米国レストランピリ辛情報 「ファミリーレストランの逆襲」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2005年5月号 NO.464)

ファミリーレストランの逆襲
米国のファミリーレストランはコーヒーショップとかファミリーダイニングと呼ばれているが、基本的にお酒を出さない。昼食、朝食、夕食と何時でも食事を提供できるということが売り物であった。それが、アルコールを提供する、カジュアルレストランの台頭により、家族やカップルで行くレストランの位置から追われてしまった。また、価格という意味ではフルサービスであるので、チップが必要であり、低価格のセットメニューを売り物にするファストフードには勝てないが、落ち着いて朝食やランチを1人でも食べられる店として何とか生きながらえていた。ところが、ファスト・カジュアル業態が台頭し7~8ドルのファミリーダイニングの価格帯に切り込まれ、さらなる苦戦を強いられてきている。
しかし、デニーズ、IHOP、フレンドリー、ゴールデンコラル、クラッカーバレル、ビッグボーイ、ボブエバンス、などのファミリーダイニングチェーンの逆襲が始まった。
1600店舗のデニーズの2004年度第4四半期はリストラで大赤字であったが、既存店の対前年売上が+5.8%と回復しつつある。この2年ほどメニューと店舗の雰囲気を見直しているのが効果を出している。さらに売上を上げるために、イリノイ州周辺の7店舗で内装をソフトな色と暖かい木目を使う改装を施し大成功した。このコンセプトを既に30店舗に導入された。2004年12月には外装にネオンを使ったプロトタイプ店をラスベガスに開店し復活をアピールし、2005年には80店舗の改装を予定している。外壁にネオンを使ったラスベガスの店は特殊な例であるが、改装には16万ドル必要であった。しかし、同じ客席数を確保しながら店舗総面積を縮小するなどの合理化を図ったり、エスプレッソバーを導入し売上の1.5%を占めるようにするなどの工夫を凝らしている。
1186店舗展開している業界第2位の老舗IHOPは昨年から2009年に向けての新メニューやメニュー写真の改善などのブランド向上プログラムに取り組んでいる。その結果2004年度の売上は過去12年間で最高の5.3%の伸びとなった。同社成功のもう一つの理由はフランチャイズパッケージの見直しであり、それにより、老舗の同社でもまだ全米に300~700の新店舗を開店する余地があると見ており、既に今後11年間で287店舗のフランチャイズ店舗を開店する契約を獲得している。
ゴールデンコラルはビッフェ業態であるが、料理の質に注意をして10種類の海老やベイビーバックリブなどを取り揃えている。今年は34~38の新店舗を開店する予定だ。同社は13年間対前年売上を伸ばしており、2004年売上も7.4%増だ。同社の売上増は店舗展開だけでなく既存店の売上が2.4%伸びていることにも注目される。好調の理由はマネージメント教育や新メニュー開発、に強化しているからだ。
フレンドリーアイスクリームは内外装をニューイングランドのアイスクリームショップをテーマにした内外装のリモデルに取り組み、さらに子供連れ客にアッピールするメニューを強化している。従来のキッズメニューと大人用にメニューの中間のサイズにボリュームを上げたメニューを開発した。これが成功しており、2004年は7店舗を開店し、2005年は15店を開店する予定だ。
587店舗のボブエバンスは2004年に南カリフォルニアで大人気のフレンチ風農家レストランのMIMISカフェを買収し、メニューの質の向上と暖かい内装デザインのあり方を学んだ。そして、メニューの質の向上と、煉瓦と石を内装に取り入れた暖かい雰囲気の内装をテストしてる。2005年度の開店は39店舗に対して2006年度(今年4月から1年)は20店舗の開店を予定している。
2005年7月末には529店舗になる競争力のあるクラッカーバレルは木曜日にはホームスタイルのターキー、日曜日にはホームスタイルのフライドチキンを7.99ドルで提供する日替わりディナーセットを用意して、品質の向上をアッピールしている。食事だけでなく、樫の木を使ったロッキングチェアーや暖炉などを内装に取り入れ、アットホームな雰囲気を醸し出す工夫をしている。今後は年間25店舗の新店舗の開店を予定している。
312店舗のショーニーズは過去13年間、既存店対前年比売上がマイナスであったが、2004年度に対前年比売上がプラスになった。既存店を活性化するために2年前より店舗の品質改善、サービスのレベルアップに力を注いだ。同社は顧客調査を徹底的に実施し、その結果、同社は朝昼晩の3つの時間帯で、ブッフェサービスとアラカルトサービスの両方を実施している数少ないチェーンであることがわかった。自社の強みを再認識し、お客様に食事の食べ方を自由に選んでもらえることを強調した結果、売上を回復したのだ。
また、同社最盛期の800店舗展開時の直営店比率は65%であったが、現在は40%に低下させており、今後さらに直営店比率を低下させる予定だ。
307店舗のシズラーは内装のアップグレードに取り組んでいる。古くなった店から、店内内装を明るく改装したり、メニューの改善をする。今年の半ばには殆どの店で何かしらの改善を施す予定だ。改装の最低のコストは1店舗5万ドルであるが、全ての要素を入れた改装や改善は22万5千ドルが必要となる。しかし、既に改装を実施した店舗では売上が20%伸びているという成果を出している。
以上のように景気回復基調の米国では衰退産業と言われていたファミリーレストランが復活し出している。今後景気の回復が見込める日本でもファミリーレストランの見直しの時期に来ているのではないだろうか。
(資料はNRN誌2005年3月7日より抜粋)

2004年7月15日号 R&I誌 TOP400 より ファミリーダイニングの順位
400売上順 社名 売上 単位ミリオン 店舗数 店舗平均年商単位千ドル
21 Denny’s 2,229.00 1,638 1,361
26 IHOP 1,695.00 1,165 1,455
31 Golden Corral Buffet & Grill Buffet/Cafeteria 1,247.00 469 2,659
Golden Corral Buffet & Grill
1,247.00 469 2659
29 Cracker Barrel Old Country Store 1,480.10 486 3,045
38 Bob Evans 902.00 547 1,649
42 Perkins Restaurant & Bakery 810.00 493 1,643
46 Waffle House 710.00 1,425 498
50 Friendly’s 664.00 537 1,236
52 Steak n Shake 592.60 413 1,435
58 Shoney’s 515.00 336 1,533
87 Marie Callender 335.00 151 2,219
96 Village Inn 308.20 224 1,376
98 Big Boy 300.00 248 1,210
114 Mimi’s Cafe 240.50 78 3,083
126 Bakers Square 223.00 148 1,507
128 Country Kitchen 215.00 214 1,005
130 Frisch’s Big Boy 213.00 119 1,790
138 Coco’s Bakery 198.00 135 1,467
142 Huddle House 190.00 363 523
149 Eat ‘n Park 180.00 78 2,308
161 Carrows 150.00 119 1,261
169 Shari’s 138.00 98 1,408
192 Country Pride 115.00 115 1,000
199 Iron Skillet 110.00 51 2,157
223 The Original Pancake House 95.00 92 1,033
225 Ruby’s Diner 95.00 40 2,375
250 Skyline Chili 76.00 127 598
274 JB’s Family Restaurants 68.00 75 907
275 Bickford’s Family Restaurant 67.00 62 1,081
285 Grandy’s 63.00 88 716
288 Jack’s 62.00 75 827
291 Kings Family Restaurant 61.00 35 1,743
295 Perko’s Cafe 60.00 45 1,333
302 Gold Star Chili 59.00 102 578
321 Elmer’s Breakfast-Lunch-Dinner 54.00 30 1,800
326 Le Peep 52.00 73 712
355 First Watch 46.00 50 920
396 Hof’s Hut Restaurant & Bakery 38.00 12 3,167

以上

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