weekly Food104 Magazine 2006年7月19日号

メルマガバックナンバー

● わいがや食楽研究会のご案内
● 旬の味を喰らう会のご案内
● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 赤石貴麻の酒蔵探訪記
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

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■ 第14回目 王利彰のセミナーと わいがや楽食研究会のご案内

セミナー議題

最近日本でも観光立国を目指して各地で活動がなされていますが、なかなか有
名な観光地にはなりません。しかし、サンフランシスコから車で1時間少々で
到着する、ナパバレーはワイン作りと美味しいレストラン、そして料理学校の
組み合わせで素晴らしい観光地となりました。そんなナパバレーの美味しいレ
ストラン情報とCIAの報告をしましょう。

CIAって何でしょうね?
会場は私が毎月開催している「わいがや楽食研究会」です。セミナーの時間は
40分ほどで、その後は参加者の方と懇談をしながら、「わいがや楽食研究会」
の作り上げた自慢の料理を楽しんでいただきましょう。

今回のテーマは定食です。定食と言うと700円前後の和食ですが、その味付け、
素材の選定などなかなか難しいものです。現在スタッフは全国各地を回り、美
味しい定食を発掘中です。

今回決まったメニューは以下の通りです。

1.焼き魚定食 焼き魚の3種盛りとなります。
焼き魚に、特製だし醤油をかけて食べます。魚を食べ終わったあとの醤油でご
飯も食べることのできる定食です。

2.わさび風味のポークチャップ定食

3.麻婆豆腐定食・・・スチコン対応のたれを使用します。

4.塩麻婆豆腐(ゆず胡椒風味)定食 秘伝の塩たれとゆず胡椒を使った春雨入
りの塩麻婆です。通常の麻婆豆腐よりも、あっさり、食べることができます。

5.めろうどの南蛮漬け定食

6.めろうどの唐揚げ定食・・・メロウドはメンバーの石川様よりご紹介いただ
いた魚を使用したメニューとなります。

7.上海風オムライス・・・中華風の味付けのオムライスです。

8.豚バラ肉のもろみ味噌焼き丼・・・もろみ入りの味噌で漬けこんだ豚肉とキ
ャベツの千切り、とろりとした温泉玉子、食欲の進むこと間違いなしの丼です。

9.シンガポールチキンライス・・・スチコンでジューシーに仕上げた鶏もも肉
と、鶏ガラスープで炊きあげた五穀米を3種類の中からお好みのたれで。

10.クリーム豆腐・・・豆乳入りのなめらかな食感が特徴です。

上記に、汁物として、味噌汁、ワカメスープ。
副菜として、レンコンの金平(塩味です)、うの花(LLの和総菜、具材感たっ
ぷり)、ポテトサラダ(特製出汁入りでレストランの味に)、白菜のゆず胡椒
和え(香の物として、あえるだけの簡単メニュー)、野菜のペペロンチーノ
(野菜を使ったペペロンチーノです)。

○日時:7月28日金曜日 15時から3時間程度
参加費:無料
場所:アイン食品東日本営業部テストキッチン
〒162-0846 東京都新宿区市ヶ谷左内町21番地 市谷左内坂ビル2F
TEL : 03-5228-7002

○地図: http://www.ainfood.com/mp_higashi.html

○わいがや楽食研究会案内: http://www.mishoan.com/waigaya/

○参加人数 場所が狭いため20名と限定させていただきます。
今回、参加できない方はお許しください。

○参加申込み わいがや研究会会長 王利彰 oh@sayko.co.jp まで
お申し込みください。
*お申し込みの際には、以下のフォームにご記入ください。

***********************************
氏名
企業名
職種
連絡先   電話
FAX
Mail
開催を知った媒体 food104マガジン
***********************************

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■ 旬の味を喰らう会のご案内

さて、7月25日はfspro版旬の味を喰らう会です。
お飲み物は本邦初のシャンパンビール「シャンビアChamBeer」の登場です。
先日、ある特殊なフライヤーの製造工程を見学するために香港経由から広東に
入りましたが、その時に案内してくれた香港の方のご主人がドイツ人の研究者
でした。面白い方でドイツ人ですが、中国の古い貨幣の発行量から当時の経済
状況を分析する、地味な研究をしています。

そのご主人の親戚が、ドイツの老舗ビールメーカーでシャンペン酵母を使った
ビールを作り上げ特許を取得したのです。それに興味を持ったのが架橋の魂を
持った奥さんです。彼女は台湾生まれ、日本育ち、仕事は香港とオーストラリ
ア、という事で、英語、広東語、福建語、北京語、ドイツ語、を使い分けます。
その彼女が日本に住んでいる妹に紹介して、日本にシャンビアを輸入販売する
ことになりました。最初のコンテナが入荷したので、早速2ケースを購入。
今回はその貴重なシャンビアをfsproの旬の味を喰らう会で試飲しようと言う
企画です。

シャンビア(ChamBeer)のドイツでの名称はウルバヌス・ケラーヴァイツエン
と言います。上場地はドイツ南部のバイエルン州ハラタウ地方ファッフェンホ
ーフェンで生まれました。世界で始めてシャンパン酵母を使用した特殊な製法
で作られ、シャンパンに似た総会で香りたかく、ひそかなフルーティーさを併
せ持つ風味です。シャンパンのように食前酒にも食中酒にも適しています。

ドイツでは1516年に発令されたドイツビールの純粋令により、最高品質のビー
ルが造られています。
http://www.brauhaus-pfaffenhofen.de/frameset.html

では、参加をお待ちしております。

以下は fspro版 旬の味を喰らう会 ご案内
FSPRO旬の味を喰らう会「羅  臼  三  昧」のご案内
food104マガジン読者の方への 第3回目のFSPRO旬の味を喰らう会のご案内

メンバーの皆様何時もご愛読ありがとうございます。食材の勉強と懇親の場を
兼ね備えた旬の味を喰らう会のご案内です。もう3回目になります。

メンバーの(有)フーズシステムクリエイターの石川さん、佃さん、井上さん、
達のご協力により美味しい食材を取り揃えました。

外食企業に勤務していなくても、食べることが好き(飲むのが好きな方も)な
方なら参加いただける資格があります。
気楽な会ですので、この際にぜひご参加下さい。

以下が、佃さんに作っていただいた、ご案内です。

いよいよ、梅雨明けも間近な様子。本格的な暑さが到来します。こういう時期
は、「気持ちだけは涼しげに」ということで、今回のFSPRO旬の味を喰らう会
は、遅い夏が訪れようとしているあの「世界遺産」に登録された知床半島の付
け根に位置する「羅臼」に焦点を絞ってみました。もちろん、水揚げされる魚
介類は多種類で、そのいずれもが知床の豊穣の海で育ったものです。したがっ
て、羅臼というところは、まさに「美味さの宝庫」と言っても過言ではありま
せん。もちろん、マーケットでも、「羅臼産」と言えば、水産物のブランドと
して位置づけされ、一ランク高い評価がなされています。

ところで、昔は、「地の果て」というイメージの強い羅臼でしたし、森重久弥
が作った「知床旅情」も、まさにそのイメージです。この地の果て羅臼と見ら
れがちですが、実は、意外に東京からのアクセスは良くて、根室中標津空港
(空港に降り立つと、牛の香りの漂う空港)を利用すると、東京までは4時間
弱しかかかりません。

さて、羅臼を眼下に見下ろす高台がありますが、そこに上ると、野生の鹿が出
てきたりします。ですから、羅臼は今でも「ワイルドな場所」であることは確
かなようです。

そろそろ本題に入ります。そんな羅臼では結構面白い魚介類が水揚げされてい
ます。そのうちから、まず、今回お願いするのは、7月に入りエビ漁が解禁さ
れたことから、ガザエビを食材にしようと思っています。「ガザエビ」という
呼び名は地方名ですが、刺身で食べたり、焼いて食べたりするととても美味し
いエビです。

魚は、刺身と煮付けが美味しい、「サメガレイ」と「ガヤ(エゾメバル)」を
お願いすることにしています。サメガレイについては、あるHPでは「密集する
棘状のウロコでサメ肌となってこの名があるようだ」と記されているように、
一見すると黒っぽくて、グロテスクな感じもしますが、意外や意外、味は脂が
乗って美味しく、刺身や煮付けに最適のカレイ類の魚です。

また、ガヤは標準品名エゾメバルと呼ばれていて、羅臼の磯に生息しています。
白身で、刺身や煮つけに最適の魚です。北の貝といえば、やはり何と言っても
「ツブ」です。実は、羅臼というところはいろいろなツブが水揚げされます。
今回は、その中から、刺身用として「センキンツブ」を、煮貝用として「赤ツ
ブ」をお願いすることにしました。

そして最後は、北のタコです。ちょうど漁期の始まる「ヤナギダコ」をお願い
することにしました。北海道のタコと言えば、何と言っても巨大な「ミズダコ」
が思い出されますが、このヤナギダコはミズダコより小型サイズですが、やわ
らかさに特徴のある美味しいタコです。

今回は、羅臼をテーマにして、普段、羅臼の人たちが舌鼓を打っている魚介類
を取り上げます。皆様におかれましては、是非とも、この機会に羅臼の味を味
わっていただき、来る猛暑に耐えうる体力を養っていただきたいと存じます。
なお、天候次第で、内容も若干変わる可能性がありますので、その点はご容赦
下さい。

○開催日時:平成18年7月25日(火)午後7時~
場所:莫莫居鶯(ばくばくきょ うぐいす)
〒171-0021 豊島区西池袋1-18-1五光ビル地下1階
TEL:03-3987-0085
○会費:5,000円 お酒はもちろん飲み放題です。

○参加お申し込みは 王 oh@sayko.co.jp  までお願いいたします。

*お酒の寄付はお待ちしております。

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● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ ファストカジュアルのさきがけ「Soz’s銀座店」オープン

アッパーなファストカジュアルの提供を目指すSoz’s銀座店が、5月17日にオ
ープンしました。ファストカジュアルとは、ファーストフードのスピードで、
レストランクオリティの食事を提供するあたらしい形態の飲食店です。この形
態のレストランは特にアメリカロサンゼルス等で流行しており、世の中の生き
方、トレンドが、タイムセービングの傾向が進んでいる事、かつ、家族回帰傾
向が強くなってきていることを受けて、生まれて来た新形態です。

実際家族回帰が進んでも、「家に帰って料理する技術が無い」「外食は疲れる」
「ファーストフードは嫌だ」などのニーズをもつ人たちの中では、「品質の高
い商品が求められている」「健康志向、安心、安全が求められている」という
この2つのニーズも高まってきています。そうした人々が簡単に早く、いわゆ
る、「コンフォートフーズ」=「お袋の味」をクオリティの味を、手軽に早く
食べることが出来たらという消費者のニーズから、「ファストカジュアル」が
ブームとなってきています。実際LAでは、ディナータイムの売り上げが、50パ
ーセントを超えており、テイクアウトの比率はその中の40パーセントを超えて
います。

○Soz’s 銀座店
住所: 中央区銀座8-5銀座ナイン・1/1F
TEL:03-6254-5987
営業時間:平日:07:30~23:00(LO22:30)
土・日祝:10:00~21:00(LO20:30)
アクセス:JR新橋駅 銀座口          徒歩2分
東京メトロ新橋駅 3.5出口      徒歩1分
東京メトロ銀座駅 C3.A2.A3出口   徒歩6分

○URL: http://www.sozs.jp/

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ シカゴ郊外食の風景―ハンガリー狂想曲

先日夫の友人で牧師をしている男性に(カトリックの神父は男性のみですが、
プロテスタントは宗派によっては女性でも牧師になれます。私の行っている教
会は因みに牧師は男性のみです。)「カズコ、もしアメリカを離れて日本に住
むことになったとしたら、一番アメリカの何を恋しく思う?」と聞かれて私は
何も迷うことなく「何気ない、見知らぬ人との会話です。」と答えました。
「じゃ、アメリカに来て一番困ったことは?」これも迷うことなく「貧富の差
が日本と違って随分あるし、人種もまちまちなのでパーティーの席で何を話せ
ば無難なのか判断が難しいし、皆好みがいろいろなので手土産を何にすれば良
いか迷います。」と言ったらこの牧師さんの奥さんも「私もほんと時々会話や
マナーに困るわ。」と言っていたので、「会話に困ってるのは私だけじゃない
んだ、英語の問題でもなさそう。」とちょっと安堵しました。

ほんとスタンダードがあるようで無いのが困りものです。ですから以前お話し
たように食事に招かれると恐怖なのです。その家庭によって何が出てくるか分
かりません。一回一回がスリルです。大きなお屋敷に住んでいても食事は超質
素だったり、大した家に住んでなくても色々ご馳走してくれたりとまちまちな
ので、何か少しお腹に入れてからお招き先に行くことにしています。前菜代わ
りのおしゃべり大会になることが多いので、お腹がすき過ぎて機嫌が悪くなり
がちな私を見かねての夫の苦肉の策なのです。「パーティーの前には必ず何か
食べていくべし。」

私がアメリカで生活していて愉しいことは、先ほど書きましたように、見知ら
ぬ女性にクリスマスの寒い朝「それ、素敵なコートね、どこで買ったの?」な
んて銀行のキャシング・マシーンの前に立っているところを突然声掛けられた
り、本屋の中にあるスターバックスで会社帰りに疲れて一人でボーっとお茶し
ていると、隣の席の男性に「携帯にかかってくる電話を待ってるのって辛いよ
ね。」と声をかけられたりすることです。私がこの時、ちらちらと携帯を見て
いたので、男性からの電話でも待っているものとこの人は勘違いしたらしいの
ですが、ちょっと寂しい心の隙間を見透かされたようで、照れ笑いを返すしか
できませんでした。何かもっと気の利いたこと言い返せたらなと後悔しますが
嬉しかったのも事実、こんな一瞬の出会いがあるから文句言いながらも16年間
アメリカに住んでいられるのかも知れません。

そして、いろいろ面白い出会いや会話に出くわすのは勿論、レストランという
舞台です。だから食べ歩き(飲み歩き)はヤメラレナイのです。ですから今流
行の「おひとりさま」なんとかじゃありませんが、夫に叱られながらもあちこ
ち一人で徘徊しています。こちらは食事や映画に行くのは男女ペアーでという
のが原則で、女性が日本みたいに映画を一人で見ていたり、食事をしているこ
とは滅多にありません。ところがスシバーの出現で最近なんとお寿司を一人で
食べている米国人を多く目撃するようになりました。「うまみ」に気付いた米
国人は今度は「孤独」の酒も味わえるようになったのでしょうか?スシバーと
言わずともコーヒーを窓際の席で、一人で啜っている人がこれだけ増えて来た
ことはすごい変化だと思いますよ。コカ・コーラの甘さから濃いコーヒーのほ
ろ苦さも分かる大人に成長したようです。

「負け犬の遠吠え」の著者、酒井順子さんは著書の中で「食事や映画に一人で
行けるようになればあなたもれっきとした、負け犬予備軍です。」みたいなこ
とを書いていますが、こちらでも男女問わず負け犬予備軍が増加しているので
しょうか?結婚、離婚を数回繰り返す人が多いお国柄、負けたり、勝ったりと
ほんと忙しそうですけどね。

先日一人で行ったハンガリーレストラン「Paprikash」(パプリカッシュ)で
はまたそんな愉しい出会いがありました。70歳前後の熟年夫婦が手を握りなが
ら楽しそうに私の隣の席でおしゃべりしていました。こんな可愛らしい老夫婦
になれたらいいなぁという典型のカップルです。自然とお互い目が合っておし
ゃべりが始まってしまいました。ご主人の方が「ここのチキン・シュニッエル
(細かいパン粉をつけて揚げたチキンカツみたいなもの)は美味しいんだよ。」
と教えてくれました。

このご夫婦常連さんのようで、私もお返しに、うちの近所にある日本人シェフ
のいるフレンチレストランを紹介してあげました。「私達いつも、美味しいお
店を探しているのよ。ありがとう。」と奥さんの方が特に喜んでくれました。
お昼だったのでメニューは$9.85のバイキングスタイルで食べ放題です。この
お店、シカゴのダウンタウンの方が本店でここは郊外の2軒目ということで、
武豊さんも以前騎乗したことのある、「アーリントン・ミリオン」で有名なア
ーリントン競馬場の真前にあります。

店の名前になっているパプリカッシュというのはハンガリー料理の調理方法を
指しているようで、パプリカをよく使っているようです。チキンを使ったチキ
ン・パプリカッシュはパプリカ、たまねぎ、ピーマンなどを入れて煮込んだ赤
いシチューでほんと手作りの味で美味しかったです。日本人の口に合います。
ただ食べて数時間後、喉が相当渇いたのが困りました、食べながらもっと水を
飲んでおくべきでした。豚を使ったシチュー、ポーク・グーラッシュも食べ易
かったです。付け合せはポテト・パンケーキや紫キャベツのコールスロー、マ
ッシュポテト、ハンガリーソーセージ、なんと発音するのか分かりませんが、
「Spaetzle」と言う卵と小麦粉で作った短いパスタもスクランブルエッグのよ
うな味でお昼には丁度いい軽目の付け合わせです。

シカゴの方のお店では、夜生バンドが入ってハンガリーの音楽も聴けるそうで
もっとムードもありそうです。花より団子、食べることに夢中になっていたら
この店のマネージャーらしき人の携帯音が店内に鳴り響きました。曲は勿論
「ハンガリー狂想曲」、この曲を口ずさみながら「ブタペストに行ってみたい
ね。」と話しかけて来たのが、さっきの熟年夫婦のご主人の方でした。「あな
たは、ヨーロッパからアメリカに移っていらしたんですか?」と私が尋ねると
「いいや、ただのアメリカ人だよ。」とのご返事、「私は日本からです。」と
言うと「日本人ならクラッシック音楽好きでしょう。」とこの品のいい紳士に
聞かれ「私は、小泉首相同様、エルビスのファンです。」とは言えなくなって
しまいました。
http://www.PaprikashRestaurant.com

(イリノイ州シカゴ在住 カズコ・デイビス)

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● 赤石貴麻の酒蔵探訪記~日本の酒~——————————■□

■ シーズンオフの今だからすべきこととは。(東京都県・小澤酒造(澤乃井))

前回(7月5日号)で、日本酒仕込みの梅酒づくり体験に行ってきた当蔵を、今
号も引き続きご紹介。ここが東京都内とは思えないほど、豊かな自然に囲まれ
た青梅で、元禄15年から300年以上の歴史を誇る。酒蔵見学も、昨今では見学
を許可するお蔵も増えてきたが、当蔵では約40年前から一部開放。

蔵に入る前に酒造りの簡単な工程の説明を受けてから、重々しい引き戸を開き
酒蔵へ。最初に案内される蔵は土蔵造りの「元禄蔵」。現在は主に貯蔵用に使
われているのだが、当蔵で一番古い蔵だけあって、太い立派な梁がその歴史を
感じさせる。

酒を搾る機械(やぶた)や熟成酒の貯蔵棚を見学。ちょっと幻想的な手堀りの
洞窟からは東京の名湧水57選に選ばれたという硬水の仕込水(岩清水)が染み
出る様子を眺め、見学終了後にはきき酒で舌にも嬉しい見学コースとなってお
り、訪れる人の楽しみとなっている。

ここからは見学コースに含まれていない蔵内を田中杜氏にご案内頂いた。元禄
蔵から一転、近代的な設備が目の前に現れた。50分で2tの酒米が蒸せるとい
う蒸米機。「無駄な経費を使うなら、最新式の設備でいい蒸気を使え」という
社長の一声で3年前に導入されたという。

「社長は設備投資を惜しまれないんです」と田中杜氏。吟醸仕込室の壁面には
赤く光る数字がいくつも並ぶ。これらはこの部屋で仕込まれるタンクひとつひ
とつの温度を表示しているもの。これだけみると温度設定もオートメーション
化されているように思えるのだが、この表示はあくまでも温度の表示のみ。温
度設定は毎日手動で設定しているという。「毎朝ここに立って、各タンク設定
してます。温度設定まで機械任せなら、人間の熟練した技やノウハウはいりま
せん。人間臭さをお酒に反映できる位にしておかなければ」。毎日、各タンク
の状態を見ては温度設定をするという。時には0.5度上げるか温度をとどめる
かで20分以上ここで考え込むこともしばしばとか。

シーズンオフということで、酒造りの様子は拝見することができないが、今の
時季ならではの光景を目にすることができる。機器・道具のメンテナンスであ
る。まるで某化粧品会社のCMのように、道具・機器類は全て分解・洗浄され、
天日で乾燥されている。

3年前に復活した木桶のシーズンオフも大変。「木桶は仕込んでいる時の方が
いいですよ。ほら、隙間が」といって田中杜氏が指差した箇所を見ると、杉板
と杉板の間にパックリと隙間が。仕込み中は水分で木が膨張しているので隙間
がないのだが、中身がないと乾燥して隙間ができるという。また、カビやすく
もなるので、天気のいい日には2台ある木桶を外へ出してはお日様の光にあて
るという。

「約半年以上、造りで使用する機器類ですから、シーズンオフの今時季にどれ
だけメンテナンスができているかで、造りにも影響してきますので、仕込み以
外の時季も気を抜けないんですよ」。酒造りは仕込み時季の冬場ばかりに目が
いきがちだが、メインではない今の時季も含めて酒造りなのだ。

○お問い合わせ先
小澤酒造株式会社
住所:東京都青梅市沢井2-770
電話:0428-78-8215
URL :http://www.sawanoi-sake.com/index.html

○著者撮影の写真
http://saketanbo.exblog.jp/5287399/

○食文化研究家 赤石貴麻(あかいし・たかお)
E-Mail:tafdmail5@yahoo.co.jp

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 第8回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」開催

○第8回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」
The 8th Japan International Seafood and Technology Expo
会期:2006年7月19日(水)~ 21日(金)/3日間 10:00~17:00
※21日は、16時迄。
会場:東京国際展示場/東京ビッグサイト 第5・6ホール
主催:社団法人 大日本水産会
展示規模:400社/550小間(海外直接参加国:11ヶ国1地域、日本を除く)
入場方法:当日入場登録制  ※特別招待券無き方は有料(2,000円)。

1)北は北海道から南は沖縄まで、様々な地域から生産者、加工業者が続々出
展。出展者数は、国内外含め過去最高の約450社(国内350社、海外100社)。

2)海外からは直接参加数で11カ国1地域となり、参加者数は、過去最高に。
間接出展国数は、数十カ国に及ぶ。近隣諸国からの出展者が増加傾向、中国か
らの出展は前年比倍の約50社、韓国からの出展も1.5倍に。

3)技術企業の出展が、数年ぶりに増加。水産業界も遅ればせながら、設備投
資、新技術導入意欲を感じる結果に。特に、冷凍機、解凍機、衛生水、氷技術。

4)技術を取り入れることによって、鮮度向上、価値向上がなされた商品が、
増加。水産新時代を感じる出展者が増加傾向。

5)肉と魚の”いいとこ取り”したハイブリッド商品が、初登場。健康、美容に
も良く、満腹感も得られる商品。その他、水産新時代を感じる出展者が増加傾
向。

6)ただ単に水産原料を、素材を提案するのではなく、メニューを通じて提案
することによって、顧客層を広げる工夫に取り組む企業が、増加。水産業界に
も、”工夫”が広がってきた印象。

7)高級水産素材が、増加。特に、ふぐとあわび。景気の上昇に伴った展開。

8)電子レンジ等で、簡易に食事が出来る、しかも美味しくという技術、アイ
デア商品が、増加傾向。

9)本当に養殖不況?だからこそ差別化出来た企業?水産養殖業界を代表する
企業が続々参加。マルハ、ヨンキュウ、東町漁協、西日本魚市、太新、森松
水産冷凍、ムラキインターナショナル、他。

10)同時開催セミナー(出展者プレゼンテーション)も過去最大規模の15セッション。
水産業界を代表する学会・日本水産学会が、はじめてセミナー参加。他のセミ
ナー等を含め、聴講者数は、過去最高の600名を超える予定。

○詳細HP: http://www.exhibitiontech.com/seafood/

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ サンフランシスコ その4

一泊して、翌日はCIAを訪問です。CIAというと中央情報機関を連想しますが、
料理の世界でCIAというのはThe Culinary Institute of America。アメリカで
トップの料理学校です。本部はニューヨークのハイドパークにありますが、そ
のナパ分校があるのです。

ナパバレーは昔はただのワイナリーがあるだけでしたが、UCデイビス校との共
同研究によりワインの品質が良くなり、各ワイナリーは観光客を引き寄せるよ
うに設備を改善し、試飲室を立派にしたり、レストランを併設するようになり
ました。その観光客の増加を見て、ワインカントリーに高級レストランが開業
するようになり、ワインと料理のメッカにアメリカ一の料理学校が分校を開い
たわけです。CIA出身の有名な料理人はたくさんおり、その料理人を育てたCIA
は観光名物にもなっています。

セントヘレナにあるCIAナパ校は別名グレイストーンと呼ばれています。元、
クリスチャンブラザースのワイナリーの跡を料理学校にしたのです。道路沿い
の石造りの立派な建物です。1階は見学コースとしてワイン造りの道具が陳列
されています。さらに、大きな料理実習室と見学者向けの有料料理実演試食室
と、カフェ、料理道具販売店、が設置されてます。

さて、CIAの目玉はレストランです。別棟にバレッ・サービスもある本格的な
レストランを備えています。予約をしておかないと入れないほど人気がありま
す。入り口を入るとにこやかに出迎えです。入り口横には巨大なワインセラー
が設置されています。入り口に向かって円形のオープンキッチンが広がり、中
でシェフが忙しそうに働いております。オープンキッチンを取り囲むようにカ
ウンターが広がっており、料理の好きな人にはたまりません。

さてメニューは
http://www.ciachef.edu/restaurants/wsgr/
に詳細に紹介されていますのでご覧下さい。

美味しそうな雰囲気に刺激され、思わずたくさん注文。ワインもグラスワイン
やテイスティングメニューが沢山あります。ワインのテイスティングメニュー
25ドルを注文。何とグラスたっぷりに入った5種類のワインが出てきます。こ
れだけで酔っ払いそうです。

前菜に
ツナサラダ15.00ドル
スプリングミックスサラダ 9.00ドル
アサリの酒蒸し 8.00ドル

主菜に
Caramelized Red Snapper Paella (鯛のグリル)27.ドル
Roasted Rack of Pork (ローストポーク)20.ドル

そして、Bouchonで美味しかったオーガニックのグリルチキンが忘れられず
Brick Roasted “Sonoma Organic” Chicken(グリルチキン) 23.00ドルを選
んでしまいました。

デザートは
Classic Cr?me Br?l?e 7.50ドル
Molten Chocolate Lava Cake 7.50ドル

私はこのレストランは生徒の実習の場で、学校のベテラン教官が指導をして美
味しい料理を出すのだと錯覚をしておりました。実習生にしては年齢の高い人
が多いので、ウエイターに聞いてみたら、レストランは学校とは全く異なる運
営だとの返事でした。

それを裏書するような料理の味でした。何しろ、塩味がきつすぎるし、素材の
鮮度も悪いのです。値段はBouchonと同じレベルですが、料理のレベルは3段階
ほど下。このレストランは石造りの雰囲気を味わうために、簡単な前菜とワイ
ンの試飲がお勧めですね。このレストランだけを訪問すると観光地に旨いもの
無しになってしまいますので、注意が必要です。

学校の案内
http://www.ciachef.edu/california/default.asp

さて、この跡はワインセラーの見学ですが、すぐ近所のBeringerを見学しまし
た。ここも古いワイナリーですね。立派な庭があります。しかし、余りの暑さ
にナパバレーを逃げ出すことにしました。ナパバレーはやはり秋に訪問するべ
きでした。一路気温は高いけれど湿度の低いサンノゼに向かいます。
Beringerの案内
http://www.beringer.com/beringer/page/winery2.jsp
(続く)

■ マクドナルド50周年記念の調理機器技術50年史 その30

日本マクドナルドの調理機器技術史 その15

ミートパティの製造工程
ハンバーガーの品質向上はグリルやオペレーションだけではありません。ミー
トパティの製造工程まで改善が必要でした。グリルの性能を改善し、オペレー
ションも完璧にしました。しかし、ミートパティの焼き上げが今一歩だったの
です。

過去、ミートパティを焼き上げるグリルの性能の話をしてきましたが、グリル
の性能の問題が浮かび上がってきたのは、通常の10:1(テン・ツー・ワン)と言
う1/10ポンド、約45gのミートパティの他に、4:1(フォー・ツー・ワン)と言う
1/4ポンド、約113gの大型のミートパティを使う、クオーターパウンダーを販
売することになったためです。大型のミートパティは焼き上げるのにより強力
な火力を必要とすることになったのでした。

しかし、グリルの火力を米国に近づけ、米国と同じオペレーションを導入して
も、ミートパティが旨く焼けないと言う問題をかかえていました。品質を改善
するには、調理機器の性能とオペレーションの向上だけではなく、食材そのも
のの品質改良も必要だったのです。当時は全体的な品質を向上しようというこ
とで、米国からオペレーションマニュアルと機器マニュアルを持って帰って来
ましたが、それだけでは不十分です。そこで、会社の大型金庫に厳重に保管し
てある品質管理マニュアルを紐解くことにしました。品質管理マニュアルは当
時総務部長だけが閲覧できたのですが、秘密は守れても品質が良くなりません。
そこでそのマニュアルを公開させることにして、中身の精査を開始しました。

当時のミートパティのかかえていた問題は
<1>挽肉の均一性がなく、成型されたミートパティの肉が硬く固まっている。
挽肉のミキシングが悪く、成型されたミートパティの肉が硬く固まっていると
火が通りが難しいのです。

<2>脂肪含有量の問題
また、脂肪含有量が当時は16~17%でしたが、低すぎると火が均等に通らない
のです。

<3>成型されたミートパティが平らでない、バリがある。
冷凍のミートパティはグリルの鉄板に置かれれ、20秒ほどするとグリルの熱で
表面が解凍します。そのタイミングを見計らってミートパティの上からシアー
プレスと言う重石で押さえつけ、グリルに密着させるようにします。そうする
とグリルの熱が均等に伝わるのです。
冷凍のミートパティが平らでなかったり、縁にバリが出ると20秒経過しても、
ミートパティの表面が溶けず、グリルに密着しないのです。

<4>搬送途中の温度管理が不十分で解凍、再冷凍し、霜が多くつき焼けない。
ミートパティを成型後、急速冷凍し十分低い温度で保管し、配送車に載せる際
も温度管理をきちんとして、途中でも温度が上がらないようにします。さもな
いと解凍、再冷凍を繰り返し、ミートパティの水分が蒸発し霜になり、肉は乾
燥し焼けなくなるのです。

等でした。
それらの問題を解決し、品質を向上させるべく、私が中心となりマニュアルの
読み合わせを各部と実施したのです。その結果、ミートパティを製造するパテ
ィマシンの機種に問題があることがわかりました。

当時の日本のミートパティの成型はブリッジと言う旧型のミートパティ成型機
を使用していたのですが、肉のミキシングが硬いし、成型する際に平らになら
ないのです。米国では既にフォーマックスと言う成型機に変更をしていました。
ブリッジ     http://www.bridgeonline.com/patty_formers.shtml
フォーマックス  http://www.formaxinc.com/en/home/

当時の日本のファミリーレストランなどはセントラルキッチンを持ち、自社で
ハンバーグパティを製造したり、ソースを製造していましたが、マクドナルド
は自社のセントラルキッチンを持たずに、大手肉業者に製造を依頼してました。

セントラルキッチンは持ちませんが、大手物流業者にディストリビューション
センター(以下、DCセンターと省略)と言う配送センターを運営させ、各食品
メーカーから食材を仕入れ、それを集中配送していました。しかし、タルタル
ソース、ビッグマックソース、バンズ、ミートパティ、シェイクミックスなど
の鮮度の必要な主要食材はDCセンター内で製造をしていました。

そこで、LAにある巨大なDCセンターを見学に行くことにしたのです。
ゴールデンステートフーズと言う名前の会社です。
http://www.goldenstatefoods.com/meat.asp

その巨大なミート向上を見学し、フォーマックスの性能に驚愕しました。この
パティマシンを導入しなくてはなりません。そこで、当時の資材部に交渉し、
委託加工ミート工場のゼンチク(現在はスターゼンと名称変更)に導入をして
もらうことになりました。
http://www.starzen.co.jp/company/enkaku.html

工場から人を米国に派遣し、研修をし高価なミート成型機をやっと導入するこ
とにしました。このフォーマックスの性能は驚異的で、ミートパティを空気で
柔らかく打ち抜きます。また、火の通りにくいクオーターパウンダーにはスパ
イクをうち、火を通りやすく出来ます。

この成型機の導入により、ハンバーガーパティの焼けは飛躍的に向上しました。
また、脂肪分の管理や肉の焼き上げに関しては、工場に店舗と同じグリルを設
置し、各ロットごとに焼き上げてもらうことにしたのです。

フォーマックスも導入し、工場で焼成テストをしてもらうようになってしばら
くは問題は解決していました。ところがミートパティの焼けムラが発生するよ
うになりました。

なぜかわかりませんが、焼けないのです。そこで、工場をチェックするとロッ
トごとの焼成テストを実施していないし、使用するグリルの性能が悪いことが
わかりました。あわてて私が工場でグリルのメインテナンスとガス圧の変更を
実施し店舗と同じになるようにしました。また、グリルの清掃や温度管理が不
十分なので店舗のオペレーションを数日かけてトレーニングすることにしたの
です。

品質向上には、店舗の調理機器、オペレーション、清掃方法の改善の他に、ミ
ート工場のパティマシン、品質管理、などまで総合的に品質管理を追及しなく
てはならなかったのです。
でも、品質管理はこれで終わりではありませんでした。
(続く)

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