オレキエッテ

南イタリア美食便り

佐伯の食材を使ったプーリア料理の会を企画しています。東九州とプーリアの共通点を追求するのが私のテーマ。そこからお互いが身近に感じ学び合い仲良くなって欲しいのです。

イタリアの中でも特に食べ物が美味しいと評判のプーリア。小麦粉の生産地でもあり、パスタやフォカッチャ、原産地呼称(DOP)指定に登録されているパン、まだ日本では馴染み深くはありませんが、食べた人は皆好きになるタラッリ、フリッゼなどなど様々な粉物が日常的に食されています。九州の小麦粉を使ってプーリアの耳型もちもちんパスタ、オレキエッテを作ってみようと思いつきました。

ちょうどプーリアではどこの家でも自分の土地で取れるオリーヴオイルを食べているように、面積の80%が山である佐伯でも自分たちが食べる分ぐらいのお米は作っている家が多いようです。そろそろ新米の時期ですが、昨年は何人もの方々にそういったお米を頂きました。でも、小麦の畑は目にしたことがありませんでした。九州全体では各地で九州ブランド、ミナミノカオリという強力小麦を作っているようですが、佐伯産の小麦粉は果たしてあるのか?と思ってネットで調べても出てきません。佐伯産が無理なら大分県産でと考えていたところ、偶然立ち寄った佐伯のとある道の駅で、出会いました。佐伯市本匠産の小麦粉。それもモチモチの食感が特徴の中力粉です。うどんなどの麺類用に開発されたチクゴイズミという品種のもの。

早速購入して、オレキエッテを試作してみることにしました。

通常イタリアでは手作り生パスタはデゥラム小麦という硬質小麦で作ります。それもセモリナ粉と呼ばれる少しざらっとした砂のような触感のある粗挽きタイプ。黄色味を帯びた色が特徴的です。強力粉に分類され、成形しやすく粘性と弾力性がありコシのあるパスタになります。ミナミノカオリが強力粉に分類される品種ですが、今回は佐伯産にこだわり中力粉のチクゴイズミを使います。まずはいつもイタリアで作るのと同様の分量の水でやってみました。

一度めの試作としては上出来のもちもち食感のオレキエッテができました。成形しやすかったのですが、生地がもちもち過ぎてオレキエッテの特徴である片面のザラザラ感が出にくかったのが、反省点です。もう少し何度か試作をしてみようと思います。

ソースは猪肉ミンチをいつものレシピでミートソースにしました。こちらも佐伯産の肉です。佐伯のジビエ猪肉は都会のレストランなどに卸しているもので、実は市内のスーパーなどではあまり見かけません。佐伯でもレストランなどでは供されていますし、お祭りの屋台ではジビエ料理専門の店もよく出店していますが、家庭ではなかなか食べる機会がないようです。

豚肉に比べて栄養価も高く旨みも強い猪肉。ミートソースにぴったりでした。豚肉よりスパイスやジャムなど強い味付けにしても良いと思いました。プーリア産の赤ワインにピッタリでした。

地元の方々には害獣駆除のイメージが強いかもしれませんが、美味しくて健康にも良いからあえて食べるという意識に変わって行けばいいなと思います。

イタリアの地産地消の精神を佐伯にアピールするイベントは11月下旬に開催予定です。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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