NEWSな外食2007「新潟中越沖地震」(商業界 飲食店経営2007年9月号)

2007年7月16日に発生した新潟中越沖地震は人口密集地帯ではなかったためか、外食企業には大きな被害は出なかったが、以外な面で地震の影響を受けるだろう。 地震により関東一帯に電力を供給している東京電力の原子力発電所7基が被害を受け、作動を停止しているからだ。日本の電力の半分近くは原子力発電が担っており、東電も7機停止の状態では夏場の需要をまかなうことが出来ず、他電力会社からの供給を依頼せざるを得なくなっている。しかも、原子力発電所の再稼動は1年以上かかる見込みで、来年の夏の電力も心配される。

これで、外食産業は2つの問題を抱える。一つは夏場などの需要の高いときの停電、または、電力使用量のカットを迫られる危険性だ。最近は電力会社が景気の低迷と工場の海外移転で電力需要がさがりことに対応するために、電力会社は需要喚起として住宅や厨房のオール電化に懸命であった。その結果、多くの外食企業がオール電化厨房に取り組んでいるが、電気使用量の削減の要望に多大な影響を受けるだろう。

また、原子力発電の代わりに火力発電の稼動を進めており、昨今の原油高を考えると電気代の上昇の可能性がある。これは電気代の上昇だけでなく、工場などの経費も上がることから、食材やその他資材のコストアップの要因となり、外食産業の収益に影響するだろう。

米国産牛肉に頼っていた牛丼チェーンはBSEで多大な影響を受け、現在では、危機管理の観点から米国産以外の牛肉やその他のメニューを開発という食材とメニューの分散を実施している。厨房施設も電気とガスの併用と言うエネルギーミックスと安全性をしっかり考えなければいけなくなってきた。

と言って、現在の人手不足は調理場の環境の改善も迫られ、厨房の温度や湿度などを快適にしないと人が集まらなくなっている。欧米では厨房で発生する調理の煙などに含まれる有害物質が調理人に健康障害が生じると言う懸念から、厨房環境の規格を厳しくする方向にある。日本も厨房環境とエネルギーコストの改善に真剣に取り組む時期に来たのだ。

著書 経営参考図書 一覧
TOP