NEWSな外食2006「MBOとM&A」(商業界 飲食店経営2006年8月号)

外食チェーンは業績を上げるために他外食企業のM&Aを積極的に開始している。大手のFRは既存業態のスクラップ・アンド・ビルドとM&Aを積極的に行うためにMBO(経営者による株式買取)を実施し業界を驚かせた。

では、数年前にM&Aを積極的に行った米国外食業界は現在どうなっているのか見てみよう。マクドナルドはボストン・マーケットやチポトリなどのファスト�カジュアルチェーンを買収した。また同社はチェーン全体の店舗の20%を直営店舗で運営し、全体の店舗の50%の不動産を所有している優良企業だ。ところが、投資ファンドは、傘下の企業を店頭公開するか売却し、直営店舗をフランチャイジーに転換すれば、会社の利益は大幅に上昇し、本社の管理コストも下がる。また、所有している不動産も分離すれば財務的により健全になると同社に迫った。そのため、マクドナルド社は傘下の好調なチポトリを店頭公開し、年内にはすべての株式を売却し7000億円ほどの資金を調達し自社株の購入をすることを決めた。

ウエンディーズはカナダのティム・ホートン、バハ�フレッシュ、パスタ・ポモドーロ、カフェ�エキスプレス等を続々と買収した。しかし、異物混入事件などで売上げを大きく低迷させてしまった。期待して購入した、バハ・フレッシュは店舗展開の地域を保守的な中西部や東海岸に広げた結果、売上げの低迷する店舗を抱えるようになり、2002年の買収以来一度も利益を出していないお荷物だ。

そこで、ある投資ファンドはウエンディーズ社の株式を6.9%買収し、ティム・ホートンの上場後の株式売却、バハ�フレッシュとカフェ・エキスプレス。パスタ・ポモドーロを売却することを要求している。それらの整理の後、ウエンディーズ社は他企業からのM&Aのターゲットにされると業界筋は予想している。

このように米国の大手ファストフードチェーンのM&Aの時代は終わり、本業回帰の時代になっているのだ。日本も数年後には同じような状況に置かれないとはいえないだろう。

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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