21世紀を展望する(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞2001年2月5日)

M&A、HMRも加速
繁盛店はオーダーメードする時代
個性派台頭に追い風吹く
安売り店と並び二極分化
プロ集団請負いの店舗開発が主流に
外食レストラン新聞 2001年2月5日(月曜日)
外食のトレンドとして低価格ばかりが選考し、やみくもに価格を下げるところがあるが、価格を下げても、その分売れる仕組みを作らないとだめだ。マクドナルドは65円バーガーを目玉に使い、ほかに売る物があるから利益が出る。すべてを目玉にしてしまう戦略は間違っている。価格競争で成功するのはナンバーワン企業だけだろう。

外食はハレの食事から日常化が進んで、アルコールもあるカジュアルレストランがトレンドになっている。日本では居酒屋が近いが、食事もできる今のカフェもカジュアルレストランのジャンルに入るだろう。

�料理の鉄人�から発した”スターシェフの時代”が終わって、今は”スターデザイナー”がカフェの仕掛け人になっている。今年いっぱいは続くだろう。プロのシェフ、プロのデザイナー、プロの企画会社が手を組み、プロ集団のグループを作ろうとしているのが、際コーポレーションの中島氏。

消費者の嗜好の変化が激しくなって、繁盛店は10年も持たなくなった。投下資本を早く回収するためには、儲ける技術が必要になり、そのために人、物、金の専門家の手を借りる。洋服でいえばカスタムテーラーだが、オーダーメードでプロ集団に繁盛店を作ってもらう時代になった。それに比べると既存FCはイージーオーダーにすぎない。

米国ではファーストフードやファミリーレストランにもコンセプトメーカーがいて、実験的に店をつくってダメだったらやめる。だから新業態の展開も早い。

また生産性を上げるために、厨房システムを入れ替えるところも増えてきた。低価格に技術革新は欠かせない。安く売るためには調理提供時間は短いほどいい。

ホテルも特化型になっている。ホテルオークラのスターライトラウンジも中華に変わった。今のお客さんは目的が明確でないと利用しない。それも小人数でもいろんな料理を選んで食べられるというように、お客さんがぱっと見て何屋なのか、何を売っているのかが分からないといけない。

ファミレスの看板が立っていると、お客はそれだけで入らなくなった。チェーンならば安売り訴求か、チェーンに見えないデザインの凝った個性的な店にするしかない。関西の(株)王将フードサービスが手掛ける「門外不出屋台ラーメン」は、お客がチェーン店だと分からず、�個人店ですごい�と思って入る。

低価格ならシステムを追求する。それができないなら個性派レストランに変える。その個性を開発することは時間がかかるから専門家の手を借りる。マルチコンセプトが進み、そのためには外部のアイディアも使う。

M&Aも活発だ。水面下ではかなりドライな動きがある。米国では今マクドナルドがどんどんM&Aで自分のできなかったことを始めている。日本もM&Aの話はかなりきているだろう。本業が国内で5000店になると飽和状態になり、ハンバーガー以外のビジネスをやるだろう。そういう時代になった。

HMRもいまは無風状態だが、これからは皆がこの分野に乗り出す。ホテルも百貨店の地下でやっているデリをもっと恒常化するなど、味の良いところは本格的に展開していくだろう。

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