このマガジンは王利彰の率いるフードサービスコンサルタント会社
有限会社清晃(せいこう)が提供しています。
その他に2011年4月より2015年3月まで関西国際大学教授に就任し、
新しく発足した人間科学部経営学科のフードビジネスを担当していました。
2004年4月から2009年まで立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の教授を務め、
F&Bマーケティング、サービス・マーケティングなどを教えていました。
立教大学観光学部、杏林大学外国語学部応用コミュニケーション学科観光文化コース、
韓国のSejong大学大学院フランチャイズ学科、女子栄養大学・短期大学、会津大学・短期大学等でも非常勤講師の経験があります。
2012年9月に脳梗塞で倒れ、重い嚥下障害を患っており、その顛末と嚥下対策は「月刊厨房」で1年間記事を連載しました。
フードコンサルタント王利彰は長年「メーリングリストfspro」で業界関係者と双方向のコミュニケーションをしてきました。現在は、Facebookのオンラインサロンへ移行。
FSPROメーリングリスト(外食産業情報“無料”オンラインサロン)
(https://www.facebook.com/groups/280530300281763)
外食産業でご活躍の皆さまはもちろん、卒業された方々の経験や知識も共有していただける場になるよう、皆様からの投稿をお待ちしています。
● 世界・日本各地の食情報
● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー
● 食ビジネスニュースリリース
● 日本外食ニュースと米国外食ニュース
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● 世界・日本各地の食情報
1)食の宝庫九州から上田さんです
【福岡のお土産】
ひょんなことから、饅頭の話になりました。
現在、世の中で人気の饅頭の大半は火星人が包んでいるよね、と。
判る方は判る業界ネタなのですが、包む機械は同じでも、生地の塩梅とか、餡の種類とかで饅頭の個性は出るはずです。
仙台のお月様も、鹿児島のドンも、まあまあそっくりですね。他にも各地に同様のカスタードクリームを包んだ卵生地の焼き菓子があります。エージレスが開発されて以降、水分の多い、柔らかい饅頭が日持して流通するようになり。製造する機械が普及したことで、お土産の特徴が無くなって来た感があります。それでも貰うと美味しくいただきますけどね。
ここで比較するのに登場するのが「博多通りもん」という饅頭。
福岡のお土産として指名されることが多いです。またお持ちすると喜ばれます。生産が始まったのが1993年(平成5年)、比較的新しい菓子です。2019年にはもっとも売れている「最も売れている製菓あんこ饅頭ブランド」としてギネス認定されています。西洋和菓子と称していますが、ミルク風味の生地で”しろ餡”を包んでいます。餡には生クリームやバターを使っているようです。しっとりとした食感が人気です。
この「博多通りもん」の人気の原因は、福岡市周辺、福岡県の駅や空港でしか販売していないことだと思います。
通販サイトでも、他の商品は販売していますが「博多通りもん」だけは出品されていません。東京大阪の催事も本当に限定的にやっています。しまいに転売ヤーまで出る始末です。
地域限定、ここでしか買えない、これがお土産品の矜持の様に感じます。
もらって嬉しいじゃありませんか。
ひょんなことからの饅頭の話は、最初に「蹴洞」という饅頭の話から始まりました。
福岡市南部の八女市、平成の大合併で市域が拡大し、東部の山の中にある矢部村も八女市になりました。
その矢部村にある日向神ダムのダムサイトに世界最大のハート岩とされる名所があります。最近はロッククライマーに大人気になっているエリアなのですが、そこはハート岩が人気になる以前から「蹴洞岩」という神話の世界に話が飛ぶ名所がありました。日向高千穂から遊びに来た神様が乗った馬が蹴破った穴の空いた大岩があるのです。ちょっと不便なところにあるので、あまり名所になっていないのですけどね。
その岩を模して作られた饅頭が「蹴洞(けほぎ)」です。
作っているのは、八女市に本社がある「隆勝堂」、販売店が10店ほどあるローカルの菓子メーカーです。
和洋の菓子を取り揃えていて、福岡県南では知られた店なのです。
さてこの「蹴洞」作られたのは昭和20年代、こし餡に卵と生クリームを加えた卵黄餡を、バターとピーナツバターを使った生地で包むサクサクに焼いた饅頭です。てっぺんにクルミが乗って歯ごたえもあります。洋風の饅頭としては、歴史があります。
これね、美味しいのですよ。こちらはオンラインでも買えてしまうのが微妙ですが、ローカルメーカーの戦略としてはいたしかたないですかね。
もっと認知度が高まって欲しいものです。
八女といえば、八女茶が知られていますので、お茶請けに、洋風なので、コーヒー、紅茶にも合うのです。ためして欲しいなあ。
隆勝堂「蹴洞(けほぎ)」
【プロフィール】
上田和久
kazz@studiowork.jp
スタジオワーク合同会社 代表
1959年熊本県生まれ、京都、福岡で暮らし、都城の単身生活を終え福岡に戻っています。
国際HACCP同盟認定リードインストラクター、JHTC認定リードインストラクター
上田和久 facebookは
経歴と仕事分野
厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年コンサルタントとして独立。
主に、HACCPの認証取得が目的ではない、あるいは安全安心な食品を提供することを目的にした企業に対して、HACCPに基づいた衛生管理の取り組みを支援している。
具体的には、食品工場に対し、これまでの計画施工から現場運営まで経験を生かした新築・増改築についての助言を行う他、製造現場に対して、クレーム対応、異物混入の原因の究明と対策、再発防止の仕組み作りの提案を行っている。
食品工場の抱える問題やこれからますます厳しくなる要求への対応、それらを一緒に解決していくことを使命とし、精力的に活動している。
2)南イタリアプーリア便り イトリアの谷の食卓から 第381回
ロンドンから夫の昔の同僚が家族を連れてプーリアの我が家のゲストハウスに遊びに来てくれました。彼女と夫ジョヴァンニが出会ったのは2人ともソウルの新羅ホテルで働いていた時なのでかれこれ約30年近く前になります。その後2004年にこちらで上田さんも書かれていたシドニー研修旅行に参加した際、見学に行ったハンターバレーのワイナリーで、予期せぬ再会を果たしました。当時彼女はシンガポール在住で、シドニーへは観光旅行中でしたので、本当に偶然です。それ依頼Facebookなどで繋がりながらも、さらに20年が経ち、万を期してのプーリア訪問となりました。
彼女はソウル出身の韓国人で、夫は白人系のイギリス人。バックパッカーだった彼がソウルを訪れ彼女と出会い6年後に結婚、その後シンガポール、ドゥバイ、イギリスと移り住む間2人のご子息を授かり今に至るとのこと。年齢や結婚した時期も近く同じ年代のヨーロッパ系とアジア系のミックスの子供を持つ事ことなど共通点がたくさんあり、お互い生まれ育った国を離れての生活が長いので、話が尽きません。
彼女がロンドンからお土産に持ってきてくださったのが、自家製のキムチ。漏れがない様に厳重にラップされ無事到着しました。日本留学中にキムチの味を知り大好物になった娘は、大感激です。今は、さらにもう一度ジッパー付きプラスティックバックに入れて冷蔵庫に保管していますが、ロンドンで作られたキムチのお味はいかがなものか、お味見するのが楽しみです。
キムチは、ナショナルプライドとも言える韓国が世界に誇る発酵食品です。発酵食品といえばブルーチーズ然り、好き嫌いや食わず嫌いが激しいですが、「KOMBUCHA=紅茶キノコ」の様に健康食嗜好の人々の間では驚くほどのブームになった食品もあります。
日本の国菌である糀もその効用が高く評価されています。佐伯には「塩糀ブーム」の火付け役となった麹屋本店の浅利妙峰さんがいらっしゃいます。伝統的な食文化は観光の重要な目玉となります。海外でのアピールを考える上で、「ハマる」使い方のアイディアはポイントなります。
地元の特産品である糀のアレンジレシピを考案するという佐伯豊南高校のプロジェクトで、糀のイタリア風アレンジの意見を聞かせて欲しいという依頼を受けました。
キムチは、どんな料理に入れてもその味が圧倒的な存在感を示すので、それ自体が完成度の高い食品と言えるでしょう。一方糀は旨みやまろやかさが増すと言う意味で存在感はありますが、隠し味と言うか、縁の下の力持ち的な食品かと思います。
プーリア料理では、食材の新鮮さや味の濃さをシンプル調理することが多いので、そのものの味を大事にする感が強いと感じています。その場合、調理のプロセスの中に麹を加えることによって、味に深みが加わったとしても、それはそれで美味しく仕上がったとしても、プーリア料理とは言えないのではと言う思いがあります。
ヨーロッパとアジア、それぞれの発酵文化であるチーズやワインと麹や酒。食品そのもののオーセンティックさとは何か。また、料理する上でアレンジの可能性は無限大でもあります。
「食べることは生きること」。食文化の未来。イギリスと韓国、イタリアと日本のミックスされたDNAを持つ若者たちに囲まれてそんなことを思い描いています。
大橋美奈子 Facebook
メール・アドレス
minako@da-puglia.com
大橋美奈子さん経歴
演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。
そのジョバンニ・パンフィーノと、日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をし、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。
また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。
ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。
プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。
また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。
我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。
有限会社ダプーリア
http://www.da-puglia.com/
大橋美奈子プロフィール
http://www.da-puglia.com/archives/000047.html
プーリア州の説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E
ダプーリア
大橋美奈子
3)FBプロデューサー日記 321回目
100年先もつづく農業を。
Agriculture looking ahead 100yeas
祇園祭(後祭)で賑わう真夏の京都。
エースホテル京都の留目エグゼクティブシェフにお会いしようかなと思って立ち寄ったのですが、残念ながらご不在で、
同じ新風館内にある「坂ノ途中」直営店「本と野菜OyOy」でカフェタイム。
この店は「坂ノ途中」が大切にしていることを、料理と空間で体験ができます。
「本と野菜OyOy」では、農産品や加工食品、本棚の料理本を眺めたり、美味しい料理を食べているだけで、頑張っている生産者の笑顔が目に浮かびます。
京都で暮らすように、この場所で食事をして、コーヒーを飲む、
仕事の合間の、私の密かな楽しみです。
店の入口にかけてあった看板に書かれていたのがこちら
100年先もつづく農業を。
Agriculture looking ahead 100yeas
まさに、私も同じスローガンで
日本全国の生産者を訪問しながら活動をしています。
しかし、現実は100年どころか、あと1年すら農業を持続できない生産者が多くいます。
先日、国立市谷保の70代のお米生産者Nさんが相続で田んぼを売ってしまいました。
東京都は地価が高い影響で、相続税がとても高く、
生産者が亡くなるたびに、数億円という巨額の相続税を支払わなければなりません。農地を売る以外の選択肢がないので、どんどん農地が減っていくのです。
東京都は、3代繰り返すと、全ての農地は宅地になってしまう相続税という仕組み。
これは、サラリーマンが居場所の机やパソコンを奪われるということと同じです。
空き家が溢れているのに、なぜ新築の建売住宅を建てて儲けるビジネスがいまだに多いのか。農地を宅地にするくらいなら、課題になっている空き家を更地にして、新しい家を建てて欲しいですし、畑を宅地にするなら、生産者に負担させているのと同じくらい重い税金を購入者に対して負担させて欲しい。
生産者を守ることは、自分たちの生活を守ることなのです。
日本の自給率は37%、東京都は1%以下。
自国の食べ物を賄えない国は、今後大きなリスクを背負う可能性があります。
委託事業で、いくつかの都道府県で若い生産者の支援をしていますが、
東京都では、大きな壁を感じながら、日々感じながら仕事をしています。
生産者はとてもやる気があり、農業に誇りを持っています。そして、次の世代も農業が続けられるように、工夫をしながら日々頑張っています。
どうぞ100年続けられますように、それを応援してくださる人が増えることを願っています。
店名:本と野菜OyOy
住所:京都市中京区場之町586-2 新風館1F
【プロフィール】
石川史子 Ishikawa Fumiko (旧姓 戸田)
株式会社FOOD FIELD CREATIVE
facebook https://www.facebook.com/ffcnippon/
HPとblog http://ffcnippon.com/
東京都生まれ。立教女学院中学・高校を経て立教大学理学部化学科を卒業後、東京ガスに入社。2010年、業務用厨房ショールーム「厨BO!SHIODOME」開業を担当、王先生と最適厨房研究会などでご一緒させていただきました。
お客様へのプレゼンや、HCJなどの展示会では、有名なシェフの方にご出演いただき、厨房設計を支援できる私はフランス料理界のシェフにかわいがられるようになりました。
フードビジネスプロデューサーとして独立して8年、おかげさまで活動の幅を広げています。リケジョとしての能力を活かし、厨房機器メーカー、フランス料理界、東京都や北海道、福島県などの生産者支援や、オーガニック農業の推進、観光、料理、厨房業界のPRに幅広く取り組んでいます。
さらに、農林水産省 令和5年度農山漁村振興交付金(農山漁村発イ令和ノベーション対策)受託事業、北海道びえい農泊 DX推進協議会の事務局長になりました。丘のまちびえいから、美味しいものの情報をお届けします。
王先生のFSPROでニュースクリップを担当するインターン生、募集中です!
びえい農泊 DX推進協議会 事務局長
東京都農林水産振興財団 チャレンジ農業支援センター販路開拓ナビゲータ
福島県楢葉町6次産業化アドバイザー
MLA豪州食肉家畜生産者事業団 ラム肉PR大使「ラムバサダー」
全日本司厨士協会 埼玉県本部 広報企画部長
全日本司厨士協会 東京地方本部 協賛会員
フランス料理文化センター アミティエグルマンド 会員
ホテル&ホスピタリテイビジネス衛生管理実践研究会 監事
立教学院諸生徒礼拝堂ハンドベルクワイア OBOG会会長
立教大学観光クラブ理事、校友会企画委員
調理技術教育学会 会員
一般社団法人 日本商環境デザイン協会 正会員
深沢アート研究所 マネージャー
東京お米サロン
4)飯田真弓さんより42回目の記事です
【バンコクのグルメ体験7】
皆様、暑中お見舞いを申し上げます。
日中は40℃近くまでの暑さ、突然のスコールのようなどしゃ降りと、まるで亜熱帯になったような毎日です。こういった気候ですと、刺激のある、南の料理が食べたくなります。
「マッサマンカレー」
マッサマンカレーが日本に紹介され、ポピュラーになって来たのはここ10年くらいでしょうか。語感が覚えやすいので、広まるのも速かったようです。すでにレトルトの製品や、マッサマンの味付けをしたスナックなどを見かけるようになりましたのでもう珍しくないのかもしれません。しかし、とても辛いグリーンカレーやレッドカレーと対比され、甘さが際立つ濃厚なカレーというイメージ以外、詳細についてはまだまだ知られていないようです。今回はこのカレーのお話をします。
マッサマンカレーは、前回お話をした「ゲーン」、汁カレーの仲間ですが、レッドカレーやグリーンカレーとはルーツが違います。タイの人口のほとんどは仏教徒ですが、南部には少数のイスラム教徒が暮らしています。イスラム教徒の食事はハラルですので、食の禁忌も多く、禁忌の無いタイ仏教の人々とは異なった独自の食文化が形成されました。「マッサマン」とはタイ語で「ムスリム」=イスラムの意味です。「マッサマンカレー」は「ムスリムのカレー」という意味になります。こういったタイにおいてのムスリム料理ですが、どのように発展したかと言うと、西からタイ南部に渡ったアラブ商人が、イスラム圏特有のスパイス文化を伝え、そこにタイ土着のハーブと発酵調味料や食材が組み合わせることで多くの個性的な料理が生み出しました。その代表格としてマッサマンカレーは君臨しています。世界的にブレイクしたのは、2011年に米国CNNの番組で「世界一おいしい料理」に選ばれたことがきっかけと言われています。
実際にマッサマンカレーを食べてみると、何とも言えない複雑なスパイスと、甘味、コク、そして酸味を感じます。特にスパイスは、私達日本人が「これぞスパイスカレー」と感じるような風味があり、特にカルダモンやシナモン、クローブ、ナツメグの香りがします。そこにフレッシュなレモングラスの香りが加わり、「西と南の良い調和」を感じます。酸味の正体はタマリンドです。生い立ちがハラル料理ですので、具材には鶏肉とじゃがいもが使われ、味付けにも魚が原料のナンプラーが使われます。さらにコク付けのピーナッツペーストとココナッツが加えられ、スパイシーな一方でまろやかなコクのある、奥深い味わいが表現されています。
何かの料理と組成が似ているな、と記憶をたどると、インドのバターチキンカレーでした。もちろん味わいは全く異なります。しかし、味作りの組み立てが似ているのです。バターチキンカレーは北インドの料理ですが、その美味しさの秘密はカシュ-ナッツと乳です。暑い気候でありながら北にあることで両方の材料が揃います。バターチキンカレーは、トマトやオニオンのベースにカシューナッツのペーストと生クリームを加えることで、濃厚な美味しさを形成します。一方で、マッサマンカレーは、ピーナッツとココナッツミルクです。どちらも秘訣はナッツとミルクです。さらに砂糖で甘味を加えることが多く、コク深く、食べやすい仕上がりとなります。人間が美味しいと感じる料理の組成は、似ていると言う事が良くわかります。
このマッサマンカレー、「ゲーンマッサマン」ですが、バンコクでは大衆的な店舗で汁ぶっかけご飯として楽しむことができます。特に有名なのが、クルアアロイアロイというローカルレストランで、外国人の集まるカフェが多くあるシーロムエリアにあります。マッサマンカレーだけでなく、家庭的な総菜がずらりと並べられていますので、おかずの追加をしながら食いしん坊を満喫することができます。
ちなみにクルアは台所、アロイは美味しいという意味ですので、「美味しい美味しい台所」という店名です。
「クルアアロイアロイ」店舗情報
【飯田真弓プロフィール】
東京で生まれ、10歳より千葉で育ちました。
35年にわたり、国内外の大手外食チェーンをはじめとするグローバルな食産業と、ホスピタリティサービスの代名詞である航空会社に勤務してまいりました。この経験を活かし、現在、成長を目指す企業様にさまざまなアドバイスをさせていただいております。専門分野は、お客様および従業員様を主役にしたブランディングを起点とする企業戦略の策定と結果につなげる実践です。さらに、マーケティングとイノベーションを掛け合わせた商品開発と、何より欠かせないグローバルレベルの品質管理と食の安全は得意分野です。これらを一気通貫させ、企業様の規模に合わせたバリューチェーンのデザインと創出、そしてチェーンのグローバル化やフランチャイズ化の手法など多岐にわたり、お役立ちの引き出しを多く備えております。これらの分野はどちらかというと企業様の成長過程においてなかなか手の届かない、後回しになりやすい領域です。どのように企業運営に組み込んで行くのかについても企業様の状態に応じてアドバイスができます。少し固いお話になりましたが、次の経歴をご覧いただくと、王先生がおっしゃるところの「面白い」を感じていただけるかと思います。
【経歴】
「世界中の美味しいものを食べ歩きたい!」
幼い頃から、よく言えば食への探求心が強く、本当のところただの喰意地のはった究極の食いしん坊で、さまざまな専門料理を「食べる、作る」経験を積んでまいりました。10歳の頃には近所のお母さんたちに公民館で料理を教えるほどの特異な子供でした。そしてそんな喰意地の夢を叶えるために最初に選んだ職業はなんと航空会社の客室乗務員、CA。JALに入社し、目的の食はもちろん、最高峰のホスピタリティとチームワーク、徹底したマニュアルオペレーションと教育システム、ブランドエンゲージメントを習得することができました。国内および国際線パーサーまでを経験できたのはありがたいことです。
思いのほか真面目にフライトする一方で、ついたあだ名は「空飛ぶ胃袋」。お給料のほとんどとフライト以外の余暇はすべて食べることに費やしていました。当時はバブルのさ中でしたので、高価な食事をご馳走になる機会もありましたが、とにかく自腹でピンからキリまで胃袋と時間の許すかぎり食べ歩きました。国内のみならず、CAの特権を活かし、「飛んで行ける全ての地」においてさまざまなジャンル、規模のレストラン、ストリートフード、市場や小売店などを訪れることに多くの時間を費やし、食体験を深めていきました。帰国するスーツケースの中はいつもスーパーで買った食材でいっぱい、検疫で時間がかかるので先輩たちにはとても気を遣いました。同期が蝶よ花よと扱われ、いわゆる玉の輿に乗っていく中、「エンゲル係子」のあだ名もつき、とても対照的な20代を過ごしました。
その後、当時経験する機会の少なかったインド料理と文化をどうしても学びたいと、一念発起、なんとインドの財閥系商社に転職し、2年間を30年前のニューデリーで過ごしました。30年前のインドは想像を絶する世界、生活の近代化のレベルで言えば、若い女性が住むにはかなり厳しい環境でした。そのような中、インドだけでなく、周辺国チベットなどまで足を運び、食を経験しました。追ってこのお話もお伝えしたいと思います。
帰国後、創業者との縁あって日本発祥、海外にもモスバーガーを展開するモスフードサービスに入社しました。「世の中にないものを作る」をモットーに、当時圧倒的なプロダクトアウト力を備えると有名でしたこの会社の商品開発部門の黄金期に加わることができたのです。世界中での食体験を発揮するに最高の環境をいただきました。また、多様な新規事業のメニュー開発、商品企画、海外事業など幅広い経験を積むことができました。このお話も興味深いかと思います。
一方でプロダクトアウトとは真逆の世界、ブランディングとマーケティング戦略を軸に経営戦略を策定、実践を学ぶ環境に身を置き、スキルを身に着けました。その結果、一度は自身のブランドを立ち上げ、経営を行うことが必要と考えて独立。オーナーシェフとして東京都中央区に、無名のところから飲食店を開業しました。2年近くほとんど休みも取らず毎日オープンキッチンに立ち、生のお客様と対峙することで多くの事を学びました。努力が実り、短期間で複数店に展開しました。何より嬉しかったのが、後輩シェフ達を育てることができたことです。同時に専門誌への執筆や企業様へのブランド立ち上げ、業態、メニュー開発などコンサルタントとしての事業も開始いたしました。
このコンサルティング事業をきっかけに、米国大手ハンバーガーチェーンのWendy‘s、世界最大店舗数のサンドイッチチェーンSubwayの国内展開のみならず、アジア地域においてのR&Dイノベーション、調達物流サプライチェーン、品質管理と食の安全を統括する機会をいただきました。世界に展開する米国2大チェーンの本社と働くことで世界の最先端を知ることができました。また、食材だけでなく、包装資材や衣類、消耗備品などのべ2000以上の工場を視察、監査した実績がありますので世界中のあらゆる工場や生産現場、圃場を熟知しています。
さらに、Subwayにおいては店舗、現場を主役とするための営業、オペレーションの統括も任され、約10年にわたる負のスパイラルからの脱出、V字回復を2年間で成し遂げました。グローバルレベルのチェーンビジネス、FCビジネス、その手法とさまざまなパターンを横断的に熟知するに至りました。
現在は飯田真弓事務所を開設し、バリューチェーンの専門家として、サプライチェーンの上位概念であるバリューチェーンおよび各機能の評価、課題解決、戦略策定や実行など、外食のみならず、さまざまな企業様の成長を目指して寄り添い、お役立ちをさせていただいております。
趣味は筋トレとゴルフ。どちらも変態レベルでストイックに攻め、体脂肪率10%未満を常にキープ。ゴルフは2年で90切り。「健やかにしなやかに歳を重ねるコツ」や、「食べても太らない身体作りのヒント」もお伝えできると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
飯田真弓
飯田真弓事務所 代表/ フードサイエンティスト/バリューチェーン構築プロフェッショナル
(一般社団法人)全日本食学会会員
(公益社団法人)日本ヘルスケア協会会員
ライザップBODY MAKEアンバサダー
【特記】
・品質管理、食の安全分野における専門性/GFSIの主要認証、BRCG(旧BRC)ASIAアドバイザリーボード(HACCP,ISOなど食の安全、管理領域含む)
・フードサイエンスおよび官能評価技術/英国グローバルリソースであるLEATHERHEAD FRにて取得
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● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー
読者の皆様のご意見・要望・質問・情報・欄を作成しました。皆様のご意見・要望をぜひお送りください。匿名で掲載させていただきますので忌憚のないご意見をお聞かせください。また皆様が見聞き体験した外食・食材情報もお知らせください。
このFOOD104を支えてくださっている組織にFSPROと言う食の世界の専門家の方が500名ほどいらっしゃいます。皆様のご質問・疑問に答えられるようになっておりますので、ご遠慮なくご質問などをお寄せください。ちょっと時間はかかりますが回答させていただきます。
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● 食ビジネスニュースリリース ————————————■□
7月18日-7月24日
■クリエイト・レストランツ 決算/3-5月期営業利益7.6%減、原材料など高騰
流通ニュース
■ドトール・日レスHD 決算/3-5月増収増益、メニュー拡充・コスト管理徹底
流通ニュース
■すかいらーく/6月既存店売上高16.1%増
流通ニュース
■グルメ杵屋/韓国料理「シジャン」新宮スーパーセンターオークワ南紀店オープン
流通ニュース
■新米4割から5割高で「大盛り無料」「おかわり自由」が消える? “食卓の砦”値上げいつまで
日刊ゲンダイDIGITAL
■サツマイモ発電100% 霧島酒造の工場にスターバックスが新店舗
スターバックス×霧島酒造 初のコラボレーション施設 宮崎県都城市に2026年春オープン
資源の循環と地域とのつながりを生み出す、新しいくつろぎ空間を目指して
Starbucks Coffee Japan
■ドミノ・ピザが期間限定で”シェイクだけ”の専門店「Domino’s Shake Stand OMOTESANDO」を7月16日から21日までの6日間限定で東京・表参道にオープンしています。
同社のサイドメニューで、濃厚な味が人気のシェイクシリーズ「プレミアムシェイク」を7月22日から全店で「ドミノシェイク」に名称変更するのに先立ち、オープンしたそうです。同店では、既存の人気シェイク14種に加え、22日から全店で販売される「夏限定シェイク」の3種類を先行販売するほか、店舗限定の「表参道シェイク」としてクリーミー抹茶、フレッシュピーチ、サマーレモン、濃厚エスプレッソの4種を用意し、計21種類のドミノシェイクを販売しています。この店舗限定の4種の中から最も人気を集めた1フレーバーが、期間限定商品として全国で販売される予定だそうです。
同商品は注文が入ってから作るこだわりの商品で、水を一切使用せず乳脂肪分8 %以上の濃厚なアイスクリームと北海道産牛乳で作り上げられているといいます。また、2019年の発売以来、これまでで累計600 万杯以上を販売するなど売上も好調です。
22日以降には家の近くの店舗でも注文できるようなので、ピザなしでシェイクのみでも注文してみたいところです。また、店舗限定の4種の中で何が1位となるのかも気になります。【A】
ドミノ・ピザ、ピザ屋だけど”シェイクだけ”の本格専門店にチャレンジ!「ドミノ シェイクスタンド 表参道」7月16日-21日期間限定開店!
株式会社ドミノ・ピザ ジャパン
【参考】
■米ハワイ発のカフェが日本に再進出するそうです。
同店を運営するホノルルコーヒージャパンは11月、東京・原宿に再上陸1号店を開業すると発表しました。「ホノルルコーヒー」は1992年にハワイで創業し、ハワイ産の高級豆「コナ」のコーヒーなどを売り物に現地の雰囲気を演出する内装やメニューで人気となっている店です。
2012年に外食チェーンのフジオフードグループ本社が国内でのFC契約を結びピーク時には国内で22店まで展開していましたが、コロナ禍で2022年に一斉閉店し、日本から撤退していました。今回の再上陸では別の国内企業(株式会社エストゥルース)が米ホノルルコーヒーとFC契約を結びホノルルコーヒージャパン株式会社を設立したそうです。同社は今後、年3店程度を継続出店し、当面30店体制にする方針です。FC店の加盟者募集も始めるとしていて、出店地域としては東京の銀座や表参道などの都心部、全国の主要都市、沖縄などのリゾート地を計画しているといいます。
円安により海外旅行に行きづらい中で、国内にいながら気軽にハワイの雰囲気を楽しめるのは嬉しいですね。また、同店の定番メニューであるアサイーボールも、最近の流行を鑑みるとヒットするのかなと思います。【A】
ホノルルコーヒー、東京・原宿に再上陸 日本30店体制へ
日本経済新聞
■ロイヤルホールディングスが7月19日にシンガポール1号店となる「ロイヤルホスト」を開店しました。
出店場所はチャンギ空港の商業施設のJewel内で、ロイヤルHDと双日が共同出資する会社が運営します。メニューはハンバーグなど日本での定番品に加え、黒コショウのソースなど現地の嗜好に対応した品も用意し、客単価は4000円程度を想定しているそうです。料理は日本のセントラルキッチンで仕上げたものが提供されるといいます。また、同社の阿部正孝社長は「まずはこの店に注力するが、シンガポールで新たに数店を展開したい」と語っています。
ロイヤルHDはアジアで「てんや」を中心に出店しており、現在32店をFC方式で運営していて、今後は中国への再進出のほか、イスラム教徒の多いインドネシアなどでハラル対応の業態を検討しているそうです。
3月にJewelに行きましたが、同施設内にはとんかつや蕎麦、ラーメンの店など日本食を提供する飲食店が多かった印象があります。その中で同店が支持を得られるのか注目したいところです。また、Jewel内の飲食店の価格としてビールが1500円弱くらいであったことを思い返すと、同店の4000円という客単価は、日本で考えると高く感じますが、現地では妥当なのかなと思います。【A】
ロイヤルホスト、シンガポール1号店開店
日本経済新聞
【参考】
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● 日本外食ニュースと米国外食ニュース
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<日本外食ニュース>
柏原光太郎(カッシー)さん発行の飲食業界ニュースまとめのリンクです。
柏原さんは、文芸春秋の編集者として活躍され、2023年3月末で定年退職。1967年から続くグルメガイド『東京いい店うまい店』(私が愛用していた信頼のおけるグルメ本です)の編集長を務め、自身もグルメとして知られる有名な方です。
2018年1月に「日本ガストロノミー協会」を設立し会長に就任しています。
食べログフォロワー数5万人。
飲食業界ニュースまとめ #1575 2024/7/18
飲食業界ニュースまとめ #1576 2024/7/19
飲食業界ニュースまとめ #1577 2024/7/20
飲食業界ニュースまとめ #1578 2024/7/21
飲食業界ニュースまとめ #1579 2024/7/22
飲食業界ニュースまとめ #1580 2024/7/23
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発行人:有限会社清晃 代表取締役 王利彰
編集:石川史子、金子佐和美
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このマガジンを発行する王利彰の率いるフードサービスコンサルタント会社有限会社清晃(せいこう)は、海外から日本に進出する外食企業、日本から海外に進出する外食企業のサポート、及び、チェーンレストラン、フランチャイズチェーン展開をする企業へのサポートを行っています。
日本の外食企業では、大手ファスト・フードの殆ど、大手居酒屋、大手ファミリーレストラン、大手ホテル旅館、大手食品メーカー、大手食品卸売業、サービス業等へのコンサルティングを行っています。
有限会社清晃(せいこう)業務内容
王利彰 経歴
ご質問、ご相談はeditor@food104.comにお寄せ下さい。
実務的な仕事だけでなく、外食産業を基礎から学びたい、家業の飲食業を企業にしたい、家業の飲食業を継承したい、外食産業に将来就職したい、
将来独立して飲食業を経営したい、将来外食企業の経営者になりたい、
と思っている方にお勧めするのは、
関西国際大学人間科学部経営学科
http://www.kuins.ac.jp/old_faculty/management.html
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科
立教大学ホスピタリティ・マネジメント講座(毎年9月~12月、30回、受講料5万円)
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kanken/
大学で外食を含む観光分野をきちんと学びたいという方は
立教大学観光学部
杏林大学外国語学部観光交流文化学科
等で学ぶことをお勧めします。
http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/foreign/
王利彰の長年蓄積した調理機器開発のノウハウは最適厨房研究会
http://saitekiken.jp/saitekichubo/
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