本誌限定!ここだけの業界ネタ「HMRの元祖敗退」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞1999年9月20日)

HMRの元祖敗退
家庭用調理器進化で
技術革新怠り優位性失う
米国のHMRの元祖である「ボストンマーケット」が昨年、会社更生法の適用を受けたが、その敗退にはいくつかの要因があるようだ。
ボストンマーケットの成功は看板商品の「あぶり焼きチキン」にヘルシーな野菜の組合せが消費者の健康志向と相まってヒットした。

その後、チェーン展開を急ぎすぎて失敗したのだが、さらに敗因を探っていくと、まず健康志向のトップリーディングとして商品開発が追いつかず、新鮮さが維持できなかった。

もう一つは食品スーパーマーケットなどの競争相手が出現してきた。ボストンと同じようなコンセプトの商品を店内に並べ対抗してきたが、この競合にまず負けた。

ボストンマーケットは、イメージづくりには成功したが、位置づけに失敗した。業態として「ホームミールレストラン」をうたったが、店で食べるのか、持ち帰るのか、その日に食べるか、次の日か、といった位置づけが明確ではなかった。

レストランの場合は、品数が少なくてもできるが、持ち帰りでは品数が2、30では足りない。また一食分の食料は調達できるが、次の食事の分までは揃わない。でもワンストップショップの食品スーパーなら、主食も副食もいろいろなバリエーションのものが揃うという便利さを売れる。

それに加え、家庭で簡単にあぶり焼きチキンができるオーブン、「ローティサリー」が登場し手軽な価格で手に入るようになったことで、ボストンマーケットのあぶり焼きチキンの優位性が失せた。

食品スーパーとの競合に負けたこと、位置づけに失敗したこと、さらにボディブローとして家庭で安くチキンが調理できるオーブンの進化で完全にノックダウンされた。

外食には、家庭やスーパーでは調理できないプロの調理人の作る商品が求められている。外食が生き残るためには、常に新メニューや味の向上などの技術革新を怠ってはいけないという例だろう。

HMRも決して安泰ではない。食品スーパーは家庭の食事より便利で安く、おいしくなければならないし、レストランはさらにそれ以上においしく、いい雰囲気を提供できるよう、そのレベルもどんどん進歩していかなければならない。

家でできない商品を提供し、ブランド化に成功したのが米国のイーチーズ。HMRにブランドを付けクォリティをアピールした。

日本でもロックフィールドが12人のシェフを使って調理し、ブランド化と付加価値を付けて、これまでの惣菜とは一線を画している。

いまの惣菜屋は主婦が調理しているが、いずれこれもプロがやる時代がくるかもしれない。食品スーパーレベルでは家庭の料理に負けるだろう。それぐらいの対応をしていかないとCVSと差別化が難しくなる。

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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