weekly Food104 Magazine 2006年1月11日号

メルマガバックナンバー

● 王利彰より年頭のご挨拶
● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 赤石貴麻の酒蔵探訪記
● 米穀情報
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

■ Food104 編集長の王利彰より年頭のご挨拶です。

あけましておめでとうございます。
昨年の実績と、今年の抱負をちょっと紹介させてください。

昨年は、最適厨房研究会と言う研究会と、
http://www.saitekichubo.com/

わいがや楽食研究会と言う勉強会を立ち上げました。
http://www.mishoan.com/waigaya/

立教大学大学院教授としては韓国と中国における外食進出状況の研究を進めて
おり、06年度は企業再生を取り上げる予定です。
http://www.rikkyo.ne.jp/%7Ez3000142/bizsite/index.html

大学院の生徒は社会人が多く、毎日ハプニング、ドラマのような話が続々です。
おかげで私は卒論指導のために学校で31日深夜まで論文の校正をさせられまし
た。

和食居酒屋莫莫居鶯(ばくばくきょうぐいす)はおかげさまで開店1年半を経
過しました。

昨年のわいがや楽食研究会の成果は鍋です。鍋の勉強会で一番人気だった、桃
太郎の野菜鍋を取り入れ、平田牧場の三元豚でその味を再現し、三元豚と葉野
菜の常夜鍋と名づけ、莫莫居鶯のヒットメニューとなりました。
http://r.gnavi.co.jp/a106200/menu8.htm

今年は、わいがや楽食研究会の新たなレシピと、厳選して集めた美味しい食材
で、飛び切り美味しい料理に仕立てる所存です。
http://r.gnavi.co.jp/a106200/
美味しい食材があれば是非ご紹介くださいね。

さて、食の世界では今年のキーワードはデトックスなどの健康的な食です。
今、世界で流行っているマクロビオティックは日本の精進料理が源で、日本
の精進料理は中国から韓国を経て日本に伝わっています。

私のゼミや大学院、学部には韓国からの留学生が多く、そのコネクションを生
かして、今年は韓国の有名な精進料理の調理人を招聘し勉強会を開催しようと
思っています。2月には韓国を訪問し、調理人と打ち合わせをし、勉強会を莫
莫居鶯で開催予定です。
そのときには皆さんの積極的な参加をお待ちしております。

執筆活動はやや遅れておりますが、今年こそ2冊ほどの本を(硬すぎる本にな
りそうですが)執筆予定です。

また、今年は無料のセミナーを定期的に開催する予定です。そのためにセミナ
ーのスポンサーを募集中ですので、是非、応援をよろしくお願いいたします。

最後ですが、読者の皆さんにお願いがあります。このFood 104マガジンへのご
意見、取り上げてもらいたい内容、食関係の広報記事、など、是非、投稿を積
極的にお願いいたします。

2006年もよろしくお願いいたします。

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● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ 「リンガーハット 西新宿店」地下B1に「とんかつ浜勝 西新宿店」OPEN

株式会社リンガーハットは、「リンガーハット 西新宿店」の地下1階に「とん
かつ浜勝 西新宿店」(席数:34席)を2005年12月28日にオープンしました。

創業43年、長崎で誕生して以来九州を中心に展開しているとんかつ専門店です。
浜勝では定食にはすべてご飯、お味噌汁、お漬物がついており、おかわりは自
由。また、ご飯は白米と麦ごはん、お味噌汁は赤だしと白だし、キャベツは角
切りと千切りを選ぶことができます。お客様ご自身でごまをすって頂き、特製
のごまソースをつくることもできます。現在、ハーブ豚(ハーブトン)を使っ
たオリジナルメニュー等が人気を博しています。

○店舗データ
住所:東京都新宿区西新宿1-16-4 西新宿国際通ビルB1
電話番号:03-5339-9113
最寄駅:JR新宿駅
営業時間:10:30~23:00

○HP: http://www.hamakatsu.jp/

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ シカゴ郊外食の風景―増殖し続けているパンケーキ・ハウス

このところ運転しているとエッグ・ハーバーやエッグレクト・カフェとエッグ
の付く名前のレストランがやけに目に付くなぁと思っていましたが、覗いて見
ると全てパンケーキ・ハウスでした。以前は小さめで家庭的なパンケーキの店
が多かったのですが、最近は大型店で収容人数も多く、外装も内装も高級感の
あるパンケーキ・ハウスが増えているのには驚きです。勿論酒類は無いし、営
業時間も朝の6時から午後3時くらいまでなのに儲けはあるのかなぁといつも思
っていましたが、どの店も潰れないところを見ると儲かっているのでしょう。
まぁちょっと考えて見ると、材料が卵や小麦だけですから食材の費用があまり
かからず、利益率が高いんでしょう。生のオレンジジュースなども結構いい値
段を取っていますからね。

2005年のクリスマスは日曜日にぶつかった為、12月26日の月曜日もほとんどの
会社が振り替え休日で休みでした。そんな為かこの日、家の近所のパンケーキ
・ハウスへ行きましたら長蛇の列でびっくりしました。クリスマス休暇で皆、
鱈腹ご馳走を食べたはずなのに。休みの日の早朝9時にすでにこの行列とはア
メリカ人をこうも駆り立てるパンケーキの魅力とはいったい何なんだと考え込
んでしまいました。もしかしてクリスマスに食べるターキーの丸焼きや骨付き
ハムにマッシュポテトと言ったメニューに皆うんざりしていて、パンケーキ・
ハウスのオープン時間を首を長くして待っていたのかもしれません。兎に角こ
ちらのパンケーキ・ハウスのメニューの多さには圧巻され、いつも何を頼もう
かと悩む事しばし。パンケーキ単純なれど奥は深しです。

今回訪問した店は、Richard Walker’s Pancake House(リチャード・ワーカー
ズ・パンケーキ・ハウス)と言ってシカゴ北西部郊外シャンバーグという日本
人がとても多く住んでいる街にあります。でも私が行った土曜日の朝、日本人
は誰も見かけませんでしたけどね。普通の日本人の皆さんはまだ寝ているお時
間ですからね。しかし、この日午前8時半やはり店はほぼ満席でした。朝食二
人でチップ込で30ドルも使ってしまいましたから、朝ごはんにしてはちょっと
高いですよね。でもサービスと味は日本の高級ホテル並みでしたよ。特にスク
ランブル・エッグ、こんな美味しい卵焼きアメリカで初めて食べました。多分
このスクランブル・エッグにはクリームチーズと生クリーム、バターが含まれ
ているのではと推測しました。とてもしっとりしていて濃厚な味なのです。横
浜ロイヤルパークホテルのエグゼクティブルーム・ラウンジで朝に食べた卵と
同じ味で感激しました。またベーコンが厚めで尚且つカリッとしていていい歯
ごたえでした。このスクランブル・エッグとベーコン、パンケーキのセットで
$6.95です。

パンケーキもシロップをかけるとポロポロになってしまう生地の多い中、ここ
のはしっかりした生地で、もっちりとしていていい感じでした。そして私が頼
んだラズベリー・クレープが圧巻。日本のクレープよりは結構厚めの生地で中
には煮たラズベリーがぎっしり詰まっていました。このラズベリー結構酸っぱ
めで、付け合せのホイップクリームの甘さで調和されて丁度いい味になりまし
た。値段は$8.75です。付け合わせに頼んだソーセージが$3.50でコーヒーが$
1.95でした。以下ほんの一部ですがパンケーキのメニューからご紹介しましょ
う。毎日通って食べ尽くしたくなるパンケーキの数々です。

Blueberry Pancakes(ブルーベリー・パンケーキ) $6.25
Buttermilk(バターミルク・パンケーキ) $5.50
Silver Dollars(シルバーダラー・パンケーキ)
小さいパンケーキが12個 $4.75
Chocolate Chippies(チョコレート・チップ・パンケーキ) $6.75
Southern Pecan(サザン・ピーカン・パンケーキ) $6.75
Northern Bacon(ノーザン・ベーコン・パンケーキ) $6.50
Fresh Banana(フレッシュ・バナナ・パンケーキ) $6.50
Potato Pancake(ポテト・パンケーキ) $.6.75
Swedish Pancakes(スウェーデン風パンケーキ) $6.75
Cherry Pancakes(チェリー・パンケーキ) $6.75
Buckwheat Pancakes(そば粉パンケーキ) $5.75

http://www.richardwalkers.com

(イリノイ州シカゴ在住 カズコ・デイビス)

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● 赤石貴麻の酒蔵探訪記~日本の酒~——————————■□

■ 日本酒の可能性、追求し続ける(茨城県・来福酒造)

晴天に恵まれ、国道294号沿いの田園風景を眺めながら向かった先は、栃木県
との県境、茨城県筑西市にある「来福酒造」。
「福や来む 笑う上戸の 門の松」。創業当時から変わらぬ「来福」の銘は、
この俳句に由来するそうで、新春にはなんともめでたい銘であります。

蔵を案内してくださるのは、専務の藤村俊文さん。1716年から290年続く当蔵
の十代目であります。早速、試験管がズラッと並ぶ部屋でお話を伺いました。
さて、先ほどから気になるこの試験管。それも全て斜めに置いてあり、液体状
のものが入っています。「これは斜面培地といって、酵母を培養する培地なん
ですよ。そしてこちらは液体培地」といって大きな三角フラスコをもってこら
れた。「人にやってもらうのがあまり好きでないんで、自分でできるものは自
分でやっちゃうんです」(笑)。

藤村さんは東京農大出身。卒業後はバイオ関連の会社で、酵母の植えつぎをさ
れていたプロ中のプロ。「元々香りの出ない蔵だったんです。農大在学中に友
達と”やっぱり香りを出すのは酵母次第だよな”とよく話してて。卒論のテー
マは酵母にしました。そこから僕の酵母への探求が始まったんです」。3年間
の勤めを終え、蔵に戻った藤村さん。当蔵は社員だけで酒造りをしている分、
いろんな挑戦をすることができたという。酵母もそのひとつで、いろんな酵母
を使っていた。そんな時「花酵母」の話を耳にし、早速、発明者である農大の
中田教授を訪ね、菌株を受け継ぎ「花酵母」での酒造りがはじまった。

「協会9号」等の協会酵母というのはよく聞くけど、「花酵母」は初めてとい
う方も多いのでは?「花酵母って天然の酵母なんです。空気中に漂ってる酵母
は、固体に集めてからじゃないと拾えないじゃないですか。その集まった個体
が花であるということであって、花が生み出すものではなく、花に集まった空
気中の酵母なんです」。従来の酵母同様「清酒酵母」なので、酒母を造る時は
従来のものと変わらないそうです。

「社長も鑑評会で賞を頂きたいと言ってましたし、僕自身、全国で戦いたいと
いう志がありました。全国で戦ってる同級生もいましたので、いい刺激を受け
、全国で通用する酒を造りたいと思いました」。しかし酵母だけでは全国は難
しいと考えた。そこで酒米に着目。酒米は一般米と、山田錦をはじめ亀の尾・
五百万石・八反錦・雄町・愛山・ひたち錦など10種類に及ぶ酒造好適米を使用。
まるで酒米の博覧会!好適米に関しては自社の精米機で精米をしている。現在
は酵母は15種類・酒米は10種類を扱うので、単純計算で1種類の酒米で15パタ
ーンの味。150のバリエーションが楽しめることになる。新しい味も楽しめる
だろう。

「さっき精米が終わったので、酒米を見に行きましょう。タイミングいいです
よ」と精米室へ。目の前に身の丈の2倍以上ありそうな精米機。ザザーッと磨
かれた酒米が精米機から袋へ勢いよく流れていく。辺りがモワッと米粉で煙る。
「精米の極限に挑戦しようと思って今年は12%」。えっ!12%?!驚いているうち
に12%になった酒米を、比較しやすいように玄米も一緒に手のひらにのせてみ
せてくれた。一般的なビーズよりも細かい。酒米だといわれるから米にみえる
が、そういわれなかったらこれが米にはみえないかもしれない。機械の表示板
には「12%」と「99時間59分」と表示されているが、通常精米時間は50%で2日
間。今回は5日前からはじめたので、時間が表示しきれなくなってしまってい
たのだ。(5日間=120時間)ちなみにこの酒米は、茨城オリジナルブランド
「ピュア茨城」用に使う「ひたち錦」。

「変わったこと、誰もやらないようなことをやるのが好きなので・・面白いもん
ですよ。ひたち錦は、非常に硬くてどうも味のノリが悪いと、最近は倦厭され
がちなんですが、硬いなら硬いなりにどう使えばいいだろうと考えて精米の限
界に挑戦したり、辛口の限界に挑戦してみたりするんです。昨年は精米歩合19
%の酒米を仕込みました。味はものすごく腰が抜けていた、米の味がまったく
ない酒だったが、滓をからませたら味がのってきました。酵母の香りがある、
雑身が一切無いきれいな酒でした。また、辛口の限界に挑戦ということで、日
本酒度+23という酒ができました。発酵というのは、いきつくとこまでいくと
こういう味になるんだなと思いました。エキス分がゼロなので甘くない。始め
は辛くないし、米の味はするけど、アルコールのピリッと感ではなく、ザラッ
とした感じなんですが、米の味はちゃんとする、飲み込んだあと強烈に辛いの
がのぼってくるんです」。先ほどの精米歩合12%の酒米も、これから仕込むと
いうので、出来上がりが楽しみであります。

蔵の中にあるタンクはどれも見上げる程の高さはなく、小仕込みに適した大き
さのタンクばかり。一番小さいものになると156cmの私の背丈より低いタンク
で、一升瓶で100本程。温度管理ができるサーマルタンクが並ぶ。昔は大きな
タンクでの仕込みをされていたが、いろんな酒造りのチャレンジ、また、品質
管理の点などから、年々改良を重ね、効率よく酒造りができるよう現在のよう
な形になっていった。酒造りが終わると毎年、蔵の改造をしているという。

「まだまだ新しいことへ追求し続けますよ。毎年同じこと繰り返して、守りに
入ってはおしまいだし、つまらないじゃないですか。やるからにはどんどん新
しいことにチャレンジしていきたいですね」。
藤村さんが醸す来福の酒、これからもどんなチャレンジがあるか楽しみでなり
ません。

○本日お薦めの酒
本日は、原料米「雄町」(精米歩合50%)3種の酵母で醸した純米吟醸生原酒
をご紹介。
・つるばら酵母 日本酒度+3 酸度1.9 アルコール度数17~18度
・アベリア酵母 日本酒度+3 酸度1.5 アルコール度数17~18度
・ベゴニア酵母 日本酒度+3 酸度1.8 アルコール度数17~18度

酵母の違いの飲み比べができる、これぞバリエーションが楽しめる来福酒造な
らでは。また、日本酒を凍結濃縮させてアルコール度数25度というとても珍し
い日本酒も。どんな感じなんですかと伺うと「水分を凍らせて、酒のエキス分
だけ残した感じ」。一度飲んでみたい非常に気になるお酒であります。

○お問い合わせ先
来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626
TEL:0296(52)2448
FAX:0296(52)6448
e-mail:info@raifuku.co.jp

東京農大花酵母研究会
http://hanakoubo.jp/home2.htm
花酵母の種類や蔵元一覧などの詳細あり。

○著者撮影の写真
http://photos.yahoo.co.jp/bc/tafdmail5/slideshow?&.dir=/200601_%cd%e
8%ca%a1%bc%f2%c2%a4&.src=ph&.view=t

○食文化研究家 赤石貴麻(あかいし・たかお)
E-Mail:tafdmail5@yahoo.co.jp

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● 米穀情報報 —————————————————-■□
※この情報は、米穀データバンクのご協力により、「米穀市況速報」(日報)
から、一部記事を要約したものを掲載させていただいています。(月1掲載)
記事・図表の無断転載・引用を禁止します。

■ 集団給食団体がユビキタスシステム実験公開

集団給食会社でつくる(社)日本給食サービス協会は、国が推進する「平成17
年度ユビキタス食の安全・安心システム開発事業」の実験に関するプレスリリ
ース及び展示会を1月16日に開催する。

同協会では同開発事業を活用して「集団給食のメニューを対象とした食材のユ
ビキタス食の安全・安心システムの構築・検証」に取り組んでおり、協会加盟
企業のシダックスが代表して進めている実証実験の内容を公開する。同時にユ
ビキタスコンピューティング技術についても紹介する。

協会における事業計画の概要は「メニュー単位で使われた食材の生産・流通履
歴をトレース、及び利用者の個人別の食事履歴をフィードバックするシステム
の開発を行う。また、UHFタグを含む複数電波帯タグの使用による検品作業の
効率化、及びデジタルペンを利用した農家による生産履歴入力作業の省力化を
行う」。主な対象品目は、米、生鮮産品、冷凍加工食品など。
(2006年1月10日)

■ 高知の極早生品種「南国そだち」に決定

高知県の極早生品種・高育68号の名称が「南国そだち」に決まり、12月20日に
名称発表会が行われた。

18年産米の作付は「技術センターにある種子の分から見てマックス40ha」とさ
れる。とさぴかの後継で、早さと食味の良さを兼ね備えた期待の品種。天候に
よる影響が少なく安定した生育が見込まれ、早期米地帯である高知市・南国市
などで作付される予定。
(2005年12月22日)

■ 低アミロース米「ゆきの舞」産白商品化へ(山形)

山形県が開発した低アミロースの水稲新品種「ゆきの舞」(山形84号)には、
同県の卸から「18年産から商品化したいとは思っている。低アミロース米とい
うことで単品とブレンド両方を視野に入れている」と期待が高まっている。

かつて県産ミルキークイーンを使ったブレンド商品を販売したことがある県内
某卸は、県内陸で作られているミルキークイーンの扱いを希望する関東や中京
の卸からの問い合わせが舞い込んでおり、新品種「ゆきの舞」がこうした要望
に応え得るとみて注目。

さらにはミルキークイーンが関東を始め消費地で単品商品として消費者に浸透
している状況にも触れ、こうした需要を捉える形で、将来的には同じ低アミロ
ース米である「ゆきの舞」の産地精米商品を大消費地に売り込みたい様子。
(2005年12月19日)

■ 『ライスプラザ銀座』を開設(トーヨーライス)

トーヨーライス(株)(東京都中央区)はこのほど、東洋精米機ビル1階にシ
ョールームを兼ねた食のコミュニティスペース『ライスプラザ銀座』を開設し
た。

お米を中心とした食の大切さや楽しさを共有できるスペースを提供し、食生活
の健全な発展に寄与するのを目的として、具体的な活動では、金芽米(きんめ
まい)、無洗米の紹介、「米」「食」「環境」をテーマに料理セミナーなどの
イベント開催、一般の方に会場の提供、などを実施していく考え。
○同社ホームページ: http://toyo-rice.jp/
(2005年12月13日)

○株式会社米穀データバンク:民間のコメ調査会社。生産・流通・市況など
コメに関する情報の提供を行っている。
○問い合せは、ricedata@japan-rice.com
○ホームページ「日本のコメ市場」http://www.japan-rice.com/main.htm

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 冷凍水煮大根(特許出願中)新発売

冷食ベンチャーの有限会社勝美ジャパンは、特許出願中の「冷凍水煮大根」を
中国福建省の勝美グループ工場で生産し、平成17年2月1日より新発売します。

従来の冷凍大根は、スが入る、テクスチャーがよくない、化学薬品(製造補助
材・食品添加物・pH調整剤・等)を使用しなければない、という問題がありま
したが、これらを解決する方法で特許商品(出願中)としました。

冷凍変性(スポンジ状)などは一切なく、集団給食、食品メーカーなどの業務
用需要を見込んでいます。これにより同社の冷凍大根の品揃えは18種類となり
ました。もちろん、自社圃場で栽培及び農薬管理を行い、本年5月29日より施
行の残留農薬ポジテイブリストに対応した安全安心な商品です。

従来より凍菜は、野菜を水で洗浄して切断した後、熱水で数分間ブランチング
し、ついで冷凍することにより製造されている。一般に、野菜は水分を多く含
んでいるので、凍菜を解凍した時に水が分離して流れ出すドリップ現象や多孔
質状になるスポンジ現象を起こして品質が著しく低下する。

この問題を解消する方法として、野菜を塩化カルシウム、乳酸カルシウム、塩
化カリウム、エタノール、ソルビット、グリセリン、糖類、等を含有する溶液
で前処理した後、凍結する方法が知られている。この方法で得られる凍菜を解
凍してもテクスチャー(特に歯切れ)の良いものは得られず、かつ保存中に退
色し、極端な場合は褐変する。テクスチャーを改善するためにブランチング温
度を低くし、又はブランチング時間を短くしたものは特に褐変が激しい。

そこで、これらを改善するために野菜を塩化ナトリウム及び塩化カリウムの少
なくとも1種並びにエタノール、ソルビット、明ばん、第一鉄化合物及びアス
コルビン酸を含む溶液に浸漬した後、該野菜を100~200℃に加熱した食用油脂
でブランチングし、次いで冷凍することを特徴とする凍菜の製法も知られてい
る。

また、生鮮大根を冷凍保存しても冷凍障害(すが入り、スポンジ状態になる)
が無く、調理時には型崩れの生じない、冷凍大根の製造方法及び保存方法と調
理方法として、生鮮大根の皮を剥き必要に応じた大きさ形状にカットされた大
根を、規定量の乳酸カルシウム(100g当たり13.8g以上のカルシウム含有のも
の)が添加された熱水(98℃)で35分間煮沸処理後、冷却のうえ-28℃以下の
冷凍庫で24時間凍結することを特徴とする冷凍大根の製造方法、及びその冷凍
大根を-18℃以下の保冷庫に冷凍保管する保存方法と、調理時には熱処理無し
で好みの味付大根を提供することを特徴とする調理方法も知られている。

これらの方法で製造される凍菜においても食品添加物を使用しなければならな
いという大きな問題がある。したがって、大根の保存手段として冷凍方法は一
般的に用いられていない。一方、大根の長期保存技術としては、大根をph調整
液と共に真空パックし、低温殺菌(98℃にて60分)し冷蔵保管するチルド大根
や、同じくph調整液と共に大根を真空パックし、これを加圧下で高温に加熱処
理する、いわゆるレトルト技術が採用されていてレトルト大根や缶詰にされて
いる。

しかし両技術共にph調整をしないと褐変等の変色及び品質劣化をもたらしてし
まう。この原因は発見されておらず、一般的に酵素の作用とされている。いず
れの方法でも、ph調整液(清水にクエン酸、乳酸、ビタミンC.等を添加した溶
液)を用いてph値4.8以下にしなければ褐変等の問題が発生する。

一方、ph調整剤を少量使いph5.0程度とし、大根を調理し、又は調味液と大根
を真空パックし醤油等で色が付いたものをチルド(5℃程度)で管理した場合
は、賞味期限を3週間程度つけることができる.

○関連HP:http://www.katsumijapan.com

■ 食の世界遺産 失われつつある伝統食材「麦こがし」を守る

(株)大麦工房では、日本一の大麦の生産地、地元栃木県の二条大麦を100%
使った食材「麦こがし」の開発に成功し、洋菓子パティシエの技術力で「ダク
ワーズ」はじめ、10数アイテムの菓子及び食品を開発・製造・販売し、注目さ
れています。

「麦こがし」は大麦を精麦・焙煎し粉にした食材で、世界の中で唯一、日本の
和菓子の材料の一部と、中国チベット自治区の主食としてしか作られなくなっ
てしまった絶滅の危機にある食材です。戦後日本では、食の洋風化に伴い、急
速に作られなくなってしまいました。地元栃木県でも日本一の大麦の生産地と
はいえ、食文化の変化や減反政策により、大麦畑の風景も急速に失われつつあ
ります。

「地産地消」、失われゆく地元の食文化を守るために新しい需要を喚起しなく
てはならないという「使命」のもと、(株)大麦工房は、地元の二条大麦を100
%使用した「麦こがし」の製造に挑戦し、成功。昨年は、県知事よりフロンテ
ィア企業として認証されました。地元の大麦の需要を喚起することが、ひいて
は日本の農業経済の活性化につながります。

この北関東以南は、10月に米を刈り入れた後、11月初旬大麦の種をまきます。
つまり、二毛作が可能になり、農家の収入をふやすことができます。11月初旬
にまいた大麦の種が芽を出し、只今身長3cmです。厳冬のこの時期、大麦をま
いたところだけ、周辺の田んぼの土色とは異なり、一面の「緑のじゅうたん」
( http://www.oomugi.jp/midori.html )のようになっています。

○関連HP:http://www.oomugi.jp/

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その4

10)1998年 自動飲料ディスペンサー Automated Beverage System

1975年にマクドナルドが最初のドライブスルー店舗をアリゾナのシエラに開店
して以来、注文受けの正確性の向上と効率化、サービス時間の短縮を研究して
きた。ドライブスルーブースの限られたスペースの中で、人件費を増加させる
ことなく生産性を向上させなければならなかった。米国のファストフード、特
にハンバーガーレストランにとって、炭酸飲料の売上げ比率は大変高く、ハン
バーガーを注文する客のほとんどは炭酸飲料を注文するのであった。そのため
ハンバーガーの調理時間をクラムシェルグリルやメイド・フォー・ユーのシステ
ムで短縮しても一緒に注文する炭酸飲料を作るのに時間がかかっては意味がな
いのであった。そこで、創業以来の取引業者である、コカコーラ社と炭酸飲料
ディスペンサーのメーカーのコーネリアス社(IMI Cornelius)とマクドナル
ド社の機器開発部のジェリー・サス(Jerry Sus)とジム・コフィー(Jim Coff
ey)は共同で問題解決に当たることになった。

マクドナルドが創業当時の炭酸飲料ディスペンサーはペーパーカップに氷を入
れ、カウンターの上に設置されたディスペンサーのレバーをカップを持った指
で押して飲み物を注ぐのであった。飲み物がカップに満ちるまで5秒ほどそこ
についていなくてはならなかった。そこで、ワンタッチで自動的に炭酸飲料が
抽出できるディスペンサーを開発した。カップに氷を入れ、そのカップをディ
スペンサーの下に置き、ディスペンサーのボタンを押すと一定量の炭酸飲料が
抽出される仕組みであった。これで随分時間は短縮されたが、ドライブスルー
のサービングタイムをさらに短縮させるためには更なる省力化と時間短縮が必
要であった。そこで共同チームは炭酸飲料のディスペンサーの自動化を考えた
のだ。オーダー受けの従業員が客の注文をスピーカーから聞いて、その注文を
POS(コンピューター化レジ)に入力するわけだが、炭酸飲料を入力したら、
そのデーターを炭酸飲料ディスペンサーに飛ばして、カップを自動的に落下さ
せ、氷と炭酸飲料を自動注入させるように考え、成功したのだった。

米国の炭酸飲料メーカーはコカコーラ社とペプシコーラ社が五分五分の売上げ
を占めている。炭酸飲料メーカーにとって、大量に炭酸飲料を販売するファス
トフード企業は大得意で、高品質の炭酸飲料を大量に作り上げる仕組みを常に
研究している。筆者はアトランタにあるコカコーラ本社のR&D部門や炭酸飲料
機器メーカーを訪問し、機器の改良を進めたことがある。日本にも炭酸飲料機
器メーカーはあるが、製品の能力が低く、改善するのに10年ほどの月日が必要
であった。たかが炭酸飲料というが、狭いスペースで高性能の冷却機器と炭酸
水の製造機器を置き、正確なシロップを混入するには大変な精度が必要なのだ。
日本の機械の性能の悪さに堪らず、米国の高性能の機器を輸入して使用した時
期もあったほどだ。

11)マクドナルドを支える優秀な調理機器メーカーの例

マクドナルド社がメイドフォーユーの技術開発で選定した調理機器メーカーの
内の一社がEnodisと言う複合企業だった。
http://www.enodis.com/

マクドナルド社が何故、その会社をパートナーに選んだかを見てみよう。
Enodisは英国の持ち株会社であり、傘下にはフライマスター(フライヤー)、
ガーランド(レンジ、オーブン、クラムシェルグリドル)、ジャクソンディッ
シュウオッシャー、リンカーン(エアーインピジメントオーブン)、ベルショ
ー(ドーナツ機器)、コンボサーモ(スチームコンベクションオーブン、クリ
ーブランド(大型クックチル)、アラジン(病院用調理保温システム)、アイ
スオマティック(製氷器)、スコッツマン(製氷器)、デルフィールド(冷蔵
機器)、その他、合計で35社がある。グループの年商で1.5ビリオンドル(120
円換算で、1800億円)で、調理機器メーカーグループとして最大規模である。
ファーストフードだけではなく、ファミリーレストラン、カジュアルレストラ
ン、病院給食、等幅広い顧客を持っているのが特徴だ。

Enodis社はフロリダ州タンパにEnodis Technology Centerを所有し研究開発に
当たっている。
http://www.enodis.com/tour/tour1.html

Technology Centerでは、自社の調理機器のみならず世界中の調理機器を集め、
性能比較を行うなど、品質向上、高速調理、省人件費の自動化機器の研究を行
っている。通常は非公開の厳重な秘密研究所だ。筆者が以前、ピザ用高速オー
ブンの開発の際にこの研究所で、世界中のオーブンを集めて、専門のコックに
目の前で色々なタイプのピザを山の用に作らせ、調理機器の性能評価をさせた
事がある。

ここでは単なる調理機器の開発のみならず、将来の動向まで予測し、開発する
研究所であり、5~10年先を想定して調理システムの開発を行っている。具体
的にはマクドナルドの最先端技術であるメイドフォーユーなどの調理技術や、
マクドナルドで使用している、クラムシェルグリル、トースター、保温庫等を
開発している。

では、その研究所の開発方針と手法を見てみよう。

(1)研究所の歴史
1986年にガーランド社の工場内で設立された。しかし、ガーランド社の社内に
あると言うことで、ガーラーンド社の開発や、工場の製造工程の些細なことの
研究も要求されるという問題を抱えるようになった。そこで、傘下の調理機器
メーカーと均等な立場を保ち、且つ、独立した組織で長期手金視野に立った活
動が出来るようにするべく独立をした。研究開発に最適な環境を求め、気候が
温暖で優秀な人材を集めやすい、フロリダ州タンパに研究所を開設した。

(2)研究所のビジョン
<1>新しい料理方法と調子システムの開発
<2>品質と安全性の追求
<3>早い調理とサービスの実現
<4>作業を簡素化し、トレーニングを容易にする。

大事なのは新しい調理機器は客の問題解決の一部であり、全てでないと認識す
ることである。

(3)研究所のミッション
客の問題を解決することである。
<1>客と一体になって問題解決に当たる
<2>調理機器の改良と、新規調理機器の開発の両方を行う。
<3>客の秘密を厳守する。

(4)研究所のフィロソフィ
<1>客の考え方、希望に従うこと。
<2>エンジニアはフードサービスを経験していること。
<3>エンジニアは新しい調理機器の開発は調理技術行程の一部であると認識す
ること
<4>エンジニアは開発チームの客だけでなく、傘下の自社企業の問題解決を助
ける。

(5)研究所の研究エリア
<1>調理システム全体
<2>トーストとスチーミング
<3>ホールディングとステージング(加湿保温保管)
<4>ベイキング(焼き上げ調理)とブロイリング(あぶり焼き調理)
<5>グリル調理とフライ調理
<6>コンベクション調理とマイクロウエーブ加熱(電子レンジ)

(6)開発プロジェクト進行
<1>プロジェクトは客のニーズに沿うこと
現在の調理機器の改良
新規調理機器の開発コンセプト
<2>客との共同開発体制を作り上げる
客とは、外食チェーンだけでなく、傘下の調理機器会社も含むエンジニアは
プロジェクト全体の進行管理だけでなく、調理機器開発後、傘下の工場での
生産立ち上げから生産開始後4ヶ月まで、工場に駐在し、完璧な調理機器を出
荷する責任を負う。

(7)開発内容
<1>新技術開発に必要なあらゆる技術情報を収集する
あらゆる先端技術を持ち、外食の現場を熟知しているエンジニアを集める
最先端の設計能力を集める。例えば3DのCADシステム。
空気力学の最先端のソフトウエアーの開発等。
<2>完璧な耐久力テストを行う
単なる性能だけでなく、忙しいチェーン企業の現場の酷使に耐える耐久力
テストを完璧に行う。
<3>必要なら研究の外部委託を行う
現在のように開発を短時間で行う要望が強い時代では、研究所だけで全ての開
発を行うのは現実的でない。そこで、食品工学、バリューエンジニア、金属工
学、化学工学、電気工学、等の専門知識を持っている大学の研究期間やその他
の専門の研究機関を使い、開発内容の完璧性を高めると同時にスピードアップ
を図る。

(8)研究所に求められる、開発に必要なエンジニアリング能力
<1>機械と電気工学の知識
これは調理機器開発エンジニアに要求される最低限度の知識である。
<2>3D CAD(立体的なコンピーター支援設計ソフトウエアーを使える)
研究所の12名のエンジニアに全て最先端のワークステーション(パソコンベー
スであるが、より能力と安定性の高い仕様とソフトウエアーを備えている。
場合によっては安定性の低いマイクロソフトのウインドウズでなく、性能の安
定しているユニックスマシンを装備する)を与えている。

<3>電子回路設計能力
最新の調理機器を開発する上で必要不可欠である、制御機器は機械式から電子
回路設計になっている。電子回路設計を外部の会社に委託すると、その会社が
持っている製品を売りつける場合が多いので、自社で設計と製造能力を身につ
けた方が、開発時間が短く、最適な性能を出し、且つ、コストも低くなる。
また、最近の調理機器の性能を左右するのは電子回路の設計であり、特許を申
請し、自社の製品のコピーがでないようにするためにも独自の電子回路設計能
力を身につける必要がある。

<4>板金設計能力
調理機器を試作するにあたり、研究所で骨組みや板金設計技術がないと開発速
度が遅くなるし、工場で効率よく製作するように設計をすることが出来ない。
試作に当たっても、ワークステーション上で設計した図面をLANの回路で流し
自動的に板金を作成する事が可能になることにより、試作速度が格段に早くな
る。

<5>ガス燃焼技術
世界各国に進出するチェーン企業をサポートするためには米国で使用している
LPGや天然ガスだけでなく、コークスガスや石油ガスなどの品質の悪く、圧力
の低いガスでも燃焼できるような設計知識が必要になる。米国内のガスだけで
開発を行うと、海外の異なるガスのために別途燃焼機器の設計をしなくてはな
らないので効率が悪く、かつ、コストアップとなってしまう。

<6>電気加熱
基本的には調理加熱にはガスを使うのが最も経済的であるが、世界各国に進出
すると、国によってはガスの供給が出来ない場合がある。例えば中国のように
広大な国ではガス配管が間に合わないし、人口等の増大にガス供給が追いつか
ず、電気を使用しなければならない場合がある。また、フランスのように原子
力発電が多い国やカナダのように水力発電が多い国では、国策上電気代を安く
する場合がある。そのような場合には電気加熱調理機器を使わざるを得ない。
そのためには加熱調理機器はガス燃焼加熱でも、電気加熱でも同じ性能を生み
出すように設計しなくてはならない。電気加熱は簡単に思われるが、電気ヒー
ターの熱容量が高く、普通のサーモスタットを使用すると設定温度より大幅に
上昇しすぎ品質の違いを生じやすい。また、電気加熱の場合大容量の電気を流
すので電気をON、OFFするためのコンタクターの接点が溶着し、火災事故を発
生する場合があるので、トライアックやマーキュリーリレーを使用するなどの
特殊な設計知識が必要になる。

<7>マイクロウエーブ技術
これからの調理技術で必要なのは高速加熱調理と再加熱調理技術である。その
場合にはマイクロ波を使った加熱技術が大変重要になる。最近はコンベクショ
ンオーブン(加熱した空気を食品の横から当てる)やエアーインピンジメント
オーブン(加熱した空気を食品の上下から刺すように当てるので高速調理が出
来る)のオーブンにマイクロウエーブ技術を加えて高速調理をする調理機器が
でているが、品質に問題がある場合が多い。それはマイクロウエーブオーブン
とコンベクション/エアーインピンジメントオーブンでは設計が異なるからだ。

マイクロウエーブオーブンの加熱原理はレーダーと同様なマイクロ波(電波)
を食品に当て、食品中の水分を高速振動させその摩擦熱で食品内部から加熱を
するという仕組みだ。そのためにはマイクロ波を発生するマグネトロンの位地
と庫内の板金の精度が大変重要だ。従来の厨房業者の作るコンベクション/エ
アーインピンジメントオーブンでは、板金の精度が桁違いに低く、庫内の寸法
が微妙に異なる。そうすると庫内に放射される電波が均等に食品に当たらず、
機械による温度のばらつきを生じる。

Enodis社の傘下のL社ではエアーインピンジメントとマイクロ波の組み合わせ
でオーブンを製造したがそれが原因で完成することが出来なかった。そこで、
英国の電子レンジメーカーを買収した。しかし、電子レンジメーカーのオーブ
ンはコンベクション機能(熱風加熱)が弱いという欠陥がある。熱風加熱とマ
イクロ波加熱の複合機の場合、まず、熱風加熱による調理が完璧に出来ないと
いけない。それは、調理開発を行う場合、複合機の加熱条件を設定するのが大
変難しいからだ。熱風加熱だけで調理温度と時間を設定し、その条件に対して
少しずつマイクロ波を加えていくことにより時間短縮と美味しい商品を実現す
ることが出来るからだ。そこで、熱風の流れを自社開発した空気力学解析ソフ
トを利用し、普通は1年ほどかかる開発機関をたった1ヶ月に短縮することに成
功した。

<8>空調、流体力学
調理機器を開発する上で重要なのは、厨房の環境だ。ガス燃焼や、電気加熱の
輻射熱、スチーム、は厨房の労働環境を悪化する。そこで、調理場の排気と新
鮮空気の供給設計は大変重要になる。

<9>冷却原理
外食の調理機器というと加熱調理が多いように思われるが、冷蔵庫、冷凍庫、
ドリンクディスペンサー、製氷器、空調機、等多くの冷却機器を使用する。特
に最近は地球温暖化を防ぐために従来のフレオンガスを使えず、新しい冷媒や
コンプレッサーの開発が必要不可欠でだ。

エンジニアは上記の能力を身につけるために、具体的にはオーブンであればコ
ンベクションオーブン、エーアインピンジメントオーブン、スチームコンベク
ションオーブン、スチーマー、マイクロウエーブオーブン、インダクション加
熱(電磁誘導加熱)、インフラレッド加熱(赤外線加熱)、冷却原理、等の調
理機器を熟知しなくてはいけない。

(9)開発のステップ
全ての開発のステップを明確にし文書化する・
目標を明確にし、ステプバイステップで評価をして進行する。
コストは客に請求しないが、完成した商品を購入していただくことにより5年
ほどで開発経費を消却できるようにする。

Enodis社は実はマクドナルド社だけでなく、バーガーキング社、トライコン社
(KFC、ピザハット、タコベル)等の競合の外食チェーンも大きな顧客である。
それなのにマクドナルド社の将来を占う調理技術であるメイドフォーユーの開
発の多くをゆだねたのは、上記のようなしっかりした思想を持っていると言う
ことがおわかりいただけるだろう。

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