キッチンスタディー スチーマー機器の種類(柴田書店 月刊食堂1993年6月号)
キッチンの能力を高める最新機器の知識
キッチンスタディー第六回
スチーマー
スチーマーの原理と歴史的背景
日本での食品の調理には煮る、焼く、揚げる、蒸すの4通りがある。その中で、蒸すという調理法は古くからあり、和菓子や、赤飯、芋等を蒸すのに使われていた。中華の点心を蒸すのも同じ方式であった。古くからある調理方法の為に、鍋に湯を沸かしその上にセイロを置くという、簡単な蒸し器が多かった。
蒸気というのは100℃の気体の蒸気の事である。1gの水を1℃上昇させるのに1calの熱量が必要であるが、100℃の1gの水を気体の蒸気にするのには539calの大きな熱量が必要なのである。この蒸発潜熱が食品を急速に加熱するのである。100℃以上の蒸気の事を乾燥蒸気という
。単純な蒸し器の温度は正確には95℃位にしかならず蒸気中の気体の水より液体状の水の方が多いのである。これを湿った蒸気という。従来の蒸し器は乾燥蒸気と湿り気蒸気が混ざった状態にあるのである。これが悪いのではなく、従来の食品にはこの状態の方が食品の表面が乾かず柔らかく仕上がるのという利点があった。
ところが最近、冷凍食品を解凍加熱するのにスチーマーを使用し出した。特に冷凍の麺や米飯類である。この場合、湿った蒸気では食品の表面が濡れてしまい、品質が良くないという理由で100℃以上の高温の乾燥蒸気の必要性が出てきた。
反面、ファーストフード業界では、バンズを蒸す為に、簡単な蒸気を吹きかけるバンスチーマーを使用している。最近ではその簡易スチーマーを使用し和風のメニューを開発し出している。しかしながら所詮簡易スチーマーの為品質が安定せず悩んでいるのである。従来欧米では、蟹や海老を高速で蒸す為に、圧力型のスチーマーを使うというのが多かった。しかし野菜を蒸す場合に温度が高すぎると、色が変わるという問題があったり、栄養が少なくなるという事と、また冷凍食品を加熱調理するのには能力が不足するという事の為に、近年では、常圧の蒸気発生器と常圧の庫内の組み合わせのスチーマーが一般的になってきた。このように現在では数多くの方式のスチーマーが販売されているのであるが、ユーザーとしてはその蒸気の発生方式と特徴を正しく理解しないと高価であっても、調理しようとする食品に向かない機器を購入してしまう危険がある。そこでどの様なスチーマーがあり、その構造と特性はどの様になっているかを明らかにし、調理食品に応じたスチーマーの選定を出来るようにしてみたい。
スチーマーの構造
原始的な蒸し器は鍋で湯を沸かし水を沸騰させ蒸気を発生する。その鍋の上に食品を入れたセイロを乗せ蒸すのである。蒸気を発生させる鍋の事をスチームジェネレーター(以下蒸気発生器と省略)と言い、セイロをスチームチャンバー(以下庫内と省略)と言う。
スチームジェネレター(蒸気発生器)の種類
<1>蒸気の温度
100℃以下の湿り気蒸気、と100℃の蒸気、100℃以上の高温の加熱乾燥蒸気の3種類に分かれる。
和菓子、野菜等の従来の蒸し物は100℃以下の湿り気蒸気の方が品質が良いが、中華饅頭等の場合には皮によるが100℃のやや乾いた蒸気の方が良い。しかし、小篭包等の場合には皮が異なり95℃位の湿り気蒸気の方が良いという違いがある。冷凍の麺や米飯は120℃以上の乾燥蒸気の方が仕上がりが良く調理時間が早い。
このように調理食品により適した蒸気は異なるので、用途に適した蒸気温度を発生出来るスチーマーを選定する必要性がある。
<2>常圧と加圧
常圧の蒸気と(大気圧)加圧の蒸気がある。蒸気を発生する際に加圧されているタイプと、常圧のタイプがあるのである。加圧の場合圧力により蒸気の沸点温度も変わってくる。
<3>内蔵型と別体型
また、蒸気発生器が一体になっている、セルフコンテインタイプと、蒸気発生器が別のダイレクトスチームタイプがある。
欧米では、厨房機器の加熱をスチームで行う例が多い。例えば、スチームケトルとか、フライヤー等の加熱を別置きの蒸気発生器で発生した蒸気で行う。ケトルとかフライヤーは100℃以上の加熱が必要であるので、加圧の蒸気発生器を使用する。大型の蒸気発生器を加圧し大量の高圧高温蒸気を発生させ、それを各機器に供給する。各機器の温度は異なるので、それぞれの機器に合わせた温度になるように圧力を減圧し供給するのである。蒸気発生器は厨房の外に置き加熱するので、厨房の温度環境が良くなると言うメリットがある。
<4>簡易蒸気発生器
蒸気発生器は一般的に鍋状の底をガスバーナーで加熱するか、内部に電気ヒーターを入れて加熱するものが多い。最近金属盤を加熱しそこに水をスプレーし蒸気を発生させるタイプが出てきた。このタイプも、常圧タイプ、加圧タイプ、100℃以下、100℃、100℃以上の高温乾燥蒸気、一体型、別体型等にに分かれる。また加熱方法は電気が殆どであるが、電気でも電磁誘導加熱のタイプも出て来ている。
蒸気発生器の能力
蒸気発生器は、加熱方法で、電気とガスに分かれる。電気ヒーター加熱の場合は熱効率の差が余り無いので、ヒーターの電気容量の絶対値が能力の差になる。蒸気発生器のヒーターの電気容量を庫内に入る深さ6cmのスチームパンの数で割ってみる。その数値が大きい方が能力が高いと言える。最近電気加熱でも電磁誘導加熱のタイプがあるが熱効率は同じ位であるので電気容量の絶対値を見れば良い。
ガス加熱の場合には、熱効率が30~75%位と差が大きいので実測する必要がある。庫内に水をいっぱい入れた、深さ6cmのホテルパンを、棚の数だけ入れる。それを5分間位蒸気加熱し、水が何℃温度上昇したか計測する。それに水の合計の量をかければアウトプットのカロリー数が出る。それをその5分間に消費したガスの消費量とそのガス種のカロリー数をかけた物で割れば熱効率が計算出来る。この場合、蒸気発生器を事前に加熱してすぐに蒸気が出てくるようにして置かないとデーターに差が出ることに注意して戴きたい。ただ、普段使っていない状態からスイッチを入れ加熱すると、蒸気発生器の立ち上がりの善し悪しも判断になるので、ファーストフードのように常時スチーマーを使用する場合には必要なチェック方法である。
蒸気発生器のメインテナンス上の問題点
スチーマーの性能を大きく左右するのが蒸気発生器の信頼性と、清掃のし易さである。蒸気の発生の課程で、水分中のカルシウムやマグネシウム等が濃縮され、底や熱交換パイプに沈澱固着し、熱交換の効率を落とすようになる。清掃をしないで置くと、蒸気の発生が少なくなり最悪の場合には交換の必要がでて大きな費用が発生する。
また、水分中の塩素化合物殺菌材が濃縮され高い温度で加熱されていると、錆びないはずのステンレスも腐食し穴があいてしまうという問題が発生する。これをストレス コライド コロージョンと呼んでおり、熱が急にかかったりムラがあったりすると腐食が加速される。特に、加熱した鉄板に水をかけて蒸気を発生させるタイプではこの問題が発生し易い。蒸気発生器が加圧タイプの物もこの問題があり、更に規定圧力以上になった時圧力を逃がすプレッシャーリリーフバルブの作動の安全性の問題もあるのでよく注意されたい。
これを防ぐ為には、一定時間使用したら排水する必要があるので、排水出来るようになっているか?、特に自動的に排水されるようになっているか?は、重要な選定の基準である。>br> 排水する事によって、塩素分の濃縮を防ぐ事は出来るが、カルシウム、マグネシウム等の固着は防ぐ事は出来ない。これを清掃するには、酸性の洗剤で定期的に洗う必要がある。その為には、洗剤を注ぎ込む口が開いていなければならない。特に地方で井戸水や湧水等の硬度の高い水を使用する場合は、かなり慎重に機種を選ぶべきである。
メーカーによっては水のフィルターを取り付ければ良いと言うが、店舗では忘れがちである。フィルターには軟水フィルターと活性炭フィルターがある。前者は硬水分を取り去り、後者は塩素分を取り去る働きである。蒸気発生器には両タイプのフィルターが必要であるがメーカーにより効力が異なり、また交換時期も異なるので良く確認されたい。
蒸気発生器の状態が正常かどうか判断するには、いつも朝点火してから何分で蒸気が出てくるかを記録しておくと良い。また安全装置として、水位が下がった時にバーナーを止める空炊防止センサー、バックアップの水位センサー、それでも空炊きした時の為に空炊き防止用の温度センサー等はついていないとならない。
庫内の種類
<1>庫内圧力
蒸気の圧力が、常圧と加圧している物とに分かれる。一般的には常圧の物が多い。加圧してあると温度が高く良いように思われるが、構造上蒸気量が不足し、冷凍食品のように熱量が必要な場合に向いていないと言う問題と、野菜を蒸した時に変色したりビタミンが破壊されると言う問題があるので、余り一般的ではない。
<2>庫内の温度コントロール
庫内の温度コントロールが出来る物と、一定の物がある。一般的にスチーマーは100℃であるが、冷凍麺等では100℃以上の高温の乾燥蒸気を使った方が早く解凍加熱出来品質が良い場合がある。また、真空調理の加熱の場合、60~70℃の温度で正確に蒸気加熱する必要があり温度コントロール出来ると良い。
<3>庫内をファンでかき回すタイプ
スチーマーの庫内は、十分なスチーム発生量があれば温度ムラや、蒸気ムラはないはずであるが、近年スチームコンベクションオーブンの影響で高速調理をする為にファンを取り付けているスチーマーがある。
庫内の耐久性
ドアーガスケット、ドアーラッチの耐久性は重要である。ドアーのガスケットの密閉性が不十分だと蒸気が漏れ内部の温度ムラができ調理にばらつきが出る。特にガスケットは一体成形ものが望ましくその材質形状、交換のし易さは大事な選定のポイントである。特に外からみて、蒸気がシュウシュウいって漏れてそれを止められないような機種は問題外である。
ドアーラッチの耐久力も大きな問題であり、弱いと蒸気漏れの原因になる。ドアーラッチは丈夫であれば良い訳ではなく、横の熱膨張にたいしてフレキシブルでないとかえって、ラッチをゆるめる事になる。ドアーを軽く押しただけで閉まるタイプの方が作業性が良い。ドアーを開けた時は安全の為、加熱が止まるようにする為に、ドアースイッチが設けられている。マグネット式のドアースイッチの方が機械式のドアースイッチより耐久力が高いので考慮されたい。
各種スチーマーの説明
<1>バンスチーマータイプ(写真1)
この写真にあるのは米国製の物で実際にはスパゲッティ用であるが、基本的な動作原理はバンスチーマーと同じである。
ハンバーガー等のサンドイッチは、バンズと具の肉や魚等が同じ柔らかさでないと、味と歯切れが悪くなる。その為、肉の場合のバンズはトーストするが、魚のフライの場合はスチーマーで蒸すのである。この場合蒸すといっても常温のバンズを蒸すのでそんなにパワーは必要でない。以前は電気ヒーターを鋳込んだアルミの鋳物を耐熱ゴムパッキンで蒸気が漏れないようにし、そこに水を入れ蒸気を発生させたが、水の硬質分が鋳物の水路の部分に溜まり、しょっちゅう分解清掃せざるをえなかった。これが筆者が機械の分解の方法に強くなったきっかけである。
そこで、パッキンを無くし、写真のようなヒーターを鋳込だ皿状のアルミ鋳物に、細かく穴のあいたテフロンチューブを通して、水をそそぎ込むことにより均等に蒸気を発生させるようにした。勿論、皿状の部分に硬質分のスケールは溜まるが簡単にバラして清掃出来るし、テフロンチューブに溜まった硬質分は、柔らかいテフロンチューブを曲げることにより簡単に剥離するのである。筆者はこれを見た時に大変感激し、その場で購入し日本まで重いのも構わず下げて帰ってきたくらいである。バンスチーマーの構造としては大変優れているが、コントロールパネルの信頼製がやや低いのが欠点である。
最近このスチーマーを冷凍のスパゲッティの解凍加熱に利用しようとしているがうまくいっていない。元々常温のバンズ用に設計したものであり、蒸気は間欠にしか出ず、また蒸気温度もやや低いのである。その為ヒーターの電気容量を増加したりしているが、冷凍の麺を解凍するには、素材の工夫も必要なようである。
<2>高温の冷凍麺用のスチーマー
上記のバンスチーマーを冷凍麺に使用するのには無理があることに気がついた冷凍食品メーカーが数年前に、160~180℃の高温の蒸気が出る、スーパースチーマーを開発した。常圧の蒸気発生器で発生した蒸気は高温のハロゲン加熱ヒーターを通って160℃以上に加熱され庫内に入る。庫内には更にヒーターがあり、庫内の内部のステンレスを100℃以上に加熱している。その為庫内に入った高温の蒸気は食品にのみ集中して集まり短時間に加熱する事が出来るのである。特に冷凍麺、冷凍米飯の解凍調理の品質は大変高いものがあった。
問題点は、水処理をきちんとしないと蒸気発生器がすぐに壊れてしまう事と、冷凍の麺や米飯しか調理できないにしては値段が高いという事であり、まだ余り売れていないとの事である。 同様の機器は、業務用のアイロンメーカーが開発している。蒸気アイロンの原理を活用し、蒸気発生器で高圧高温の乾燥蒸気を発生し、それを庫内の加熱した鋳物に導き乾燥した高温(160℃位)の蒸気を食品に吹きかけ、冷凍麺の場合で1分間で加熱出来るというものである。現在はこのタイプが最も市場に出回っているようである。
このスチーマーの問題点は、蒸気発生器は加圧タイプであり、内部の清掃がしにくいので、必ず軟水フィルターを使用しなければならないという事である。軟水フィルターは一定量の水を処理したら効力がなくなるので、定期的に交換する必要があるが、チェーン店の様に従業員がしょっちゅう異動する場合は忘れがちであるので注意されたい。またこの機器は、冷凍麺専用であり、一回に調理出来るのは2人前である為、2台は必要になるのでコスト的にはかなり高いものになるという事である。
麺がたまにしか出なく、その他の調理もあるのであるのなら、スチームコンベクションオーブンで120℃の高温蒸気モードであれば解凍加熱が出来る。2分間位かかるが一回の調理可能量が多いので、コスト的に良いのではないかと思われる。
このタイプの冷凍麺用のスチーマーは各社出ているが、選定の際には、ヒーターの加熱能力が十分にあり、蒸気発生器の清掃が簡単に出来、安全であるか確認して戴きたい。
<3>一体型の圧力式スチーマー(写真 2)
写真2は米国の圧力式スチーマーである。これは蒸気発生器が庫内と一体になったタイプである。電気とガス式の両方があり、使用する前に庫内に一定量の水を入れる、そして食品を入れたスチームパンを中に入れて扉を閉め密閉し、スイッチを入れる。スイッチを入れるとヒーターが作動し水を加熱し始める。庫内は密閉されている為、蒸気の圧力は2kg/cm3まで上昇する。温度は約126℃になる。加熱の途中圧力が蒸気で上がるのを利用し内部の空気を排出し、庫内を純粋なスチームのみにして効率を高める。庫内の圧力は圧力センサーが感知しヒーター作動を断続し圧力を一定に保つようにする。蒸気は食品に当たると露結し水に戻りまた蒸発を繰り返す。
このスチーマーは圧力をかけた蒸気の沸点を上げる事により加熱調理を早くする方法であり、スチーマーというよりスチームコンベクションオーブンに近い存在である。特に向いているのは、蟹や海老等の殻のある食品であり、高速に調理が出来る。
ただ蒸気量が少ない為に、冷凍食品を調理する場合には普通のスチーマーより遅い。また温度が高いのでほうれんそう等の青い野菜は変色したり、ビタミンがなくなるという点に注意されたい。
<4>高圧の蒸気発生器と常圧の庫内の組み合わせ
この組み合わせは従来アメリカで一般的に使われてた。高圧の蒸気を使うのは蒸気をケトル等他の高温用の機器に使用する為であり、スチーマーの庫内に入る時には蒸気を減圧し、常圧のスチーマーとして使用する。高圧の蒸気は距離があっても安定して供給出来るので熱源として広く利用されており、大きな食品工場の加熱に利用されている。
このスチーマーは庫内に食品を入れ、スタートスイッチを押すと、初めてスチームが庫内に出てくる。庫内に入ったスチームは、100℃以下の物を全て100℃になるまで加熱するので、食品と同時に庫内のステンレス板を加熱する。その為食品の加熱が開始されるまでに3~5分間位かかるので、冷凍麺等の調理には不向きである。食材の事前調理用であり、ファーストフードのように常時使用するには向いていない。
大きな問題点は、蒸気発生器のメインテナンスが大変であるという事である。加圧型の為内部の清掃が簡単に出来ないので、外部の清掃業者に頼まなければならずコストが高い。壊れて交換する場合には更に高いという問題点がある。
<5>常圧の蒸気発生器と常圧の庫内の 組み合わせ(写真3)
<4>のスチーマーの問題を解決する為に最近米国のメーカーが、スチームコンベクションオーブンで開発した、常圧の蒸気発生器と庫内の組み合わせである。ハイパースチーマーと呼ばれている。
ガスと電気の両タイプがあり、ガスは床置きで庫内は2段重ねタイプである。電気は床置きと写真にあるカウンター置きタイプの2種類ある。
蒸気発生器はSCOと同じ形状であるがスチーマーとして使用する際に改良を加えられた。SCOをスチーマーとして使用する際には95℃で、蒸気発生器はスタンバイしており、スタートスイッチを押した時に、加熱が開始し2分間で100℃の蒸気を発生する。
100℃の蒸気はまず庫内のステンレス板(95℃に保たれている)を100℃まで上げそれから食品を加熱するので冷凍麺には向いていなかった。
同社がSCOを開発する時の一番の問題がこの応答性であり、やむなくプログラムを全て書換え、スタンバイモードで常時100℃で僅かに蒸気を発生するようにし、庫内には僅かな量の蒸気を導入し、庫内を100℃に暖めて置くようにした。そうする事によりスタートスイッチを押すと同時に蒸気が大量に発生し、庫内に入ってすぐに食品を加熱する事が出来るようになったのである。
その為にSCOでありながら、冷凍麺を解凍加熱出来るようになったのである。SCOを冷凍麺で使用するにはこのプログラムのある機種でないと駄目なので注意されたい。このSCOのプログラムを活用したのがこのスチーマーである。ただSCO用のプログラムでは高価すぎるので、ある特殊な方法により安価に実現しているのである。その為スタートスイッチを押してからすぐに蒸気が発生し、冷凍麺も調理出来るようになったのである。
SCOの技術的なフィードバックとして写真4のファンがある。これはSCOと同じく庫内の蒸気をかき回す事により調理時間を更に短縮出来るのである。蒸気発生器のメインテナンス対策としては写真5の様に庫内への蒸気の導入孔が大きく硬質分で塞がる事がないようにし、更にそこから酸性の洗剤を容易に投入する事が出来るようになっている。また、スイッチを切ると蒸気発生器内の水が自動的に排出される。毎日清掃すれば問題はないが忘れて硬質分が溜まっても、写真6の様に清掃警告ランプがついている。
また、蒸気発生器のステンレススチールの材質もSCOで開発した特殊な耐久力の高い物であるとの事である。 現在の、スチーマー市場では最も新しい機種の為大変性能が優れているといわれている。アメリカのあるファーストフードレストランチェーンで500店程でテストをしている。サラダバーで温野菜と、冷凍のパスタを調理し出しておりセールスに大きく貢献し、本年度の本格導入を検討しているとの事である。
現在メーカーでは、温度調整機能を組み込み、真空調理等の低温調理や、高温蒸気で冷凍麺の調理をする事を検討しているとの事であり、電子レンジに変わる調理機器ではないかと思われる。ファーストフード各社での採用が予定されている。
<6>国産のユニークなスチーマー(写真7)
これもSCOの技術を応用したスチーマーである。蒸気発生器の問題は何回も述べたのでわかると思うが、この機器は庫内の下部に電気ヒーターを組み込み加熱しそこに水を噴射し蒸気を発生させる方式である。スケールの溜まりが目で見え清掃が容易であり良い方法の一つと思われる。しかし下部のヒーター部分の金属のストレスコライドコロージョンがやや懸念される。下部の金属はアルミ系の特殊合金に、コーティングをして対処しているとのことである。庫内の清掃にアルカリや酸性の洗剤を使う場合には、コーティング材を金属たわし等でこすって傷をつけるとそこから腐食が始まるので丁寧に扱うことが必要である。
次回は加湿の保温庫を説明するがその時にスチーマーと組み合わせた調理方法の説明を付け加える予定である。
写真タイトル 1・バンスチーマータイプ 2・一体型圧力式スチーマー 3・常圧の蒸気発生器と庫内の組み合 わせのスチーマー 4・SCOと同様の庫内ファン 5・詰まり難い大きな径の蒸気導入孔 6・清掃警告ランプ 7・国産のユニークなスチーマー 8・露出型蒸気発生器