2泊3日で中部イタリア、を旅してきました。イタリア半島の南の端のプーリアからど真ん中、ウンブリアへの旅、片道車で6時間ほどかかります。
ウンブリアと言えば、州都ペルージアに中田英寿選手が所属していた頃、同じセリエAにいたプーリアの州都バーリのチームとの試合を見に行ったことがあります。
ペルージアから遠征してきたファン達がバーリの選手に向かって「アフリカへ帰れ」とヤジを飛ばしているのを聞いて、バーリには当時アフリカ出身の選手がいなかったので「何故??」と思ったことが記憶に残っています。
後でサッカーファンの義理の弟に聞いたところ、「多分それは、イタリア中部のウンブリア人は自分達こそが真のイタリア人で、地理的にアフリカに近いプーリア人のことを蔑んで言ったに違いない」との見解。
熱狂的サッカーファンが暴動を起こすこともあるため、スタジアムには警官も配備されていることも衝撃でしたが、イタリア人の郷土意識にもびっくりしました。
イタリア半島の中央を南北に貫くアペニン山脈の山の恵みと豊かな水源がこの地方の特徴です。
目的地のひとつ、マルモレの滝は古代ローマ時代に築かれた人工の滝。現在も水力発電所と連携して稼働しているため水量制御されており、水門を開けるタイミングのダイナミックな水の流れは観光の目玉となっています。川のないプーリアではお目にかかることのできない豊かな水の流れとマイナスイオンを堪能しました。
山の恵で言えば、黒トリフが名産です。お昼にはトリフ尽しの前菜とイノシシ肉のラグーをいただきました。トマトの使われていないラグーもプーリアとは違います。パスタソースの塩味が強いなと感じたのですが、パンを一口食べてなるほどと思いました。パンに塩気がないのです。塩気のないパンはそれだけで食べると味気ないのですが、塩気の強いソースと一緒に食べるとちょうどいいのです。
古くから小麦の生産地でもあり、大規模な塩田のあるプーリアと山間地域のウンブリアではパンや粉物の文化が違うのは当然のことでもありますね。
イタリア3大ゴシック建築の一つと言われる壮大な大聖堂のあるオルヴィエートという町の老舗レストランでは、メニューにとても伝統的というか、一昔前の世界的によく知られている料理ばかりでちょっとした驚きがありました。それでも全てがオルヴィエート風です。
例えば、「鶏肉の猟師風」と言う料理。各地で色々なヴァージョンのカッチャトーレ(猟師風)があります。基本は鶏肉とオリーヴの実が入り、オリーヴオイルと白ワインにローズマリー、セージ、ローレルなどハーブ類を加え、蒸し煮にしたものですが、この街のレシピはトマトや香味野菜などは一切入らないシンプルなもの。
弾力と旨味の強い鶏肉の味が引き立ちとても美味しかったです。手で持ってかじるように食べてくださいと言われ、ウエットテッシュを持って来てくれました。
地元ワインのお勧めを伺ったところ、「まずはうちのハウスワインを試飲してください。そしてそれを基準にお好みを聞かせてくれれば合うものをお選びします。」と言って栓を抜き並々とグラスに注いでくれました。結局その店オリジナルのラベルのついたハウスワインが美味しくて、そのボトルをそのままいただくことに。 店主の自信に満ちたサービスに心地良さを感じました。
自然条件や町の歴史がその土地の郷土料理を作り、住む人々の気質にも大きく関係していることを感じました。