<1>ダイニングイノベーションは全店舗を閉鎖です。居酒屋業界のsublimeが開いた吉祥寺bex burger も撤退です。
コロナ禍で一時活況を示していたのはハンバーガー業態で、外食業界大手も進出していました。積極的だったのは牛角の創業者で今はおしゃれな店や、焼肉ライクを経営するダイニングイノベーション社長の西山さんです。
最初に中目黒に持ち帰り専門店を開店し話題になると、代官山にチキンバーガーのDOO WOP を開店し、更に渋谷のファストフード激戦地におしゃれなグルメバーガースタイルのブルースターバーガーを開きましたが、ハンバーガー業態全店を閉鎖です。
吉祥寺に開いた bex burger、 私は美味しいし、調理機器も開発するなど気合が入っていると、高く評価していたのですが、開店すぐに火事を出し、その後今年5月に改装と言って伸びて、7月の再開したのですがすぐに全店閉店です。
閉鎖の理由はファストフードのハンバーガーはもうからないということです。特に現在のように低価格のマクドナルドが3000店舗展開する中では難しいということですね。日本でハンバーガービジネスに参入するのはコストが高いのです。
マクドナルドのハンバーガーの肉の重量は45g、1ポンドの1/10です。米国のスーパーではこのサイズの肉もバンズも市販しています。日本でもコストコに行けば、クオーターパンダーの肉113gとバンズを置いているように標準規格です。バンズはどのパン屋も作っており、バンズを焼く鉄板も市販です。また、農産国である米国では、牛肉も小麦もポテトも自国産か隣のカナダ産が豊富にあります。調理機器も特殊でなくどこでも入手可能です。
それに対し、日本ではすべて開発しなくてはいけないのでコストが高いのに、マクドナルドの低価格戦略により、価格を抑えなければならず、採算が取れないのです。
まだ頑張っているのが鳥貴族のToriki Burgerとロイヤルのラッキーロッキーチキンです。鳥貴族のToriki Burgerはマクドナルドの経験者を複数入れ、厨房もきちんと生産性を上げるように開発しています。ロイヤルのラッキーロッキーチキンは、過去2回のハンバーガー業界参入の経験から、採算性の良いチキンバーガーを持ち帰り中心の小型店で参入しています。
閉鎖の情報記事
<a><<ブルースターバーガー>> 中目黒1号店 王の過去記事
<価格は低く>
ネットでの事前注文で家賃や人件費を削減。一般的な飲食店の原価率が平均30%前後なのに対し、「ハンバーガー」は、商品価格170円(以下税別)の原価率を68%に設定している。「ハンバーガー」以外のメニューは、主力商品の「ブルースターチーズバーガー」が単品290円。そのほか「チーズハンバーガー」(単品190円)、「2×2ブルースターチーズバーガー」(単品430円)など。
プラス300円で「ドリンク・ポテトセット」を付けても1,000円以内に余裕を持って収まるような価格帯となっている。パティは、冷凍していないビーフ100%のものを使用し、注文を受けてから店舗で焼き上げて提供する。ポテトは、店舗で生のじゃがいもを裁断して揚げている。
<注文システム>
独自のモバイルオーダーシステムを導入、オーダー・決済・受け取りの全てを非接触で行い、完全キャッシュレス化・テイクアウト専門店としています。モバイルオーダーシステムはOkage株式会社と、ダイニングイノベーショングループの共同開発です
<店舗訪問の印象>
フレッシュネスバーガー創業者の栗原さんがザインしたような、手造り感を出すため木を多用しペンキで簡素に仕上げています。牛角創業者でキンタンなどのおしゃれな店を経営する、ダイニングイノベーションの西山さんの店とは思えません。
牛肉のパティはフレッシュなのは良いのですが、筋肉の除去していないなど、細部がイマイチです。肉のメッシュは荒く肉肉しさがありますが、脂肪率が高く、グリドルの温度が高いので、ゴツゴツした仕上がりです。グリドルはマクドナルドにも納入していた1流のメーカーの汎用品の電気グリルです。
バンズは峰屋のような甘めで良いのですが、サラマンダーで焼くので美味しさが出ません。チーズは凝った味で、グリドル上で焼き上がったミートにしばらく置くので、溶けて美味しいですね。
ポテトは北海道十勝産のフレッシュを使っているのが売り物で、店舗でカットし、水洗い、水切り後あげるという凝りようですが、カラッとしていないし、狭い店舗向きではないですね。フレンチフライはラセットバーバンク種をアイダホで栽培したものがベストです。揚げる芋と蒸す芋とは違うのです。
ハンバーガーチェーンで一番大事なのは、フレンチフライです。ハンバーガー類は原価率が30%から40%と高く、ハンバーガーではもうかりません。フレンチフライは原価率10%台で、セットで売れてやっと利益が出るのです。
マクドナルド創業者のレイ・クロックさんはハンバーガーは汎用品の規格でしたが、フレンチフライには物凄く力を入れていました。フレンチフライの基準はゴールデンブラウンという美味しそうな色と、長さ、中ホクホク外カリッとした仕上がりが大事です。その秘密は米国北東部のアイダホで育てた、ラセットバーバンクという種類です。
大きくて長いフレンチフライになります。日本ではポテトを蒸かしたり、煮物として調理しますから色の変化を気にしません。フレンチフライは油で揚げるので、成分の糖分が変色するのが困るのです。日本の芋は中に糖分が多く黒い揚げ色になるのでフレンチフライには向いていません。
マクドナルドも日本進出時は北海道のジャガイモを使っていましたがおいしくありませんでした。クロックさんはポテトの研究者で博士号を持っているポテト博士を日本に何年も派遣して品種改良をしました。もちろんラセットバーバンクを持ってきましたが、土壌と気候の違いで成功せず、アイダホから輸入することになったのです。
マクドナルドでは冷凍フレンチフライの管理には最も気を使い、荷造り、運送の仕方、店舗での扱いに厳しいマニュアルを設定していました。
また、工場での栽培から収穫後の保管期間と温度、水洗い、一度揚げに厳しい基準を作っています。店舗で使うフライヤーの性能や、温度管理も厳しい基準を作っています。また使う油も大事で、初期はバターのような香ばしさの牛肉油脂を使っていました。今でも日本は使っています。
ドリンクのレモンサワーは美味しいのですが、他のドリンク種類が少なすぎです。実はポテトの次に儲けるのが、炭酸飲料です。マクドナルドは全世界で使うとコカ・コーラと契約しているので普通の1/50以下の納入価格です。
さらにスイート系のデザートやアイスクリームなどがないのは残念です。マクドナルドの創業者のクロック氏が、退任後も引退先のサンディエゴに自分の研究所を設置し、アイスクリームやサンデーの研究をしていました。
クロックさんが亡くなった後、未亡人の方が訪日し、店舗を訪問した際に注文したのは甘すぎるチョコレートファッジサンデーだけでした。米国人にとって食後のデザートは欠かせないのです。
専用のアプリで事前に注文したのですが、なかなか良いアプリでした。でも、年齢の入力欄が50歳までしかないのは差別ですね。ハンバーガー170円は安いし、これからの改善に期待しましょう。
公式HP
情報HP
モバイルオーダー
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<b><生パティが魅力の本格グルメバーガー専門店「BLUE STAR burger Gourmet 113 渋谷宇田川店」>2022年5月王記事
西山さん率いるダイニングイノベーションのブルースターバーガーの新業態。渋谷宇田川町の新店舗。バンズも肉もソースも中目黒よりおいしくなったのだけれど、中目黒よりハンバーガーの肉を大きくしたせいか、価格が高くお金のない若者の街にはちょっと難しいかな。
渋谷でファストフードの立地は若者が集まるセンター街です。でももう立地がないせいか、センター街に近い井の頭通りの角地に店を構えました。中目黒のブルースター1号店の肉はマックのレギュラー45g位(1/10ポンド)、渋谷は113g(1/4ポンド、マックのクオーターパウンダー)くらいです。大きくなった分価格も高く渋谷のセンター街の横、井の頭通りでは難しそうです。
渋谷に来るのは10代の若者が多く、主目的はファッションなどの買い物で、食事にはお金を使いません。肉もソースも中目黒より良いのだけれど、残念ながらガラガラです。ナゲットのバーベキューソース、マスタードソースも美味しいですね。ハンバーガーの肉も中目黒より格段に向上。筋肉もなく美味しいですね。フレンチフライも長くカリッとしています。ナゲットもちょっと大きめで美味しいですね。
店舗デザインも中目黒と違い、代官山のDooWop代官山店(ドゥーワップ)と同じデザイナーかな?デザインはメタリックも使い、米国の古いダイナーのイメージで、若者を意識していますがちょっと冷たい感じかな。
ダイニングイノベーションの西山さんの焼き肉店KINTANの各店のデザインは女性向で良いのだけれど、ファストフードはいまいちですね。近所には明るい色を使い温かみのあるトリキバーガーもあり、価格も安いので繁盛しています。
この渋谷はハンバーガー激戦地。マックはもちろん、バーガーキング、ファーストキッチン+ウエンディーズ、fatburgerもあります。
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<2>鳥貴族のToriki Burger大井町 2021年9月 記事
Toriki Burger やっと訪問。
Duke のホールディングユニット使っているのでサービスは早いですね。
厨房のレイアウトしっかりと検討したそうですが、変形の厨房でちょっと苦労していますね。
サンドイッチの開発はよくできていますね。気に入ったのは白いバンズを使ったサラダチキン。女性に人気出そうですね。トリキバーガーはフライした胸肉ですが、しっとりして美味しいし、ボリュームがあります。
弱点はフレンチフライ。短いし、揚げ色が黒くて、フワフワ。フライ向きの種類に変えないといけませんね。デザートは美味しいのですがちょっとボリュームが少ないし、特徴がないですね。
でもさすがトリキブランド。行列です。
今は開店人気で行列ですが、落ちつくと苦労する立地です。
大井町には日本進出初期のマクドナルドが阪急ホテル1階に開店しましたが、月の売り上げが600万円くらいと苦労した思い出があります。その後閉店するか改装するか迷い、増床大改装し、客席とデザイとのレイアウトを米国から輸入し改善した苦労を思い出します。
坂の多い町で、電車の線路と河で商圏が分断され、自転車や歩行での来店が少ないのです。また店前に坂があり、店舗正面入り口には階段があるのも風水から見て駄目ですね。
レジはセルフレジですが、モバイルオーダーシステムで苦労していますね。
<3>ロイヤルの3回目のハンバーガー業態ラッキーロッキーチキン武蔵小山
ロイヤルホストの新業態 武蔵小山 2021年5月開店
「Simple&Craft&Green」をコンセプトに、アメリカでコンフォートフードとして親しまれているバターミルクフライドチキンとフレッシュキャベツのビネグレットサラダを手作り品質でご提供するこだわりのファストフードショップです。
私たちがこだわるのは商品のクラフト(手づくり)感。国産鶏むね肉の柔らかな肉質や凝縮される旨み、12種類のオリジナルスパイスミックスの癖になる味わいが特徴です。
店名が長いのは、ラッキーチキンにしようと思ったが、同名のビールがあるので長くなった。鳥胸肉をバターを取って脂肪分が無い牛乳につけたバターミルクチキン(米国南部のお袋の味、コンフォートフーズ)大人の女性をターゲットにした商品価格設定.子供向きではないですね
九州のチキン 胸肉 100g
北海道のバターミルク
種類は3種類
オリジナルは500円
チーズ コルビージャック 650円
エッグタルタルソース. 650円
とちょっと高め設定です。
サンドイッチはバンズ、チキン、キャベツサラダの組み合わせに、コルビージャックチーズや卵たっぷりのタルタル味です。
チキン単体300円です。
クラフトコーラはクセがある面白い味ですね。
キャベツサラダにビネグレット・ドレッシングはさっぱりしています。パクチーなどの隠し味で凝っています。ポテトはオランダ産で色が黄色で綺麗です。パロマのパルスフライヤーであげて高品質にしあげています。大人のバーガーで缶ビールがあります。非常事態宣言下で現在は販売していませんが。
ブルックリンラガー
スプリングバレー
一番搾り
とちょっとこだわったビールを置いています。
年内10店舗目標だそうで吉祥寺にも出店しています。
<4>吉祥寺 bex burger 王記事 2021年10月
最近ハンバーガー業界へ他の外食産業からの参入が多いですね。今回は、個性的な飲食店を運営している「株式会社subLime」のハンバーガー業態です。
ダイニングイノベーション率いる西山さんのブルースターバーガーのコピー版ですね。
ハンバーガーの味は良いのですが、すぐ店舗が火事になったり、半年もたっていないのにハンバーガー150円を250円に値上げするなど右往左往です。
開店当時は調理は2台のコンベアーブロイラー(オーブン)で、ミートパティとバンズを別々に焼いていました。火事の後、炎が出るミートパティをフラットグリルで焼き上げ、残り1台のコンベアーブロイラーでバンズを焼いています。
オペレーションは最悪ですが、最近の新規参入組では一番おいしいです。特にバンズ、ミートパティ、おいしいですね。ソースも良いですね。ただ調理機器とオペレーションが問題です。ポテトを袋詰めするのにバギングスクープを使った後、手で補充していました。
差別化で直火のコンベアーオーブンで焼いていたためか、すぐ火事出していました。
2021年5月15日にオープンしたばかりの6月3日15時半頃火災を起こしてしまいました。今では1台のコンベアーブロイラーを撤去しフラットグリルを併設して使っています。
ミートパティはフラットグリルで焼き、バンズをコンベアーブロイラーで焼いています。厨房のフライヤーで使っているはmarzenでした。使っているタイマー(コンピューター?)はびっくりドンキーの新業態ディッシャーズと同じです。
コンベアーブロイラーは、米国BURGER KING バーガーキングで使っています。マクドナルドで使っているフラットグリルやクラムシェルグリルと違って、本格的なバーベキューの香りがします。
コンベアーブロイラーは味も良いし、上下から焼き上げるので、フラットグリルのようにミートパティをひっくり返す手間がなく、生産性が高いのです。欠点は上下から直火(ガスや電気ヒーター)で焼き上げるので発生する煙や煤が多いし、炎が上がって排気ダクト内に溜まった煤に着火し、火災になるので危険です。
日本と米国で大きく違うのは排気ダクトの材質と構造です。米国では厚さ1.6mmの鋳鉄を溶接して作り、途中には何もありません。中にたまった煤に着火し、炎が出ても大丈夫なようになっています。
日本の排気ダクトは薄いブリキ板で作り、途中にダクトダンパーを置き、火災発生時にはダンパーで排気を遮断し、火災を防ぐようにしています。しかし、ダンパー周囲に煤がたまり、固着し排気ダンパーが動かなくなります。
その対策として、年に一回の清掃を行い、さらに最近は自動消火器を内蔵させ、安全性に留意しています。米国では月に一回屋上から高温のスティームクリーナーで洗い流せばきれいになります。
バーガーキングが日本に初出店する際に見ていたら、排気ダクトがあっという間に煤で詰まってしまい、対策としてコンベアーブロイラーの排気部分に触媒燃焼装置を設置し、煤を燃焼させるようにしました。
バーガーキングは当初はコンベアーブロイラーだったのですが、ミートパティの種類が増えて、コンベアーをやめ、複数のブロイラーFlexible Batch Broilerを使っています。メーカーはDUKEとNIECOです。DUKEは焼き上げたミートパティなどを保温する機器でも有名です。
マクドナルド創業メンバーの天才エンジニア―のジム・シンドラー氏がNIECOブロイラーの生産性の高さに注目し、全自動ハンバーガー調理機を開発し、後にクラムシェルグリルになりました。
bex burgerは本格的なハンバーガーを目指して、ブロイラーを日本で開発させたのでしょう。でも動画を見ていたら、ハンバーガー・ミートは片面しか焼けず、途中スパチュラでひっくり返すという無駄な作業が必要でした。
バーガーキングが使っていたコンベアータイプのブロイラーは2段になっており、上段にはちょっと太めのチェーンで、上下の直火でミートパティを途中でひっくり返すことなく焼き上げ、下段は過熱した鉄板に焦げ付かないようにテフロンシートを引きコンベアーにバンズを載せバンズを自動的に焼いていました。
bex burgerのコンベアーグリルは幅1cm位の細長い鉄板をつないでそのうえで焼いています。直火だけでなく鉄板に蓄積された熱も使うようです。バンズの焼け面には鉄板の跡がくっきり残っていました。バンズは鉄板で焼いたほうがきれいに焼けます。
bex burgerのオペレーションや機械には色々問題ありますが、米国風の本格的な調理法に取り組んだのは評価できます。米国で従業員懇親のリクレーションにピクニックがあります。米国には公園があちこちにあり、公園内にはピクニックエリアという、バーベキューグリルを備えた施設があります。
スーパーにはミートパティとバンズ、ホットドックとホットドックバンズ、ケチャップ、マスタード、ピクルス、レタス・トマトを売っているので、それらの材料と炭を買ってきて、ハンバーガーやホットドックを焼き上げます。
注意しなくてはいけないのは、このピクニックエリアでしか食事、特にビールなどの飲酒はできないということです。
普通の家の裏庭にも、大型のバーベキュウグリルを置いて、陽気の良い日には家族や友人たちとバーベキューを楽しみます。家のバーベキューでは大きな牛肉の塊(安いチャックやブリスケット)を時間かけて焼き上げます。大型のバーベキューピットをレンガなどでこしらえている家では、子豚の丸焼きなど豪快なバーベキューを楽しみます。
DUKE
http://206.196.98.11/industries-served/qsr-broiler.aspx?tab=GetStarted&category=WEBSITE_HSHU&print=true
コンベアータイプ
Flexible Batch Broiler重ねるタイプ
Flexible Batch Broiler 仕様
NIECOの情報
動画
bex burger火事の情報
bex burger初期の調理方法
bex burger現在の調理方法
参考にしたと思われるBURGER KINGのDUKEとNIECOのブロイラー調理方法
以上