今回は、私の本業のことを書かせていただきます。
基本的には「食品衛生コンサルタント」と肩書に書いています。最近は「HACCPコンサルタント」ということもあります。
食品衛生法の改正で、HACCPに基づく衛生管理が制度化されました。1年間の猶予期間が過ぎ、6月1日から全ての事業者はHACCPをベースにした衛生管理を行う必要があります。
大規模な食品工場から、街のレストランまでHACCPです。
基本的にはWHOとFAOが運営しているCODEX委員会が定めた食品衛生基本テキストに拠るものです。HACCPによる衛生管理はその付属文書に書かれているもので(昨年秋に改訂されて、第二章に格上げになっています)した。いわゆる7原則12手順というプロセスコントロールが国際的な規格基準になっています。しっかり取り組むには手強い感じを持たれる方も多いと思います。そこで文書の中でも中小規模の事業者には弾力的な運用を認めていますので、今回の法制化の中では、50人以下の小規模な事業者、または日替わりでメニューが変わるような業態では、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理で良いとされ。各業態ごとの業界団体が作成した手引書に必要事項を書き込むだけで良いという形が出来上がっています。
手引書は既に80種以上が作成され、厚労省のチェックを受けてホームページに公開されています。
『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html
各業種、業界ならではの危害要因が分析され、管理手段が決められるようになっています。また必要な記録についても、ひな型が準備されているので、必要事項を毎日記録すれば良いのです。
弾力的な運用については、なんとなくやっつけ感もありますが、20年掛かって25%しか普及しなかったHACCPが一気に導入されると思います。
猶予期間は今月末までです。未だやっていないと法律違反になります。とはいえ取り締まる保健所は、コロナ対応で、それどころでは無い状況のようですけどね。でも、いざ食中毒事件の疑いが掛かったときに自社を守ることが出来るのは、HACCPシステムと、その記録だけなのです。その点は十分に理解して対応策を考えて欲しいと思います。
こんなことを数年前から言い続けていたのですが、先日、福岡市内で中華レストランを経営しているオーナーシェフから、衛生講習会をやって欲しいと依頼がありました。コロナウイルス対策で緊急事態宣言が出ている福岡市では、飲食店は時間短縮、酒類の提供も制限されています。深夜中華を標ぼうして、ディナータイムとアフタータイムに中華料理と酒類で人気を集めていたこともあって、緊急事態宣言後はすっぱり休業しています。その休業期間中に、店のメンテナンスと従業員教育を実施するという発想が素晴らしいなと賛同し、レストランで取り組むHACCPについて2時間お話しをして来ました。
その際に使ったのは、東京都保健所がホームページで公開している手引書です。これは厚労省の手引き書に準拠しており、一番軽くて使いやすいと思っています。
『東京都食品衛生の窓』このページにある「食品衛生管理ファイル」をダウンロード
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/
飲食店向けの手引書は食品衛生協会が作成したものもあります。
『HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)』
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000479903.pdf
また、チェーンレストラン向けの手引書として、外食サービス協会が作成した手引書もあります、これは本部、SV、店舗で管理する項目が違う点も含めて作成されています。
『多店舗展開する外食事業者のための 衛生管理計画作成の手引き』
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000496639.pdf
他にも、小規模な惣菜工場向けの手引書などもありますので、自社の業態に合わせて書類の作成と、運用。製造記録を残しておくと良いでしょう。いや、6月1日からは残しておく必要があります。
『小規模な惣菜製造工場におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書』
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000592395.pdf