福岡県の中央付近にある朝倉市、その奥に位置するのが秋月地区です。
このコラムでもなんどかお伝えしています。
黒田藩の奥座敷、谷沿いにある秋月城を中心にした小さな城下町は、開発が遅れた分、桜の季節、紅葉の季節と古い町並みが彩りに溢れて素敵になります。
観光客も溢れるので、コロナ禍で出足の鈍い今がチャンスかもしれません。
さて、その秋月周辺は、筑前の南端に当たります。飯塚、筑豊との境目にある古処山系の南面から筑後川に向けての谷筋には、ブドウや梨の果樹園が広がっています。
この季節は、梨が美味しいですね。8月初旬の幸水から始まり、続いて豊水、晩秋の新高と出荷されます。最近、幸水と豊水の間に「あきづき」という品種が登場しています。
その名前を聞いて、福岡県産かなと思いましたが、茨城県筑波産でした。秋の満月を思わせる姿にちなんで名づけられたそうです。
幸水、豊水を掛け合わせたという赤玉で、豊水より大玉。シャクっと噛むと口いっぱいに爽やかな甘味が広がります。最近の果物の糖度至上主義に寄り過ぎず、程よい甘さは好感が持てます。
昨年いただきもので食べたのが美味しかったので、送ってくれた友人と一緒に農家さんを訪ねました。ちょうど豊水から切り替わった初物をいただきました。台風が近づいていて、これからの果樹に影響が出なければ良いけどね、というタイミングでした。
収穫直後の施肥や、剪定、防除などの準備から、花が咲き実がついたら、摘果、袋掛けと手間が掛かります。その手間が美味しさを支えているのですね。
遠くに住む友人に送る手配をして、自家用を頂いて帰ることにしました。