米国レストランピリ辛情報 「65#消費者が選択するチェーンその2」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2007年1月号 NO.483)

消費者に支持されるチェーン その2 R&I誌 2006年9月25日号 R&I’s Consumers’ Choice in Chains survey
4)チキンChicken:
チックフィラChick-fil-A
南部アトランタに本社を構えているフライドチキンとチキンサンドイッチのチェーンである。元々南部はフライドチキンが大好きで、殆どのチェーンは南部が発祥の地であるが、ダントツ人気がこのチックフィラである。
この部門で過去12回トップ評価を得ている、創業60年を誇る個人企業だ。成功の秘訣は年に3回、500人を対象によるアンケート調査により改善を絶え間なく継続しているということだ。今年は60店舗ほどの新店舗を開店しているが、経営トップは開店1週間以内にその殆どの店舗を訪問し、顧客の評判をその目で確かめるようにしている。品質だけではなく、そのサービスと価値観の評価が高いのも特徴だ。
フライドチキンのジャンルではKFCがダントツの一位であるが、KFCの商品に対する評価は高くない。KFCの圧力釜で揚げたフライドチキンはディナー対応のメニューであり、昼に弱いのが欠点だ。それを補うために最近はコンボストアーと言う、兄弟会社のタコベルやピザハットなどの店を一緒に展開する形態でその欠点を補っている。チックフィラの人気が高いのはフライドチキンの品質だけではなく、昼に提供するサンドイッチのチキンの品質も高く評価されていることだ。このバランスのよさがチックフィラの強みであり、アトランタ周辺を訪問する際には必ず訪問するべきチェーンである。

5)イタリアンItalian:
カラバCarrabba’s Italian Grill
イタリアンは米国人にとってお袋の味であり、各企業がこぞって参入する激戦区だ。毎年トップ評価の企業が入れ替わる。以前は、カジュアル・レストラン業態のトップ企業であるブリンカー・インターナショナルのマカロニ・グリル(レストランコンセプトを造り上げる天才、フィル�ロマーノ氏が完成させた)や同社の別のイタリアン業態マジアーノなどが1位の座を競っている。今年はフロリダ州タンパにあるOSI(旧アウトバック・ステーキハウス、現在は持ち株会社となって幾つかのチェーンを経営している)経営のカラバがトップの座を獲得した。OSIの経営するアウトバック�ステーキハウスはステーキの部門でもトップ評価であり、企業力として素晴らしいものを持っている。カラバも既に200店舗を超えようとしている。OSIが次に注目しているのが、PF�チャン等に代表される中華のジャンルと、日本料理を融合させた業態だ。フュージョンの分野ではハワイ日系人のロイ山口の開発したロイズを傘下におさめしっかりと勉強をしているので、そのカジュアル版に期待が寄せられている。
米国ではOSIのように業態開発を積極的に行ったり、M&Aで他のチェーンを傘下に入れ、規模の拡大を図っているが、近年は投資ファンドが株価の割に収益性の高い外食チェーンに注目し、影響を与えるだけの株を取得してその企業に本業以外の子会社を売却させるか、株式公開をさせ株価の上昇を狙う動きがある。OSIも大変収益性が高いのを注目され、投資ファンドに狙われ多角化を非難されたが、同社はなんとか切り抜けたようだ。

6)シーフードSeafood:
レッド�ロブスターRed Lobster
レッド・ロブスターを経営する持ち株会社はダーデン(DRI)と言う元ゼネラルミルズの外食部門がスピンアウトして出来た企業だ。レッド・ロブスターの他にイタリアンのオリーブ・ガーデンを経営している。オリーブ・ガーデンも消費者の評価が大変高く、この消費者調査でもトップの座を激しく争っている常連だ。
レッド・ロブスターはダーデンの創業者ビル�ダーデン氏が1968年に創業した40年近い歴史を持っている業態であるが、いまだに消費者の高い評価を受けているのは素晴らしいが、それは偶然ではない。レッド・ロブスターもオリーブ・ガーデンも20ドル前後と言うリーズナブルな価格帯で素晴らしい店舗内装と雰囲気を提供する価値感を常に客に提供しているからだ。しかし、消費者のトップ評価を受けたことに慢心せず、同社は10月28日に全682店舗の店舗イメージのアップグレードに乗り出すと発表した。アップグレードは料理と雰囲気両方を含んでいる。料理では日替わりの新鮮な魚料理の拡大を実施する。雰囲気の面ではテーブルクロスを使用し、ナプキンを紙から布に切り替へ、照明は高級レストランのような間接照明に、椅子や内装は重厚な木目家具に切り替えるなど、本格的なディナーレストランの雰囲気を醸し出すことを目指しているようだ。
両チェーンとも知名度が高くレッド�ロブスターは日本に既に進出しているので、渡米した際に訪問することが少ないが、長寿の理由は何かを学ぶためには訪問することをお勧めする。

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