ご意見番 業界ニュースを斬る「話題の外食合弁企業始動」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞2000年11月6日)

話題の外食合弁企業始動
ベンチャーリンク意識した大事業に
家賃保証の日本外食トラスト OGMなど199社出資
外食に限らないことだが、いま不動産が非常にだぶついている。これまで「サイゼリヤ」などが他社の撤退物件をうまく活用して成功してきたが、たぶんOGMにも多くの物件が持ち込まれていると思う。共同会社設立の動機は、そうした優良物件を参加企業に斡旋できる窓口をつくろうということだろう。

外食の場合、特に借り主に合わせた建物を建てるので、なるべく長く借りて欲しいから、たとえ安くても大手に貸す。OGMはいろんな業態を持っているので、大手のファミレス一社にもちかけるよりも最適な業態が選べ、仮に失敗しても「すかいらーく」のように環境に合わせた転換が可能だ。さらに家賃支払いも保証してくれるというなら安心して貸すだろう。

不動産の賃貸交渉では大手に価格を吊り上げられ、高い家賃で失敗したチェーンの話がいくらでもある。不動産の交渉にはかなりのノウハウがいる。OGMで不動産のノウハウを構築して、大手と同じような有利な条件で借りられれば、店の採算制は格段にアップするし安定もする。また地方でよい物件が出た場合、グループ企業同士が競合しないよう、OGMが間に入ってうまく決めればいい。会員が不満を持たないよう振り分けが大きな仕事になってくるだろう。

一方「店頭公開を目指す」ことは、これまでのOGMの路線から大きく方向転換した。これはベンチャーリンクを意識したやり方だ。20社の株式公開となればかなりの資金力がいる。今回の出資企業を見る限りはそこまで見えないが、本格的にベンチャーキャピタルや物流をやるのなら、商社や銀行、リース会社などのバックアップが必要だ。

共同事業というのはひとつの過渡期の段階だと思う。そこで実績を残して最終的にOGMフランチャイズチェーンになるくらいの強制力と団結力がなければ、これからはボランタリーでは生き残れない。企業は伸びれば伸びるほどお互いに競争が高まってくる。最初は緩やかな不動産から始まり、資金、資材の調達を含めて持ち株会社的になってくれば結束はもっと強くなる。あまり緩いとメリットがないし、株式公開後に企業は離れていってしまう。

いずれにしても、個別の企業だけではやっていけないことをはっきり象徴した。いまは榊社長のカリスマ的な求心力でグループをまとめているが、最終的にはどれだけ参加企業にメリットを与え、グループにとどまらせるかという仕組みづくりが大変な作業になると思う。

「ワタミ」らのJRMは、清掃やメンテナンスといった限定した範囲の共同会社だが、OGMの場合は、店だけではなくリースや投資に対する債務保証もしていかないと展開していかない。金融と物流をどうやって提供するかが今後の課題で、これはかなりのビッグプロジェクトになる。成功すればすごいことだ。

数千億円の規模で会社をまとめられるのはOGMぐらいだから、可能性は高いし、またOGMの最大のメリットを生かした事業といえるだろう。

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