米国繁昌店シリーズ 第10回「Draegers」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞2000年8月7日)

米国お総菜(HMR)状況
第2回目 サンフランシスコのHMR
Draegersのホームページとの店舗です。
http://www.Draegers.com/contactus_fset.html
San Mateo Market
222 East Fourth Avenue
San Mateo, CA 94401

元々サンフランシスコは太平洋に面しており。フィッシャーマンウオーフで名残を残しているように昔は漁師町として反映した。沖合では寒流と暖流がぶつかっており魚の豊富な漁場だ。今でもサーモンやニシンなどの魚介類が大量にとれる。米国のフィッシャーマンはイタリアンと決まっており、サンフランシスコには古くからイタリア系の移民が住み着き、イタリア人向けの食品スーパーが多くある。その中でも老舗として有名なのがバークレーから成長したAndronicosやサンフランシスコの高級住宅街にあるDraegersやシリコンバレーのCosenntinoなどだ。

その中でもDraegersが3年ほど前に開店したサンマテオの店舗は、FMIが唱えるミールソリューションを忠実に実現した店として有名になった。

ボストンマーケットがローティサリチキンと温野菜、冷たいサラダを武器に大成功を治めたことは食品スーパーにとって大きなショックを与えた。ボストンマーケットはHMR(ホームミールリプレイスメント 家庭食事の代行)と言う言葉を生み出し、時代の寵児となった。 更に、イーチーズなどのように外食マーケットからお総菜に参入する動きに食品スーパーとして具体的な対策が必要になった。そこで、業界団体であるFMIはMS(ミールソリューション 食事の悩み解決)という提案を行った。

彼らの分析によると、ボストンマーケットのようなHMR業態は便利では無いという物であった。ボストンマーケットに行けば確かに家族分の健康的な食事を揃えることができて便利であるが、食事と一緒に食べるワインやビール、翌日の朝食用のパンやミルク、フルーツなどは売っていない。それらを買い求めるためにボストンマーケットで夕食の買い物をしてから、食品スーパーに行くのでは結局不便ではないかという物だ。また、主婦の食に関する悩みを考えた場合、夕食の支度だけで問題が解決できるわけではない。

1)ワインの選択
客を家に招いてパーティを開くときには料理に付け合わせるワインはどうすればよいのかと言うことに頭を悩ませる。その日に用意する料理にはどんなワインが合うか、チーズはどのようにするのか、オードブルは等ワインとのマッチングは結構難しい物がある。しかし、ワインは簡単に試飲などはできない。瓶のワインを買って飲んでみるまではあじがわからないのだ。

2)料理がわからない
客をもてなすにはやはり美味しい料理尾を出さなくてはいけない。米国の40歳以上の主婦のほとんどは共稼ぎで普段仕事をしていないから、余り料理は得意でない。しかし、いくら共稼ぎで収入が高い主婦であっても料理ができなくては女性として、母親として尊敬されない。

3)テーブルセッティングをどうしたらよいのかわからない
料理が上手なだけでは十分でない。その料理を美味しそうに見せるテーブルセッティングも重要になる。テーブルセッティングは家具、テーブルクロス、陶器、シルバー、調理器具、等のトータルコーディネーションが重要だ。米国人は家庭で料理をするのが減っているのにも関わらず、ウイリアムズソノ等の高級食器調理器具を販売する店が大流行なのもその影響だろう。

また、テーブルには花がないといけないがそれを選ぶのが大変だし、花をきれいに盛りつけるのにも苦労する。

4)家で1人で食べるのは寂しい
独身者では(米国では結婚前の独身者以外に離婚経験者や主義としての独身者が数多く存在する)はいくらお総菜を買っても家で食べるのは寂しいと思いがちだ。しかし、友人と食事に行くのもおっくうだ。

健康の為に食品スーパーに行きサラダを食べようと大きなレタスの固まりやフルーツの固まりを買っても1人で食べきれないと言う悩みも出てくる。

5)健康志向
外食ばかり多いと脂肪分、塩分、糖分、カロリー、等の摂取が多いわりには植物性繊維やビタミンが不足する。

等と色々な悩みがある。

そこでDraegersはそれらの悩みを全て回答しようと画期的な店をシリコンバレーのサンマテオに作り上げた。日本の高級スーパー紀伊国屋も真っ青になるような高級スーパーだ。

1)ワインの選択
普通ワインの試飲ができないが、ここではテイスティングルームをおいて、顧客に試飲をしてもらい納得して安心して購入できる。勿論、料理、チーズへのマッチングの相談煮物ってくれる。

2)料理がわからない
料理の悩みについては2階に料理の本を集めて販売している。イスもおいてじっくり本を読んでから購入できるようになっている。大型の本屋と同じくらいの種類の本を集めているので何料理でも万全だ。

料理の上手な人手あれば本を読んで色々な新しい料理をできるが、普段料理をしていない人には無理だ。その悩みを解決するために料理教室を設置した。料理教室と言っても普通の家庭料理を教えるのではなく、米国の有名なレストランのシェフを先生とする高級料理の講習だ。授業料は料理付きで30-50ドルと高額だが大人気であっという間に予約が埋まってしまう。

3)テーブルセッティングをどうしたらよいのかわからない
入り口にはきれいな花屋をおいており、そこでテーブルにあった花を購入できるようになっている。花は痛みやすいので買い物の後購入してそのまま車に乗れるように気を遣っている。テーブルセッティングについてはウイリアムズソノマクラスの立派な店舗を構え、色々な内装やデザインのダイニングルームにもあわせられるようにしている。

4)家で1人で食べるのは寂しい
いくら美味しそうなお総菜でも1人で食べるのは寂しいし、家で料理をするのも面倒だという人にはレストランを店内に設けた。普通店内のレストランというとファーストフード中心のフードコートで味気ないことおびただしいが、この店は何とサンフランシスコ市内の繁盛店からイタリアンの最高級シェフをスカウトし、高級イタリアンの店舗を設置している。

家で食べる独身者には固まりの野菜だけでなく、サラダバーやフルーツバーを並べたりして、1人でも色々なフルーツや野菜を食べられるようにしている。サラダバーでは手作りのドレッシングで個性を出すように工夫を凝らしている。

5)健康志向
外食ばかり多いと脂肪分、塩分、糖分、カロリー、等の摂取が多いわりには植物性繊維やビタミンが不足する。そこで、今健康食として話題になっている寿司、中華料理、温野菜などをお総菜として販売している。

寿司は米を野菜としてとらえ健康的な食事として脚光を浴びている。その寿司と枝豆(やはり繊維質が豊富で健康的だと言うことだろう。をはんばいしている。

現在の米国の高級食材スーパーのお総菜部門には必ず、イタリア料理、テックスメックス料理、カリビアン料理、中華料理、日本料理、が並べられているのが特長だ。

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