飲食店向け「アレルギー表作成代行サービス」株式会社CAN EAT 代表取締役田ヶ原さんインタビュー

FBプロデューサー日記

立教大学現代心理学部映像身体学科3年 加藤 凪さんが書いたインタビュー記事をご紹介します。

先日、株式会社CAN EAT代表取締役の田ヶ原絵里さんに、石川さん、私と同じくインターン生の藤原さんと共にインタビューさせていただきました。たくさんの貴重なお話が伺えたので、この記事にてその内容を共有させていただきます。

株式会社CAN EATとは

食物アレルギーや健康問題、宗教上の理由などで心置きなく食事ができない方々を含めた全ての人に食事を楽しんでもらうべく設立された会社です。主な事業としては、ゲストのアレルギー情報をQRコードで直接把握し、事故リスクと現場のアレルギー対応による疲弊を防ぐ「アレルギーヒアリングシステム」、ラベルを撮影するだけでアレルギー表が作成できる飲食店向けのサービスである「アレルギー表作成代行サービス」、個人の食事嗜好をまとめて飲食店にシェアできるサービスがあります。

起業の経緯

お母様の米アレルギーが発覚したことで、全ての人が食事を楽しめるような取り組みをする事業に興味を持ったという田ヶ原さん。元はIT企業に勤めており、当初はそこで事業を行おうと考えていたそう。しかし、アレルギーが関わる事業は高リスクであり、食の専門的知識が必要になってくることから、会社側が難色を示して独立をすすめられたために、田ヶ原さんは起業するに至ったといいます。もともと起業がしたかったわけではなかったのですね。

独立によるメリット/デメリット

独立したことで生じた利点はたくさんあり、逐一事業のお伺いを立てなくて良いために機動力を削がれないこと、クイックな動きができることが特に独立して良かった点だそうです。独立してやる方が圧倒的に楽であるしご自身に向いているとおっしゃっていました。一方、金銭面では困ることがあるそうで、ビジネスコンテストや都の助成金などで資金を作っていたのだとか。以前務めていた会社からの資金サポートはなく、そこが苦労したところではあるけれど、やはりメリットの方が大きい。起業、独立に関してマイナスイメージはほとんど無いといった印象でした。

現在の事業について

アレルギーヒアリングシステムがデジタルである意味は、「楽できるところは楽をする」というところにあるといいます。今まではいちいち手書きでメモを取っていた食物アレルギー等の情報。そのようなアナログ作業は無駄な労働であると指摘しました。この無駄な作業による疲れがミスを招き、そして事故となります。アレルギーに関する事故は命に関わるため、そのようなリスクは最小限に減らすことが重要です。「楽できるところは楽をする」は決して横着だというわけではないのです。アレルギーヒアリングシステムのように、アナログからデジタルへ移行する「デジタルトランスフォーメーション」は、どの業界でも考えていかなければならない課題となりそうです。

広報活動

CAN EATのサービスは、広報を企業中心に行なっており、一般客向けの広報は基本的に行っていないそう。企業向けにはセミナーを開いたり、ビッグサイトで展示をしたりしているとのこと。「アレルギー対応にはCAN EAT」という認知を得ることを目標に頑張っているとおっしゃっていました。

今後について

今後は「アレルギー表作成代行サービス」や、個人個人食事の嗜好から新たな食との出会いを提案するシステムといった新規事業に力を入れつつ、自分たちの事業を拡販することをしっかりとやっていきたいそうです。

IT企業に勤めた経験が活きている

大学では文系学科だった田ヶ原さん。IT企業に勤めていたときはまわりとのコンピュータに関する知識量の差に苦労したそう。しかし、そこで身につけた知識が今役に立っているといいます。今の事業にはコンピュータが関わってきますが、コンピュータの話になったときにエンジニアに丸投げとなると良くない。ITの知識を持っているためにエンジニアと対等に会話でき、またエンジニア側へ歩み寄ることができます。文系と理系、どちらの知識も持っていることで文系理系の溝を埋められるというのが、今の仕事を円滑に進めていく上でプラスになっているそうです。

本からインスピレーションを

田ヶ原さんは日頃からたくさんの本を読み、そこから様々なインスピレーションを得ているといいます。本といっても、自分の業界ではなく他業界のものからヒントを得ることが多いのだとか。また、1つの紙面にある情報量が多いという理由から雑誌をよく読まれるらしいです。この視野の広さが、田ヶ原さんの豊かな発想力に繋がるのですね。

インタビューを終えて

約45分間に及ぶインタビューで、事業のことだけではなく、趣味のこと、働く上で大切にしていることなど多くの質問に答えてくださいました。回答の中でも、今まで理系分野を食わず嫌いしてきた私にとっては「文理の溝を埋める」という言葉は特に印象的でした。田ヶ原さんのインタビューから本当にたくさんのことを勉強させていただきました。ありがとうございました!

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