米国レストランピリ辛情報 「66#消費者が選択するチェーンその3クラッカーバレル」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2007年2月号 NO.484)

消費者に支持されるチェーン その3 R&I誌 2006年9月25日号 R&I’s Consumers’ Choice in Chains survey
ファミリーレストランの分野ではCracker Barrel Old Country Store(クラッカー・バレル・オールド・カントリー・ストア)が選定された。米国のファミリーレストランでは日本にも進出しているデニーズやビッグボーイなどの知名度が高く、クラッカーバレルの知名度は余り高くないが、米国では大変高い評価を受けている。1900年代の古き良きアメリカをモチーフとした内装と暖炉がトレードマークのクラッカーバレルは、1969年にテネシーに始まり、現在全米に534店舗を展開している。チキンダンプリンなど各種チキン料理、鯰のグリルなど南部の家庭料理とアップル、ピーチ、チェリーのカブラー(各種フルーツをオーブンで焼いたデザート)や一日中パンケーキなどの朝食メニューを食べられることでも人気がある。またレストランに併設されているアンティーク風のギフトショップもユニークで、旅行者にとっては買い物もでき魅力的なお店となっている。
2005年度R&I誌のトップ400社のファミリーレストランの上位5社は
売上単位はミリオンドル
順位 前年 ブランド名 店舗数 売上
23位 21位 デニーズ 1578 2,389
24位 24位 IHOP 1242 2,100
28位 28位 クラッカーバレル 534 1,697
37位 38位 ボブエバンス 582 990
46位 44位 パーキンス 482 818
となっており、クラッカー・バレルはジャンルでは2位の座を確保している。注目されるのは店舗あたりの売上高が高いことでデニーズの1店舗あたりの
年商が1.51ミリオンドルなのに対して、クラッカーバレルは3.17ミリオンド
ルと倍以上の売上規模であることだ。

クラッカーバレルの大きな特徴は顧客サービスを徹底していることで「顧客が何を望んでいるか正確に焦点を当て、それに対して過酷なまでに追求すると言う全社を挙げての活動だ」と評価されている。その結果消費者から過去16年間トップ評価を維持しているのだ。
クラッカーバレルは幅の広いロケーションに点在する店舗すべて、全店で7万人に登る従業員が素晴らしいサービスを提供するように努力をしている。そして、来店者に対して顧客満足度アンケートを欠かさずに実施し、各店の店長はその顧客満足度の結果を週単位や時間単位で何時でもネット経由で閲覧できるようにしている。
料理は幅の広いお袋の味を売り物にしているが、顧客を驚かせる工夫も凝らしている。美味しいだけではなく、料理の提供時間の短縮にも努力をしている。古い郷愁を覚える店舗の内外装だが、最新の調理技術や調理機器を店舗に備える。料理の提供時間の短縮ではウエイトレスが取った顧客の注文を直ちにキッチンのディスプレイに表示し、調理時間と提供時間を管理できるようにしている。
通常のファミリーレストランの1.5倍ほどの店舗は西武開拓時代の古い店舗のイメージで、店頭には昔の農作機器や道具がディスプレイされ郷愁を覚える店舗デザインとなっている。そして、入り口にはロッキングチェアーが並べられている。このロッキングチェアーは大人気で、販売もしている。
入り口を入るとまず、カントリー音楽のCD、衣料品、調理道具、ジャムやクッキーなどの食品、を販売する広いギフトショップがあり、食後のお客が買い物を楽しんでいる。客席の入り口からはトレードマークの奥の古い暖炉が目に入る。暖炉の上には鹿の剥製や古い銃、食器類がディスプレイされている。受付には黒板があり月曜日から金曜日までのデイリー�ランチメニューが白いチョークで記入されている。客席のテーブル、椅子は樫で作られており、床はレンガで壁やパーティションは古びた木材で、そこかしこに古い装飾がなされており、懐かしい感じを覚えさせる。店全体がテーマレストランのような雰囲気だ。
ファミリーレストランでは朝食、昼食、夕食と3つの料理を時間帯で分けて出しているが、クラッカーバレルは朝食メニューを一日中食べられるようにして人気だ。朝食のセットは安いもので4ドル、ボリュームたっぷりのセットで9ドルほどだ。ディナーメニューも9ドル前後とリーズナブルな価格だ。店舗のデザインが郷愁を誘うだけでなく、料理もミートローフ、ポットローストビーフ、南部のフライドチキンステーキ(鶏肉ではなく薄切りのビーフをフライドチキンの衣で揚げて、グレービーソースで食べるビフカツで南部の名物だ)、キャットフィッシュ(鯰、中西部から南部は海から遠く海の魚は入手が難しいので、昔から陸上で養殖した鯰をフライにして食べる)グリル、など南部のお祖母さんの料理をそろえている。付け合せのパンは勿論、農家で食べるようなコーンブレッドを山盛りに盛ってくる。朝食、ランチのサンドイッチ、夕食のメニューなど大変幅広くそろえ、味も素晴らしい。デニーズやIHOPの新店舗はモダンなデザインに切り替わりつつあるが、頑なにカントリースタイルを守るクラッカーバレルを一度は訪問する価値があるだろう。

http://www.crackerbarrel.com

著書 経営参考図書 一覧
TOP