昨日から今朝にかけて、私にとっても衝撃的なニュースが飛び込んできました。
日本経済新聞【真相深層】大衆百貨店、運命の落日 「一億総中流」失う:日本経済新聞
有料記事ですが
「真相深層大衆百貨店、運命の落日 「一億総中流」失うそごう・西武、セブン&アイが売却へ」
【時系列】百貨店事業売却へ セブン&アイとそごう・西武の15年
財界記事
日経記事
「セブン&アイ、そごう・西武売却で企業価値なぜ上がる ビジネススキルを学ぶ グロービス経営大学院教授が解説」と「セブン&アイがそごう・西武、売却へ」という情報が業界にも衝撃が走らせています。
私にとっても衝撃的なニュースです。
私は池袋育ちで、池袋に住んでいました。学校も中学から大学まで池袋の立教学院で習い、10数年前まで立教大学大学院ビジネススクールで教鞭をとっていました。
高校時代から西武池袋線江古田駅に引っ越しましたが、父は池袋で小さな喫茶店を営んでおりました。今ではその店を貸しビルにして生計を営んでいますし、コロナ前までは池袋で居酒屋を営んでもいました。子供のころから買い物や外食は駅上の西武百貨店、東武百貨店でした。
大学を出た後に家業の手伝いを始めましたがノウハウを学ぼうと地元に本社のあった、西武百貨店子会社のレストラン西武の門をたたきました。レストラン西武は、西武百貨店の食堂街の一部だけでなく、百貨店の社員給食、他社の社員食堂運営受託、ゴルフ場のレストラン運営受託、東名海老名サービスエリアの運営、など幅広く運営する業界でも3位くらいの大きな規模の外食企業でした。当時日本橋の大日本インキのビル最上階にレストランプリンセスという高級フレンチを営んでいました。私はそのフレンチのシェフを希望したのですが、大卒では年取りすぎていてだめだとして、ウエイターをやらされました。今の一人前ずつ料理を小皿で提供するのでなく、大きな皿に料理を乗せて運び、お客様の目の前で、お皿にきれいに取り分ける古典的なサービスでした。スープも大きな容器に入れお客様のスープ皿にレードルで分け入るのでした。従業員には賄が出るのですが、その品質はひどいものでフレンチのかけらもありませんでした。そこでお客様に取り分けるスープや料理を少し残し、陰で食べ、フレンチのおいしさに目覚めたのです。しかしシェフに見つかり怒られたし、レストラン経営は学べないと、レストラン西武が米国のダンキンドーナツ社と提携して作った子会社、日本ダンキンドーナツ社に押しかけ転属しました。レストラン西武は業界大手のバーガーキング社と提携交渉していましたが米国側が乗り気でなくダンキンドーナツになったのです。
皆さんはドーナツというとミスタードーナツやクリスピードーナツしか知らないと思いますが、本家米国にはダンキンドーナツとクリスピードーナツ、ウインチェル、ホートンズしかありません。ミスタードーナツはダンキンドーナツ傘下に入ってしまいました。
日本のダンキンドーナツを陣頭指揮していたのは、総合スーパーの西友で課長だった、和久井氏でした。池袋に一軒あった西武百貨店を率いてセゾングループという、小売り・外食・ホテル企業に成長させたのは、創業者2代目の堤清二氏です。
創業者2代目の堤清二氏はボンボンでなく、東大を出た革新的な経営者でした。堤清二氏は新興の百貨店を富裕層向けから、大衆向けの総合小売業を目指し、総合小売業西友を作り、西武線沿線を中心に展開します。百貨店のようなターミナル駅の大型店でなく、沿線小型駅に展開するチェーン店を目指したのです。堤清二氏は小売業の大衆化を目指したのです。そのセゾングループの中心に位置したのが西友で、優秀な人を集めていました。その西友からダンキンドーナツに移り、陣頭指揮をした和久井氏は、ダンキンドーナツを始めた理由を「ダンキンドーナツの優れたフランチャイズシステム、特にエリアフランチャイズシステムを学びたかったからだ」と語っていました。和久井氏は日本ダンキンドーナツが実験店を出して間もなく転属しました。何をやるのか聞いたら、米国の小型小売業のコンビニの多店舗展開を作るのだと言っていました。そして、私に来ないかと言われたのですが、当時の私には全く想像できないビジネスで、断ったのを今でも後悔しています。そのコンビニが今では伊藤忠商事の子会社になってしまったファミリーマートです。セゾングループには優秀な社員がいたのですが、それを支えるシステムが、東大出身者の多い官僚システムになってしまいました。和久井氏のように優秀な人が次々に新業態を作り、そのあとにくる人材がビジネスを知らないぼんくらでした。
堤清二氏は大変斬新的な経営者でしたが、東大で学んだ官僚システムの影響を受けたのが問題でした。現場の社員は優秀ですが、管理者を定期的に移動させるので経営方針がどんどん変わり、現場は荒廃して行ったのです。私のダンキンドーナツ店長時に、ぼんくらで現場を知らない上司がどんどん変わり、上司に問題点を指摘したり、教えなくてはいけなくなり、米国的な経営方針のマクドナルドに転職したのです。でもマクドナルドに転職して驚いたのが、マニュアルが整備されていなく、現場の作業も前時代的だったことです。
いまではレストラン西武は外資系のコンパス・グループに買収、西友はウォルマート、西武百貨店はセブン&アイ傘下とセゾングループは解体されましたが、更に西武百貨店がセブン&アイから売却とは残念です。西武百貨店池袋の位置する、池袋は大規模な再開発が進行しており、膨大な資金が必要な点も懸念の一つですね。
ではちょっとファミリーマートに流用された、「ダンキンドーナツの多店舗経営者の手引き(エリアフランチャイズ)」の内容をご紹介しましょう。
多店舗経営者の手引き
目次
1.緒言
2.第1部 多店舗組織について
3.1. 多店舗組織の概要
4.2. 役職の説明
5.2―1 店舗支配人について
6.1) 主な責任 (1)(2)(3)(4)
7.2) 人間の相互関係 (1)(2)(3)(4)
8.3) 一般業務判定の規準
9.2―2 営業監督について
10.1) 主な責任 (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
11.2) 人間の相互関係(1)(2)(3)(4)
12.3) 一般業務判定の基準(1)(2)(3)(4)
13.2―3 経営者(一手販売権所有者)について
14.1) 主な責任 (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
15.2) 人間の相互関係 (1)(2)(3)(4)
16.3) 一般業務判定の規準 (1)(2)(3)(4)
17.3. 店舗運営と他の機能との関係
18.3―1 不動産について
19.3―2 建築と工事について
20.1) 建物の受け入れ
21.2) 設備の受け入れ
22.3) 改装について
23.3―3 広告宣伝と販売促進について
24.1) 店舗開店
25.2) ダイレクトメール
26.3) 特別な個々の店舗の販売促進
27.4) 店舗群のための共同広告
28.5) 販売促進用
29.6) 他の販売促進の着想 (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)
30.3―4 人事業務
31.1) 支配人の選定
32.2) 新支配人の訓練
33.3) 人事計画の手引
34.3―5 研究開発、品質管理と買い付け
35.1) 製品の品質維持
36.2) 新材料供給者
37.3) 設備と供給品の検査
38.付録 A 店舗支配人の職責概要
39.1) 職名
40.2) 関係
41.3) 責任範囲
42.4) 責任と義務
43.付録 B 営業監督者の職責概要
44.1) 職名
45.2) 関係
46.3) 責任範囲
47.4) 責任と義務
48.付録 C 経営者の職責概要
49.1) 職名
50.2) 関係
51.3) 責任範囲
52.4) 責任と義務
53.付録 D 店舗改装の手続き
54.1) 責任
55.2) 改装計画の手続き
56.3) デザイン費用の予定
57.4) 経費請求の予定
58.5) 建築費用
59.第2部 経営情報の利用について
60.1. 必要な情報
61.2. 基本計画と予算について (1)(2)(3)(4)
62.3. 損益試算報告
63.4. 地区担当監督者の使う進行状況報告書
64.1) 毎週の活動報告書
65.2) お客満足の手引
66.付録 H 予算管理 (1)(2)(3)
67.1. 質的予算
68.2. 量的予算
69.2―1 販売予想 (1)(2)(3)(4)
70.2―2 経費予算 (1)(2)(3)(4)(5)(6)
71.2―3 店舗運営予算
72.1) 一般的なもの
73.2) 特殊なもの (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)
74.第3部 店舗運営の指導
75.1. 訪問計画の立案
76.1―1 時間の割当
77.1―2 優先順による計画の立案
78.1) 極めて重要なこと
79.2) 重要なもの (1)(2)(3)(4)(5)
80.3) きまったこと(1)(2)(3)
81.1―3 本人直接の連絡と電話
82.1―4 管理時間の計画を立てること
83.2. 店舗支配人の予定計画を立てること
84.2―1 開店前の協力
85.2―2 開店及び最初の六ヶ月の援助
86.2―3 決定した店舗支配人の予定計画の立案
87.2―4 不満足な状況の解決
88.3. 助言の手順
89.3―1 訪問前の計画
90.3―2 問題解決の道具
91.3―3 訪問の開始
92.3―4 問題解決の接近方法
93.3―5 追求
94.3―6 不成功の場合
95.作業予定
96.1. 駐車場
97.2. 洗面所
98.3. 倉庫
99.4. キッチン
第一部 多店舗組織について
1.多店舗組織の概要
あなたの店舗が繁栄を望むなら、店舗は能率的効果的組織に援護されなければならない。あなたの店舗を繁栄に導くこの組織は長年にわたる数多くの貴重な経験から生み出されたものであり、それは、次に示したとおりである。
これらの組織の構成は、当然責任と権限の線を明確にし、一店舗あるいは一地区の営業成績に対する責任を決めることになる。
組織は一般に、5店舗までと、それ以上とでは異なる。
5店舗までは、図―1に示すとおりで、経営者、店舗支配人、従業員からなる組織であり、5店舗以上の場合には、これに営業監督者が加わる。(図―2)もちろん、営業監督者はまかされた一群の店舗から利益責任額を出さねばならない。そのために、店舗支配人は営業監督者あるいは経営者であるあなたの指示指導を仰がねばならない。もちろん最終責任はあなたにあるわけで、必要に応じてDDJは援助の手をさしのべることも当然である。
以上