NEWSな外食2007「日本食レストラン認定制度 その2」(商業界 飲食店経営2007年8月号)

LAの超繁盛和食店カツヤKatsuyaの人気メニューを見てみよう。ハマチの刺身にハラペーニョの味付け、巻物は酢飯とタラバガニとアボガドマヨネーズをライスペーパーで巻いている。そして神戸牛(米国産だが神戸牛の種を使った肉)のステーキ、ヒラメの薄造りにオニオンのから揚げを乗せたカルパッチョ、油をひいた鉄板で両面を焼いた酢飯の上にネギトロをのせた寿司、蟹入りチーズの天麩羅だ。

太巻きにアボガドが使われるようになったのは、現地のマグロの赤身に脂肪を補うためで、目をつぶって食べるとトロのような味になる。ライスペーパーで巻くのは海苔の色の黒が米国人に好まれないためだ。海苔はシー・ウイーSea Weed(海の雑草)だ。黒い海の雑草では食べる気がしないわけだ。そこで海苔を裏巻きにしたり、白い色のライスペーパーを使うようになったのだ。

米国人は本来、魚と醤油の味を好まない。そこでサルサソースや、アボガドのペーストに白醤油と山葵を混ぜたソースや、ハラペーニョを混ぜたり、醤油くささをなくす工夫を凝らすようになったのだ。 日本でも横浜の中華街があるが、本土の中国人が訪問すると中国料理ではないという、日本人向きの味になっていると言うのだ。やはり、現地の人に支持されないといけないのだろう。

では、米国人に好まれる和食レストランの内外装はどうなのだろうか。2006年7月に開店したカツヤ�ブレントウッド店の内装は何と超有名デザイナーのフィリップ・スタルクに依頼したものだ。和を思わせるのは入り口にある炎を灯した大きな石と、店内の寿司カウンターの天蓋にかかれた「勝」と言う漢字だけだ。寿司カウンターもガラス作りのお洒落なものだ。ニューヨークのルビー・フーのような行灯入りの屏風には何と女性の眉毛や睫のコラージュが描かれている。

�日本食レストラン推奨制度�をどのように薦めるか慎重に考えないと、スシポリスと揶揄されたり反発をされるのではないだろうか、と考えさせられたLAの一夜だった。

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