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マクドナルド時代の体験談

 マクドナルド創業50年で、現在物凄い物量で新商品やハッピーセット発売していますね。私もマックの裏側などで発信していますが、同時に編集長の石川史子さんにお願いしてHPを更新中です。マクドナルド関係の色々な情報を整理しています。私はマクドナルドを約20年勤務して、1992年4月に退職後コンサルタントとして独立し、飲食店経営や月刊食堂、月刊厨房、月刊コンビニ等に外食関連(主にマクドナルドなどのファストフード関連)の膨大な記事を書いてきました。マイナーな内容で出版につながらないのでsaykoやfood104のHPに掲載してきました。月刊紙への投稿記事というと大したことがないと思われますが、これだけの量となるとデーターベースとしての価値が出てきます。
 私は立教大学観光学部や女子栄養大学等の大学の非常勤講師をしてきましたが、2004年4月より2009年3月末まで、立教大学大学院ビジネスデザイン科教授を勤めました。その後2011年4月より4年間関西国際大学の教授を務めるなど、教授職が本業となりました。
 大学教授になるには、各大学の教授会の厳しい審査があります。審査では、所属する学会での発表論文や出版物の審査があります。内容と発表数が必要です。しかし当時は、どこの学会にも所属せず、出版物も少なかったのですが、HPに掲載した膨大な記事を評価され大学教授に任命されました。私は大学卒で、大学院を出ておらず、論文を書いて取得できる修士や博士号も持っていません。
 博士号は持っていませんが、私がマクドナルド時代に研究した、洗剤システムや調理機器開発は博士号取得よりも膨大な研究が必要でした。また私は文献収集が好きで、昔所属していたダンキンドーナツやマクドナルド、友人が働いていたKFC等のの膨大なマニュアルを収集し保存してきました。コンサルタントになってからの仕事で、バーガーキング、モスバーガー、ロッテリア、ワタミ、マルシェ、ジョイフル、IHOP等のマニュアルなどに接し、外食業界のほとんどの企業分野のマニュアルを熟知しております。
 それらの経験と知識を基に、外食関連の記事を執筆投稿し、HPに掲載してきました。また大学教授時代の学会への投稿や論文をHPに掲載してきました。さらに、大学院の教え子で清晃社員の劉暁穎のマクドナルド研究の修士と博士論文を掲載しました。日本では米国外食の歴史がないので、米国の外食歴史詳細を掲載しました。saykoのHPはまだ8割くらいの完成ですが、今回一部をご紹介しましょう。

 私の雑誌原稿は出版社別に掲載しております。
https://www.sayko.co.jp/oh/publicationlist/

 米国外食歴史は
https://www.sayko.co.jp/oh/school-of-business/

 劉暁頴の修士論文は
https://www.sayko.co.jp/oh/school-of-business/

 劉暁頴の膨大な博士論文は
https://www.sayko.co.jp/food104/post-4231/
 
に掲載しております。

その一部を見てみましょう

<研究概要と目的>

 マクドナルド(Donald McDonald)は1939年にロサンゼルス郊外でマクドナルド兄弟により創業した。後にレイ・クロック(Ray Kroc)が買い取り、1953年にマクドナルド・コーポレーションを設立し、全世界に店舗展開する世界最大のレストラン・チェーンとなった。そのため、マクドナルド兄弟やレイ・クロックがファスト・フードを誕生させた先駆者であり、飲食業にイノベーションをもたらしたという功績は高く評価されている。

 本論文は、彼らの偉業とその社会的な貢献を評価しつつも、その事業が成功し発展する原因を彼らの個人的な資質以外に求める。彼らの事業の発想やノウハウは、その一つ一つのモジュールに分解すると、彼らのオリジナルとは言えない。一般に、イノベーションは閉鎖的な個別企業の中で突然に生まれるものではない。種の起源にあるように、環境適合を模索し、過去に蓄積した業種を越えた経営ノウハウや経営手法を取捨選択し、これを結合することで新たな経営手法のように現象するものである。マクドナルドのイノベーションも、個々に散在する経営ノウハウや手法を時代環境に適合するように結合したところにある。

 米国外食産業の起源からファスト・フード誕生までの歴史、ファスト・フードの成長に大きな影響を与えた大量生産方式、大量生産した製品を大量に販売するためのフランチャイズ・システムという3つの分野に関しては、構築される歴史的な経緯とその必然性、さらには、それらの技術がどのようにファスト・フード・ビジネスとして結実されたか、それから、ファスト・フード・ビジネスに至る過程で、各形態の飲食ビジネスは、その時代における飲食ビジネスモデルに革新的な要素を加え、業種間の諸技術が相互に影響し合い、ファスト・フードの技術革新に至った経路とは何か、マクドナルドの成功要因とグローバル化の成功要因はどこにあるのか、マクドナルドの近年における業績不振は何に由来し何を意味するのか、マクドナルドの成功モデルは外食産業、ひいては海外進出先の外食業界にはどのような影響を及ぼしてきているのか。

 本研究では、最も早く世界展開したマクドナルド社を事例に、マクドナルド成功の真のノウハウを探るとともに、現在のマクドナルドが苦境に陥った原因についても考察する。マクドナルドの経営ノウハウ(イノベーション)の源泉を明らかにするために、飲食事業が一つの産業として成長・発展してきたモデルとして、事業を成功に導いた経営管理手法を分析し、外食産業におけるマグドナルドのイノベーション[1]モデルを明らかにする。

 結論となるのは、イノベーションの効果とその消滅である。優れたイノベーションは、必ず模倣される。その時間の長短が、イノベーションの価値を決める。第二次産業の生産技術である大量生産方式や販売システムとしてのフランチャイズ・システムは模倣され、標準的なモデルとなる。模倣困難なマクドナルドのイノベーションは、米国内で価値を発揮した不動産ファイナンスであり、飲食事業とは異なる異業種の知識をファスト・フード業に結合したことにマクドナルドの強さの源泉を見る。その一方で、この不動産ファイナンスを導入できない海外市場における進出は、多くの競争企業と市場を奪い合う展開になる。

 海外市場として魅力のある市場は中国である。中国は従来の輸出国から内需拡大による世界経済の牽引役になることを模索している。13億人の人口を抱える中国では、従来の輸出向け工業製品の製造ではノウハウを構築しつつあるが、内需拡大に必要な卸売業、小売業、外食業などの第3次産業における近代的な生産システムの形成は、まだ緒に就いたばかりである。本研究は、中国の内需拡大策の一助となることも念頭におきながら、中国における近年の外食産業、とりわけ、ファスト・フード業の成長や動向を俯瞰し、近年のマクドナルドの経営不振が後継者育成の失敗とそれによる現地化の失敗にあると考える。模倣が容易な標準的モデルで進出しても、価格競争以外に生き残りが困難である。進出する地域に応じた差別化が必要であり、進出した地位における食文化の知を結合しなければ競争優位を得ることはできない。現地の経営者が標準的なマクドナルドのモデルにローカルな知を結合させる必要があるが、マクドナルドの世界戦略は、ローカル経営者の育成に失敗している。業界2位のKFCとの比較を通して、中国外食産業、とりわけファスト・フード業のマグドナルドの現地化の重要性について検討する。

 本論文は外食産業のノウハウの国際技術移転を必要とする中国や、飽和状態に陥った日本外食産業の中国市場への参入を成功させる上で大きく貢献するよう目指すものである。その研究は、中国の外食産業の成長と発展に欠かせない重要なテーマであり、中国の内需拡大にも貢献するものだと考える。マクドナルドの研究は、外食産業に焦点を当てながらも、外食産業に固有の経営問題として捉えていない。むしろ、外食産業が抱える一般的な企業経営の問題として位置づけ、経営管理技術とこれを導入する経営者の育成問題について論じる。

*学位論文は全文は(pdf)をご覧いただくことができます。

以上

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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