ご意見番 業界ニュースを斬る「増える凶悪犯罪に無防備」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞2000年10月2日)

ご意見番 外食業界に喝!
増える凶悪犯罪に無防備
防犯マニュアルづくり急務
殺人事件など凶悪犯罪が公共の場で起こるケースが増えている。外食産業も犯罪に対する危機管理が必要だ。

飲食店にはどれぐらい危険があるか。米国のデータを見ると1997年の米国の殺人事件は2万634件(銃によるものが8割)。うち仕事中に殺された人は6,023人で、レストラン従業員は76人だった。また、レストランでは107人が犯罪以外の理由で死亡している。車の事故�厨房中の事故、毒物事故などだ。他の産業に比べ件数が多いわけではないが、それでもこれだけの人が亡くなっている。

特にレストランは、マクドナルドで銃が乱射される事件など凶悪な無差別殺人が多い。また、従業員の犯罪も多発していて、中でも盗難事件はレストランにとって一番大きな損害。従業員による内部犯罪は発覚が難しいし、損害に対する保険が出ない。

日本でもそろそろ出てきたが、米国ではクレジットカードのスキミングによる犯罪が急増している。従業員がこれをやったら、経営者が責任を追及される。

犯罪を摘出するためのルールづくりとともに、モラルを高めるための従業員教育を二本立てで行なう必要があるだろう。米国のNRA(レストラン協会)は、犯罪防止のためのビデオを作成している。また米国では従業員の身元照会をするよう経営者に勧めている。

ちなみに、米国のあるセキュリティー会社のデータによると企業の面接で20万人(レストラン関係は20%)のうち、10%が犯罪歴があり、27%が自動車事故、交通違反を犯し、10%が過去に労災を申請している。また29%が履歴書を詐称していた。

日本でも興信所があるが、2割ぐらいは履歴書から何らかのウソが発見される。

日本はプライバシーの保護から犯罪歴の調査などはできにくい。米国はもっとオープンで犯罪防止の情報は共有しようという考え。日本はプライバシーの保護といいながら逆に犠牲者を出している。

近年、米国は景気に比例して事件が減っているが、日本でも景気が低迷してくると犯罪も増える。米国は防犯対策を積み重ねてきたが、日本には防ぐ手段がまったくない。レストランのセキュリティーはすき間だらけだ。外国からの凶悪な犯罪者に対しても無防備。こらから外人労働者が増えれば犯罪も増えるだろう。

裏口のカギを閉める、夜間は開けない、照明は明るくなど米国のようなマニュアルづくりが日本でも急務になってくる。

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