weekly Food104 Magazine 2022年6月8日号

メルマガバックナンバー

このマガジンは王利彰の率いるフードサービスコンサルタント会社

有限会社清晃(せいこう)が提供しております。

https://www.food104.com/発行人の王利彰は、

その他に2011年4月より2015年3月まで関西国際大学教授に就任し、

新しく発足した人間科学部経営学科のフードビジネスを担当していました。

2004年4月から2009年まで立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の教授を務め、

F&Bマーケティング、サービス・マーケティングなどを教えておりました。

立教大学観光学部、杏林大学外国語学部応用コミュニケーション学科観光文化コース、

韓国のSejong大学大学院フランチャイズ学科、女子栄養大学・短期大学、

会津大学・短期大学等でも非常勤講師をしておりました。

2012年9月に脳梗塞で倒れ、重い嚥下障害を患っており、その顛末と嚥下対策を月刊厨房に1年間記事投稿したのでご参考ください。

● 世界・日本各地の食情報

● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー

● 食ビジネスニュースリリース

● 王利彰のレストランチェック

● 日本外食ニュースと米国外食ニュース

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● 世界・日本各地の食情報

1)食の宝庫九州から上田さんです

【鯛と餡】

ららぽーと福岡の入口、ガンダムで足止め(動くのは1時間に1回です)を食い、入って直ぐの八百屋で足止めを食い、目的の店にたどり着くのに時間が掛かりました。

訪ねたのは、「うなぎの寝床」という一風変わった店名の物販店。同名の株式会社うなぎの寝床は、福岡県八女市で地域文化商社というカテゴリーを作り、九州を中心とした、歴史やストーリーのある物産、民芸品、衣料品を集めて展示販売しています。

開店時は、久留米市にあるムーンスター(月星化成)が手掛ける、さまざまな靴やスニーカーを並べています。今では希少になったヴァルカナイズ製法を使ったスニーカーの紹介や、ゴムの素材から解説をしたりと製品になるまでのことを知って、使っていくなかで愛着を深めることが出来るようにしています。

ムーンスター スニーカーができるまで

https://www.moonstar.co.jp/sneaker/

地域文化商社うなぎの寝床

また、うなぎの寝床のキラーアイテムである「Monpe」は、久留米絣を使った伝統あるもんぺを現代風にアレンジし、素材は安価な中国産などを使わず、本物の久留米絣を使うというこだわりです。物販だけでなく、宿や本屋も展開し、八女市の旧市街地の活性化に貢献しているのです。そのうなぎの寝床が、ららぽーとに出店したというのもエポックなことです。

うなぎの寝床は食品の取扱いは少ないので、同じ八女市から出店しているお菓子屋さんの紹介をしておきます。

『鯛と餡』

八女市に本社を置く、隆勝堂は創業大正13年ですから、もうすぐ百年になる老舗菓子舗です。

八女の名産品である、お茶を使った「御茶饅」「茶霜露」や、卵黄餡に生クリームを加えて、ピーナツバターのサクサク生地で包んだ「蹴洞(けほぎ)」などの饅頭、焼き菓子が知られています。八女、筑後地区に複数店舗展開しています。

その隆勝堂が培ってきた、餡をしっかり味わって欲しいと、パリパリの薄い生地で包んだ鯛焼きを作りました。

丸い鯛には、黒あん、白あん、抹茶あん、カスタードを挟んでいます。

焼きたても美味しい、お持たせでも、少しトースターで炙ると美味しく食べてもらえそうです。

「鯛と餡 TAI TO AN」

【プロフィール】

上田和久

kazz@studiowork.jp

スタジオワーク合同会社 代表

1959年熊本県生まれ、京都、福岡で暮らし、都城の単身生活を終え福岡に戻っています。

国際HACCP同盟認定リードインストラクター、JHTC認定リードインストラクター

上田和久 facebookは

https://www.facebook.com/kazz.ueda

経歴と仕事分野     

 厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年コンサルタントとして独立。

 主に、HACCPの認証取得が目的ではない、あるいは安全安心な食品を提供することを目的にした企業に対して、HACCPに基づいた衛生管理の取り組みを支援している。

 具体的には、食品工場に対し、これまでの計画施工から現場運営まで経験を生かした新築・増改築についての助言を行う他、製造現場に対して、クレーム対応、異物混入の原因の究明と対策、再発防止の仕組み作りの提案を行っている。

 食品工場の抱える問題やこれからますます厳しくなる要求への対応、それらを一緒に解決していくことを使命とし、精力的に活動している。

2)FBプロデューサー日記 219回目

有機の里・丹波オーガニックツアー

有機農業経営者の多い「丹波」へ勉強と交流、そして講師として訪問してきました

このツアーはBtoBで生産者と消費者がともに収穫の喜びを分かち合い、これからの農と消費のサイクルをお互いさまの関係でつくっていくSDGsのはじめの第一歩の実践でした。

IFOAM アジア福井 佑実子さんの活動はグローバルスタンダードのオーガニック。

丹波で有機農業生産者、ツアー参加者、地域の方と交流し、身も心もスッキリしたのは気のせいではなく、さまざまな課題について、みんながコミュニケーションをしていくことで、解決への道筋ができてくるからだと実感しました。作物の育て方、暮らし方、環境への配慮など、今後も詳しくご紹介していきます。

今回見学した内容は、平飼い卵、アイガモ農法の水田、オーガニックローズ、蜂蜜、有機小麦、野菜の畑見学、そして農泊と楽しい食事です。

私の講演会では、外資系ホテルのサスティナブルな(エシカルな)購買基準について、国内のヒルトンホテルの中でもリーダー的存在、Hilton大阪の森さんを交えながら、生産者とホテルが一緒に考えながら、共に良い方向へ歩んでいるプロセスについてお話をさせていただきました。

オーガニックな暮らしを実践している丹波へ、ぜひ多くの方が体験に行ってほしいので、下記に詳しく場所や人をご紹介します。

09:30 JR柏原(かいばら)駅集合 大阪から特急で約1時間半

ORGANIC HOUSEで有機農業(Organic)ガイダンス 福井 佑実子さん

柏原駅から徒歩5分。古民家のオーガニックハウス。料理をしたり展示もできるスペースがあります。

株式会社プラスリジョン、代表取締役

https://www.shigotoba.net/business_interview_2104_ikikatatoshitenoorganic.html

IFOAM アジア

https://asia.ifoam.bio/

Earth Color Garden/有機ローズ園見学

黒瀬啓介さん、黒瀬まりさんご夫妻のご案内

特産の丹波黒大豆、黒枝豆の種蒔きで忙しい合間にお時間を作っていただきました。

https://yagate.co.jp/ecg/

・有機ローズ

・蜂蜜

・錦鯉

・有機JAS認定 加工場 有機ローズを乾燥し加工品に(タニコー施工)

ランチは丹波篠山「日の出寿司」箱鮨10切 1400円(税込)

にぎり寿司より歴史が古い「箱鮨」美味しくて完食!

https://dekanshoselect.com/project/hakozushi/

橋本有機農園/有畜複合農場見学 橋本慎司さん

・アイガモ農法のお米作り

・平飼い卵

・玉ねぎ

・野菜(にんじん、ネギなど)

http://www.tambagumi.com/user/bureau/eat/seisannsya/hasimoto/hasimoto.html

IFOAM アジア

一般社団法人オーガニック認証センター 理事

丹波市農の学校「有機の里たんば」 小橋季敏さん

住所:兵庫県丹波市市島町上田1134番地

TEL:0795-85-2800

https://agri-innovation.jp/minori/

丹波 婦木農場(農泊)

https://fukifarm.com/shop-chse1smarce.html

・極力自家製の飼料で牛を育て、自家製の牛乳を使ってチーズ作る。

・婦木敬介さん29歳の作る日本一のチーズ「蔵熟成ゴーダ」は

「第13回オールジャパン・ナチュラルチーズコンテスト」最優秀賞

「さらべつチーズ工房」(北海道更別村)で研修をしてチーズ作りを習ったそうですが、師匠は昨年他界。敬介さんは師匠の技をさらに磨き、毎日チーズを作っています。

婦木農場の夕食はチーズと野菜でしたが、美味しくて盛り上がりました!

10年経っているとは思えないほど綺麗なお部屋とお風呂です。お母さんの作る採れたて朝食は、野菜と産みたて卵、お醤油や味噌も自家製。

婦木農場(農泊・素泊まり、体験プラン有)

https://fukifarm.com/maru-stay24.html

丹波からふるファーム 西垣 健太郎さん

・有機JAS認証農家 農業系ユーチューバー

https://www.youtube.com/channel/UCEA0Hqp-DoNuqt9bfqL-cUg

ちょうど咲いていた丹波栗の花や授粉について、教えていただきました。

イタリア料理olmo(オルモ)成田真也シェフ

丹波の恵みの前菜盛合せは、有機野菜と婦木農場のチーズ。

古民家を改築したお店で、とてもいい雰囲気でした。大阪で修行された成田シェフとイタリア大好きな奥様がいます。週末は予約必須の人気店。

https://www.olmo-tamba.com/

住所:〒669-3309 兵庫県丹波市柏原町柏原119

TEL:0795-73-3500

宇津江 忠夫さん、79歳の有機農業者、英語も堪能です。

・炒り玄米、丹波市産(合鴨農法・有機JAS)

味やまと(料亭旅館大和の左隣)

余田 亮一さん

美味しんぼに登場している余田さんとカウンターでおしゃべりしながら、丹波の日本酒で一品料理をお好みでオーダー。お酒を飲むと1万円弱。6月は目の前の川で蛍が見れます。

https://tanbayamato.jp/pages/68/

住所:〒669-3464 兵庫県丹波市氷上町石生767 

TEL:0795-82-6010

日本酒

奥丹波 蔵元 山名酒造株式会社(今でも農家さんが杜氏)

https://www.okutamba.co.jp/

大丸うめだB1F 東イベントスペース

「たんとマルシェ」オーガニックマルシェ

ソラニワ 中川美陽子さん

山田錦(酒米)で米粉を作っている中川さん。以前より製粉技術が上がっているので、パンの仕上がりは小麦粉と遜色ないです!

https://soraniwa.net/

今回は、ソラニワ 中川美陽子さん他メンバーが、農林水産省「国産有機農産物等バリューチェーン構築推進事業」で日本で唯一採択をされたとのことで、お招きいただきました。

本当に貴重な機会を作っていただき、ありがとうございました。

(国産有機農産物の新たな市場を創出していくため、流通、加工、小売等の事業者と連携し、国産 有機農産物の消費者需要及び加工需要を喚起する取組を支援。)

https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/nousan/220222_150_1.html

農水省が平成3年に発表した「みどりの食料システム戦略」では2050年までに目指す姿として、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積割合を25%(100万ha)に拡大することが書かれています。これは世界標準なので、日本だけではありません。しかし、日本の現状は0.2%なので、かなり程遠い数字です。

私がこの地域に注目したのは、丹波市農の学校で新規就農者を育て、国産有機農産物等バリューチェーン構築推進事業で仲間を、そしてIFOAMアジア(国際有機農業運動連盟)の活動を通じて世界と足並みを揃えながら、アカデミックな活動と農業を両立している人たちがいるのです。

生産者と消費者、加工事業者、流通、小売がしっかりとコミュニケーションができていて、素晴らしい活動がスタートしています。この事業は丹波限定では無いので、私と繋がっているオーガニック生産者さん、料理人、ホテルの皆さまと一緒に盛り上げて行きたいと思います。ご協力をよろしくお願いします!

【プロフィール】

石川史子 Ishikawa Fumiko (旧姓 戸田)

food field creative

facebook  https://www.facebook.com/ffcnippon/

HPとblog  http://ffcnippon.com/

 東京都生まれ。立教女学院中学・高校を経て立教大学理学部化学科を卒業後、東京ガスに入社。最初の基礎技術研究所で材料の研究、次の商品技術開発部では給湯器がメインでしたが、炊飯器やピピッとコンロの技術評価も担当しました。その後、家庭用燃料電池の商品化に向けたプロジェクトのメンバーに加わり、2003年頃からは、技術戦略、営業戦略、プロモーション、営業を経験。2010年、業務用厨房ショールーム「厨BO!SHIODOME」のオープンと同時に異動し、最適厨房研究会の運営等に携わりました。「厨BO!SHIODOME」には稼働するガス調理機器があるので、お客様へのプレゼンや、レストランショーなどの際に有名なシェフの方にお手伝いいただき、厨房設計を支援できる私はフランス料理界のシェフにかわいがられるようになりました。

 2015年秋に東京ガスを退職し、現在はフリーランスのコンサルタントとして、活動をしています。リケジョとしての能力と、仕事を通じた調理機器メーカー、フランス料理界、居住地の埼玉県の農業と触れ合い、現在の厨房業界や農業、料理業界のPRに幅広く取り組んでいます。また、立教学院評議員として、ホッピーミーナさんこと石渡美奈社長や、日比谷松本楼の小坂文乃社長他、校友会の皆さんと活動しております。幅広い視点で食の光景をご紹介します。

 社内結婚した夫が浦和レッズの熱烈なサポーターのため、浦和で家族と暮らしています。趣味は野菜作りで、ご指導いただいている同世代の農家さんとの交流を楽しんでいます。

その他

MLA豪州食肉家畜生産者事業団 ラム肉PR大使「ラムバサダー」

全日本司厨士協会 埼玉県本部 広報企画部長

全日本司厨士協会 東京地方本部 協賛会員

フランス料理文化センター アミテイエグルマンド 会員

ホテル&ホスピタリテイビジネス衛生管理実践研究会所属

立教学院諸生徒礼拝堂ハンドベルクワイア OBOG会会長

立教大学観光クラブ、校友会企画委員

立教学院評議員

深沢アート研究所 マネージャー

3)南イタリアプーリア便り イトリアの谷の食卓から 第290回

南イタリア料理でよく使われるケッパー(カッペリ)の収穫期が始まりました。

花の蕾を摘み取る作業は、摘み取った後からまた新しい蕾が生えてくるので夏の2、3ヶ月間続きます。

もっとも、我が家では自分の家で使う分と友人にお分けする分が採れればそこでおしまいです。あとは蕾が膨らみ可憐な花が咲くのを楽しみ、その後ケッパーベリーと呼ばれる実を採ります。実は軽く茹でて酢漬けにします。

毎年冬に一度剪定をすれば、その後は何も手をかけずとも蕾をたくさんつけてくれるケッパーですが、収穫は全て手摘みで強い日差しを避けるために早朝に行います。収穫後大きさを選別して塩漬けにし食べられるようになるまで最短でも1ヶ月。

結構な時間と手間がかかる食品です。

ケッパーは暑くて乾燥した地中海性気候地域の岩場を好んで生育する植物で、古代ギリシャ時代から食用されていたとのこと。イタリア料理のみならず沿岸各地の郷土料理として広く使われています。イタリアお得意のIGP(保護指定地域表示、すなわち地域特産品認証制度)に登録されているシチリアのパンテッレリア島産が有名で、日本をはじめ海外へ輸出されています。

日本ではスペイン産の酢漬けのものが一番入手しやすいようですが、イタリアでは塩漬けの方が一般的です。

プーリアでは家の庭や道路沿いの塀などに普通に生えている植物なので、我が家のように自家製の塩漬けを常備している家も少なくないと思いますが、朝市などで平積みされているものを買うという方がむしろ多数派だと思います。

売られている値段は1kg 5-10ユーロほど。蕾が小さい方が高価です。またブランド品だとこの2倍3倍のものもあります。イタリア産ではなく輸入品が大部分を占めるのではと推察します。

ケッパーはスモークサーモンのお供以外どんな料理に使われているかイメージがわかないという方も多いかと思いますが、調味料としては使い勝手の良い、むしろ一度馴染んだらなくてはならない食材だと思います。

私は梅干し、もしくは塩昆布などと同じような感覚で使っています。トマトもオリーヴオイルも出汁の役割をするものだと思っていますが、ケッパーも同様です。魚のホイル焼きや茹で豚などにも合うソースになります。

またこれからの季節、刻んだケッパーを鰹節と一緒に冷奴のトッピングにしてオリーヴオイルと少量のお醤油で是非一度召し上がってみてください。

大橋美奈子 Facebook

https://www.facebook.com/minako.ohashi

メール・アドレス

minako@da-puglia.com

大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。

 そのジョバンニ・パンフィーノと,日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をしたり、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。

https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。

 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア

http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール

http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア

大橋美奈子

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● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー

 読者の皆様のご意見・要望・質問・情報・欄を作成しました。皆様のご意見・要望をぜひお送りください。匿名で掲載させていただきますので忌憚のないご意見をお聞かせください。また皆様が見聞き体験した外食・食材情報もお知らせください。

 このFOOD104を支えてくださっている組織にFSPROと言う食の世界の専門家の方が500名ほどいらっしゃいます。皆様のご質問・疑問に答えられるようになっておりますので,ご遠慮なくご質問などをお寄せください。ちょっと時間はかかりますが回答させていただきます。

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● 食ビジネスニュースリリース ————————————■□

6月2日-6月8日

■1000円で和定食が楽しめる。磯丸水産に聞く「脱・居酒屋」成功のカギ

biz SPA! フレッシュ

■SANKO MARKETING FOODS(上) コロナ禍が直撃!大箱居酒屋の大量閉店を選ぶ

日刊ゲンダイDIGITAL

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/306019

■ファッズ、横浜の居酒屋に差止申立て。登録商標「伝串」を模倣。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/06/0280811.php

■横浜中華街「聘珍樓」破産が象徴する飲食店の苦難

コロナ禍で飲食業めぐる経営環境はどうなったか

東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/594328

■サイゼリヤ、厨房販売会社を設立。計算しつくされたノウハウを外販。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/05/3181253.php

■横浜中華街の老舗「聘珍樓横濱本店」 運営会社が破産

カナロコ

https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-914617.html

■餃子の王将、22年5月は創業以来の過去最高売上。値上げでも、客足伸びた。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/06/0385007.php

■出前館、自前ゴーストブランドで目標300店舗。稲本健一氏サポート。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/05/3072852.php

■最大手スシローも値上げ!消える「回転寿司ネタ」衝撃の15皿!コロナやがん予防にも効果アリの魚介類が回らなくなる!?

日刊大衆

https://taishu.jp/articles/-/102435

■コメダ珈琲、香港はイオンとエリアFC契約。海外目標80店舗。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/06/0680604.php

■すかいらーく、GW後でもディナー帯大きく回復。男性シニア層が牽引。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2022/06/0784446.php

■「EAT LOCAL」「FINE CRAFTS」を取り入れた、子供から大人まで楽しめるレストランがオープンします。

株式会社GREENINGは、鎌倉醸造株式会社と協業し、「EAT LOCAL」(地域の素材の活用)や「FINE CRAFTS」(手作り)というテーマを取り入れた、子供から大人まで楽しめる洋食レストラン「GARDEN HOUSE YOKOHAMA by KAMAKURA BEER」をリニューアルオープンします。

大人と同じように食事を選択できるキッズメニューや、「食育」をキーワードに大人も楽しめる絵本50冊以上の用意など、親子三世代で食事が楽しめる空間となっているそうです。

「大人と同じように」や「自分で選択できる」体験は子供にとって印象的で、楽しいものになるように感じます。このレストランでの食事は、「食」の魅力を身近に感じる機会にもなりそうですね。 【K】

絵本を通して「食育」が学べるGARDEN HOUSE YOKOHAMA by KAMAKURA BEER子育て世代に優しい「上質なファミリーレストラン」として6月1日リフレッシュオープン

「食育」をキーワードに、子供から大人まで楽しめる50冊以上の絵本を用意。

絵本を通して学びやコミュニケーションが生まれる新しい食体験を提供

㈱GREENING

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000074146.html

■スキンケアブランドとコラボしたパフェが登場します。

JR原宿駅前にあるWITH HARAJUKUの8階「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」と1階の「資生堂ビューティ・スクエア」がオープン2周年を記念して、資生堂の新しいスキンケアブランド「SIDEKICK(サイドキック)」とコラボレーションした「ハイブリッドパフェ SIDEKICK」を販売します。

シャーベットやベルガモットムースを使った爽やかなパフェに、「スワンサイダー」をお好みで加えることでドリンクとしても楽しめる、新感覚のハイブリットなパフェになっているそうです。

この「SIDEKICK」は、Z世代の男性向けのスキンケアブランドだそうです。そんなブランドが「パフェ」でコラボするというのが新しいなと感じました。 【K】

オープン2周年記念コラボレーションパフェ 「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」 × 「資生堂ビューティ・スクエア」 “ハイブリッドパフェ SIDEKICK(サイドキック)”

株式会社 資生堂パーラー

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000548.000006543.html

■「日本茶」と「バラ」を組み合わせたデザートが登場します。

「美味しい花体験」を創作するエディブルフラワー研究所と、日本茶を織り交ぜたデザートコース専門店VERTがコラボレーションした、バラと日本茶のマリアージュが楽しめるデザート「芳」が登場します。

徐々に香りが膨らむバラに、プラムのような香りがする日本茶「眠姫」をペアリングすることで、複層的な香りのレイヤーが楽しめるそうです。

「バラ」と「日本茶」、意外な組み合わせの2つが、どのように掛け合わさるのか気になります! 【K】

日本茶を織り交ぜたデザートコース専門店にバラのデザートが登場。香り高い国産ローズとプラムで構成された「芳(ほう)」VERT(神楽坂)にて6/3(金)より提供開始

エディブルフラワー研究所の食用バラとのコラボレーション

dot science株式会社

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000030481.html

■「王様のブランチ」のリアル店舗が誕生します。

株式会社BAKERUは、株式会社TBSホールディングスとの共同企画として、TBSの情報番組「王様のブランチ」のアンテナショップ&レストラン「ブランチパーク」を10月に赤坂にオープンします。

グルメ、ショッピング、書籍などの最新トレンドを発信してきた「王様のブランチ」。その番組制作で培ったネットワークや情報を活用し、新たなトレンドの発信基地としての役割を担う施設となるそうです。

テレビで見て、行きたいと思う機会は多いと思うので、番組の放送と連動するこの「ブランチパーク」は視聴者のニーズにぴったりな施設になりそうですね。 【K】

TBSテレビ「王様のブランチ」のリアル店舗「ブランチパーク」が2022年10月より赤坂にオープン予定

BAKERUがTBSホールディングスと提携し、番組放送に連動してグルメ、グッズ、配信企画やリアルイベントを行うレストランを開発

株式会社BAKERU

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000046840.html

■「COFFEE」×「ART」×「MUSIC」のイベントが開催されます。

ニュウマン新宿にて、コーヒーを中心としたドリンクを片手に、アートや音楽を楽しめるイベント「Chill Week」が、6月6日から7月3日まで開催されます。期間中の土日には、美味しいコーヒーの淹れ方を学ぶワークショップや、「チル」なミュージックをテーマにDJパフォーマンスが行われるなど、梅雨を迎える季節をゆったりと過ごせるイベントが企画されているそうです。

ドリンク、アート、音楽を、時間を気にせず、ゆったりと楽しめるこのイベント。ワークショップも含めぜひ行ってみたいです! 【K】

初開催!「COFFEE」×「ART」×「MUSIC」の“チル”なイベントニュウマン新宿「Chill Week(チルウィーク)」

期間:2022年6月6日(月)-7月3日(日) ※6月25日(土)・26日(日)は野外イベントも開催

株式会社ルミネ

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000003279.html

■立ち飲み屋のパン屋さんが誕生します!

大阪の靭公園そばに「ウツボベーカリーパネーナ」が昼はパン屋、夜は立ち飲み屋として6月15日にオープンします。コンセプトは、「子供には勿体無い。お酒に合う大人のパン」。その一方、お昼には胡桃パンやサンドイッチなど子供も楽しめるパンが販売されます。

お昼に営業している誰もが立ち寄りたくなるパン屋が、夜にはお酒も楽しめる大人向けのお店になるという変化を遂げる「ウツボベーカリーパネーナ」。昼も夜も楽しめるパン屋さん、ぜひ行ってみたいです。【N】

夜のベーカリーで「立ち飲み」、靭公園近くに新スポット

エルマガジェイピー

■新世代が作った「和菓子」が販売されます。

餅などを神前にそなえ、厄除招福を祈願した「嘉祥の行事」を、現代に復活させた6月16日の「和菓子の日」。この日に合わせて、伊勢丹新宿店で伝統の技法を生かしつつ時代にあった和菓子を創り出す『新世代の作り手』に注目したイベントが開催されます。

餡子だけでなくクリームチーズを使用した「モナカ」や、ドライフルーツや胡桃が入った「羊羹」、雨粒に見立てた生姜シロップを垂らしていただく「落雁」など、材料、見た目共に斬新な和菓子がラインナップされているそうです。

今までのものとは一線を画すような、魅力的な「和菓子」の数々、見ているだけでも楽しめそうです!【K】

6月16日は和菓子の日。伊勢丹新宿店に和菓子を創り出す『新世代の作り手』ブランドが期間限定で登場!

会場:伊勢丹新宿店 本館地下1階  甘の味/今め菓子

株式会社 三越伊勢丹ホールディングス

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002210.000008372.html

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

マックのマニュアルその10

 品質管理というと味の維持のために食材やスパイスの配合成分を詳細に述べたスペックで限られた人しか、閲覧できないようにして、味の秘密を守る。しかし、味の維持のためにはスペックだけでなく、製造工程を詳しく述べたマニュアルが必要になる。

 マクドナルドでは製造工程を詳しく述べたマニュアルをブラックブックblack bookという。1990年ころに開発された。食材やスパイスの配合成分を詳細に述べたスペックでは品質を維持できない。食材や原材料を製造メーカーが、どの供給業者からどのような状態でいれ、どの機械でどのように加工するか、異物混入や細菌検査方法はどうするか、などを詳細に決める。

 ミートパティのブラックブックblack bookのページ数は製品ごとに150ページにも上る詳細なものだ。その内容の一部は

001)トップページで原材料名と国、製造企業の加工工場名

002)製造手順 原材料 原材料製品名 メーカー名

003)原料製品規格

004)ブランド名(パッカー名)

005)食品添加物化学合成品リスト

006)食品添加物化学合成品以外リスト

007)賞味期限保証書

008)分析試験成績書

009)製造フローチャート

010)包装材管理シート

011)保管時パレット積み込み図

012)製品製造ライン平面図

013)使用機器関連リスト(機械名、製造能力、製造速度)

014)加工工場緊急連絡体制(会社における担当部署の電話、自宅電話)

015)毒物管理体制

016)毒物混入などの操作協力体制

017)工場組織図

018)工場防火防災管理体制

019)工場衛生管理組織図

020)週間、月間製造管理用紙(加工時製品温度、脂肪率、1個当たり重量、製造ケース数

021)パティ加工工程の状態

022)金属探知機記録

023)原材料検査法(原材料の外観、検出細菌種類と数)

024)各工程別作業基準(10工程)

025)原材料チェックシート

026)製品グリルテスト(店舗で使用する調理器にて)

027)製品テスト基準

028)工場各加工機器の細菌検査記録

029)異物混入対策

039)工場クレンリネスマニュアル(作業員衛生管理、屋内外衛生管理、加工機械の衛生管理)

040)工場サニテーションプログラム

041)加工機器メンテナンスマニュアル

042)作業開始前、終了時作業マニュアル

043)作業中と保管時温度管理

044)細菌別検査基準

045)官能検査法

046)包装材管理シート(工場内で使用するビニール包装などの色)

047)加工機器で使用する金属、プラスチック色形状

以上の詳細な内容で、これをもとに品質管理保証部(クオリティアシュアランス)が抜き打ちチェックする。

このブラックブックblack bookは極秘であり社内で詳細を知っているのは品質管理保証部(クオリティアシュアランス)の人間だけである。私は運営統括部兼機器開発部であったが、品質管理保証部(クオリティアシュアランス)に同期がいたのでよく教えてもらっていたし、閲覧もできた。加工工場もしばしばテストで訪問していたので工場長とも顔なじみであった。

 ブラックブックblack bookの内容を部外者が詳細に知らなくてもよいが、その存在を知っていれば異物混入時に的確に対処できる。

 2014年の年末に異物混入が発覚し、正月早々に社長不在の中で役員2人が記者会見し、品質管理のブラックブックblack bookの存在を知らないために動揺し、マスコミに批判を浴びた。

ブラックブックblack bookの存在を知っていれば適格的に説明することができたのに残念である。クレーム件数や内容も社内で公開し月次年次報告をしているのにそれを知らずマスコミに不信感を抱かせた。

その時の詳細は

マクドナルドで異物混入が相次いでいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150107-00000006-wordleaf-soci

A)「チキンマックナゲット」へのビニール片混入

1)2015年1月3日の青森県三沢市店舗

 青いビニール片でタイの製造工場と思われるが、工場で使っているビニール片を日本に送り、チェックする。

2)2014年昨年12月31日の東京都東陽町の店舗

 乳白色のビニール片が混入していたが、ビニール片は店舗で紛失した。また報告も上がっていない。

B)サンデーの異物混入

 2014年12月19日に福島県郡山市の店舗で起きた「サンデーチョコレート」へのプラスチック片の混入は、サンデーマシンの部品のようだ。

C)歯の混入

 大阪府の河内長野で2014年8月26日に起きた「フライドポテト」から人間の歯が混入していた。フライしていない人間の歯であるが、どこで混入したか明確に判明していない。

D)ホットケーキにアクセサリーの破片混入

 記者会見で、菱沼取締役はこの青いビニール片について、「青色の物質だったので、工場で混入した可能性がある」と説明。現在、工場内にある青い物品をリストアップして、何が入ったのかを調査しているという。

 マクドナルドの発表によると、2014年12月31日には、東京都内の店舗で、チキンマックナゲットの中に乳白色のビニール片が混入していたという報告があった。このビニール片は店舗で紛失したため、何だったかは確認できていないという。

菱沼取締役は「工場では着色されたビニールを使っているため、工場で混入した可能性は低いと考えている。店舗で混入したのかどうかをいま、調査している」と説明した。

 また、12月19日には、福島県の店舗で販売されたサンデーチョコレートにプラスチック片が混入しており、こちらは調査の結果、商品を作る機械の部品の一部だと判明したという。

 さらに、昨年8月26日に、大阪府内の店舗でマックフライポテトを購入した客から「プラスチックのようなものが入っていた」という報告があった。これについて、菱沼取締役は「あらゆる可能性を調査したが、どこで混入したのか、明確にはわからなかった」と説明。混入していたものを分析をした結果、「人間の歯ではあることがわかったが、フライをされた形跡はなかった」と話した。

CEOサラ・カサノバ氏出張時の取締役による記者発表(マスコミは批判的)

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/354152/

http://www.j-cast.com/tv/2015/01/08224805.html

サラ・カサノバ市の不在の件については別途述べましょう。

危機管理については

「失敗に学ぶクレーム対処術」という本を執筆しているのでご参考いただきたい。

 その本に詳しく書いているのだが、当時のグリドルの清掃の方法が悪く。研磨剤の金属片がハンバーガーに混入しお客様の消化器内で発見された経験がある。

  対策にはその数年が必要で、研磨剤なしで安全な薬品で清掃するようにした。

 その部分を紹介しよう

『私のクレーム処理最大の失敗は、異物混入のクレーム処理で、サラリーマンが絶対にやってはいけないこと、「社長を謝りに行かせる」でした。クレーム処理はあっという間に終了しましたが、問題が二度と発生しないような対策を二年間徹夜でとるという過酷な仕事が待っていました。

 私がスーパーバーザー(数店舗の監督、以下SV)時代のことでした。お客さんがハンバーガーを食べたところ、喉に針が刺さって入院しているというクレームが入りました。私はすっ飛んでいきました。

レントゲン写真を見ると、確かに喉に針状の金属が刺さっています。現物はステンレスの細い針で、よく見てみると、ハンバーガーを焼き上げるグリドル(フライパンの代わりに使用する厚さ三センチ、幅一・五メートル、奥行き〇・九メートルの鉄板)の研磨に使用するステンレス製の金たわしの破片でした。

清掃した後に綺麗に拭き上げ、さらに翌朝また丁寧に拭き上げてから使用するのですが、どこかにミスがあったのでしょう。

 当方のミスなので誤りましたが、病院に入院中の客は納得しません。「俺の商売は屑鉄商だ。鉄屑が喉に刺さって死ぬなら本望だ」と絡み出します。どうすれば解決するのかと聞くと、「偉いやつが謝りにこい」と言うではありませんか。しょうがないので上司でなるべく年齢の高い部長を連れていったのです。

 当時の会社はまだ日本進出4年目、店舗数60店くらいで、そんなに年齢の高い部長はおりませんでした。年輩の部長を連れていっても、客は納得しません。「どうしたらよろしいのでしょうか?」と聞くと、「もっと偉いやつを連れてこい」「でも、この上は社長しかいませんよ」と言ったら、「その社長、藤田を連れてこい」ということになってしまいました。

 まるでやくざのような言いぐさに困り果てた私は、故藤田社長(当時、2004年4月没)に行ってくれとお願いしました。まだ店舗数の少ない時代、藤田社長は「よっしゃ」と身軽に謝りにいってくれました。病院で揉めるかと心配していたのですが、なんということはありません。握手をして「がはは」という笑い声でクレーム処理は終了です。

  これで良かったとホッとしたのが間違いのもと、故藤田社長はそんな生やさしい社長ではありません。きっちりと「王君、ワシ、社長や、暇やないんやで」ときました。私はサラリーマンとしてやってはいけないクレーム処理をしてしまったわけです。

 そこで、責任をとって、金たわしを使わない清掃方法を開発させられることになってしまいました。

 マクドナルドに入社したての新人教育の際,グリドルの磨き方、シェイクマシンの洗浄殺菌(マックシェイクを作るアイスクリーム製造器)、フライヤーの洗浄、シンクでの器具洗浄などをやらされました。

マクドナルドを外から見たときにはすべて全自動の機械を使用しているように見えましたが、実際の作業は相変わらず前近代的な手作業だったのにはがっかりさせられていました。

グリドルをピカピカに磨いたり、器具洗浄を真夏にやらされたら、パンツまで汗びっしょりになります。新人アルバイトにやらせたら次の日には来ないという重労働でした。

 その新人のときのつらさと、客のハンバーガーに鉄屑が混入したクレーム事故が、私を清掃方法の改善に追い立てたのでした。幸いなことに、事故の直前、アメリカへの研修旅行の際に、マクドナルド店舗で使用している合理的な洗剤を目の当たりにして、それをヒントに洗剤で清掃する方法を開発することにしました。

 洗剤はアメリカのサンプルがあるから、それを洗剤会社の専門家に見せれば最適の配合をして、洗浄能力も優れた物を作ってくれると思ったら大間違いだったのです。アメリカと日本は水質が異なる。そのため、アメリカの配合成分をもとに日本の水にあった洗剤の開発をしなくてはなりませんでした。

  また、アメリカ人と異なり日本人は品質にうるさく、アメリカ製の洗剤の洗浄能力ではOKが出ないという問題にもぶつかりました。

アメリカの洗剤はグリドルの上についたカーボンを落とすだけで良かったのですが、日本の品質基準はたいへん高く、手作業で研磨剤を使い、鏡のようにピカピカになったのと同様の仕上がりでないとOKを出してくれません。

また、アメリカと日本の安全に対する考え方が異なっており、洗剤は少量でも残留する可能性がある以上、配合成分にすべて食品添加剤として認定されているものを使用しないと安全でないという厳しい要求が出てきました。

 私は洗浄能力などは何か汚れのサンプルを使用して、機械で自動的に計算できると思っていたのですが、どうもそうではないということがわかってきました。店舗の調理機器で一定量の調理をして作った汚れを研究所で再現することが不可能なのです。

つまり、店舗で実際に使用した後に機械の洗浄を行って評価しなくてはいけないのです。洗剤メーカーに「じゃ店舗で再現して清掃テストをしてよ」とお願いすると、洗剤メーカーは、「それは現場の作業を熟知している人がやらないといけないですよ」と言う、つまり、私にやれということなのです。

現場の作業を熟知している同じ人が作業をして、評価をしなくてはなりません。なんと、私が毎日清掃作業を行って洗剤の評価をするはめとなりました。

  当時の担当店舗は盛り場にあり、閉店時間が9時、10時、11時と異なり、清掃を一晩に3回もできます。そこで担当店舗を毎晩3店回り、グリドルの清掃作業をしました。実験と試作を繰り返すグリドルクリーナーの開発には2年間、しかも徹夜の作業が必要だったのです。お陰で洗浄作業は会社で一番うまくなってしまったのです。今でも目隠しをしても掃除ができるくらいです。

 しかし、洗剤ができれば終わりというわけにはいきません。他の洗剤のいろいろな問題も出てきて、すべての洗剤を開発する必要に迫られ、足かけ5年の歳月が必要でした。しかし、この洗剤の総合開発により、世の中に食中毒が増えた現在でも、事故を起こさず、完璧な衛生管理を行うことができているのです。

 クレーム処理というのは、その場の処理よりも、同じクレームを出さないようにするのにたいへんな努力が必要なのだと実感したのでした。

教訓

 よく、クレームに社長を出してはいけないといいますが、企業規模が小さく、経営者が決断力と度胸がある場合でしたら、社長自らクレーム処理に当たれば、簡単にクレームは収まるのです。

クレーム処理というのは起きてから処理していては問題の真の解決になりません。二度と同じクレームが発生しないように、清掃の方法を根本的に見直すなど地道な改善が必要だということです。

後日談 1

 グリドルクリーナーはあまりに良い洗剤で、特許が成立しました。特許は開発した洗剤メーカーが取得しました。もちろんこの洗剤の開発は私が担当しており、マクドナルド向けの専用洗剤でした。

ところが、この洗剤メーカーはグリドルクリーナーを競合のハンバーガーチェーンに販売していたのです。「それは契約違反ですね」と担当者に確認したら、「そんなことはしていません」と言いはります。

私は各チェーンに友人がおりましたから、店舗で洗剤を使用している写真を撮影し、メーカーを訴えることにしました。真っ青になった洗剤メーカーは他社に販売しないことを約束し、その証として特許をマクドナルド社に譲渡することになりました。

後日談 2

 グリドルクリーナーには、こびりついたカーボンを簡単に落とし去る能力があるのですが、アルカリ成分が高く、目に入ると失明する危険がありました。

そこで、使用する際には使い捨てのゴーグルを使用するようにマニュアルを設定し、教育に当たっていました。15年ほど無事故でしたが、ある店舗で、アルバイトがそのマニュアルを守らずにグリドルクリーナーを使用し、運悪く目に洗剤が入り、失明の危機に陥りました。

 これは、使用マニュアルを守らなかったアルバイトが悪いのですが、そのたった一件の事故で、会社は大事なアルバイトに万が一のことがあるような洗剤を使用してはいけないと使用を中止しました。それから、あわてて、安全な中性の洗剤を開発することになったのです。

教訓

 このグリドルクリーナーはよくよく問題があるのですね。クレームが発生してから、完全に解決するまでに足かけ20年ほどの日時が必要だったのです。』

マクドナルド時代の開発

マクドナルドの洗剤

http://sayko.co.jp/article/cyubou/95-03.html

http://sayko.co.jp/article/cyubou/95-04.html

 その他、異物が出ないようにシステムを改善してきた。私が在籍時代、1980年代後半には、店舗厨房には包丁・まな板は存在せず、缶詰も使用していない。包丁は歯が欠けて異物になるし、手を切るとブドウ球菌による食中毒の原因になるからだ。

缶詰の場合は缶詰の蓋を切る際に金属屑が発生するからだ。プラスチック容器を切るはさみや、ホッチキスも厨房には置いていない。ケチャップも切り屑がでる缶詰や、ガラス破片の原因となる瓶を使用せず、手で開けられるプラスチックなどの容器に入れていた。

以前はタルタルソースに入れるタマネギは店舗で刻み,混ぜていたり、チーズのスライスを電動カッターなどでカットしていたが、全て工場加工にした。

 異物混入では、洗浄用のたわしが原因の場合が多い。たわしは棕櫚(シュロ)や椰子(ヤシ パーム)の皮の繊維をほぐし、針金で束ねている。繊維や針金が容易に破損し、異物混入の原因となることが多い。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%97

そこで,耐久力の高い米国製のプラスチックたわしをテストし採用した。その他洗剤も,容器が大きすぎると飲料用のカップなどに入れ使用するので、誤飲しやすい。洗剤類は容量の小さな使い捨ての容器に変更した。

 それらの対策の結果、異物混入は古いデーターだが、1986年の2月で2件、通常は倍とクレームの中では少ない方だった。一番多いクレームはサービスで、異物混入の4倍ほどであった。

年間を通すと

接客クレーム53%

商品クレーム17%(異物混入含む)

店内清潔さ、近隣環境問題 クレーム9%

その他のクレーム21%

位であった。

 ある牛丼チェーンの場合

接客態度サービス クレーム  31%

提供時間、品間違え クレーム 23%

品質、具材の量など クレーム 19%

異物混入 クレーム      14%

環境、衛生問題 クレーム   13%

と,意外にも異物混入は少ないのだ。

続く

              △▼△▼△▼△▼△▼△

● 日本外食ニュースと米国外食ニュース    ——————-■□

最新の情報は私のfacebookに掲載していますのでご覧ください。

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<日本外食ニュース>

柏原光太郎(カッシー)さん発行の飲食業界ニュースまとめのリンクです。

 柏原さんは、文芸春秋の編集者で1967年から続くグルメガイド『東京いい店うまい店』(私が愛用していた信頼のおけるグルメ本です)の編集長を務め、自身もグルメとして知られる有名な方です。

10月1日にスタートした「文春マルシェ」は柏原さんと食通販サイト「セコムの食」伝説のバイヤー猪口由美さんがタッグを組んでいます。「セコムの食」は残念ながらこの3月に閉業。そこで「文春マルシェ」では、これまでが猪口さんが築き上げたおいしいものの人脈に、柏原さんの有名シェフの人脈がプラスされていて、魅力たっぷりに紹介されています。

おいしいは、ニュースだ

「文春マルシェ」

https://shop.bunshun.jp/store/top.aspx

2018年1月に「日本ガストロノミー協会」を設立し会長に就任しています。

食べログフォロワー数5万人。

https://tabelog.com/rvwr/kotarokashiwabara/

飲食業界ニュースまとめ #798 2022/6/2

https://note.com/kassie/n/nbd4f3aab5012

飲食業界ニュースまとめ #799 2022/6/3

https://note.com/kassie/n/n325ad7e89b21

飲食業界ニュースまとめ #800 2022/6/4

https://note.com/kassie/n/n241348a18ecb

飲食業界ニュースまとめ #801 2022/6/5

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飲食業界ニュースまとめ #803 2022/6/7

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