マックのマニュアルその13

レストランチェック

 良いけれど消え去ったマニュアル、チェックリスト。仕事のプライドに訴え、文書化しない品質管理。などを紹介してきましたが、今回は日本人には違和感のある、米国の厳しい危機管理をご紹介しましょう。

 私は日本のマニュアルのほとんど翻訳管理してきましたが、違和感を覚えたのがセキュリティ(危機管理)です。

 日本マクドナルドは、米国の店舗運営を学ばせるためには、実際の店舗運営が必要ということで、サンフランシスコ近郊のシリコンバレーサンタクララ市に1店舗、カナダトロント市(売り上げが低い市街地店舗で学ぶことが少なく、のちに本社近くの店舗に移設しました。)に1店舗を購入し、フランチャイジーとして1店舗に3名ほどの社員を派遣し、店舗運営技術を学ばせました。

 私はそのサンタクララ市の店舗の2代目の責任者になり、店舗運営のほかに米国地域本部やシカゴ本社の各部の仕事を学ばされました。その経験からセキュリティ(危機管理)の重要性に気づかされました。地区本部で開催される授業のBOCに参加した時にセキュリティ(危機管理)の授業がありました。

 その時、セキュリティマネージャーでもある教官が店舗で強盗に会った人は手を挙げなさいと言ったら、クラス40人の内全員が手を挙げました。更に2回以上強盗の被害に会った人はその内半数もいたのには驚いたのです。

強盗に襲われたことのない米国飲食店はないと言って良いでしょう。当然、コンビニエンスストアーも同様です。米国の飲食業では労災の死亡原因のトップは銃による強盗や発砲事件によるとのことです。

そのため、トレーニングコースでは安全対策の授業があり、強盗に襲われたときの対処を具体的にトレーニングしているし、安全管理用のVTRテープも作成しています。飲食業界団体のNRA参加の教育部門も安全管理用のVTRテープを作成しています。

当然のことながら会社には安全対策マネージャーがおり、授業をしたり実際の店舗の安全対策の指導に当たっています。

 幸い私が駐在していたサンタクララ店はサンタクララ市の市警察が近所にあり、常時パトロールし、警官もコーヒーなどを買いに来ていたので、1回も強盗には襲われませんでした。

以下は私の米国での危機管理の実体験ですのでお読みください

以下はセキュリティーのマニュアルです。

第23章 セキュリティー

目次

第1節 イントロダクション ………………………………………………………… 560

第2節 犯罪防止  …………………………………………………………………… 560

      強 盗 …………………………………………………………………… 560

      オープニング時の対策手順 …………………………………………… 561

      営業中の対策手順 ……………………………………………………… 561

      クロージング時の対策手順 …………………………………………… 562

      実際に強盗に遭った場合の対処 ……………………………………… 562

      窃 盗 …………………………………………………………………… 563

      押込み …………………………………………………………………… 564

      悪行と未成年の問題 …………………………………………………… 565

      にせ札 …………………………………………………………………… 565

      ゆすり …………………………………………………………………… 565

      爆弾を仕掛けたという強迫 …………………………………………… 565

第3節 現金管理 ……………………………………………………………………… 566

      キャッシュレジスターポリシ ………………………………………… 567

      キャッシュレジスターの安全管理の秘訣 …………………………… 567

      キャッシャーシステム ………………………………………………… 567

      中抜き …………………………………………………………………… 568

      ドロアチェツク ………………………………………………………… 568

      ニュードロアチェツクシステム ……………………………………… 568

      納 金 …………………………………………………………………… 570

      金庫管理 ………………………………………………………………… 570

      クルー給与 ……………………………………………………………… 570

      ペティキャッシュ ……………………………………………………… 570

      ギフトカード/B.O.G.カード/プリペイカード …………………… 570

      バースデーパーテイ …………………………………………………… 570

第4節 フードコスト管理 …………………………………………………………… 571

      納 品 …………………………………………………………………… 571

      在庫管理 ………………………………………………………………… 572

      完成品ウエイスト ……………………………………………………… 572

      マネージャーのアウェアネス ………………………………………… 573

第5節 保険について ………………………………………………………………… 574

      不慮の災害から店舗を守るもの ……………………………………… 574

      動産総合保険 …………………………………………………………… 574

      地震保険 ………………………………………………………………… 576

      利益保険 ………………………………………………………………… 577

      企業賠償責任保険 ……………………………………………………… 577

      労災事故の処理 ………………………………………………………… 579

第1節 イントロダクション

 マクドナルドは、店舗の効果的なセキュリティープログラムを取り入れる必要性を痛感しています。このプログラムは、犯罪防止、現金管理、セキュリティー関係のエクイップメントの購入、クルーの採用、食品・髪製品のコントロールなど、その他さまざまなことを考慮に入れなければなりません。

マクドナルドの社員の皆さんは、この章に含まれている情報を会社のポリシーとして考慮し、ライセンス店舗の社員の皆さんは、各節を読んで、自店舗に活用できる情報を選んで下さい。

第2節 犯罪防止

 強盗、押込み、窃盗などの言葉は、その正しい定義が理解されていないため、誤って使われていることがよくあります。その結果、報告が間違っていたり誤解が生じたり他の人が改めて調査を行わなくてはならなかったりすることがあり、保険求償に対する支払いが行われなかったり遅れたりするという事故が発生することがあります。

マネージャーは以下にあげるマクドナルドの定義を理解し、ある犯罪の分類に関して疑問を持った場合はこの節を参照して下さい。なお、詳しくはスーパーバイザーに問い合わせて下さい。

◆強 盗

 強盗はマクドナルドの金銭や財産となる物を、何らかの手段によって従業員を危険な目に合わせて奪い取ることです。

 ”強盗”には、以下の2つの要素が揃っていなくてはなりません。

1.人がいること――人が持っているもの、また人がいる所で物を取る場合です。人がいない所から物を盗んだ場合は、強盗とはいいません。

2.力――どんなに少しであっても、暴力をふるったり、物を壊したりした場合、また、暴力をふるわなかったとしても、暴力をふるわれるのではないか、ケガをさせられるのではないか、物を壊されるのではないかという恐れを抱かせた場合です。

  例:不審な人物がマネージャールームに入ってきて、金庫に入っている金を渡さないと殺すと脅し、マネージャーがそのとおりにした場合は強盗になります。この時に犯人が、銃、ナイフなどの武器を持っていると武装強盗になります。

<強盗の防止>

 マクドナルドの店舗の犯罪記計を見てみると、我々に対して行われた犯罪は前もって計画されており、ねらいをつけた店舗を数日監視した後、実行に移されていることが多いようです。

場合によっては、強盗が店舗の従業員から意図的に、あるいは、ちょっとした会話の中から店舗にある金額や納金のスケジュール、銀行の場所、搬入のスケジュールなどの詳しい情報を入手していることもあります。

強盗を完全になくすということはできません。しかし、その恐れを最小限にするためにとるべき措置はいろいろあります。

 マネージャーは以下の点を考慮しなくてはなりません。

・強盗に襲われる可能性は、すべての店舗にあります。静かな郊外にある店舗の方が、都心にある店舗よりも狙われやすいかもしれません。なぜなら、店舗にある金額はほぼ同じで、郊外の方が逃走しやすいからです。

・マクドナルドを狙う強盗は一般的に若く、犯罪経験があまりなくナーバスになっています。このような人は、パニック状態になると発砲したり暴力をふるったりするおそれがあり、極めて危険です。

・犯人の最大の敵は時間です。強盗を計画しスケジュールを立て、実行するのに時間がかかるとそれだけ計画をあきらめ、より容易なものを狙うようになります。

・強盗はクロージング後からオープンまでの間に発生することが多いようです。この時間帯は必ずすべてのドアをロックし、認められた従業員だけが店内にいるようにして下さい。これは犯罪をできるだけ少なくするために店長が従うべき最も重要なきまりです。

・後で説明するセキュリティーの手順は、犯罪の防止に効果をあげる確かな方法です。マネージャーはこの手順を見直し、マネージャーとクルーが理解し、従わなくてはならないセキュリティーの手順を店舗のニーズに合わせて決定して下さい。

・セキュリティープログラムを成功させることができるのは、あなただけです。この場合の”成功”とは、マクドナルドのクルーとお客様が安全であり、店舗の財産と現金が守られているということです。

◆オープニング時の対策手順

 オープンマネージャーは、まず駐車場の周り、建物と敷地内をチェックします。そして、周囲の安全を確認してから店舗内に入るようにします。

営業時間以外は、認められたクルーと搬入の業者しか店舗に入ることはできません。緊急の件で店舗に入らなくてはならない場合を除き、修理業者やその他の店舗への訪問者は、営業時間中に来店してもらうようにして下さい。

開店前の搬入にあたっては、まず担当者に正面のドアに来てもらい、十分注意してバックドアを開け、速やかに搬入を行って下さい。その時には必ず開いているバックドアの所にクルーをひとりつけ、他の者が近づいてきたらすぐにドアを閉められるようにして下さい。搬入後は直ちにドアを閉め、ロックして下さい。

 状況がゆるす限り営業時間外の店舗の出入りは、決められた正面またはサイドのガラスのドアから行います。裏の搬入ドアは強盗に最も狙われやすいので、日中のどうしても使用する必要のある場合に限り、できるだけ短い時間使用するようにして下さい。

このドアを開放している時やロックしていない時には、必ずマネージャーが見ていて管理するようにして下さい。

◆営業中の対策手順

・厨房内には許可を得た人しか入れてはいけません。仕事場に来る正当な理由のない人、つまりOFFのクルー、IN前、もしくはUP後にブラブラしているクルー、給料を取りに来たクルーや、その他の品物を取りに来た人、配送人、タルーの友達や親戚なども厨房に入れてはいけません。

 見慣れない人が厨房に近づいてきたら、身分証明書の提示を求めて下さい。マクドナルドの社員は身分証明書を持っています。その人がマクドナルドの従業員だと名乗ったら、身分証明書などマタドナルドの社員であることを証明するものの提示を求めて下さい。不審な身分証明書は下のサンプルに照らし合わせて下さい。

 (身分証明書のコピー入る)

 ロゴマークのついているマクドナルドのブレザーやワイシャツ、ネクタイなどは何の証明にもなりません。配送人や業者も何らかの身分証明書を持っているはずですから、それの提示を求めて下さい。そして不審な点があったら、その会社に電話して確認して下さい。

 訪問者やストアツアーの人々は、1人もしくは複数の認められた従業員がついている場合に限り、厨房内に入ることが可能です。このような時には、すべての金銭や書類は金庫にしまうかマネージャーが管理しなければなりません。

・マネージャーやクルーは店内や駐車場、また駐車場内の車の中にいる不審人物に注意しなくてはなりません。彼らはマネージャーが銀行に入金に行くのを待っているか、もしくは店舗に押し入ろうと計画を練っている強盗かもしれないのです。

車の型やナンバーを控えておいて下さい。いつまでもいなくならないようならば警察に連絡して下さい。

・厨房に直接入れる扉は、防犯窓のついた自動ロック付の自動開閉扉でなくてはいけません。鍵を開ける前に必ずこの窓から外を見て、外を確認しなくてはなりません。確認できない場合は、カウンクーの方に回ってもらい、すぐにマネージャーに知らせて下さい。

・裏の搬入ドアは搬入の時やフロアを通せない物が届いた時だけ使用します。この搬入ドアは、その配送に責任のあるマネージャーだけが開けることができ、この業務が終わったらただちに施錠します。従業員はお客様用出入口、そしてカウンター横を使って出入りするようにし、この扉を出入りに使ってはいけません。

・従業員は、マクドナルドと関係のない人に店のお金や安全管理の方法を話してはいけません。このようなことに関する問い合わせがあった時には、必ず店長に知らせなければなりません。

疑わしいことがあった場合は、直ちにスーパーバイザーやフイールドコン サルタントに連絡しなければなりません。

・カウンターのドロア内にお金をため過ぎておくのはよくありません。ラッシュ後など必要に応じてドロアの中抜きを行って、ドロア内の金額を最低限にしておいて下さい。中抜きした紙幣は、納金の時まで封筒に入れて金庫で保管します。

・高額紙幣(一万円札、五千円札)等はドロアの下にしまいます。使用しないドロアにはつり銭を入れないでおきましよう。

・通常より納金の額が大きい時には、一緒につり銭の両替を行わないようにしてください。こうすると強盗に遭った時の被害を少なくすることができます。両替は必要に応じて別に行くようにして下さい。

・店舗の金庫は、開ける権限のあるマネージャーが直接管理している時以外は、必ずダブルロックしておかなくてはなりません。金庫を開けたままにしていて盗難にあった場合、保険は適用されず被害額は店舗で負担することになり、金庫を開け放しにしたマネージャーは処罰されることになります。

・犯罪の多発地域などにある店舗は、防犯カメラや警報装置を取り付けた方がよいかもしれません。

◆クロージング時の対第手順

・ゴミはクロージング前にゴミ置場に出しておきます。クロージング後は、従業員が店外に出ることは極力避けなければなりません。駐車場に落ちているゴミを拾ったり、ゴミや廃油を出したりすることができなかった場合は、翌朝行って下さい。

・クローズマージャーは自ら閉店の直前にトイレなど人が隠れている可能性のある所をチェックし、だれも店内に残っていないことを確認して下さい。

・閉店後、クローズマネージャーは外に面しているドアをすべてロックします。ドアの鍵は必ずクローズマネージャーが待ち、クルーに渡してはいけません。緊急の用事で電話をかけたいので店に入れてほしいというような人が来ても、店内に入れてはいけません。

その人の言うことが正当であると思われた場合は、相手の名前と電話番号を教えてもらえば、代わりにかけてあげられると言って下さい。どのようなことがあっても鍵を開けてはいけません。疑わしいと思ったら指示された番号に電話する前に最寄りの警察署に通報して下さい。

・犯罪発生率の高い地域や郊外にある店舗では、防犯のために閉店後も駐車場の照明をつけておくことを検討して下さい。

・清掃が終わり、全員帰る支度ができたら、お客様専用出口から出るようにして下さい。

・クローズクルーは、閉店後2時間以上店に残らないようにして下さい。マネージャーは業務終了後、速やかに帰宅します。

◆実際に強盗に遭った場合の対処

 冷静さを保つよう努めて下さい。要求に従い言われたとおりにして下さい。決して口論したり逆らったりしてはいけません。強盗には要求するものを与えて下さい。

店舗に無音の警報装置や防犯カメラがあり、安全にスイッチを入れられる場合はそうして下さい。自分もしくはまわりの人を危険にさらすような行動は、一切とってはいけません。

 犯人の身体的特徴と服装を注意して観察し、警察に正確に説明したり、指名手記写真などの中から見つけられるようにして下さい。

また、アクセントや方言、店のレイアウトに関する知搬、ファーストフード業界のことば(ウォークイン、P.O.S.等)の使用、店舗の鍵の所有など、特別なことに注意して下さい。

また犯人がどのようにして、どちらに逃走したかも見ているようにして下さい。

できれば車の特徴やナンバープレートを注意して見て下さい。追跡してはいけません。

その後は、直ちに最寄りの警察署に通報し、その後できるだけ早くスーパーバイザーに連絡して下さい。指示があるまでクルーは全員、店に残っていなくてはなりません。

営業時間中に強盗に金銭を盗まれた場合は、直ちに店を閉め、事件の目撃者には警察が来るまで残ってもらって下さい。ただし、店を出たいという場合は、氏名、住所、電話番号を聞いて、お帰しして下さい。目撃者にはドリンクなどを出して、警察が来るまで店に残っていてもらえるようにして下さい。

現場の維持――

 指紋や血痕、毛髪などが残っているかもしれないので、現場を立ち入り禁止にして誰も触れないようにして下さい。目撃者には事件発生後できるだけ早く個別に証言を開きます。早ければ早いほど正確な証言が得られます。2、3分しか経っていなくても、記憶はどんどん薄れていくものです。

警察への協力――

店舗従業員は必要に応じて警察および法廷に出頭あるいは出廷し、十分協力して証言を行わなくてはなりません。

当日、質察に被害額を伝えてはならない――被害額を把握するには、しばらくかかるということを伝えて下さい。マスコミだけが新しいニュースを欲しがっています。彼らは数日経った情報には関心を持ちません。警察は被害額がわかるまで捜査を再開しないので、翌日には被害額を明らかにした方がよいでしよう。問題が生じた場合は、上司にすぐに連絡して下さい。(セキュリティーハンドブックの”ディザス夕ー対策”を参照して下さい。)

◆窃 盗

窃盗は金銭や財産をこっそり、あるいは不意に盗むことです。

例1:店長がその日の納金分を机の上に置いたまま席をはずしていたところ、誰かにそれを持っていかれてしまった。

例2:夜問にポールから旗が盗まれているのがわかった。

例3:鍵のかかったビデオラックからテレビモニターが盗まれた。

クルーによる現金、店舗の資材を含む資産、もしくは他のクルーの持ち物の窃盗は深刻な問題です。これが野放しになるとクルーのモラルは低下し、店舗に対して、もしくはタルー相互で故意に非常識な行為が行われ、機器や金の盗難が生じ、結果的には店舗の利益が減少することになってしまいます。このような状況は極力防がなければなりません。

 保管場所には必ず鍵をかけておいて下さい。店舗キーは、すべてマネージャーが責任を持って管理しなければなりません。クルーに倉庫キーを持たせる場合は、マネージャーの管理下で、その仕事を終わらせるのに必要な時間の間のみに限ります。もし鍵を紛失した場合は、それが泥棒の手に渡ったと考え、直ちに鍵を替えて下さい。

 マクドナルドは店舗内で発生した個人の所有物や現金の盗難に関しては一際責任を負わないので、自分達で責任を持って管理するよう伝えて下さい。高価な品物や多額の現金を店に置いておくのはよくありません。

できれば、クルー1人1人に個人の持物を入れておけるロッカーを与えて下さい。その場合、ロッカーのドアをロックしておき、常に自分で鍵を所有しているのはクルーの責任です。店舗には責任ありません。

ハンドバッグなどの個人の所有物は、どんな状況下でも売上金保管のための金庫に入れてはいけません。この点で問題がある場合は、ファイルキャビネットやロッカーまたはその他の保管手段を考えなければなりません。

注:クルーの私物および金銭の盗難が発生した場合は、事故報告書を提出してください。

 メインテナンス用具やスモールエクイップメントその他の高価な品物は、その価値に応じて保管しなければなりません。高価なものをゴミ置場に入れておいたのでは盗まれても仕方がありません。ポリッシャー、ホース、清掃器具などは、鍵のかかる所で保管して下さい。

 マクドナルドのポリシーでは、会社の資産を盗んで逮捕された従業員を起訴することになっています。また要求があれば他の従業員の物を盗んで逮捕された従業員の起訴に協力します。

<従業員以外の者による窃盗>

 マクドナルドのポリシーでは、マクドナルドの従業員以外の人による窃盗事件の場合も起訴することになっています。多くの場合、マクドナルドの所有物の盗難は小さい物(ナプキンディスペンサー、ロゴマーク、装飾品等)に限られています。犯人の中には「ちょっとした冗談」とか「悪ふざけをしただけ」と主張する人も時々います。

どのような状況であっても、またどのような弁解をしても、これは明らかに犯罪であり、そのように処理しなければなりません。

 このような盗難に気づいたマネージャーは、強盗の場合と同様の手順で処理しなくてはなりません。犯人をつかまえたら、氏名や住所、車のナンバーなど、できるだけ情報を得るようにします。警察を呼び、目撃者には店に残ってもらって下さい。目撃者が帰りたいという場合は、氏名、住所、電話書号を聞きます。

盗まれた品物を取り返した場合は、警察に見せるために保管し、盗品のおよその価格も調べておいて下さい。返ってきても盗品は盗品にかわりありません。犯人がそうでないと言っても信じてはいけません。

 事件については、すぐ上司に報告して下さい。警察には協力し、マクドナルド側は訴えを起こすと主張して下さい。盗まれたものが戻ってきたということは、裁判官が判決を下す際に考慮することです。その場で犯人と取り引きしてはいけません。

一度起訴されることになったら、それを取り消すことに合意してはいけません。必ず上司または本社の総務部に協力を求めて下さい。訴えを起こすことになった場合は、本社の総務部が協力します。

◆押込み

 ”押込み”という場合は、建物に無理に侵入した形跡がなくてはなりません。

押込みに入られた場合、通常はオープンマネージャーやメインテナンスパーソンが発見しますが、その時には警察が到着して現場検証をするまで何にも触れてはいけません。

店に入る前に押し込まれたことを発見した場合は店に入ってはいけません。まだ犯人が残っているかもしれません。その時には警察に通報し、彼らが到着するまで店には近づかないで下さい。そして、できるだけ早いうちにスーパーバイザーに連絡して下さい。

警察には被害額をすぐに知らせず、完全なインベントリーを行ってみないと数値が出ないと説明して下さい。どうしても数字を出すよう言われた場合は、スーパーバイザーまたは総務部に問い合わせて下さい。

<押込みの防止>

 緻密に計画された押込みを防止するのは非常に難しいことです。

押込みの犯人は、姿を見られることを嫌っているということはわかっていますので、夜間も屋外の照明をつけていると押込みに襲われる可能性は小さくなるかもしれません。特にバックドアの外に面したところに照明をつけておくとよいでしよう。

また厨房内の照明もつけたままにしておくと警察が不審な人が店内にいるのを発見するのに役に立つでしょう。

 押込みの犯人は、バックドアから入るかもしれません。店舗によってはドアロックの他に警報装置もついている店舗があります。ドアロックのみの店舗は、ドアの外側のラッチの上に”こじあけ防止のプレート”を取り付けることもできます。これをつけるとドアが更にこじあけにくくなります。

 その他の押込みが入りやすい所としては、空気口、エアコン用の孔、予備のフライヤー用の孔などの屋上の開口部が考えられますので、屋上に登って問題となりそうなところを調べてみるとよいでしよう。

屋上に通じるはしごは、金属、あるいは木製のカバーで囲っておかなくてはなりません。また、このような囲いがついている場合は、南京錠をかけてロックしておかなくてはなりません。

 犯罪の発生率の高い地域にある店舗では、よい鍵とドアを取り付ける他に警報装置も設置すべきでしよう。

◆悪行と未成年の問題

 店舗でよく発生する問題として、悪行が挙げられます。悪行は不法行為で、このようなことが行われた時には、警察および本社総務部に報告しなくてはなりません。最寄りの警察署に報告しないと、証拠不足ということで保険請求が却下されることがあります。

<店内における悪行>

 洗面所は物が壊されたり、備品が盗まれたり、いたずら書きされたりしやすいところです。ラウンドをしているクルーは、頻繁に洗面所をチェックし、うろついている人がいないか、悪い行為が行われていないかを確認します。数人がまとまって洗面所に入っていくのは危険な徴候で、アルコールを飲んだり、覚醒剤を使ったりすることなどが行われている可能性があります。

問題が見つかった時には、すぐにシフトマネージャーに知らせなくてはなりません。悪行が頻繁に起こっている地域では、ステンレス製の備品を取り付ける必要があるかもしれません。

客席に末成年者などがたむろすることがありますが、その場合は、客席で食事をするためにいてよい時間を明確に示した表示を出してもよいでしよう。これは通常20分ですが、状況に応じて変えることも可能です。マネージヤーは断固たる毅然とした態度でこの時間を守ってもらうことにし、依頼しても出ていこうとしない者がいた場合は、警察に協力を求めて下さい。

客席の中の必要のない部分は、クローズしておいて下さい。こうすると、お客様はカウンターの近くに座るので、マネージャーやクルーは何が起こっているかを見ていることができます。

凸面鏡やテレビカメラを客席に取り付けておくと、カウンターの裏から客席全体を見ることができます。問題のある時間帯はサイドドアをロックしておいた方がよいでしよう。

◆にせ札

 にせ札を見分けるには、それと同じ金額の本物の紙幣と比較するのが最もよいでしよう。にせ札づくりは、よい機械を使用することができないので、その紙幣は質が劣っており、見つけやすいはずです。違いを見つける基準は以下の3つです。

1.紙質

2.すかし

3.印刷の明瞭性(本物の方がはっきりしている)

 クルーがにせ札を受け取った場合は、店長に処理してもらうよう指導しておいて下さい。そのにせ札を使用した人と話す前に、警察に通報し、指示を仰がなくてはなりません。

 使用した人の特徴、連れがあった場合はその人の特徴、車での来店の場合は、車のナンバーに注意して下さい。その紙幣には、できるだけあちこち触れないようにし、警察が来るまで保管しておいて下さい。

注:

 使用した人が、その場でその紙幣を返すよう要求して来たら返して下さい。

にせ札のように思えるけれども確かでない場合は、銀行に持っていけばすぐににせ札かどうか判定してくれます。にせ札とわかった場合は、直ちに最寄りの警察署、上司に連絡をして下さい。

◆ゆすり

 これは何か因縁をつけて金銭や資産を力で奪い取ると脅すことです。このような場合は、決して金銭や資産を渡してはいけません。

そのような強迫を受けた者は、上司に直ちに報告しなくてはなりません。人命や資産に直ちに影響が及ぶような脅しがあった場合は、最寄りの警察署に通報します。

◆爆弾を仕掛けたとう強迫

 これは、これまではほとんど話題にのぼらなかったので、この点についてはよくはわからない店長が多いと思います。ここではそのような強迫電話を受けた場合に、店内にいる人を避難させるかどうかの判断をどのように下すかではなく、賢明、かつ安全面を考えた判断を下すのに役立つガイドラインを示したいと思います。

店舗に爆弾を仕掛けたという強迫電話がかかってくる理由としては、以下の2つが考えられます。

1.電話をかけてきた人は爆発物が仕掛けられた、あるいは仕掛けられるということを確信しており、ケガ人をできるだけ少なくし、また建物などの破壊の規模もできるだけ小さくしたいと思っている。この人は爆発物を仕掛けた本人であるかもしれないし、その情報を入手した者であるかもしれない。

2.犯人は店舗にいる人間を不安に陥れ、パニック状態を引き起こして通常の運営を混乱させたいと思っている。

プランニング――

 このような強迫電話を受けた時には、リアクションを起こさなくてはいけません。その際、まず冷静になり十分計画を練って行動を起こさないとパニック状態になってしまいます。

避難――

 このような強迫を受けた時に店に入っているマネージャーは、その時の状況を判断して人々を避難させるかどうかを決定して下さい。

 これまでの強迫電話は、ほとんどがでっちあげでしたが、実際に爆破された例もあることを知っておいて下さい。強迫電話が店舗にかかってきた場合は、以下の点に注意して下さい。

1.電話を掛けてきた人が、爆発物の仕掛けられた場所や爆破時刻を明らかにしない場合は、その点を聞き出すようにする。

2.店舗には人がたくさんおり、そこで爆発が起こると罪のない大人や子供が多教死亡したり、重傷を負ったりするおそれがあるということを犯人に伝える。

3.モーター音やB.G.M.、笑い声や冗談など、電話で開こえる音に十分注意する。このような音から犯人が電話をしている場所の手掛かりや、その電話が本当の強迫電話かどうかなどがわかることがある。

4.声(男か女か)や声の質(穏やか、興奮している)、アクセント、どもりなどを注意して聞く。警察官は、まず電話を受けた人と話すことを希望するので、その人は、彼らが来るまで店に残っていなくてはならない。

5.強迫電話を受けたら、直ちに最寄りの警察署に通報する。

6.犯人の要求に応じて金銭などを渡してはならない。

捜査――

 店舗の捜査は専門家が行いますが、あなたも店長として爆弾が仕掛けられる可能性のある箇所を調べて協力して下さい。

 そのような所としては、建物周辺、屋上、客席、店内および屋外のサンキューボックス、洗面所、などがあります。

 疑わしい物を発見した場合は、その物やそれに付いているものを動かしたり、揺さぶったり、触ったりしてはいけません。怪しいものが見つかったら直ちに最寄りの警察署に通報し、その処理は彼らに任せます。

多くの場合、強迫電話を受けただけでは中の人を避難させていませんが、不審なものが発見された時には、直ちに全員を避難させて下さい。

マスコミ対策――

 マスコミからの問い合わせは、本社の広報部に任せて下さい。それ以外の人は、部外者とその状況について話し合ってはいけません。このようにしないとマスコミが無責任な情報を流し、再び、爆発予告の電話を受けることになってしまうおそれがあります。

以下は目次だけです。

第3節 現金管理

◆キャツシュレジスターポリシー

◆キャツシュレジスターの安全管理の秘訣

◆オーバリング 打ち間違え

◆メモリーに入っているセールス POS操作

◆ドロアインターロック POS操作

◆中抜き

◆ドロアチェツク 金銭残高確認

◆ニュードロアチェックシステム

◆銀行 納金

◆金庫管理

◆クルー給与は金庫に保管

◆ペティキャツシュ 小口現金管理

◆ギフトカード/B.O.G.無料券カード/プリペイカード

◆バースデーパーティーなどの多額売り上げ管理

第4節 フードコスト管理

 フードコストは、P/Lの中で最も大きな経費です。平均的な店舗ではトータルセールスのおよそ1/3をフードコストに費やしています。つまり、カウンターで受け取る¥1,000のうち少なくとも¥300は、既に食品にかかっているということです。

店舗によっては安全管理をより徹底して行うことにより、プロフイットを1-4%上げることができます。

◆納品 資材の納品は必ずマネージャーが立ち合う。

<ストックルーム/冷凍庫への出入りの管理>

<清掃備品やその他の商品>

<ゴミ処理>

 外に出すゴミは、原材料が隠されていないか必ずチェックします。それには、ただクルーに鍵を渡すのではなく、マネージャーがバックドアを開けてゴミを出させるとよいでしよう。マネージャーがドアを開けてクルーがゴミを持って外に出たら、ドアを閉め、外のクルーはお客様用のドアから店に戻ります。

ケースや缶は、つぶしてから外に出します。原材料がゴミの中に隠されていないか、抜き打ちチェックを行って下さい。

クルーが屋外のゴミ置場の近くに駐車していないか、確認して下さい。

◆在庫管理

<インベントリーの管理>

<納品数の転記ミス>

 インベントリー表への納品数の転記はマネージャーが行います。

<店舗間移動>

<紙製品の管理>

◆完成品廃棄ウエイスト

◆マネージャーのアウェアネス注意深さ

<商品の盗難>

 マネージャーは、カウンターやドライブスルーにおける販売に注意していなくてはなりません。無料で商品が出されることがないよう。

<商品の無料提供対策>

<カウンターパーソンによる現金盗難>

第5節 保険について

◆不慮の災害から店舗を守るもの

各保険について詳細に説明しましょう。

◆動産総合保険

<事故発生と報告>

<保険求償>

<免責>

◆地震保険

 地震保険は、地震および地震による火災の被害が発生した場合に保険金が支払われます。動産総合保険と同様に、店舗にあるマクドナルドの所有物のすべてが保険の対象となります。

<免責>

◆利益保険

◆企業賠償責任保険

<受託物賠償>

 第三者の所有物の管理責任。忘れ物を預っていたが、管理が悪かったために紛失したり、壊したりした場合の賠償責任。

◆労災事故の処理(給付申請手続上の注意点)

王執筆の危機管理関係

危機管理 全般

コンビニ強盗対策 15年ほど前まで警察白書で犯罪データーを公開していなかったので新聞記事からデーターベースを作りました。

岩波書店 クレーム 私のマクドナルドでのクレーム処理の実体験をまとめました。

研修出版 クレーム対策

月刊現代 吉野家の事件

米国での危機管理の経験

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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