体験的SV業務 -SVの効果的な時間管理
(商業界 飲食店経営1998年11月号掲載)
SVの最大の課題は多量の仕事を有限の時間で処理しなくてはならないことだ。
筆者がSV時代のスケジュールの変化を、SV昇進後半年と3年でを比較してみよう。
『半年後の予定表』へは以下のように書いてある。
1975年 | ||
9月1日(月) | 13:00 | SV会議 |
9月2日(火) | 6:00 | R店オープニングチェック |
13:00 | R店N、Wマネージャートレーニーのトレーニング状況チェック | |
9月3日(水) | 10:00 | セカンドアシスタントマネージャー会議 |
9月4日(木) | 6:00 | SN店オープニングチェック(オープンマネージャーN) |
16:00 | SN店スイングマネージャーミーティング | |
18:00 | K0店集合、SN、SS店のマネージャートレーニーのマネージャートレーニングプログラムのチェック | |
9月5日(金) | 休日(やっと休みを取れるようになった) | |
9月6日(土) | 16:00 | KO店集合、マネージャートレーニングプログラムチェック |
22:00 | SS店、クロージングワークチェック | |
9月7日(日) | 9:00 | SN店,資材のチェック、フロアコントロールチェック |
メモを見てみよう
『9月2日』
- 9月2日にR店から、高額の売り上げ紛失の報告があった。9月1日(月)に30、31日の売り上げを午後2時に銀行にSアシスタントマネージャーが1人で入金に行った。10,11番の受付に金を渡した(その際普段は渡す金銭内訳表を提出しなかった)。番号札をもらい、30分ほど待った。そして、通帳と受け取りに印鑑をもらった。
9月1日の午後5時に店舗オーナーに売り上げが納金された旨の連絡が銀行から入った。9月1日午後5時半に店舗Fマネージャーへ銀行より2万円不足との電話があった。
直ちに店長へ連絡したが休日で連絡とれなかったが、SV(筆者)への連絡はしなかった。9月2日午前9時15分に本社運営部と筆者に連絡が入った。
- 原因当日銀行の担当者がカウントして2万円少ないことを気がつかなかった。
しかし、銀行の閉店後に勘定を締めた際に、2万円少ないのに気がつき、もう一度伝票をチェックした際に2万円足りないのに気がついた。そこで、何時もマクドナルドが持ってくる金銭内訳表がないことに気がつき、マクドナルド側に事情があると思った。
- 問題点
- 当方のミス 現金カウント時のミスを防ぐために自主的に作成し、銀行に持参するのだが、今回は記入を忘れ、持参もしなかったので、当方が正しいという立証が出来ない。
- 銀行のミス 現金カウント時に金銭合計を出さず、不足に気づかず受領印を押して渡している。
- 今後の対策
- 金銭内訳表へ必ず記入する
- 金種別に袋を用意する
- 上記の事後報告銀行に筆者と本社の経理部長で赴き、当方の手順の正確さを説明、銀行の不手際であることを認めさせ、2万円は銀行の負担となる。
『9月4日』
SN店スイングマネージャーミーティング
参加者S、T、Y、K、Hの5名
- 危機管理の問題ハンバーガーに清掃用のステンレス製のカーリーケイトくずが混入し、顧客の喉に刺った大事件がスイングマネージャーミーティングで取り上げられていないし、マネージャーから事件の詳細も効いていないという危機管理の悪さ。
- コミュニケーション不足本社で開催のマネージャー会議の報告をスイングマネージャーに行っていない。
KO店
Yファーストアシスタントマネージャーと打ち合わせ
- I店長がぎっくり腰になりしばらく出社できないので、それを前提にマネージャースケジュールを土曜までに作成する。
- アルバイトのスケジュールのスタンダードを作成し、長期予想を明確にして、周辺の2つの大学の始まる時期を調べてリクルートの計画を立てる。
- 販売促進店頭看板(キオスク)を作り入店比率を高めるようにする。
その提案書を作成する。図面も書いておく。奥場所は近隣のガソリンスタンドにするので交渉をする。
- KO店オーナーとミーティング
- I店長がぎっくり腰で休むのでYファーストアシスタントマネージャーが代行する旨を伝える。
- 売り上げ報告
- 販売促進の報告
今後の販売促進策の方向の説明
商店会、町会のリストをもらう
近隣の大型書店とのタイアップの為にオーナーに紹介を依頼する。 - 店舗告知ポスターの張り出し場所の連絡
『9月5日』
O店改造の定例打ち合わせ
- 予算は床の強度増強が必用なので3100万円と高額である。残存簿価が1300万円程あり、それも経費として考える。
- 期間実施時期は9月末より1ヶ月かかる。店舗引き渡しは10月23日
- 閉店期間中の近隣店舗への対応近隣の2店舗の告知をし、客が競合に逃げないようにする。
『9月6日』
KO店集合、マネージャートレーニングプログラムチェックの結果の指示項目
- SS、R店の場合、オープニングチェックリストを9月10日までに作成する。
- 危機管理R店、SN店現金事故の後であるので、金庫のコンビネーション番号を変更する事
SS店は金庫のコンビネーション番号の変更済み
緊急事態用に店舗の住所を電話機の側に置く警察や消防所へすぐに伝えられるようにする3)SN店のカップディスペンサー不良でカップの縁が欠けている
- マネージャートレーニーのフードコストの知識が少ないQCR(クオリティーコストリポート、原価管理表)を見せて教育することが必用。
- エネルギー管理SN店、グリルとフライヤーの点火を7時ちょうどに行っており、早すぎる。
- R店、自動ドアの開閉不良の修理が必用
- 水道光熱費管理水道光熱費管理のためのスケジュール表を作成する。
- ホットチョコレートのホールディングタイム開缶後5日と短いので売れない店は注意が必要
- R店のリーチイン冷凍庫の霜取りスケジュールが出来ていない。
- マネージャートレーニーへの宿題9月16日までにメンテとクロージングのチェックリストを作成する。
サービスのロールプレイ用の言葉を作成する。
『SVになって3年目1977年の予定表』
4月25日(月) | 9:00 | 東京駅、施設部のH氏と待ち合わせて,E店店舗オーナーのN不動産を訪問 |
13:00 | 本社、SV会議 | |
18:00 | 本社、施設部,M氏と温度計の打ち合わせ アナログ温度計を100店舗分発注する件で値段と、納期の打ち合わせをする。 K氏と電気製品の発注の打ち合わせ | |
4月26日(火) | 10:00 | H店開店後の補修箇所を建築業者と打ち合わせ |
13:00 | 本社、各店舗損益計算書の提出、小口現金の精算、店舗修繕提案書提出 | |
14:00 | 0店、グリドルの写真撮影 | |
4月27日(水) | 10:00 | KO店202バンズスチーマー分解清掃 |
15:00 | 本社ハンバーガー大学でオペレーションマニュアル検討会 | |
4月28日(木) | 9:30 | 本社、洗浄殺菌洗剤使用による乳製品メーカーによる大腸菌検査結果検討 洗剤メーカーR社、担当者K氏と打ち合わせ |
11:00 | 本社、ハンバーガー大学でオペレーションマニュアル検討会 | |
15:00 | 本社、洗剤メーカーA社とグリドルクリーナーの打ち合わせ | |
21:00 | H店、監査閉店時、現金抜き打ちチェック | |
4月29日(金) | 6:00 | SN店、コンサルテーションリポート(店舗QSC総合診断)実施後のフォローアップ |
20:00 | 軍事顧問の新居でのパーティ出席 | |
4月30日(土) | 22:00 | H店、月末書類チェック、各店書類回収翌日まで連続勤務 |
5月1日(日) | 各店訪問書類回収、ピークオペレーションチェック | |
16:00 | 勤務終了、帰宅 | |
24:00 | Y店訪問、ハンバーガー大学プロフェッサーのT氏とグリドル清掃のマニュアル社撮影立ち会い翌朝まで。 |
メモ
『4月25日』
- SV会議内容
- 財務部より6月末の固定資産の棚卸しは7月末に延期する。情報システム部の資料未整備の為店舗に於ける納品伝票の処理が悪く添付も忘れている
- 情報システム部より6月より小口現金による食品、紙製品の購入は食品紙製品仕入れ伝票を使用し、仕入先コードを明記し、仕入先名の欄に小口現金購入と書く。小口現金精算の際に食品か未製品仕入れ伝票の控えを添付して経理部に提出する。
- 広告宣伝部よりマックシェークプロモーションの期日の伝達
キャンペーン内容の説明
販促物が35万個余った処理は、運送会社が回収し、倉庫に在庫として保管する。5月の損益計算で店舗へ経費として計上する。返品はケース単位でのみ受け付ける。
夏休みの販売促進策の子供向けプレミアムキャンペーンの詳細の説明とマテリアル関連
- 運営部新ユニフォームの採用決定と、店舗への金額賦課額の説明
シェークマシンのオープニングプロシージャーの変更
シェークマシンの洗浄サイクルの時間の確認の通達
5月よりシェークのチョコレートシロップの粘度を変更する(抽出量安定の為)
ハンバーガー大学BOC、AOCのスケジュール発表
- ディスカッション
- 温度計打ち合わせ施設部部長より現在使用中の温度計の問題点が明確でないと新規購入はだめだと指摘がある。レポートを提出することになった。1月から現在までのトラブルの報告は50件あるのでその状況を詳細に確認する為アンケート調査を行う
アンケート内容
- 正常に作動しているか
- 使っているか
- どこが壊れているか
- 修理を依頼したことがあるか
- どこを修理したのか
温度計のHメーカーと不良個所の打ち合わせ
- 断線することが多いのでその改善の手法を明確にする
- メーターの高温、低温に切り替える際の誤差の改善
- 温度プローブの改善(故障が多いため)
- メーター切り替えのねじの固定
- 手で持っていると落下させるので首からつり下げられようにする
- 改善すると現在2500円の価格が7000円と上昇する
『4月26日(火)』
- H店開店後の補修箇所をオーナー、建築業者と打ち合わせ先日、施設部の担当者とオーナーが殴り合いの喧嘩になりそうになったことを詫びる。(当時の建設部は柄が悪く、オーナーとは喧嘩はする、工事現場で職人と博打をして警備員に警察に通報されるなどの無法地帯だった。企業が伸びるときにはこのくらいの乱暴さが必用な時代では合ったのだが、後で店舗の責任者としてオーナーとの人間関係を維持するのに苦労する。)
『4月27日(水)』
- KO店202バンズスチーマー分解清掃バンズスチーマーが国産の為、機器マニュアルとメインテナンスマニュアルを作成するために分解清掃をして、そのやり方をまとめる。
- 本社ハンバーガー大学でオペレーションマニュアル検討会
- 人事管理マニュアルPEOPLEの内容検討
- 組織化とプランニング
- 募集
- 選考
- 面接
- 最終選考と配属
- オリエンテーション
- 勤務評価とトレーニング
- 書類の保管
- 退職面接
- ワーキングセクション
- 募集広告
- クルーハンドブックの検討
- トレーニングマニュアルの内容検討オペレーションマニュアルのトレーニングのセクションの内、マネージメントチームの育成とクルートレーニングを至急翻訳検討する。
トレーニング用のカセットテープ(当時はビデオでなくフィルムであった)の内容を翻訳し、テスト問題を作成する。
PeopleActionManualのカレンダー、店舗内従業員用プログラ、店舗クループログラムの翻訳と検討をする。
- クルーステーション別トレーニングプログラムクルー用の各セクションのトレーニングプログラムの優先順位が高いので以下の項目を翻訳検討する
- カウンターサービス
- フレンチフライ
- シェイク
- ドレス
- バンズ
- グリル
- フィレ、パイ
- バックルーム、ロット
- 客席、ロビー
- 開店準備
- 閉店作業
- 朝食
- 人事管理マニュアルPEOPLEの内容検討
『4月28日(木)』
- 洗浄殺菌洗剤使用による乳製品メーカーによる大腸菌検査結果検討洗剤メーカーR社、担当者K氏と打ち合わせ
従来の中性洗剤を使用後次亜塩素酸ナトリウム溶液で殺菌するよりも効果が高いことが判明した。乳製品の製造現場でもその洗剤を長期間使用しているが問題はない。
- H店、監査閉店時、現金抜き打ちチェック現金過不足が基準以上。店長のチェックがなされていない。アシスタントマネージャーに全てのチェックを任せている。数枚ある同じ商店からのレシートが昨年の年月日のままである。アシスタントマネージャー深夜帰宅の際の高額のタクシー代の領収書がない。必ずタクシー会社発行の領収書をもらうこと。小口現金の出納帳に精算月日の記入がない。小口現金の明細で理由を明記していないのが9枚ある。
『4月29日(金)』
- SN店、コンサルテーションリポート(店舗QSC総合診断)実施後のフォローアップマネージャーがオーナーに売り上げを入金に行く間の客さばきが悪い。男子クルーがカウンターのトレーニングを受けていないため人数はいるのに客をさばけない。店長の仕事の優先順位が明確でない。
『4月30日(土)』
- H店、月末書類チェック、各店書類回収翌日まで連続勤務H店、店長が棚卸しのチェックをしていない。アシスタントマネージャーに販売促進内容が伝達されていない。店長が何時も遅刻をし、大事な店内マネージャー会議に5分遅刻し、終わったら勤務時間が残っているのにかえってしまった。
『5月1日(日)』
- Y店訪問、ハンバーガー大学プロフェッサーのT氏とグリドル清掃のマニュアル撮影立ち会い翌朝まで。開発中のグリドルクリーナーを使用してどうやって清掃するかを、筆者がモデルになり実施。途中、何回も撮影し直すので、3店舗を深夜に巡回し、撮影を翌朝まで継続する。
以上のようにSVになって3年もした頃は店舗の管理だけでなく、洗剤や、調理機器、マニュアルの開発などに時間がとられていったのがおわかり戴けるだろう。
『運営部の機能』
当初のマクドナルドの店舗を管理するSVが所属するのは運営部と呼ばれていた。運営部には運営部長がおり、1人で全国各地のSVが直接指導監督していた。それでは肌理の細かい指導が出来ないと言うことで、統括SV制度が出来たのは筆者がSVになってから3年後だった。運営部は店舗の運営管理が中心でその他のスタッフはいない状態だった。
しかし、店舗数が1000店舗近くになると、店舗運営に関する色々な業務が増え、運営部の業務は細かく分担されるようになった。運営部は運営統括本部になり、その下に以下の部と課が所属していた、その業務内容を簡単に見てみよう。
- 運営統括部
- 運営統括課
- 運営部を代表して本社内の開発業務や全ての会議に出席し、店舗の立場で発言し、情報を速やかに地区本部の運営部に伝える。店舗から提案のあるマニュアルや機器類やオペレーションの開発を行い、店舗の運営がスムーズに行えるようにサポートをする。本社各部からの情報を集中管理し店舗に混乱がないようにまとめて情報を伝達する。全国の店舗のQSCに関する立案と援助。全国運営部長会議の開催。
- 運営技術課
- 店舗で使用する機器類の機器マニュアル、メインテナンスマニュアルを開発する。店舗の機器の修理、営繕の立案と実行
- 海外運営部海外の店舗の管理
- 機器開発部店舗で使用する機器の開発、海外からの機器の修正の指示。省エネルギーや、防火安全の設備の開発。厨房レイアウトの改善と標準レイアウトの作成など。
- 運営業務部店舗に関連する人事異動、社宅、伝達等の店舗間連総務実務を担当する。
店舗運営に必用な損益計算書、売り上げ動向、競合動向などの作成と報告。
- ライセンス部フランチャイジーの選定から、フランチャイズ店舗の運営指導まで受け持つ。
- トレーニング部
- トレーニング開発
- オペレーションマニュアル、機器マニュアルなどマニュアルと名の付く物全て開発する。米国マニュアルの翻訳。マネージャーコンベンションの実施。
- ハンバーガー大学
- 店舗マネージャーから、社員全てにわたるトレーニングカリキュラムの作成と実施。
- 商品開発部 新商品の開発とテスト、店舗導入。などが所属していた。つまり運営部は直営店とフランチャイズ店舗の管理だけでなく、色々な開発業務が必用なのだという事がおわかり戴けるだろう。。
筆者がSVの当時はそんな専門職がないから、SVが兼任でその業務を負担していたわけだ。ハンバーガー大学は教えるだけで精一杯であり、マニュアルの開発や、新オペレーションの開発、コンベンションの開催を一手に担うことは不可能だった。
そのために筆者の時間配分を見れば分かるように、その開発業務の比重が次第に増加していったのだ。筆者はSVの業務としてそれらの仕事を誰かがやらなければいけないのは分かっていたから、一生懸命の取り組んでいたが、時間が足りなくなるのは自明の理だった。なかなか店舗には行けないが、肝心の店長のモラルが低くて心配でいらいらする。そんな心理状態で店舗に行く物だから、先に挙げたメモのように店舗の欠点しか目に入らなくなり、店舗のマネージャーチームとコミュニュケーションは悪くなる一方だった。
そして筆者がSVになって3年目に統括SV制度が出来て肌理の細かい管理が出来るようになったのだが、筆者の店舗を訪れては以下のようなきついコメントを残していったのだ。
『統括SVの厳しい店舗チェック』
- SN店
- 隣の店舗との境にある床が汚い。
- ヒートランプの高さにばらつきがありみっともない。
- 10:00には女子クルーのシフトは6人入るようになっているが、1人遅刻、1人欠勤、これでは33%が出勤していない。
- ビデオモニターのコードは壁にきちんと取り付けること。
- サービスの女子は客が並びだしたら、新規にレジを空けて客を誘導しサービス時間を短縮する努力をしていない。注意力が足りない。
- 天井の蛍光灯に昼光色と白色と併用しており、みっともない。
- POPのカバーが汚れている。
- 倉庫に保管してある開封の段ボール箱の蓋をカッターで綺麗にそろえて切り取ってない。グリドルの温度設定が低く、肉の焦げ目がついていない。
- リーチイン冷凍庫霜取りがされていない。
- シェークマシンにステッカーが貼ってありみっともない。
- トースターでバンズを焼くときに乱暴なので、バンズの縁がつぶれている。
- 厨房内のエアコンの前のスペースの整理がされていなく乱雑だ。(何時もそうだ)
- クルーの4人に3人は新人だ。トレーニングは進んでいるのか?
- H店
- 事務所トイレが汚い。
- クルーの私物が、倉庫の棚にバラバラに入っている。
- クルーの充足率は50%しかない、オープン業務に新人2名はいると1名はすぐに止めてしまっている。新人教育はどのようになっているのか?
- 客席入り口のマット何時も曲がって敷かれている、誰がチェックするのか?
- ゴミ置き場には水が溜まり臭いが出ている。根本的な解決をしてほしい。
- 階段各ステップの奥に汚れが溜まっている。
- フライヤーの油古く、交換する必要がある。
- 製氷器の扉の取っ手が破損している。
- 厨房で指定のペーパータオルでなく市販の高価なロールペーパータオルを使用している。新人のSマネージャーがシェークを作りながらクルーと私語を交わしているが丸聞こえ。12:30のピークにクルーが1人で一度にミートを36枚焼いている(一度に12枚だけ)
- バンズの焼けむらあり。
- ビッグマックのドレスが汚くソースがはみ出し、チーズが全部カラーにへばりついている
このように、どんなに本社の開発業務に貢献していても、SVとしてはきちんと店舗を管理しなくてはいけないと言う厳しい叱責を受けてしまった。
SVとして色々な業務が増大し時間がとられるのに、店舗のオペレーションは問題が山積みで休む時間をとれない、とれないからいらいらしてマネージャーと旨く行かなくなると言う悪循環の毎日で、抜本的な対策に迫られてきた。それが時間管理だった。
『効率的な時間管理』
- 仕事が多岐にわたるようになると必ず、ミーティングを忘れたり、約束の期限を忘れれるようになるし、仕事がたまる一方だ。時間は限られているから、効率よく仕事を進めなん蹴ればいけない。そんな悩みから時間を有効に使用する本を読み色々な工夫を独自に凝らすようにした。SVになり立ての頃はスケジュール表だけで問題なかったが3年ほどするとスケジュール表だけでは仕事内容が大きすぎて記録できなくなる、そこでノートと、メモ帳も合わせて使用するようになった。
仕事が多岐に渡ってくるので、その都度忘れないようにメモ帳に書き込んでいくのだ。普通のノートの用になっていると後で分野別の整理が出来ないのでバインダー式のメモ帳を持ち、一件一枚のメモに記入するようにした。そして、そのメモは優先順位別に色分けし、翌日にその重要度の高い物から処理するようにした。
それがToDoListと言う考え方を取り入れた奈良式のシステム手帳を使った時間管理だ。基本的には米国的な合理的な時間管理の考え方である。この合理的な時間管理の考え方は当時まだマクドナルドでは取り入れられていなく、後にSVのトレーニングカリュキュラムで取り上げられた。もう少し早くSVへトレーニングしてくれたら自ら時間管理の手法を試行錯誤で探り出す必用もなかった筈だ。皆さんも筆者のような失敗をしないように時間管理の手法を身につけていただきたい。
『筆者が後に学んだ時間管理の手法』
- 目標を達成するには業務別に優先順位を決め、時間配分の計画をたてる必用がある。これを行動計画と呼ぶ。どんなに優れた計画でも、時間を加味しないと役にも立たない。管理者は仕事のための一連の行動計画を立て、自分の時間をうまく管理しなければならないのだ。管理者として成功するポイントは無駄な時間を無くすことだ。時間を有効活用するには仕事内容をわかりやすく簡単に整理し、優先順位を決めることだ。計画は往々にして変更されたり、新たな目標や仕事が与えられる場合が多い。その場合には直ちに仕事を整理し、何が優先順位か再検討をする。あまり机に座ることなく(机に座っても販売量が増加するわけでなかいからだ)必要な書類を整理整頓するこつを考えなくてはならない。仕事を効率よく片づけるには、各仕事の重要性、時間量、を測定し無駄な労力と時間を消耗しないようにする。
- 時間の浪費を引き起こす物時間の浪費は誰でもしがちだ。時間の浪費を習慣づけない為には、常に「今のこの時間はどう使うのが一番良いのか?」と考える。必ず目的を持って行動し、それが成果が出せるようにしないと、時間の浪費となる。
自分の時間浪費をしている箇所に思い当たればそれを修正すればよい。時間を浪費すればどこかでしわ寄せが来て、休みが取れなくなったり、仕事の達成度が低くなる。仕事に優先順位をつけ時間を浪費しなければもっと生産性の高い仕事が出来るだろう。
時間浪費の主な原因
- 電話による中断
- 約束の無い訪問者
- 会議(予定あるなしにかかわらず)
- 不測の緊急事態
- 目標、優先順位、期限の欠如
- 乱雑な机とだらしない性格
- 他人に委譲できる細かな決まりきった仕事まで自分でやってしまうこと。
- 一度に何もかもやろうとする。しかもそれに取られる時間を少なく見積もること
- 責任と権限委譲が明確になされていないこと。
- 他からの不適当、不正確、遅い情報
- 優柔不断と遅延
- 不充分もしくは不明確な伝達と指示
- 「N0、いや、だめ」といえないこと。
- 上司が部下の進歩と成長を把握する上で必要な情報の不備
- 疲労
以上のリストの内容に心当たりのない人間はいないはずだ。ではどうやってこれらの時間浪費を防ぐことが出来るのだろうか?その秘訣を見てみよう。
- 良い記憶力と良いファイリングシステム
- 柔軟な対応力を持つ。障害があってもそれを乗り越え、やり抜くことができる。
- 自信。いくつかの仕事が同時に重なっても、あわてず優先順位を貫くことができる。
- 他人と良い人間関係を築き、維持できる人。人との摩擦や喧嘩などで余計な時間を 使わない。
- 素直な態度で人と接する。遠回しな言い方したり、人から誤解を受けるようなことをしない。
以上が時間浪費を防ぐ秘訣だが、以下に時間浪費をしがちな人の現象を見てみよう。
- 優柔不断な人。仕事の優先順位を頻繁に変え、あれこれといろいろな仕事に手をつける。
- 完全主義者時間の使い方が下手な人は細かい所に注意を払いすぎる。
- 情緒不安定名人怒りや欲求不満、悩み等があるとそれに邪魔されて、他のことの考えがまとまらず、 正しい判断ができない。
- 過度の緊張をしやすい人緊張しすぎる為に、肉体的、精神的疲労が蓄積され、仕事の生産性があがらない。
- 不安感を何時も抱いている人自信がなかったり、失敗を恐れて、仕事に着手できない。
もしもあなたの時間の使い方がまずいと自覚したら、真剣に努力して改善するべきだ。時間の使い方の達人の特徴を見習うと良いだろう。目標を効果的に達成するには、1秒でも大事にして、行動計画をどう実行するかにかかっているからだ。
- 仕事のリストアップとカレンダーの利用による時間管理効率よく時間管理をするには以下の2点を考慮し計画を立てる。
- 目標に優先順位をつけてリストアップする。
- 目標達成のための行動計画を開発し、実施可能なように上手に組み立てる。
仕事を効率よく実施するには、時間管理は極めて重要だ。毎晩寝る前に翌日片付けたい事を全部リストアップし日々の計画表に記入すると良い。
リストアップした仕事を発生順に処理していくのでは時間が幾らあっても足りない。翌日片づけなければならない仕事の重要度、緊急性が異なるはずだ。重要度や緊急性の高い物から順番に処理すれば効率は上がるのだが、そのような仕事は難しかったり、何となく気が進まないので後回しにしようとし勝ちだ。そこで、片づけなければいけない仕事一件につき、一枚の紙に記入する。その際に紙の色を変え、優先順位や緊急性の最も高い物を赤い紙に記入し、次は黄色、緑、記録に残す物は白紙の紙、と区分けをする。「何をすることが、自分にとって最もよい時間の使い方か?」を絶えず自問自答し、それから時間のスケジュールを立て、それに従って行動する。
仕事を達成するために長時間働たと言って自己満足してはいけない。時間を浪費したために、無駄な時間をかけて仕事を終わらせたのかも知れない。かけた時間の長さと仕事の完成度は違うのだ。時間管理で大事なのは、どれだけ時間をかけたかではなく、どれだけ効率よく仕事を片づけたかだ。効率の良い時間管理は素早い、的確な行動を生み、間違っても仕事量を増やすことはない。
年度途中で会社の方針変更や、目標が追加されるといったことがあるかも知れない。こうした場合は、上司と新しい方針や目標の内容を検討して優先順位を決める。そして、新しい目標をどうやってスケジュール化するかを検討する。場合によっては優先順位を変更したり、スケジュールからはずすことも検討する。自分の仕事の成果にどう影響がでるか、担当の上司と話し合い、同意しておくべきだ。仕事を達成しても、内容を評価してくれなくては意味がない。柔軟な姿勢で目標の変更に取り組み、スケジュールを効率よく管理し、正しい評価を受けるべきだろう。
時間と労力は最も高い優先事項に費やすようにする。優先事項が複数発生したら、一つずつ手際よく処理する。デスクワークでは優先順位を守って机の上に溜まった書類を効率よく整理し、至急の用事を全部処理してから現場に戻るようにする。
時間管理に関して、管理者が無視しがちな点は、朝、昼、夜、の時間のバランスを上手に保つという点である。現場では、昼夜を問わず営業活動が続けられている。現場の営業状態をしっかりと把握するには、昼間同様、夜間も現場を回ることが必要である。バランスの取れたスケジュールを立て、部下の人たちとよい人間関係を築き、運営レベルの向上を図ると共に、現場の持つ問題や強みを把握するよう努める。
- 書類整理書類整理は放って置くと膨大な量となる。書類はきりがなく溜まっていくものであり、効率よく処理しないと身動きが取れなくなる。 会社の書類は次の3種類に分類される。
- 現場保管の書類
- 個人保管の書類
- 会社保管の書類
どの書類が上記のどの分野にあてはまるか、いったん決まってしまえば、あとは自動的に分類できる。情報をコピーすると書類を膨大に増加する。どこにどの書類が保管されているのかを知っておくようにすればよい。
定期的に保管している書類が本当に必要かどうかを考える。破棄しても問題ないか、どこかに保管できないか、ファイリングするべきか考えてみる。書類は絶えず整理をすれば書類の山に埋もれることはない。自分の時間をより効率よく使うことができるようになる。
管理者になると、いろいろなことに時間を取られてしまう。会議への出席は必用なものだけに出来るように、上司や同僚と打ち合わせをして作業を分担し、会社には何日位出向く必要があるかを決める。必要な会議には出席できるよう優先的にスケジュールを立てる。
会社に到着すると、郵便物や伝言、依頼事項、報告書等、が山のように積み上げられているはずだ。これらの処理のポイントは、重要なものから順に3つに分類することだ。Aは直ちに処理が必要な最優先事項。Cはそれ程緊急でない用件である。Bはどちらか迷うときに分類し、後でAまたはCに分類し直して処理する。
- 時間の浪費を引き起こす物時間の浪費は誰でもしがちだ。時間の浪費を習慣づけない為には、常に「今のこの時間はどう使うのが一番良いのか?」と考える。必ず目的を持って行動し、それが成果が出せるようにしないと、時間の浪費となる。
お断り
このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。