れている
  •  4=良い
  •  3=普通良い
  •  2=改善が必要
  •  1=不満足

◆ 技術者評価の流れ

1. 勤務状態の長所と短所を知る

評価の実施にあたっては、まずこれまでに見た状況で、その技術者の仕事ぶりの程度を示していると思われることを考えてみます。マニュアルは、この作業を行うのに役立つものです。改善すべき点についての具体的なプランに関して話し合いができるようにしておいてください。

2. 問題点の原因を判断する

勤務状態を改善する計画が効果を上げるようにするには、短所になっていることの原因を取り除くことに焦点を合わせなくてはなりません。原因を判断する時には、必ず技術者も交えるようにしてください。

問題点の原因を考える際には、以下の点について考えてみたり、技術者に聞いてみたりするとよいでしょう。

  1. その技術者は基準を知っているか? 知らない場合は説明する。
  2. 技術者は自分の仕事ぶりのレベルを理解しているか? 理解していない場合は教える。
  3. その状況に障害はないか? ある場合は障害をなくす。
  4. 技術者には知識と技術があるか? ない場合はトレーニングする。
  5. 技術者はその仕事に積極的に取り組んでいるか? そうでない場合はモーティベーションを与える。

技術者には反応する機会を与えてください。よいコミュニケーションは必ずツーウェイです。店長が一方的に話していると、技術者は話を聞かなくなってしまいます。評価の最終的な目的は、双方が力を入れて勤務状態を改善することなので、聞き上手になることがきわめて大切です。この章のカウンセリングの6ステップの3つ目「相手の話を聞く」のところを参照してください。

3. 何が最もモーティベーションとなるか判断する

人によってモーティベーションとなるものは異なります。金銭、誉め言葉、仕事をより多く与える、仕事にバラエティを持たせる、自主性をこれまで以上に持たせることなど、いろいろ考えられます。その人のモーティベーションとなるのは何かを捜す時には、常に心を開いているという事が大切です。技術者があなた自身と同じものでモーティベートされるとは思わないでください。ひとりひとりを見て、その人の好き嫌いを考えてください。その人は、どのような時によい仕事をし、どのような時にはそうでないでしょうか。その技術者にとってモーティベーションとなるものがわかったら、その人の仕事を調整して、それを与えるようにしてください。例えば、ある技術者は自主性を与えられると大いにやる気を出すというのであれば、成果が得られ基準が満たされる限り、ほとんど介入せずにひとつのエリア、仕事を任せてください。

4. アクションに関して合意を得る

仕事ぶりの短所を改善することについて話し合う時には、技術者にどうしたらよいと思うかも必ず聞いてください。技術者の意見はよく聞き、最終的なプランに一部でもそれを反映するようにしてください。技術者の意見が反映されていれば、それだけそのアクションプランの成功する可能性は大きくなります。

◆ 過大評価/過小評価を避ける

技術者全体の評価を行う度に全体としてどのような評価をしているか見てみると、自分が過大評価や過小評価をしていないかがわかります。店舗全体の評価が”良い”の場合は、”良い”の割合が最も大きくなくてはなりません。同様に店舗の評価が”優れている”の場合は、”優れている”が最も多くなくてはなりません。これに関しては絶対的なガイドラインがあるわけではないので、バランスを決めるには常識を働かせてください。店の評価は”優れている”なのに”優れている”の評価を受けている者はなく、”よい”の評価も数人にしか与えられていない場合は、技術者を過小評価しているといえるでしょう。逆に店の評価は低いのに、技術者の評価は”優れている”や”良い”ばかりだとすると、過大評価しているのかもしれません。

◆ 時給の決定

<公正な時給プログラムの確率>

時給の決定には、評価プログラムで判断された総合評価に基づいて昇給額を決めるという公正な方法を確立しなくてはなりません。定期的に行う時給評価は、正しく実施すると効果的なモーティベーションツールとなります。時給評価は技術者に仕事に誇りを持たせるのに役立つばかりでなく、より高いレベルの仕事を行うようにするためのものでもあります。

<時給評価実施前に行うべき事>

昇給額を決定する前に行っておかなくてはならないことが4つあります。

  • 昇給額は評価に基づいて決定する。
  • タイトルごとに最高時給を決めておく。
  • 時給評価のスケジュールを立てる。
  • 時給評価の実施日と最高時給を事前に公表する。

各総合評価の昇給基準は過去の評価と時給評価結果を調べて、上司と相談して決定してください。評価の平均よりは勤務評価の傾向の方が重要かもしれません。

<総合評価とタイトルごとの最高時給の決定>

最低時給と最高時給は、個々の状況により異なります。以下の点について十分考慮してください。

  1. 都道府県の最低賃金:最低賃金は絶対支払わなくてはならない。
  2. 店舗の予算
  3. 技術者リ技術者トの難易度
  4. 競合店との兼ね合い

次のページの表は時給の範囲を示した参考例です。このような範囲があると、それぞれのレベルに見合う時給を払うことができます。”Outstanding”の評価を受けていない技術者は勤務態度を改善しようとするようになります。またこのような方法をとっていると技術者の時給は勤務年数でなく、勤務状態によって決まることになります。

また、最高時給が決めてあると、平均時給をコントロールしやすくなります。

技術者がそのタイトル、評価における最高時給に達した場合、評価はそれまで通り年に3回実施しますが、時給評価は年1回になります。

また、タイトルアップしたり、総合評価が変わったりしたために技術者の時給がそのタイトル、評価における最高時給を超える場合も、同様に時給評価は年1回になります。この場合、以下の点に注意しなくてはなりません。

  • 昇給は規定金額どおりに行う。
  • 技術者のその時の時給や総合評価にかかわらず、上限に合わせるために時給を減らしてはいけない。
  • 時給が上限を超えたからといって、技術者を解雇することはできない。

尚、最高時給を超える場合については、スーパーバイザー、またはオーナーオペレーターの承認を得なくてはなりません。

時給評価が年1回になってから行われたその後の評価で、タイトルアップしたり評価がよくなったりしたために、それまでの時給が最高時給よりも低くなると、再び時給評価は通常どおり年3回実施されることになります。

◆ タイトルごとの給与の範囲(例)

タイトル最低賃金最高賃金評価

第7節 技術者とのグループコミュニケーション

当社は、技術者とのグループコミュニケーションの方法を3つ開発しています――ラップセッション、技術者ミーティング、意識調査。店長がやり方を理解していれば、これらは大成功することになります。

◆ ラップセッション/技術者ミーティング/意識調査

ラップセッションでは問題点を知り、解決策を考えるために一人の店長が技術者から話を聞きます。これはポジティブなことについて話すよい機会でもあります。ラップセッションは技術者にとって1体1の話し合いに次いで、自分の考え、ニーズ、要求、不満を伝えることができるよい機会です。

技術者ミーティングでは技術者にモーティベーションを与える目的で、社員が技術者に重要な情報を伝えます。技術者ミーティングの場合は議事を明確に決め、準備段階で十分にリハーサルも行ってください。

意識調査は店の長所と短所を技術者がどうとらえているかを知るために、技術者を対象として無記名で行われます。意識調査は店の問題を最も明確に示すものです。

Ⅰ.ラップセッション

<何故ラップセッションを行うのか?>

ラップセッションを行うと、技術者に自分たちが店舗の成功にとってどれだけ重要かを理解させることができるのでモラールが高くなります。ラップセッションは店長が店舗で働く人々の考え、提案、問題に耳を傾け、その解決策をとろうとするほど彼らのことに注意を払っているのだということを示す最も効果的な方法のひとつです。

<ラップセッションによって何が達成されるか?>

  1. 運営面の改善。数多くの驚くような重要なことを知ることができます。
  2. 技術者のモラールを高める。技術者に彼らも店舗を動かしているメンバーの一人であることを知らせ、また、進んで話を聞いてくれる人がいるということをわかってもらうことにより、店舗のモラールを向上させることができます。
  3. コミュニケーションギャップをなくす。話をしてみると技術者が当然知っているだろうと思っていたこと(例:ルール、ポリシーなど)を彼らがあまり知らないので驚くことがあります。

<話を聞く/変化を起こす>

ラップセッションを成功させるには、相手の話を真剣に聞き、役に立つと思われる提案があったら、それに基づいて変化を起こすようでなくてはなりません。建設的な批判を聞き入れ、問題点に関して行動を起こすことが必要です。

<ラップセッションはどれくらいの頻度で行ったらよいか?>

ラップセッションは一度行えば、それ以来ずっと良い雰囲気にすることができると思っている人がいますが1回では不十分です。ラップセッションから最大の成果を上げるには、継続的なプログラムを作ってください。ラップセッションは3ヶ月に一度、そして必要があればそれ以上の頻度で実施してください。ラップセッションへの参加は自由ですが、参加者には必ずその分の時給を払ってください。

<ラップセッションはどこで実施するか?>

ラップセッションは、邪魔の入らない静かで人に話を聞かれるおそれのない場所で行います。

<ラップセッションにはどれくらい時間をかけるか?>

初めて実施する時は時間が長くかかるかもしれませんが、通常は2時間が適当でしょう。

<誰を選ぶか?>

ラップセッションには、全シフトの人が参加できるようにしなくてはなりません。

他の技術者から尊敬されている技術者に、自発的に参加するよう要請してください。6~8人がやりやすいでしょう。

<誰がラップセッションを行うか?>

ラップセッションの実施を決めるのは店長ですが、技術者をリラックスさせるために、はじめは店長が入らない方がよいでしょう。誰がラップセッションを行うにしても、その人は人の話をうまく聞くことができる技術を持っていなくてはなりません。特別な問題がある店舗の場合は、マネージャーや経営者が行った方がよいでしょう。

<ラップセッションを始める前に>

何について話を聞きたいのか、前もってリストを作成しておいてください。担当者は質問事項を書き留めておくとよいでしょう。但し、常にオープンマインドな姿勢を保たなくてはなりません。ラップセッションは技術者のためのミーティングであることを忘れないでください。技術者が十分話せるだけの時間をとってください。

リストアップした質問の下には十分なスペースをとり、メモやコメントが書き込めるようにするとよいでしょう。よいセッションからはいろいろなことがでてきます。メモは必ずとるようにしてください。店長に対する信頼を得るには、きちんとフォローアップすることが大切です。自分が言ったコメントは忘れないようにしてください。

<ラップセッションは、いつ実施するか?>

ラップセッションは、技術者ミーティングの前に行う必要があります。ラップセッションで出た提案に基づいて起こしたアクションについて技術者に報告すると最も強力なコミュニケーションのラインができ、店長に対する信頼も高まります。

<ラップセッションの開始>

ラップセッションの開始にあたって、お勧めしたいことがいくつかあります。以下のアプローチの中から各自のスタイルに最も合ったものを選んでください。いくつかを組み合わせて行ってもよいと思います。

  • 雰囲気を和らげる――技術者ははじめ緊張しやすいので、リラックスする時間をとってください。新しいプロモーション、学校の行事、最新のセールスなど話を始めるのに役立つ話題を選んでください。
  • ラップセッションとは何かを説明する――技術者には批判する場合は改善のための提案が伴わなくてはならない、ラップセッションの目的は悪い感情を起こさせることではなく、それを解決することであると説明してください。
  • 問題点を解決する――雰囲気を和らげる方法として「店舗の中でスムーズに行われていないものは何ですか」と聞いてみるとよいでしょう。そうすると技術者はすぐに話題に入り、店長と一緒に批評を行っていくことがよくあります。技術者の考えを聞いたら、その状況を改善するにはどうしたらよいか意見を求めてください。店長の承認が得られると思われるようなよい提案が出された場合は、「今週中にその問題を改善できるよう努力する」と言ってください。但し、自分でコントロールできないことは約束しないでください。

ラップセッションをネガティブなことについての話し合いにしないようにすることが極めて大切です。批判するのは容易ですが、問題点を確認したら技術者がすぐに解決策について積極的に話せるようでないと、ラップセッションは問題点の解決というよりもネガティブな感情を高めるだけのものになってしまいます。

良いラップセッションでは、技術者がほとんど話をします。店長がラップセッションを支配するようになると、技術者はあなたが期待していると思われるようなことしか言ってくれなくなってしまいます。ラップセッションの目的は、店長が学ぶことなので、技術者が考えていることを言ってもらうようにしてください。

「どうすれば改善できると思いますか?」という質問をして、多くのラップセッションが成功してきています。良いラップセッションを行うのに役立つ、その他の一般的な質問には次のようなものがあります。

  1. 当社で働いていて何が最も楽しいですか、嫌いですか?
  2. 技術者が直面している3つの大きな問題点と言ったら何ですか? どうすればそれらを解決することができるでしょうか?
  3. 店舗の生産性を上げるにはどうしたらよいでしょうか?
  4. 何故人々は当社で働いているのでしょうか? 何故退職してしまうのでしょうか?
  5. 店長がすべきことを3つあげてください。
  6. 皆さんの提案は聞き入れられていると思いますか?

<ラップセッションの秘訣>

  1. 言い返してはいけない――店長にとっていやなこともいろいろ出て技術者と思いますが、怒ってしまうと技術者は意見を言わなくなり、コミュニケーションがとれなくなってしまいます。
  2. 誉めること――そうすれば彼らは自信を持つようになります。
  3. 相手の考えを引き出すような質問をする――このような質問をすれば、はい、いいえという答えは避けられます。

<ラップセッションの3つの敵>

  1. 防御――効果的なラップセッションを行うためには、ラップセッションで出て技術者批判は自分の店舗を長期的、短期的に改善するのに役立つものであることを認識しなくてはなりません。すぐに防御の姿勢をとってしまう店長は、それが正しいことでも間違っていることでも、必要な価値ある情報を入手することができなくなってしまいます。技術者は店長が本当に自分たちの言うことを聞いているか、問題解決に前向きに取り組んでくれているかテストするために攻撃して技術者こともあります。
  2. アクションを起こせないような要求を受け入れる――自分の権限以上の要求に対してアクションを起こすことを約束してはいけません。例えば”ホットドックの販売を行ってはどうか”という質問にはすぐにその場で答えを言ってあげてください。自分の権限を越えるような質問に対する要求が出された場合は、社員で検討すると言ってください。尚、その件については必ず検討し、その結果を技術者に伝えるようにしてください。
  3. フォローアップの不足――問題点に対するアクションは直ちに起こしてください。発見した問題点を解決しないと信頼関係がなくなってしまいます。全てを解決するのは無理かもしれませんが、優先順位の高いものからすぐに解決するようにしてください。

<ラップセッションのフォローアップ>

ラップセッションのフォローアップは3つのステップに分けられます。

  • ステップ1:アクションをたてる――店長(あるいはラップセッションの実施者)は、数日間の内に社員にラップセッションの報告を行い、解決策を一緒に検討していきます。それぞれの問題点には優先順位をつけ、一人ずつ担当者を決めます。
  • ステップ2:問題点の解決――優先順位の高い問題点は直ちに解決しなくてはなりません。問題によっては複雑で解決に時間のかかるものもあると思いますが、ラップセッションの結果を技術者に伝える前にアクションを起こしておかなくてはなりません。
  • ステップ3:結果報告――ラップセッションを行ってから2週間以内に技術者ミーティングを開き、ラップセッションの結果、何を行ったかを説明します。これを行うと技術者からの確実な信頼が得られます。

Ⅱ.技術者ミーティング

<何故技術者ミーティングを開くのか?>

  1. アウェアネスを高めるため――新しいポリシー、オペレーション、手順、新商品、プロモーションなどについて、一度に多くの技術者に伝えることができます。
  2. モラールを高めるため――技術者ミーティングは、賞の授与、コンテスト、その他のインセンティブの実施によって技術者のモラールを高めるのに利用することもできます。
  3. 信頼を得るため――店長は技術者ミーティングの前に行われたラップセッションで確認された問題をできるだけ多く解決することにより、技術者の問題を気にかけていることを証明できます。技術者ミーティングの前にラップセッションを実施することにより、信頼を高めることができるようになりますが、ただ問題を解決するだけでなく、解決したことを技術者に伝えなくてはなりません。

◆ 技術者ミーティング(例)

時刻時間プレゼンタートピック説明
AM9:005店長アーリーバード賞早く来た順に、技術者20人にプレゼントを用意する。
9:0510店長イントロ/概要/McAwardsの投稿その日のミーティングのプログラムとプレゼンターを紹介。McAwardsの投稿用紙を配布。
9:1510ファーストアシスタントクォリティ商品の製造中及びお客様に出すまでの商品に対して技術者が注意すべきことを伝える。全商品のホールディングタイムとその計り方を復習する。
9:2520スター新しいプロモーションP.O.P.マテリアルを見せ、新しいプロモーションの評価を説明する。
9:4515トレーニングコーディネーター新しいビデオの紹介そのビデオの目的と主題を簡単に紹介し、上映する。
10:0025店長ラップセッションのまとめ最近行われたラップセッションで確認された問題について話す。その解決策について説明し、いつまでに終わるかを伝える。
10:255技術者スポーツ委員会委員長ソフトボールの試合日程他店舗とのソフトボール試合のスケジュールを配る。競技には参加しなくても応援に来てくれるように言う。試合後のパーティーの日時、場所を伝える。
10:3010店長技術者賞店舗で考えた方法と基準で技術者を表彰する。例:ベスト技術者賞  ベストカウンターパーソン賞
10:405店長まとめこのミーティングのポイントを簡単にまとめる。おやつが用意してあることを伝え、全員に礼を述べ、ミーティングを終了する。

<技術者ミーティングの準備>

良い技術者ミーティングは偶然にできるものではなく、十分なプランニングと検討を行っていなければなりません。技術者の関心をなくさせてしまうと、次回の技術者ミーティングの出席率が悪くなってしまいます。多くの技術者に出席してもらうようにするには以下のようにするとよいでしょう。

  1. 準備する――ミーティングについて社員、そして技術者とプランを立てます。技術者を含む数人のプレゼンターを選び、プレゼンテーションの原稿をきちんと用意し、スケジュールを立てて十分リハーサルを行ってください。よいプランニングを行い、よい内容で行わなければ技術者ミーティングの投資効果は得られません。(上記の技術者ミーティングの例を参照してください。)
  2. 告知する――最低1週間前にはミーティングが行われることを告知します。参加意欲を高めるためポスターを掲示し、また口頭でも伝えてください。技術者にはプログラムを渡し、また参加を促すために抽選会、賞、ゲストスピーカーなどを用意してください。
  3. 時給を払う――参加した技術者には時給を支払わなければなりません。

<技術者ミーティングの内容>

技術者ミーティングは、出席者が参加してよかったと思うようなものでなくてはなりません。会社の今後の新規開店予定、現状報告などを行ってください。

ミーティングはポジティブなものにしてください。技術者を集めて叱るようなことはしないでください。技術者には店舗の問題解決に全員に関与してほしいことを理解してもらわなければなりません。

ミーティングは短時間で、要点をまとめて行ってください。技術者ミーティングは通常2時間以内に終わらせるようにしなくてはなりません。みんなが注目できる時間は短いものです。

“サンドイッチ型”――技術者ミーティングは始めと終わりの調子を高くしてください。技術者ミーティングでは極めて重大な問題を扱わなくてはならない時があり、これは必ずミーティングの中程で取り上げられることになります。情報を与える部分を活気のあるオープニングとエンディングの中間におくことにより、技術者は出席してよかったという印象を持って帰ることになります。

  1. 活気のあるオープニング――技術者が集まったら、入場時に渡した券の抽選会を行います。技術者にはまだまだ楽しいことがあると言ってください。
  2. 情報を与える部分――ここで技術、新しいプロモーション、店舗の問題点について説明します。また、ラップセッションや意識調査の結果についてもこの時に説明してください。店長はこの時には必ず参加しなくてはなりません。
  3. 活気のあるエンディング――情報を与える部分が終わったら賞の授与を行ったり、インセンティブプログラムの表彰(月間技術者賞など)を行ったりします。そして残りの抽選を行ったり、”表彰状”を配ったりしてください。

<表彰>

以下に挙げるようなものを利用してオープニングやエンディングを盛り上げてください。

  • 前回のミーティング以降に採用した人の紹介
  • 技術者のタイトルアップ
  • 誕生日
  • 記念日
  • 特別なこと(卒業など)

Ⅲ.意識調査

当社の技術者意識調査は、その店舗のピープルプラクティスを確認するのに最も役立つツールです。これを見ると技術者のモラールが判断でき、店舗の長所と短所を正確に把握することができます。

<技術者意識調査の実施理由>

  1. 店舗の長所と短所が確認できる――この調査は、的を絞った質問をすることにより、例えばトレーニング、コミュニケーション、スケジューリングなどの確認を行うためのものです。
  2. ピープルプラクティスが確認できる――この調査を年に一回の頻度で行うと、よいピープルプラクティスが行われているかどうかがわかります。また、表面には現れていない問題や、誤解されている指示がないかを確認することもできます。
  3. 早い時期に問題に対する注意を向けることができるようになる――意識調査を行うと退職の増加、モラールの低下、労務管理、賃金と勤務時間の問題など、人に関する重大な問題が表面化する前に、注意を向けることができるようになります。
  4. ラップセッションを補足する――意識調査はラップセッションより正確に問題点を確認することができ、また店長の話を聞く力によって結果が変わって技術者ということもありません。さらにこの調査を行うと、ひとつかふたつのことに的を絞るのではなく、あらゆる面から機会点を確認することができます。
  5. 人材に関して測定可能な目標を立てる――技術者トレーニングなど、改善の必要な点を示した目標を立てることができます。そして6ヶ月後に再度調査を行い、とったアクションの効果があったかどうかを見ることができます。

この調査には、いくつかの質問が書かれており、技術者はそれにYESかNOで答えることになります。答えの集計を出し平均値を出すと、YESの答えの多いもの上位8位までがその店舗の長所、そして下位8位までがその店舗の問題点となります。また、技術者がその質問に対して意見を持っていない場合、答えないことにした場合、質問の意味が分からない場合、またYESの時もNOの時もあるという場合は”?”を選ぶことができます。

次のページにあるのは、技術者意識調査のサンプルです。

意識調査は無記名で実施される上、自分の意見に関心を持ってもらえるというので、技術者は喜んでアンケートに答えてくれるでしょう。

◆ 技術者意識調査表(サンプル)

この調査表は、皆さんが当社、そして一緒に働く人々に対してどう考えているかを知るためのものです。ご協力をお願いします。尚、氏名を記入する必要はありません。

それぞれの文章を読み、それに対してあなたが感じていることを最もうまく言い表していると思ったら”YES”のところ、そうでないと感じたら”NO”のところに○印をつけてください。尚、この結果は後日社員から技術者の皆さんへ技術者ミーティングなどでお伝えします。

YES?NO
1. 良い仕事をした時、それなりに認められている。
2. 昇格は技術チェック、勤務評価に基づいて行われている。
3. 何をどのようにすれば時給がアップするか知っている。
4. 今までだいたい自分で予想していたとおりの時給アップであった。
5. 自分に対する社員の扱いは公平である。
6. 仲間の技術者と働くことは楽しい。
7. 性別、年令に関わりなく、店舗では公正に扱われている。
8. 社員は、あなたの仕事の内容を十分理解している。
9. 社員は、一貫した指示を与えてくれている。
10.社員は、あなたが抱えている問題に関心を示してくれる。
11.この店舗の規則とポリシーに関する説明を受けている。
12.この店舗の規則とポリシーは一貫して適用されている。
13.マニュアルでのトレーニング(トレーナー以上の場合は、仕事のためのトレーニング)を十分に受けている。
14.当社で働くことを誇りに思う。
15.基準内の仕事をしている限り仕事を任せてもらえる。
16.技術者の利点についての説明を受けている。
17.今のところ、当社で働くことを辞めようとは思っていない。
18.自分の仕事に影響する変更点について、店長から十分な情報を与えられている。
19.店に働きに来るのが楽しい。
20.休憩はきちんと与えられている。
21.店の教材整備は行き届いている。
22.技術者ルームは満足のいくものである。
23.店のユニフォーム、靴、の管理に満足している。
24.規則に違反した場合の処分は公平である。
25.ワークスケジュールは少なくとも4日前に掲示されている。
26.店長はOFFの希望を公正に扱ってくれる。
27.自分のワークスケジュールの扱われ方に満足している。
28.解決できない問題がある時、店長、店長に相談しやすい雰囲気である。
29.技術者ミーティングはおもしろく、有益である。
30.技術者ミーティングの実施回数に満足している。
31.ここ4~6ヶ月の間に、技術者ミーティングに出席したことがある(今回のミーティングは除く)。
32.ここ6ヶ月間にラップセッションに出席したことがある。
33.ラップセッションは、店をよりよい職場にするのに役立つと思う。
34.ここ3ヶ月間に、勤務評価を受けたことがある。
35.前回の勤務評価に納得している。
36.技術者ハンドブックや技術者諸規則に説明されているポリシーは守られている。
37.仕事のローテーションに満足している。
38.空調が適度に効いており、働きやすい。
39.自分の仕事に使う設備と器具は整備が行き届いている。
40.働いた時間全てに対する時給が支払われている。
41.店長は敬意を持って自分を扱ってくれる。
42.スケジュール以外の超過勤務を要請されることは滅多にない。
43.社員は、あなたの名前を知っている。
44.この店の技術者数は、十分に揃っている。

<意識調査実施の手順>

以下の基本原則を厳守してください。

  1. 意識調査を必ず技術者ミーティングで実施する――必ずミーティングのはじめに実施し、技術者がミーティングの内容に左右されないようにします。尚、調査は給与支払時期を避けた方がよいでしょう。その時期に行うと正しい結果が得られません。自宅に郵送するやり方も望ましくありません。この方法をとると、回収率が悪くなってしまいます。
  2. できる限り技術者全員に回答してもらうようにする――正確を期するには、少なくとも50%の技術者に答えてもらわなくてはなりません。
  3. 調査結果から得られた情報が古くならないよう、データを分析してから1週間以内に問題解決のための店長ミーティングを開く。
  4. 意識調査の結果は、フォローアップのための技術者ミーティングでまとめた形で技術者に伝える。

<技術者ミーティングでの意識調査の実施>

  • 技術者ミーティングで意識調査を実施するので、できる限り全員に参加してほしいということを技術者ミーティングの1~2週間前に掲示します。また、調査はミーティングの始めに実施するので遅刻しないよう言ってください。全員が速やかに集合するようにするため、インセンティブを考えた方がよいかもしれません。

* 技術者ミーティングの通知の例

○月○日の技術者ミーティングでは、職場としての当社に対する皆さんの意見を伺うために、簡単なアンケートを行いたいと思います。

このアンケートは、店舗を改善するために皆さんの意見を聞かせていただくことを目的としています。アンケートは無記名で行い、全体の結果だけを見ていきます。調査の結果は後日技術者ミーティングで皆さんにお知らせしますので、皆さんにも問題の解決に加わっていただきます。正確に状況を把握するため、できる限り全員に参加していただきたいと思います。当社をよりよい職場とするため、ご協力をお願い致します。

注:このような伝え方の方が”絶対に出席すること”というより効果的です。

  • 調査はミーティングの始めに実施します。
  • 鉛筆を用意しておいてください。
  • 質問を読んだり、説明したりしてはいけません。技術者には自分で考えて答えさせるようにしてください。
  • 調査は極秘扱い、無記名であり、誰がどのように答えたかを確認するようなことはしないことを伝えてください。
  • 調査結果がでたら、それをもとに店舗の改善を図り、また、次回の技術者ミーティングで結果発表とそれに対してどのようなアクションをとることになったかを説明するということを技術者に話しておいてください。
  • 店長は、この調査に答えることができません。
  • アンケートを記入する時には、技術者同士が話をしないようにし、真剣な雰囲気を作ってください。

<意識調査の結果をどう利用するか>

  1. 優先順位の高い問題点を確認する――結果が戻ってきたら、調査結果及びコメントの分析されたものについて検討します。得点の高いものほど技術者からよい反応が得られているということであり、店舗の長所でもあります。得点の低いものは問題点があるということです。そして店長チームで優先順位の高い問題点を確認します(得点の低いもの)。店舗にどれだけ問題があるか、現実的にとらえてください。問題点の中には、複雑で解決するにはかなり努力しなくてはならないものもあります。  

    尚、問題点の分析には以下の分類を参考にしてください。   

    (技術者意識調査質問の分類)

主な標題

  1. コミュニケーション (9)
  2. 上下関係      (8)
  3. 諸規則       (7)
  4. 勤労意欲      (6)
  5. 褒賞システム    (4)
  6. 環境        (5)
  7. スケジュール    (4)
  8. トレーニング    (2)
内 容
1. コミュニケーション
A.評価34
35
頻度
技術者の受け止め方
B.技術者ミーティング29
30
31

頻度に関する満足度
出席(4~6ヶ月)
C.ラップセッション32
33
出席(6ヶ月)
D.オープンドア28不満の解決
E.コミュニケーション全般18変更に関する情報
2. 上下関係
A.一貫性/公正5
9
12
24
社員は公正か
社員の指示の一貫性
諸規則が一貫して適用されているか
規律・規則に関する処分
B.社員の技術者に対する敬意10
41
43
社員の関心
敬意
技術者の名前を覚えているか
C.技術者の社員に対する敬意8社員の能力
3. 諸規則
A.コミュニケーション11
16
諸規則の説明
利点の説明
B.諸規則の適用36信頼性
C.主な諸規則/利点15
20
23
45
仕事の保証
休憩
ユニフォーム
エンプロイミール
4. 勤務意欲7
14
17
19
40
44
労働基準法
労務管理
ターンオーバー
モラール
賃金と時間
技術者数
5. 褒賞システム1
2
3
4
褒賞
昇進
いつ時給がアップするかを知っている時給
6. 環境6
21
22
38
39
チームワーク
ビデオ
技術者ルーム
空調
設備と器具
7. スケジュール25
26
27
42
掲示
休暇
スケジュール全般
超過勤務
8. トレーニング13
37
適切なトレーニング
ポジショニング
  1. 適切な解決策を選ぶ――問題点の解決にあたっては、マネージャー相談し、社員と考えられる方法について話し合ってください。解決策の実施にあたってはチームのメンバーにうまく仕事を分担します。
  2. ラップセッションを実施して問題点を確認する――問題点をさらに確認していくには、ラップセッションを開くとよいかもしれません。ラップセッションでははじめに結果のよかったものについて触れ、要約した形で結果について話し合います。但し、具体的な数字は発表しないようにします。
  3. 問題点を解決する――問題を解決するには多くの人が関与しなければならないことが多いようです。技術者委員会がある店舗は、特に役に立つのでプランを立て、実行する際には必ず参加させてください。
  4. 解決策を技術者に伝える――問題を解決していく段階に入ったら、技術者にそのことを知らせます。問題の性質によっては、そのために技術者ミーティングを開かなければならないかもしれません。

お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。

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