今日3月8日は、国際女性デー。イタリア語ではFesta delle Donne (フェスタ デッレ ドンネ)です。男性からも女性からもおめでとうメッセージが届きます。先週3月3日は雛祭りでもあり、なんなら3月第1週は女性週間でもよいですね。
雛祭りは桃、フェスタ デッレ ドンネはミモザの花がシンボルですが、最近では日本でもミモザを贈る習慣が知られるようなってきたようですね。今年我が家の庭ではミモザはすでに散り、桃はこれからです。今はアーモンド、レンギョウなどが咲いています。色々な花々が順番に盛りを迎える華やかな季節です。
カトリック教的には、この時期は2月のカーニバル(謝肉祭)から4月の復活祭(イースター)までの40日間、キリストの受難を記念する四旬節という重要な祭り事が行われます。伝統的には肉は食べないというのがポイントです。今では厳格にその教えを守る人は少数ですが、私の周りでも金曜日だけは肉を食べないという人は少なからずいます。
そんな時期にぴったりだと思えるプーリアの郷土料理の一つが、「チーチェリ エ トリア」です。これは特にプーリア南部サレント地方のレッチェ周辺でよく食べられています。
野菜の出汁で煮たひよこ豆を平たい生パスタと一緒に食べる料理です。生パスタは半分は茹でて、半分は油で揚げて加えます。油で揚げたパスタが入ることで、味に深みが加わり、食感も楽しめる一品になります。
肉の代わりに満足感を得られるための一工夫ですね。暖炉が唯一の暖房設備だった頃、お父さんやお母さんが畑仕事に出ている間、おばあさんがひよこ豆の入ったテラコッタ製の壺を暖炉の片隅に置いて、粉と水で生パスタを捏ね、子供と一緒にパスタを捻る情景が思い浮かびます。これぞスローフード、スローライフの真髄のような料理です。
チーチェリというのは方言でチェーチ=ひよこ豆のこと。トリアとはアラビア語でパスタという意味だそうです。エジプト豆とも呼ばれ中東原産のひよこ豆ですが、インド料理でもよく使われていますね。
古代ギリシャ時代からオリーヴオイルが生産されていたプーリアでは揚げ油もオリーヴオイルだっただろうと考えるとさらに地中海の歴史を感じる料理でもあります。
春を迎える前のこの時期、デトックスの意味でも肉を食べないというのは健康的で理にかなっているような気もします。もっとも復活祭の日にはまた私がご馳走マラソンと呼ぶ盛大な宴会が恒例なので、その準備とも言えますが。