米国レストランピリ辛情報 「crustacean」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2006年5月号 NO.477)
クラステーシャン Crustacean
ビバリーヒルズの名物蟹料理店 クラステーシャン Crustacean
サンフランシスコに1971年から美味しいフレンチ・ベトナミーズの蟹料理店クラステーシャンCrustaceanがある。筆者の友人がビバリーヒルズで不動産屋を経営しており、彼が美味しいから絶対に訪問しなければいけないと、数年前にビバリーヒルズのお店に初めて連れて行かれ、大変気に入ってサンフランシスコのお店にも立て続けに訪問した。先日その友人の紹介で日本を訪問した、クラステーシャンCEOのエリザベスElizabeth Anと妹のキャサリンCatherine Anさんと話す機会があり、その歴史と今後の方針をうかがった。
クラステーシャンは彼女たちのお母さんが創業した。ベトナムの政府高官の家庭に生まれた彼女たちの母親のエレン・アン Helene Anさんは、裕福な環境に恵まれていた。政府高官のお父さんは訪問者をもてなすために、ベトナム料理、中華料理、フランス料理の3名のシェフをかかえて日夜顧客を接待していた。その料理の世界を見ていたヘレナさんは知らず知らずに料理のレシピーや調理のコツ、大勢の顧客をもてなす技を身につけていった。
その後、空軍将校と結婚して3人の娘に恵まれ幸せな生活を送っていたが、1975年のベトナム戦争末期のサイゴン陥落に伴い、着の身着のままで米国サンフランシスコに亡命することになった。サンフランシスコでは4年前の1971年にご主人のお母さんのダイアナDiana Anさんが20席の店名が昇り竜Thanh Longという小さなベトナム料理店を営んでいた。やがて、他の家族が頼ってきたときに生活の糧としてこのレストランがフルに活躍することになった。
蟹料理で有名なシカゴのボブ�チンは大繁盛店だが、リーズナブルで気楽なお店でジーンズにTシャツで訪問できる。しかし、このアン・ファミリーのお店はフレンチ・レストランの優雅な雰囲気で美味しいベトナム・フレンチのフュージョン料理を食べさせることでグルメ評論家に高く評価されるようになった。有名な料理はガーリックヌードルとロースティッド・ガーリック�クラブだ。ダンジネス・クラブは美味しいのだけれど、米国人にとっては蟹独特の香りが気になる。そこで、複数のスパイスとオイルをダンジネス・クラブにまぶして、丁寧に焼き上げることで、蟹独特の臭みを消し去ることに成功し、人気レストランとなった。そして1991年にサンフランシスコによりお洒落で大型のクラステーシャンを開店し、一気に人気店舗になり、米国人はもとよりサンフランシスコを訪問する日本人にも人気を呼ぶようになった。そして、1996年にはビバリーヒルズにより大型でお洒落なクラステーシャンCrustaceanを開店し、同地の映画スターや有名人が熱狂的なファンとなり、現在では3店舗で年商20億円近くを生み出すようになった。
人気の秘密を分析するとシークレット・キッチンによる神秘性の演出だろう。お店にはメインキッチンのほかにシークレット�キッチンを設けた。シークレット・キッチンに出入りできるのはアン・ファミリーだけであり、そこでは人気メニューのガーリックヌードルとロースティッド・ガーリック�クラブなどの独特の料理を作り上げる。このキッチンにより味の秘密は守れるし、料理そのものの神秘性が増し、1回は食べてみようと評判を呼ぶのだ。
もう一つの人気の秘密はライフスタイルだ。3代目は5名の娘たちという女系家族で、ビバリーヒルズ店を陣頭指揮している現社長のエリザベスさんは美貌デザイナーでもある。そのアン・ファミリーのフレンチ�ベトナミーズの優雅なライフスタイルと、その亡命から超繁盛店を女性たちで作り上げたというたくましい、ライフスタイルが米国人の共感を呼んでいるのだ。最近ワシントンのスミソニアン博物館でベトナム移民から苦労して大繁盛店舗を作り上げたということでアンファミリーが展示されるようになったほどだ。
まだ、数店舗のレストランであるが、エリザベスさんの構想はレストラン�ブランドはクラステーシャンにして、アンというブランドはライフスタイルを訴求することを考えている。現在はアン・ファミリーがデザインした箸を中心とする食器類を販売しているが、これから、スパイス、ドレッシングなどの食材のほかに、家具や洋服のジャンルまで幅を広げる予定だ。そのために外部コンサルタントを雇い、徹底したブランド・マネージメントを開始したのだ。
今回日本を訪問したのは、クラステーシャンの顧客には海外からの顧客が多いがその中でも日本人がダントツだということだ。顧客リストを聞くとびっくり、日本の大手製造業のトップクラスが名を連ねている。料理だけでなく、そのビジネス構想が素晴らしいお店だ。
http://www.anfamily.com
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