外食ニュースクリップ「行列の絶えない店 アンティ・アン Auntie Anne’s」(商業界 月刊コンビニ2011年3月号)

池袋東口駅からヤマダ電機やビックカメラ等の家電量販店側、池袋パルコ1階の角に小さなお店が誕生した。アンティ・アンという米国のプレッツエル専門店だ。
プレッツエルは西暦600年代のヨーロッパでイタリア人のキリスト教僧侶により考案されたと言われており、ドイツで人気のあるスナックとなっていた。小麦粉の生地を練って細くして、それを独特の形状に組み上げて焼き上げる。味付けは塩や砂糖などのシンプルな軽食だ。それが米国に渡り人気を呼ぶようになった。アンティ・アンは米国のショッピングモールには必ずある店舗となっている。
アンティ・アンの商品は小麦粉を練ってオーブンで焼きあげ、バターを付けてアーモンド、シナモンシュガー、サワークリームとオニオン、セサミ、をかけたプリッツエルが250円。塩味だけのシンプルなオリジナルは220円、その他にプリッツエルの生地でホットドックを巻いて焼いたプレッツエル・ドック320円と言う限定メニューだ。飲み物はプレッシュ・レモネードと紅茶、コーヒーで、それぞれホットとアイスがある。
あまりシンプルなので日本では成功しないのではないかと思っていたが、連日行列の絶えない繁盛店となった。日本ではリヴァンプという企業再生ファンドが運営している。同社はアイスクリームのコールドストーンクリーマリー、ドーナツのクリスピークリーム、など行列が絶えない店舗を運営している会社だ。リヴァンプが展開する業態の共通した特徴は、アイスクリーム、ドーナツ、プレッツエルと言う普段食べなれた素朴な食品を、お客様の前で製造し如何にも美味しそうに見せることだ。
アンティ・アンではレジ横のオープン・キッチンで女性スタッフがプレッツエルを整形する人、焼き上げる人、味付けをする人、販売する人と、役割分担をしてお客様の前で調理の光景を余さず見せて、焼きたてのプレッツエルを販売する。製造している女性スタッフに質問をすると、ニコニコしながら美味しさの秘密を教えてくれる。
同社が日本で運営しているクリスピークリームが米国で大人気になったのは2001年9月11日のニューヨークの航空機テロからだ。不安感が満ち溢れ外出を控え家に閉じこもっている際に、ホットさせる働きが甘いドーナツにあったからだ。今、日本でクリスピークリームやアンティ・アンに行列が出来るのも不景気の中でのちょっとした贅沢を味わえるからではないだろうか?
アンティ・アンは1988年ペンシルバニア州のファーマーズ・マーケットでAnne とJonas Beiler夫妻によって創業され、焼きたてのプリッツエルとレモネードが売り物だった。その後、米国のショッピングモールに出店し急成長した。2005年に会社の役員のSam Beiler氏に売却し、その後、Sam Beiler氏は2010年11月に米国の投資家グループのFocus Brands Inc.社に売却した。現時点で1,100店舗を21カ国に展開している。同グループはアトランタに本社を置き、Carvel、Moe’s Southwest Grill、 Schlotzsky’s 、Cinnabon(過去に日本にも進出してことがある)等のショッピングモールのフードコートに向いた軽量な業態を展開している。全部で2000店舗以上の規模となる。

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