AV店の経営手法 第2回「経営に必要な経費の把握と損益分岐点」(エーブイデータ出版 AVデータ)

経営に必要な経費の把握と損益分岐点

経営を行う上で重要な経費管理の手法を理解し、経費の明細と科学的な利益分析と解析を行ってみよう。まず、経営に必要な経費管理の内訳と損益計算書、損益分岐点を理解しなければならない。例えば目標売り上げが600万円としても最初からそれだけ売れるわけではない。

開店してから数ヶ月は目標売り上げの60%位しか売れないのが当たり前だ。まず宣伝活動を積極的に行い店舗の知名度を上げなくてはならない。しかし、いくら一生懸命に広告宣伝を行っても目標の売り上げに達するのは1年後と考えた方がよいだろう。

店舗の規模、従業員は売れることを想定しているから、予定より売れない場合の経費を考え運転資金などの準備をする必要がある。そのシュミレーションのために損益計算書と、損益分岐点の算出方法を見てみよう。そして、売り上げを当てはめて年間の損益のシュミレーションをしておくわけだ。そうすることにより科学的な経営が可能になるし、次の出店やチェーン経営を行うことができるのだ。

) 設定条件
標準的な店舗の売り上げを600万としてみたが、月間売り上げ400万円から800万円までの幅で考えた。面積は20坪と設定してみた。

) 原価率
荒利は60%だが、値引き販売などを考えて50%とする。

) 損益計算書
人件費、P/A
パート、アルバイトの人件費は固定費として月間480時間、時給1000円とする。

人件費、社員
社員の人数は、1人。月額30万円である。

広宣販促費
売り上げを上げるためには広告宣伝と販売促進が必要でチラシ撒き、捨て看板、ティッシュ配布などの経費は売り上げの10%かける。

水道光熱費
固定費で15万円と見る、主に照明と空調の電気代である。

修理費
内外装の補修費を売り上げの1%計上する

消耗備品費
2%を計上する

雑費
雑費上記に分類できない種々な経費であり、変動費として3%計上する

その他経費
税金、会計費用、などの営業外の諸雑費を固定費として30万円計上する。

家賃
坪当たり15000円として、20坪で、月間30万円とする 。

減価償却費
店舗開店に当たり内装費、外装費は償却資産として計上し、耐用年数により償却する。一般的に定率法で償却するがここではわかりやすいように定額とする。内装、什器、看板はそれぞれ耐用年数が異なるがここでは5年とした。この経費をしっかり計上しておかないと改装が必要なときにできず店舗が陳腐か、老朽化し、売り上げが下がってしまう。

店舗内装費は、坪当たり25万円、20坪。500万円となる。
外装、看板を100万円
什器備品の費用を120万円とする。
合計の投下コストはを720万円とする。
仮に5年間の均等償却とすると、144万円/年間となる。
月間で12万円となる
金利
かかった経費を全部自己資本でまかなったとしてもここでは金利を計上する。自己資本も他に投資すれば金を生むから投資効率を考えるために金利を必ず計上しなければいけない。

年間金利を5%とする。 金利がかかるのは

保証金
内外装什器備品
開店時仕入れ代金
運転資金として2ヶ月分の経費(人件費、水道光熱費などの実質的な支出)500万円を見ておく。この経費を忘れると資金繰りが苦しくなる。商売は最初から売り上げが上がるわけではなく、開店後最低1年ほど販売促進をきちんと行わないと売り上げは当初予定通りにはならない。

そうすると総投資額は2、350万円となるから金利は月間97、917円となる。

) 損益分岐点
損益分岐点の算出は、損益計算書の各経費を、毎月売上に関係なく固定的に発生する固定費と、売上に比例して発生する変動費に分ける。次に固定費の総額と、変動費の総比率を計算する。100から変動費を差し引くと固定費率が出る。固定費総額を固定比率で割った物が、損益分岐点である。損益分岐点が低い方が売上が延びたときの利益高が高く、低くなっても赤字額が少なくなるのである。

上記の数字を入れて損益分岐点を計算すると、約514万円が損益分岐点となる。

) 売り上げ別の収益のシュミレーション
売り上げを400万円から800万円まで変動させて利益をシュミレーションしてみた。

そうすると

400万円では利益がマイナスの約38万円
500万円では利益がマイナスの約 5万円
600万円では利益がプラスの 約29万円
700万円では利益がプラスの 約63万円
800万円では利益がプラスの 約97万円
と売り上げが上がると加速度的に利益額が上がる。売り上げが上がっても固定費の額は変動しないからだ。

ここで注意が必要なのは売り上げが上がった時点で、経費の変動がないか、固定費と思っていたが変動費となる物はないかなどをチェックする。例えば人件費は固定としてあるが、売り上げが上がれば作業が増加するので、場合によってはアルバイトの人件費の増額や、社員の残業代が増える可能性があるということだ。

) 損益計算と損益分岐点の注意点
以上のような計算は要因を簡単にしてあるので単純計算できるが、実際の店舗はもう少し複雑である。上記の計算を鉛筆なめなめやっていると日が暮れる、パソコンと表計算ソフトを使いこなし、結果がでる前にシュミレーションをするという計画的な利益管理が必要だ。今や、パソコンと表計算ソフトは生命保険のおばちゃんでも使いこなす時代であり、皆さんも今からでも遅くないから勉強していただきたい。

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