weekly Food104 Magazine 2006年1月25日号

メルマガバックナンバー

● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 赤石貴麻の酒蔵探訪記
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

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● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ リンガーハット福岡大名店/とんかつ浜勝福岡大名店、天神西通りにOPEN

株式会社リンガーハットは2006年2月14日(火)、福岡市中央区大名にとんか
つ浜勝100号店を記念し、「とんかつ浜勝福岡大名店」と「リンガーハット福
岡大名店」を同時オープンします。リンガーハットグループの旗艦店ともなる
両店舗は、天神西通りに近接した4階建てビルに、1階が「リンガーハット」、
2階3階が通常メニューの「とんかつ浜勝」、4階が串かつメニューの「とんか
つ浜勝」というフロア構成で出店します。

店舗の大きな特徴として、とんかつ浜勝のメニューバラエティーを視野に入れ
た取り組みの一環として、4階の「とんかつ浜勝」で初めて串かつ専門メニュ
ーを提供します。また、同店の立地が若者が多く集まる「天神西通り」に近接
しているため、1階の「リンガーハット」と2階の「とんかつ浜勝」をカジュア
ルな内装にして若い方にも気軽にご来店いただける店づくりにしていることも
特徴のひとつです。

「とんかつ浜勝」は、昨年12月には東京・西新宿に西新宿店がオープンするな
ど首都圏での出店も強化しています。

○店舗データ
住所:福岡市中央区大名2丁目6番4号
最寄駅:西鉄福岡(天神)駅、市営地下鉄天神駅または赤坂駅
電話番号:リンガーハット 092-738-1022
とんかつ浜勝  092-738-1003
営業時間:リンガーハット 10:00~翌05:00
とんかつ浜勝  10:00~23:00

○HP: http://www.ringerhut.co.jp

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ シカゴ郊外食の風景―子供達の社交場

30年も前の話になりますが、小学校6年の冬、同じクラスの資産家のお嬢さん
の誕生日会に招待されました。クラスの女子10人ほどが呼ばれてレストランで
のフルコースでした。ナイフとフォークで食事をするのは初めてでしたので、
前の晩はライスをフォークの上に載せて食べる練習をしたり洋服にアイロンを
掛けたりと、子供ながらにこの社交の場で恥をかかないようにと努めたもので
す。アメリカに来たらそんな風にライスを食べている人はいませんでしたので
あれは日本だけの作法だったのでしょうか。コースはスープ、サラダ、パンま
たはライスにハンバーグステーキだったのを良く覚えています。そしてデザー
トはマスクメロン。最後は紅茶かコーヒーでしたが、この時ばかりはミルクテ
ィーではなく大人ぶってコーヒーを頼みました。苦かったのですが痩せ我慢し
て息を止め最後まで飲み干したものです。あ~これが大人の味なんだぁと溜息
をつきながらもがんばりました。

と言うようなことからも子供にとってバースデー・パーティーは大人への一歩
の大事なイベントとして、シカゴ郊外のレストランでも良く見かけます。特に
小学生を持つ親に利用されているのが、ピザなどを食べながらゲームも出来る
子供の社交場Chuck E. Cheese’s(チャキ・チーズ)です。中は子供用ゲーム
センターと言ったような所でゴーカートやメリーゴーランドなどの乗り物もあ
りますから、元気な子供たちが遊んでいるのを横目で見ながら、付き添いの大
人達もピザやサブ・サンドイッチ、バファローウイングなどを楽しむことが出
来ます。またミッキーマウスのようなねずみのキャラクターが子供達の相手を
してくれますので、親にとっては大助かりです。チャキ・チーズは全米とカナ
ダで500店舗が展開されています。またお金に余裕がある親は子供用のDJを呼
んだり、マジシャンやピエロをバースデー・パーティーに頼んだりと余念があ
りません。

もう一軒子供に人気の面白いレストランをご紹介しましょう。Medieval Times
(ミッドイーヴル・タイムス)と言って中世の古城をテーマにした巨大なレス
トランです。シカゴ北西部郊外シャンバーグに位置していますが、外見は本当
に大きなキャッスルです。バースデー・パーティーは特別料金無しに中で出来
ます。このレストランの特徴は中世の騎士たちの戦いを見学しながら、食事が
出来ることです。騎士が実際馬に乗っていろいろ曲芸などを交えながら、戦う
のです。食事はチキンの丸焼きなどをナイフ、フォークを使わずに素手でかぶ
りつきます。ヨーロッパ中世の民になった気分を味いながら見学できます。子
供たちはきっとアーサー王の円卓の騎士にでもなった気分で興奮することでし
ょう。この食事付きのショーは大人51ドル、子供36ドルです。ミッドイーヴル
・タイムスは全米、カナダで8軒が展開されています。

ここでちょっとアメリカの子供の姿をお話致しましょう。日本では子供は子供
らしくちょっと恥ずかしがり屋の方が周りからも好意を持たれますが、こちら
の子供達は大変です。恥ずかしそうにしていてお客さんにきちんと挨拶をしな
いと、大人し過ぎて失礼な人間と見なされてしまうからです。特に男子は厳し
く母親に躾けられていて小学校の高学年ともなれば小さな紳士で、お手伝いを
良くしています。特に耳にするのが「ゲストがいるんだからそんなことしちゃ
ダメじゃない。」という母親の一言。いつもやんちゃな小学生もレストランに
行く時や自宅のディナーにゲストを招いた晩はお行儀が良くなります。小学生
低学年の小さな坊やでも人前を横切る時は必ず「エクスキューズ・ミー」と一
声掛けますので、感心すると言うか驚きです。アメリカ人の先生がシカゴの日
本人学校のクラスを見学しに来て、授業中子供たちが大人しく集中して先生の
言う事を聞いているのを見て驚いていました。それぞれの国の子供たちがお行
儀良くする場面というのがそれぞれ違うのだなぁとちょっと面白く思えました。

Home


http://www.medievaltimes.com

(イリノイ州シカゴ在住 カズコ・デイビス)

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● 赤石貴麻の酒蔵探訪記~日本の酒~——————————■□

■ おいしくたのしい時間を提案する(埼玉県・寒梅酒造)

東京から1時間、JR宇都宮線・東武伊勢崎線の2線が乗入れる久喜駅から、わず
か3分ほど歩いた街中に現れた重厚な木造作りの建物。正面玄関に掲げらた看
板の薄れた「寒梅」の文字が歴史を感じさせる、文政4年創業・本年で185年を
迎える「寒梅酒造」を訪ねました。埼玉県の酒蔵にお邪魔するのは今回が初め
てであります。

本日は、当家7代目にあたる鈴木逸郎社長にお話を伺いました。「元々の先祖
は滋賀県出身の近江商人です。江戸時代にこちらに移りました。久喜は関東平
野のほぼ中心にあたり、米そして水に恵まれていましたので、この地で文政年
間より酒造りをはじめました」。江戸時代~明治初期までは、蔵は街のはずれ
の方に位置していたそうなのですが、明治18年に徒歩3分のところに久喜駅が
できたため、現在では街中に蔵を構えるということになったそうです。

創業以来の「寒梅」の由来は、「『魁春開雪中』(はるにさきがけてせっちゅ
うにひらく)漢詩の一説に由来します。1月2月の寒い中(雪中)に咲く寒梅は
ほかの花々に魁(さきがけ)て、凛として咲く。そういう気持ちの酒造りを目
指し創業からこの名で造っています」。歴史的に一番古い「寒梅」であります。

そういえば当蔵に来る道すがら「7月12日・18日 提燈祭り」という、1月にし
てはなんとも気の早い看板を見かけ、気になっていたので鈴木社長に伺ってみ
ました。「それは、久喜に伝わる伝統の祭り『久喜の提燈祭り』ですよ」と
「提燈祭り」のパンフレットを見せてくださった。「提燈祭りは天明3年、浅
間山の大噴火で作物の全滅や飢饉など悪いことを取り除くため、豊作を祈願す
るために始まり今年で223年になります」。そんなに古い歴史のあるお祭りが
あったとは初耳。1町会から神輿、6町会から山車がだされ街中を練り歩く。
山車は昼は人形を飾り、夜は提燈を飾るそうです。「山車の四面に400個以上
の提燈を飾るんですよ。とても綺麗ですよ。関東一の提燈祭りですから一度見
に来てください」とおっしゃる鈴木社長はこの祭りの保存会の会長もされてい
るということで、今年の夏はおすすめの「提燈祭り」に来てみようと思ってい
る。

話を元に戻して・・埼玉はその昔、ほとんどの蔵で越後杜氏が酒造りを任され
ていましたが、現在では3~4蔵程という。その中で当蔵は現在も新潟県から招
いている越後杜氏の星野杜氏と一緒に2名の蔵人、そして当蔵の蔵人2名の合計
5名で年間1000石の酒造りをされている。「通常は5名で作業してますが、明日
から始まる大吟醸の仕込みなどになると蔵の者総出で作業します。もちろん私
もですよ」と話す鈴木社長はにこにこと嬉しそうに見えた。

当蔵のある埼玉県では「埼玉県ふるさと認証食品」という認証制度があり、県
内産農産物を使用し、県内で製造した食品で品質等が県で設けた基準を満たし
た食品だけに与えられるという制度なのだが、それに当蔵の「久喜」という純
米吟醸酒が認証されている。「県内でも当蔵が最初に手がけまして10数年にな
ります。今では10数社に広がっています。当時は県の酒造好適米がなかったの
で、新潟から五百万石の種子を持ってきて地元契約栽培でできた酒米と仕込み
水で造りました。その後は若水という好適米に引き継いでおります」。この
「久喜」は久喜市の推奨特産品にも指定されている。また、のちに県独自の酒
造好適米「むさしの酒6号(さけ武蔵)」が発表され、県内で契約栽培したこ
の酒米と県独自の酵母「埼玉C」で醸した「彩の国 純米吟醸」も埼玉県の認
証食品に指定されています。

酒米にこだわるといえばもうひとつ。「大吟醸 しぼりたて原酒」の原料米で
ある五百万石なのだが、これは星野杜氏ご自身が新潟で栽培した五百万石で醸
し、年末年始に飲んでいただくという為に年末に搾るという酒米の生産から酒
造りまでを星野杜氏が一環して行うという、酒造りの原点がみられる、そんな
酒であります。「以前は県外に酒米を持ち出すというのは禁止だったんですが
近年緩和して頂いたお陰でこのような酒造りができるようになりました」。

ほかにも、長期熟成酒いわゆる古酒の中でも「天爛-九年熟成元禄之古酒」は
江戸時代の書物「本朝食鑑」に基づいて造られた古酒で、原料米は契約栽培し
かも有機米の「アカネゾラ」をし、精米歩合は90%、ほとんど磨いていない
(ちなみにご飯でたべる飯米は96%位)。今の製法よりはるかに少ない量の水
で仕込んでいる。ということで日本酒度:-50 酸度:2.4という古酒が出来上
がるのだが、色がなんともいい。ルビー色がとても美しい。

「『おいしくたのしい時間を提案する』というのが私の基本的な考えなんです」
と鈴木社長。難しいことは考えないで、いろんなバリエーションがある日本酒
をいろんな場面でたのしくおいしく飲む。これが飲み手にとっての一番の幸せ
かも。

○本日お薦めの酒
・「飛翔天 大吟醸 雫酒中取り」
昨年で6季連続金賞受賞、一昨年には最優秀金賞を受賞した逸品
原料米:山田錦 アルコール度数:16~17度 日本酒度:+4 酸度:1.3

・「しぼりたて原酒 大吟醸」
星野杜氏が郷里の新潟県で生産した酒造好適米「五百万石」で仕込んだ逸品。
原料米:新潟県吉川産・五百万石 アルコール度数:17~18度
日本酒度:+5.5 酸度:1.5

・「久喜 純米吟醸酒」(埼玉県ふるさと認定食品)
地元久喜産の米と仕込水で醸したオリジナル純米吟醸酒
原料米:埼玉県久喜市産・若水 アルコール度数:15~16度
日本酒度:+4.5 酸度:1.5

・「彩の国(サイノクニ) 純米吟醸酒」(埼玉県ふるさと認定食品)
埼玉県の酒造好適米「むさしの酒6号」と埼玉酵母「埼玉C」の埼玉生まれ埼玉
育ちの地酒。
原料米:むさしの酒6号 アルコール度数:15~16度
日本酒度:-2 酸度:1.8

○イベント
・数年前からはJRの「駅からハイキング」のコースに含まれ、昨年も11月中旬
には県内や千葉、福島や長野から参加されたお客様が蔵を訪ねられた。本年も
開催予定。
・2月21日「埼玉全36酒蔵 大試飲会」に出店されます。 (詳細は埼玉県酒造
組合 http://www1.ocn.ne.jp/~saisake/event17kikisake.htm )

○お問い合わせ先
寒梅酒造株式会社
〒346-0003 埼玉県久喜市中央2-9-27
TEL 0480-21-2301 FAX 0480-23-2078
E-mail : info@kanbai.co.jp
URL : http://www.kanbai.co.jp/

○著者撮影の写真
http://photos.yahoo.co.jp/ph/tafdmail5/slideshow?&.dir=/9e74&.src=ph&.view=t

○食文化研究家 赤石貴麻(あかいし・たかお)
E-Mail:tafdmail5@yahoo.co.jp

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 韓国貿易センター(福岡)より2006ソウル国際食品展のお知らせ

来る3月21日-24日間、韓国ソウルにて韓国最大級の食品関連見本市が開催され
ます。韓国へ輸出をお考えの方、韓国からの輸入をご検討の方にとってまたと
ない最良の機会ですので是非ご出展・参観いただきたくご案内申し上げます。
なお、ご参加の方には無料入場券を差し上げますので下記お問い合わせ先まで
お気軽にお申込みください。

○2006ソウル国際食品展(SEOUL FOOD 2006)
主催:大韓貿易投資振興公社(KOTRA).
KFIA(Korea Foods Industry Association)
後援:産業資源部、農林部、保健福祉部、韓国食品工業協会、
農協中央会、韓国食品化学会、韓国産業食品工学会等

○開催期間:2006年3月21日(火)~3月24日(金) 10:00~18:00
ビジネスデー:3月21日・22日(2日間)
参加企業数:約550社程度(国内380社、海外170社程度)
場所:KINTEX(韓国国際展示場 Korea International Exhibition Center)
規模:総25,000㎡
展示品目:食品全般・食品添加物、酒類・飲料、お茶菓子、
食品加工機器、食品包装機材、ホテル・レストラン用厨房機
器、その他食品関連情報サービスなど
出品料:スペースのみ⇒2.150U$/ブース(9㎡)、
組立式ブース付き⇒2.600U$/ブース(9㎡)
※電気、電話、水道などの設備は別途
出品・参観申込締切日(1次):2006年1月28日(土)
お問合せ先:大韓貿易投資振興公社(KOTRA) 韓国貿易センター(福岡)
〒812-0011 福岡市博多区博多駅前3-2-1日本生命ビル11F
電話:(092)473-2005/6 FAX:(092)473-2007
担当:沈 E-mail:shim-emi@kotra.or.jp

○関連HP:http://www.seoulfood.or.kr

■ 新業態 銀座 和風居酒屋「小町庭」、沖縄料理屋「美ら姫」

都内にオリジナルダイニングかまくら(渋谷・銀座・新橋・池袋)を4店舗経
営している株式会社リン・クル会社より、昨年オープンした新業態2店舗をご
ご紹介します。

○2005.11/24 町家和食 小町庭(業態:和風居酒屋)
やまと豚や那須鶏、小名浜港直送鮮魚と有機野菜などのこだわり素材をふんだ
んに使った料理と、豊富な種類の果実酒や本格焼酎をご用意。(個室あり)
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-5 太陽ビル6F
営業時間:月~土・祝前日17:00~翌4:00
日・祝祭日16:00~23:30 (※年中無休)

○005.12/8 沖縄料理と泡盛・焼酎 美ら姫(業態:沖縄料理屋)
沖縄直送の新鮮な素材を沖縄出身のスタッフが丁寧に調理。本場の味を忠実に
再現しています。明るい雰囲気の店内は、日ごろの疲れを癒してくれそうな雰
囲気です。
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-17 銀座サザンビル4F
営業時間:月~土・祝前日17:00~翌4:00
日・祝祭日16:00~23:30 (※年中無休)

○関連HP: http://r.gnavi.co.jp/g469905/

■ 沖縄・奄美スローフードフェア2006

スローフードの王国といわれる沖縄、しかし今その長寿神話は崩れつつありま
す。BSEや鳥インフルエンザなど、食の安全・安心が問われている現在、世界
的なスローフード運動を通して食の新しい動きやネットワークを紹介するため
今回沖縄・奄美スローフードフェア2006を開催します。これは、スローフード
ジャパンの公式イベントとして全国のコンヴィヴィウム(支部)のリーダーや
イタリア本部からパオロ・ディ・クローチェを招聘し、会議やシンポジウムを
行うものです。

○沖縄・奄美スローフードフェア2006
日時:2月25日(土)10:00~20:00
26日(日)10:00~18:00
会場:にぎわい広場(那覇市第二公設市場跡地)
入場料:1,000円(子供500円)試食付
内容:幻の黒豚あぐーの丸焼き、沖縄そば手打ち道場、子供たちの味覚コン
テスト、絵画コンクール、島豆腐の作り方教室、等)

○スローフードシンポジウムIN那覇
日時:2月26日 13:30~15:00
会場:那覇ぶんかテンブス大ホール
入場料:無料
基調講演:パオロ・ディ・クローチェ(スローフードインターナショナル)
トークセッション:島村菜津(作家)
若生裕俊(スローフードジャパン会長)
久留 ひろみ(奄美代表)西大八重子(西大学院院長)
司会・コーディネイト:小浜哲(名桜大教授)

○スローフードジャパン・全国コンヴィヴィウムリーダー会議IN那覇 懇親会
日時:2月25日 19:00~21:00
会場:ロワジールホテル
入場料:5,000円

○お問い合わせ:沖縄・奄美スローフードフェア2006実行委員会
那覇市樋川1-1-11-202  tel.098-836-5812  fax.098-836-5818
担当:永峯・田崎 nagamine@rakuen-keikaku.com

○関連HP: http://www.slow-food.jp/

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その6

競合他社と同様の商品を作るには全く同じマニュアルを入手し、実際に作って
みなければなりません。そこでK社の調理システムを解剖して見ました。幸い
なことに昔の友人が働いていたときの克明なメモが手元にありました。それを
見てみましょう。

13)フライドチキンの調理作業

<1>冷凍庫からチキンを出す。
冷凍チキンを使用する時は、十分な大きさのプレハブ冷凍庫が必要である。普
段はフレッシュチキンを使用する場合でも、時期により冷凍物を使用せざるを
得ないし、フレンチフライやその他の冷凍食材もあるので、ある程度の大きさ
の冷凍庫は必要である。

<2>冷蔵庫で解凍する。
冷蔵庫の内部で解凍するが、間に合わない時はシンクで冷水解凍するので、大
型のシンクが必要である。

<3>使用するチキン。
チキンは中ヒナ、中抜きの丸1.05~1.15kgを使用する。重量を決めてるのは後
述する鳥の重量とショートニングの重量比が圧力釜の圧力を決定するからであ
る。原則として鮮度の良いフレッシュチキンを使用する。冷凍のチキンは、調
理後、骨が黒く変色し、味も変化し易いので、品質を考えフレッシュのチキン
を使用する。ただ、季節的に冷凍物を使用しなければならない時があるが、そ
の場合でも、新鮮な物を使用するようにしなければならない。

日本や東南アジアでは、魚粉を飼料として与える場合があり、冷凍後時間が経
過すると、異臭が出て、フライにしても匂いが消えない。南米産の物は味は良
いが、概してパーツが大きく、不揃いな場合が多い。パーツの大きさが一定の
物を仕入れる必要がある。一般的なチキンのカットは8カットであるが、K社で
は9カットと言う独自のカットを行い食べやすくしている。

<4>チキンの下処理。
チキンの余分な脂肪分、内臓、血、羽等を取り冷水で洗浄後、30分間水切りを
行う。サイの骨の内側に腎臓が残っていると、味が苦くなるので、完全に取り
去る必要がある。皮と身の間に黄色い脂肪分があるが、なるべく取り去る。フ
ライドチキンは通常100%植物油のショートニングを使用してフライするが、シ
ョートニングの中に、チキンの脂肪分が溶けだし、ショートニングを傷めると
ともに、スパイスの香りに脂肪の匂いが混じり客に嫌がれる。しかし水洗いを
あまりやりすぎると、チキンの旨味が流出する。

<5>バッターリング。
バッター溶液は、玉子、ミルクを混ぜたものである。バッターを付ける事によ
り、揚げ色がゴールデンブラウンになり、衣の付着がしっかりし、チキンの旨
味の流出を防ぐ事が出来る。バッターは栄養があるので、チキンに付着してい
る細菌類が増殖し易い。その為、使用したバッターミックスは数時間で廃棄す
る。また、出来るだけ冷たく保管し、使わない時には冷蔵庫で保管する。
バッターをM.E.D.(ミルク・エッグ・ディップ)と呼ぶ。主成分はミルクと卵
である。品質を一定にするため、ぬるま湯で2000ccに対してM.E.D…..g、水
4000ccをまぜる。その成分は卵…個、パウダーミルク(スキムミルク)….cc
ぬるま湯2000cc、水4000ccとほぼ同等である。

<6>ブレディング。
スパイスと塩の混ざった小麦粉をまぶす際に、小麦粉にダマが出来るが、ダマ
は毎回ふるいに掛け、取り去る。スパイスの混ざった小麦粉は、使用している
間に、各成分の重量の違いで、重たい物が順次容器の底になっていくので、時
々混ぜる必要がある。良く混ざるように容器は大き目のほうが作業がし易い。
また成分の微細な粉末ほど、チキンに付着し易い為、回数を重ねまぶすほどに
味が変化していく。一定回数まぶしたら、追加のスパイス入り小麦粉を入れ、
味の変化を押さえる。味の標準化のために11種類のスパイスミックス…g入り、
精製塩…kg、薄力粉…kgを、パック化し簡単に調合できるようにする。そのパ
ックを2回篩にかけ味が均一になるようにする。

<7>フライヤーで揚げる。
K社で使用する圧力式のフライヤーには一回の調理で、必ず一定量のチキンを
調理する必要があり、顧客の要望に合わせて、1個だけ調理するわけにはいか
ない。そのため、保温庫に一定時間保温し、保温時間内に販売するようにして
いる。重量比で鳥が1に対しショートニングが2の割合が最も美味しい。

<8>油切り。
揚げて熱い状態のフライドチキンをそのまま保温庫に入れるが、すぐに販売し
てはならない。30分間保管し十分に油切りをした状態で販売する。

<9>ホールディング。
保温の温度は、細菌が繁殖出来ない温度以上で、顧客が食べた時に熱いと感じ
る温度でなければならない。80℃程度が適温である。保温庫は温度だけではな
く加湿をしないと、フライドチキンが乾燥してしまう。保温時間は2時間であ
る。

<10>製造能力
冷凍庫、冷蔵庫、等は配送頻度により、容量を決める。チキンは案外場所を必
要とするので、充分容量を確保する必要がある。

圧力式フライヤーの台数は1台あたりの調理可能能力と売上予測により決定さ
れる。一般的に使用されている圧力式フライヤーは1回に最大4羽フライする事
が出来る。(最近は8羽の調理ができる大型の物も使っている)9カットである
と1回に36ピースのフライドチキンを製造できる。一回の調理時間は15分間で
あり、一回毎に油をろ過するのに5分間、温度を回復するのに5分間、計20分間
が一回の調理サイクルになるので、1時間に3回、108ピースが最大調理個数に
なる。2台のフライヤーで、1個180円として、1時間に38,800円の売上が可能で
ある。また、保温庫で用意しておけば1時間に最大77,760円の売上が可能であ
る。フライドチキンの売上が70%であれば、1時間に約11万円の売上が可能に
なる。標準店舗はこの3倍の売上げ能力を備えており、クリスマスなどの大量
に売れるときにも対応が可能だし、保温していることでドライブスルーや持ち
帰り客を確保できるので、店舗を小型にできる。(続く)

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