「料理人はリレーのアンカー」〈PORTTAVOLA〉

立教大学生インタビュー

※宮城大学3年 加藤さんのレポートです。

まるでフランスに来たかのような錯覚に陥る程真っ白な外壁に覆われた洋館が、閑静な住宅街の一角に建っています。宮城県仙台市泉区紫山に位置するイタリアンレストラン「PORTTAVOLA」です。
中に入ると清潔感のある広々とした吹き抜けの空間が広がっています。

PORTTAVOLA(ポルタ―ヴォラ)とは、食材や人が集まる「港」や迎える場所の入り口となる「扉」を意味する「Port」と、食卓やテーブルを意味する「Tavola」を掛け合わせた造語です。『みやぎの食材を堪能する旅へ』、そんなコンセプトをもとにシェフの瀬戸正彦様は地産地消を心掛けた料理を提供しています。

私たちはIngresso Aというコースで、こだわりのある素敵な食器と共に、スープ、前菜、メインとデザートを頂きました。地産地消を取り入れた、素晴らしい食材そのものの風味を感じるためのシンプルな味付けになっています。食材の魅力を引き出すプロの瀬戸シェフにお話を伺いました。

瀬戸様は食材王国みやぎの魅力を伝える「伝え人」の一員です。
そんな瀬戸様から見た宮城の生産者は自分で育てた作物を「大したことない」というように、控えめで優しい方が多いという印象を持たれているようです。しかし実際は手間暇かけて作られた質の良い食材ばかりで、ポルタ―ヴォラの強みはその食材にあります。

瀬戸様は生産者のもとへ自ら足を運び、食材を仕入れる「地産地消」を積極的に取り入れています。地産地消を取り入れたことで人とのつながりを感じることができたそうです。

宮城には素晴らしい生産者、料理人そして流通業者がいますが、その点と点がなかなかつながらず、線にならないのだと瀬戸様は仰っていました。そこで、料理人が「地産地消」をテーマにすることで点と点がつながることに気づいたそうです。
素晴らしい食材を生産者が育て、それを流通する人がいて、料理人である瀬戸様がリレーのアンカーとしてその食材を受け取り、お客様に提供する。地産地消とは食材を引き渡すリレーなのです。

生産者は今まで自分が作った食材のゴールを自らの目で見ることができませんでした。しかし、ポルタ―ヴォラのようなレストランと直接取引をすることで、自分が育てた食材がどのように調理されているのか、どんなお客さんに食べてもらえて、どのように喜ばれているのかなどを直接自分の目で確認することができるようになりました。瀬戸様もお客様からの食材に関する感想をフィードバックすることを心掛けており、生産者とこのようなキャッチボールを行うことで食材のクオリティも徐々に向上していくのだそうです。
その生産者が「うちの野菜、ここのレストランで食べることができるのだ」と、新しいお客さんを連れてきてくれることが一番うれしいと瀬戸様は仰っていました。

このように瀬戸様は地産地消を心掛けているのですが、これからは地産外消を意識していく必要があると感じているそうです。
もともと観光で宮城を訪れた人が「みやぎの食材を堪能する旅」をできるようにポルタ―ヴォラをオープンしました。これは地産地消だけでは地域活性に限界があると感じていたからだそうです。もちろん宮城の食材は質が良いものが多いため、それを県内だけでなく県外、そして海外の人にも知ってもらいたいという思いもありました。
だからこそ瀬戸様は地方の郊外である紫山にフレンチのお店を構え、都会から人を呼ぶ活動を行っているのです。そのためポルタ―ヴォラでは都会で食べることができるフォアグラやトリュフなどは使用せず、宮城の魅力を知ってもらうために宮城の食材そのものの味を生かす料理を提供されています。

瀬戸様はサスティナブルや食品ロス問題にも目を向けています。扱いにくい食材をあえて使用したり、大量に採れすぎたと生産者が悩まれている野菜を使用してスープにするなどの工夫をされています。

食品ロスをなくすために行っていることは、完全予約制にすることだそうです。フリーのお客さんを受け入れるようにすれば、何人来ても良いように食材を多く仕入れておく必要があります。また、少ない人数でお店を回しているため、準備段階で食材をあらかじめ加工しておく必要もあれば、冷蔵庫に保管する量も増えるため電気代もかかってします。それを完全予約制にすることで必要な量のみ食材を仕入れることにつながり、食品のロスを最小限に抑えることができます。

更に、お任せコースのみを提供することでその時に美味しい食材を仕入れることが可能になり、いつでも最高の食材を使用した料理を提供することができるため、お客さんが感動してくれると仰っていました。

瀬戸様が地産地消を取り入れるのは美味しいものを食べて感動してもらいたいという目的もありますが、宮城の食材を知ってもらう入り口のような存在になりたいという目的もあるそうです。

そんな感動を届けているポルタ―ヴォラだからこそお客さんはまた来たいと、生産者は共に地域を盛り上げていきたいと思うのだと思います。宮城にはたくさんの素敵な生産者がいて、素敵な食材があります。そして瀬戸様のような食材を受け取り調理するアンカーがいるからこそ宮城の食は守られているのだと感じます。ぜひPORTTAVOLAでみやぎの魅力の一つである素晴らしい食材を使用した究極の一皿を楽しんでください。きっと宮城の素晴らしさをお分かりいただけると思います。【N】

シャドークイーン 加賀太胡瓜 放牧牛乳のスープ
アンティパストミスト
本日のメイン「アイナメのグリルと平目のトマト煮」
ドルチェミスト

〈PORTTAVOLA(ポルターヴォラ)〉

住所:宮城県仙台市泉区紫山2丁目32-10

https://www.porttavola.com/

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