Burger King のマニュアル 第5回

レストランチェック

バーガーキングは直営がほとんどなく、大手企業フランチャイジーが中心で、マニュアルは店舗の作業が中心である。もちろんアルバイトのトレーニングなど一部のマネージメントが必要であるが、それについての詳細は別途参照として本文の簡素化を図っている。

マクドナルドのマニュアルでハンバーガーの調理作業の説明には、調理機器の写真などを数多く載せていて、まるで百科事典のようだ。

 調理機器の写真等は細かい部分まで写っているので注意散漫になる。バーガーキングはオペレーション中心で、写真の代わりにイラストを使い、アルバイトに理解しやすくしている。

バーガーキングが日本に最初に進出した際は、アルバイトや店舗社員向けのオペレーションマニュアルしか持ってこなかった。しかし米国本社には、マクドナルドのようなマネージメントや調理機器メインテナンスのマニュアルがあるはずだ。

 第3回で述べたが、親会社がピルズベリー時代の1978年にマクドナルドの経営陣からCEO候補であったドナルド・N・スミスを引き抜いた。ドン・スミスは会社のすべてのレベルで業務を再構築した。メニューの拡大、新しい標準化された店舗などだ。ドン・スミスは次期CEOと言われながらも当時実力あるCEOのフレッド・ターナーの長期在籍を嫌い、バーガーキングに移籍した。

当時私も在籍していたが、マクドナルド経営陣に大きな衝撃を与えた。ドン・スミスはフレッド・ターナーの子飼いであり、数千店舗の直営店の運営から、フランチャイジーの管理、マーケッティング、調理機械の開発まで、熟知していたからだ。以下にアルバイトのトレーニングを述べた部分があるが、マクドナルドのマニュアルとそっくりだ。

 ただ日本マクドナルドのマニュアルは日本側で実際に検討して日本化しているが、バーガーキングのマニュアルは英語から日本語への直訳にすぎない。このあたりが、海外展開に遅れた理由だろう。

クルーマネージメント(一部のみ)

はじめに

 レストランマネージャーとしての成功は、クルーと呼ばれる従業員の募集、採用、研修、意欲づけにかかっています。この章には質の高いチームを結成し生産性を上げ、従業員の離職率を低下させる助けとなるガイドラインをまとめました。

 質の高いチームを結成するために時間を投資しましょう。これ以上のよい投資はありません。

一覧表

*項目

募集

面接と採用

オリエンテーション

研修

身だしなみ

モラルと意欲づけ

クルーの定着

募集-必要条件

 成功するためには適任者を採用しなければなりません。レストランニーズを分析し、信頼できる筋から採用するようにします。次のような場所から募集します。

・高校(ガイダンス・カウンセラーや校内新聞)

・大学

・地域の広報やラジオCM

・ワーク・スタディ・プログラム

・高齢者を対象にした各グループ

・保護者会

・従業員の紹介ボーナス・システム

・州の就職斡旋事務所

・地域グループ、青少年グループ、慈善団体など

注)これ以外のアイデアについては資材部の「ピープル・カウント・キット」を参考にしてください。

<就職希望者>

就職希望者は申請書に記入し次の条件を満たさなければなりません。

・資格条件

・勤務時間の条件

注)申請書には書き込みを行わないこと。これは法的文書です。

<年齢>

 18才以下の青少年の採用については、レストランマネージャーが連邦及び州の労働法を確認することが大切です。雇用主は連邦と州の児童保護法の規定が異なる場合、より厳しい規定に従う義務があります。州法を理解しておくことが必要です。

疑問がある場合にはレストランのフランチャイズオーナーまたは本社のヒューマンリソースマネージャーまでお問い合わせください。

 14才に満たない児童は採用できません。

<14才と15才の青少年の場合>

米国連邦法:以下の勤務時間と職務範囲の制限内で許可されます。

勤務時間――14、15才の青少年は次の時間帯に労働することはできません。

・学校の授業時間中(ワークスタディプログラムなどは例外)

・午前7時以前と午後7時以降(ただし6月1日からレイバー・デイ(米国カナダの祭日 )までは午後9時以降)。

・学校のある日は3時間以上は勤務できません。

・学校のある週は1週間に18時間以上は勤務できません。

・学校がない日でも8時間以上は勤務できません。

・学校がない週でも1週間に40時間以上は勤務できません。

勤務制限――14、15才の青少年は労働局が危険とみなす職務を行うことはできません。

・機械や装置の清掃、操作、修理

・クーラー/フリーザーに関する仕事

・トラッシュ・コンパクター、梯子、刃物などを扱う仕事

勤務制限――14、15才の青少年は次の仕事はできません。

・ブロイラー、フライ・ステーションその他調理を必要とする仕事

・お客様から見えない場所での調理台

米国内の本社直営のレストラン:14、15才の採用は許可されていません。

<16、17才の青少年>

米国連邦法:資格と勤務制限

・16、17才の青少年は労働局が危険とみなす職務を行うことはできません。

 米国内の本社直営のレストラン:職務によって採用

・16、17才の青少年は労働局が危険とみなす職務を行うことはできません。

・16、17才の青少年は学校からの労働許可書(州の労働局により義務づけられている場合)が必要です。それ以外は次のような書類で年齢を証明することが必要です。

出生証明書、パスポート、運転免許証、軍または州発行のIDカード。これらの書類のコピーはレストランのファイルに保管しておかなければなりません。

<18才以上>

年齢証明については州の労働局による基準を参照してください。

面接と採用-推薦事項

 面接は、質の高い従業員を採用するために重要なステップです。お客様へのサービスに影響を与えずに面接ができるよう、1日のうちで客足が遅い時間帯を選んで面接を予定しましょう。騒音や邪魔を避けるために、ダイニングルームの空いている場所を使います。他のマネージャーに自分の仕事を割り当てておき、途中で面接を中断しないようにします。

就職希望者の職場での成功をより確実に見極めるため、面接にはレストラン側から2人が臨むことを薦めています。

<面接の準備>

1.技能と資格を検討します(「クルーの職務範囲」の見直し)。

2.申請書を読み、別の紙に必要なメモを取ります。

3.「はい」や「いいえ」だけでなく相手の意見を聞き出すような質問を用意します。

<面接中>

1.リラックスできる雰囲気を作り出します。

2.簡単に仕事について説明します。

3.面接の目的と過程を説明します。

4.仕事だけに関する質問をして相手から次のような点について答えを聞き出します。

-必要な職務を達成できる能力

-過去及び現在の職歴(該当する場合)

-前の仕事を辞めた理由

-勤務できる時間と柔軟性

-バーガーキングに興味を持った理由

-法的に就労が許可される立場にあるのかどうか

5.面接中は80/20を達成するよう心がけます。これは就職希望者が80%話し、面接者が  20%話すということです。

6.熱心に相手の話に耳を傾けたり、別紙にメモを取ります。

7.就職希望者の質問に答えます。

8.米国内の本社直営レストラン:採用を決めたいと思う場合には、その採用者にはバーガーキング本社のアメリカ市民に対する身体障害者条例への取り組みを示す「クルーメンバー職務内容」のビデオを視聴させなければなりません。ビデオやビデオプレーヤーが利用できないときにだけ、レストラン内を見学させて実際の職務内容を説明します。

9.面接の締めくくりとして、就職希望者に何か質問はないか尋ねます。

 面接中にマネージャーがどのような態度をとるかによって、就職希望者のレストランと企業に対する第一印象が決まります。よく準備された面接手順と企業の従業員に対する期待を積極的に提示することにより、優れた人材を引きつけるとともに、「楽な仕事」を探している就職希望者を遠ざけることができます。

<採用>

1.決められた基準に基づき就職希望者の資格を検討します。評価の理由を明記します。

2.採用するかしないかを提案します。

3.身元を照会します。申請書に記載された雇用年月日や賃金などの内容を確認します。

4.レストランマネージャーとアシスタントマネージャーは面接時のメモなどを比較し、採用決定もしくは可否の理由を述べ、決定内容には両者が同意しなければなりません。

5.約束した日までに就職希望者に連絡を取り、採用に関する決定内容を伝えます。

オリエンテーション-必要条件と推薦事項

質の高いレストランチームを築くためには、新規採用したクルーメンバーの勤務初日にオリエンテーションを行うことがその第一歩となります。オリエンテーションがクルーのトレーニングのキー・ステップといわれているのは、これがクルーのバーガーキングや勤務するレストランに対する第一印象を左右するからです。

新人を歓迎し、レストランチームの大切な一員でありレストランの成功に不可欠な要因であるという自覚を持たせるのはマネージャーの心がけしだいです。

<オリエンテーション・チェックリスト>

マネージャーの準備:(推薦事項)

用意するもの:

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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