weekly Food104 Magazine 2007年11月7日号

メルマガバックナンバー

● 新店オープン情報
● 海外レストランNEWS 米国レストラン情報
● 海外レストランNEWS 韓国レストラン情報
● 米穀情報
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ ベジョータでおもてなし イベリコ豚石焼亭 渋谷にオープン

イベリコ豚のベジョータのみを扱う専門店が10/2、オープンしました。石焼ス
タイルで熱々を。石でじっくり焼き上げることで働く遠赤外線効果で、旨みや
肉汁を逃さずギュッと閉じ込めてくれます。沖縄の天然塩や特製誰で召し上が
っていただきます。店内はシックでモダンなインテリアで統一。

「ベジョータ」は、スペインの西部地方でドングリのみをエサにじっくりと育
てられた希少品種。脂肪分の57%以上が、ドングリに由来する「オレイン酸」
で構成されているのも特徴。その魅力は、霜降り牛をもしのぐ“上質な旨み”
と“美しいサシ”。

○メニュー一例
イベリコ豚の石焼肉メニュー
カルビ セクレト ヒレ タン ロース
イベリコ豚のハリハリ鍋
カルパッチョ

○店舗データ
住所:東京都渋谷区渋谷2-14-17 渋谷SSビル1階
アクセス:渋谷駅東口より宮益坂を青山方面にのぼり
青山通りと交差する「宮益坂上」交差点
右側に見えるジョナサンさんのあるビルの1階
TEL:03-5778-2900
営業日:ランチ 11:30~14:00(ランチは日祝休)
夜 17:00~23:00
定休日:不定休

○ぐるなびHP: http://r.gnavi.co.jp/p462700/

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 海外レストランNEWS 米国レストラン情報————————-■□

■ シカゴ郊外食の風景 ちょっと元気がない秋のシカゴからリポート

シカゴからハッピー・ハロウィーン!と一週間遅れのご挨拶。9月半ばから、
10月とあっと言う間に時が流れていました。この秋はほんと暖かくて、随分と
紅葉が遅かったので、ハロウィーンの飾りつけも何か色褪せて見えました。ど
の家も飾り付けに力が入っていないのは気候のせいだけでもないようです。皆
さんも連日のニュースでご周知の通りサブプライム・ローンで始まってしまっ
た、不動産下落の不景気のせいでしょうか。ハッピーなんて皆言ってられない
のかも知れません。大手銀行のシティ・バンクもこの騒ぎで赤字に転落とは驚
きです。

私の家の周りも5軒ほど売りに出されていますが、動きがない模様で気掛かり
です。ここらへんは40万ドルちょっとの値が夏までは付いていたんですが、現
在の査定ではなんと35万ドルに下がってしまいました。シカゴのダウンタウン
にも多数高級コンドが建設中ですが、売れ残っている模様。お金がある人はこ
こぞと安くなった物件を買い漁っていることでしょうが、貯金代わりにいつか
家を高く売ってリタイヤーしようとしている人々にはほんと不安な日々です。

建設会社の倒産も出始めています。私の知り合いで40歳半ばの男性も、今まで
レイオフされたことがない腕のいい現場監督ですが、今回初めて解雇されショ
ックを隠せない様子でいます。不動産の代理店を辞めて、保険の代理店に移っ
て来る営業の人も多いようです。アメリカのITバブル崩壊の後も金融、不動
産、保険会社は安定していましたが、このところの石油、穀物の急騰も相俟っ
てこの先ちょっと不安感がありますので、年末消費者の財布の紐も固くなって
いくかも知れません。そんな気持ちを見越してか、11月に入って早々とラジオ
からはクリスマスソングが流れ、すでに店も年末商戦ムードを煽っています。

そうこう言っている私も、来年早々にも夫の仕事の都合でラスベガスの方へ引
っ越すことになっていて、シカゴ郊外の家が高く売れたらいいなぁと祈るばか
りです。ラスベガスの方はこれまた、新築の物件が沢山余ってしまっているよ
うで、買い手側にとっては35万ドル前後でプール付きが買えると喜んでいるん
ですが、シカゴの家が売れないことにはお話になりません。ラスベガスの郊外
は北は古くてちょっと危険な地域なのですが、南は現在どんどん開発されてい
て新しいショッピングモールやブランド物目白押しのアウトレット、レストラ
ンもタイ料理、中近東料理から寿司屋に至るまで色々と新しい店が出来ていま
すので、住み易い地域になっています。ラスベガスは気候がいいのです、暑い
けれど湿気がないからからっとしていて、夜はしーんとしていますが、朝はマ
ンガの「はじめ人間ギャートルズ」のような太陽が昇り元気付けられます。

カリフォルニアより住宅の価格や税金が低いので、引っ越して来る人も現在多
く、退職したお年寄りにも気候が暖かいので、フロリダに次いで人気があるよ
うです。ラスベガスと言うと遊びに行くところというイメージですが、住むに
もいいところと注目され始めていて、ラスベガス商工会議所も女性の会長を立
ててクリーンで家族で来ても安全というイメージにシフトしています。また以
前は、リタイヤーしたお年寄りが暇つぶしにギャンブルやショーを見に行く所
という金ぴかだけどなんか安っぽいイメージのラスベガスでしたが、最近では
40代後半から50代の子育ても一段落して、お金にもちょっと余裕があるぞとい
うカップルをターゲットにしているようです。

小さい子どもがいる家族にとってはやはり、デズニークルーズやデズニーワー
ルドが一番のアトラクションでしょうが、もう子どもも大学生になってしまえ
ば夫婦ふたりで、ラスベガスの一泊200ドル前後の4つ星くらいのホテルに泊ま
って、ホテル内にある劇場でドラマ仕立ての100ドルはするアクロバットショ
ーや「マンマミーヤ」や「オペラ座の怪人」といった人気のミュージカルを見
て、全米から選りすぐりのシェフを招いたこれまたホテル内のお洒落なイタリ
アン・ストランやシーフード・レストランでピノグリージオでも飲みながらフ
ライド・カラマリでもつつくっていうのが、最近の中年夫婦のアニバーサリー
風景になっています。

1970年代はラスベガスのホテルの名前と言えば「アラジン」とか「サハラ」な
どと言ったモロッコ風中近東がテーマでしたが、今は「ベラージオ」や「ベネ
チアン」といったような名前からも分かるようにイタリアがテーマになってい
ています。ほんとシカゴでもイタリアン・レストランがちょっとしたフレンチ
レストラン並みに高くなって来て、こちらも遅ればせながらトスカーナばやり
です。

レイク・ラスベガスという人工湖の辺にはトスカーナ地方をテーマにしたリゾ
ート・ホテルもありイタリアからオペラ歌手を招いたりして、サンセットをバ
ックに大人の女性心をくすぐるショーを見ることができます。また中年層だけ
でなく、20代、30代の人たちも「バチェラー・パーティー」をラスベガスです
るのが流行っているようで、友達同士で羽目を外して楽しんでいる、若者の団
体をホテルで多く見かけました。ホテルの地下は大抵洒落たダンス・クラブに
なっていて、そのホテルに泊まっていれば、ノーチャージで入れます。またど
のホテルもプールのデザインが素晴らしいので、ギャンブルしない人はリゾー
ト気分でラスベガスの太陽の下、肌を焼くのもいいでしょう。

ラスベガスのいいところは、なんと言っても下は一泊30ドルから上は超高級ス
ィートまで幅広い種類のホテルがあることです。ですからお金がない人から、
もう今回はお金を思う存分遣いたいと思っている人まで、様々な遊び方ができ
ます。1セントから遊べるスロットマシーンも揃っていて、結構楽しめますし
お金が唸っているという方々にはVIPルームのカジノも用意されています。ホ
テル内のレストランは24時間、開いているお店も結構あるのでお腹がすいても
安心して遊べます。

大型ホテルの中になんでもあるので、外に出なくても全て揃い安全に真夜中ま
で遊べるのが、なんかトウキョウで遊んでいる感覚になります。夜中のダウン
タウンも人が大勢歩いているので、安全で怖くなく、タクシーも引っ切り無し
に走っているので、いつでも捕まり便利です。ただホテルのカジノが広いので
数回は迷子になること覚悟で、慣れるまでぐるぐると歩き回るしかありません。
私もなかなか自分の部屋に戻るエレベーターが見つからず、疲れ切ったことも
ありました。同じホテルに5泊してやっと慣れたくらいです。

ニューヨーク、ニューオリンズ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ
という都市がアメリカでもっともいいレストランがあると言われている地域な
のですが、そこに最近はラスベガスも加えられましたので、これから先が楽し
みです。来年からはラスベガスの郊外からまた皆さんに食のリポートを送るこ
とが出来そうです。シカゴには15年住んでいてちょっと飽きてきましたので、
丁度いい変化になりそうです。

ラスベガスは中国人のお客さんはわんさかいるのに、日本人は少なくなってき
ているようですから、是非若い方たちにも遊びに来ていただきたいと思います。
80年代活躍したハードロック・バンドなどもよくコンサートを最近は夏にラス
ベガスでしていますので、そんなのをはしごして見るのも面白いと思います。
美味しい食べ放題のバッフェも沢山ありますしね。ただ一つラスベガスの難を
言えば、成田からの直行便が現在ないことです、ロスかサンフランシスコで乗
り継がなければいけません。

ここでちょっと、肌寒いシカゴ郊外に話を戻しますが、皆さんはマツタケを今
年はもう食べましたか?シカゴにもオレゴン産やカナダ産の香り高いマツタケ
や野生の舞茸などがレストランに出回りはじめました。ここシカゴ郊外のフラ
ンス料理店でも、洋風土瓶蒸しといった感じのキノコ類をふんだんに使ったパ
イ包みスープがメニューに載り始めましたよ。

カップの上を覆ったパイ生地をウエイター氏が、器用にナイフで剥がしてくれ
るとふんわりとマツタケのアロマが漂い、レストラン中が温かい空気に満ち溢
れます。この洋風土瓶蒸とフランスパンと赤ワインが一口あるだけで、もう至
極の昼下がり。食欲の秋に歯止めが効かなくなる前に、デザートはスキップし
ようと思いましたが、ここの「トロピカルフルーツ・スプリングロール」なら
軽いからいいかしらと、もう5年以上顔見知りなんですが、名前はお互い知ら
ないウエイター氏を目線で追います。ちょと強面の東ヨーロッパのお兄さんな
んで、気軽に声を掛けられない感じなんです、でもやっと5年この店に通って
最近笑顔をもらえることが出来ました。どっちが客か分からない状況です。

この「トロピカルフルーツ・スプリングロール」はクレープ生地の代わりに、
生春巻きの皮を使っているとことがミソ、パッションフルーツのムースや甘酸
っぱい果物を巻き込んでいます。この軽いデザートはシカゴ・マガジン11月号
のシカゴのベスト・デザートに選ばれました。(この店はこの10月で20周年を
迎える、D&Jビストロという日本人のオーナー・シェフ、マサト・スズキ氏が
率いるシカゴ北西部郊外のフランス料理店です。このお店シカゴ・マガジンに
よると2つ星半の評価ですが、昨今のレストラン競争の激しいシカゴで、20年
サバイバルしていること自体が2つ星半以上の評価を物語っています。)

シカゴの秋もこれが最後と思うと淋しいのですが、この保守的な街からあの悪
名高きSIN,CITYラスベガスに行くという事を思うと胸のときめきを押さえられ
ないのが、ほんとのところです。「なんであんなダーティーな街に越すの?」
と信じられないよといった目つきで、ご近所のアメリカ人に攻められています。
1920年に禁酒法が制定されたことから、マフィアが砂漠にカジノを作って悪さ
を始めこの街が出来たようですが、今はマフィアを排除するためにギャンブル
も認可され公娼まである街ですから、そう言われても仕方ありませんね。
http://www.lvtaizen.com/

Home

(イリノイ州シカゴ在住 カズコ・デイビス)

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 海外レストランNEWS 韓国レストラン情報————————-■□

■ 韓国人のお馴染みのお餅「トック」

立教大学経営学研究科博士課程後期専攻 李美花(イミハ)

昔からトック(韓国のお餅)は、韓国人にとってなくてはならない存在として
愛されてきました。結婚式や葬儀等の冠婚葬祭時には、必ず気持ちを込めた
「トック」を作ってきたのです。韓国人の日常生活に密接に関連しているトッ
クをネタにする諺は多くあります。例えば、「年長者の話に耳を傾けば、寝な
がらトックが食べられる」という諺です。これはトックというのは、美味しい
ものであり、かつ、貴重なものということを意味します。

韓国のトックのようなお餅は、お米を主食とするアジアの諸国にも見られます。
日本の鏡餅、中国のウィエンシャオ(元宵)とウィエビン、ベトナムのベンジ
ョンがそうです。しかし、韓国のトックは世界の米文化圏の中でも種類が多く
体系的に発展している点でもユニークであると言われています。トックの種類
は古い文献に200種類以上が記録されています。しかも、各地方ごとの名産物
を組み合わせるトックの種類は無限大です。韓国のトックは、お米と豆を主な
原材料としており、作り方の基本は日本の餅米と同様に蒸しあげます。

淡白で甘くないトックはパンよりカロリーが低く、食事としても十分な栄養要
素が含まれていることで、Well-being食品やダイエット食品として脚光を浴び
てきています。しかも、コーヒーと一緒に飲めば、ダイエット効果があると言
われているのです。それは、消化を抑制するカフェインが満腹感を持続させる
作用をするためだそうです。

韓国も食の欧米化の影響を受け、トックの消費量はハンバーガーやケーキに追
い抜かれ、単なる昔の伝統料理として忘れ去られる危機もありました。しかし
トックの研究家達が高品質なトックの商品開発を行ったおかげで、若年層が再
びトックを食べるようになり、健康食品としての位置づけを獲得し始めている
のです。

骨董品をはじめ、陶磁器や伝統工芸品、ギャラリーなどが並び、韓国人だけで
なく外国からの観光客でいつもにぎわっている仁寺洞には、目立つ色彩や形状
と味付けのトックと伝統茶が楽しめる伝統茶屋が店を連ねています。ここで売
られているトックは、普通のトックよりお洒落で高級です。その特徴としては
人工着色料を使わずに人参・黒米・かぼちゃ・等の天然食材を使って色付けを
していることにあります。普通のトックの価格よりはやや高めですが、一口サ
イズのお洒落なトックは、20~30代の女性や観光客から高い支持を得ています。

しかも、今までのトックは賞味期間が短いため国内でしか販売できませんでし
たが、常温で3ヶ月以上保存できる「レトルト・トック」が開発され、海外に
もトックが輸出されるようになっています。英語では、”rice cake”ではなく
“dduck”という固有名詞がプリントされ日本にも輸入されています。

トック・フランチャイズを展開している業界1位の「トックボの一日」
韓国のトック市場では、年間約3兆ウォン規模(推定)で20~30余りの企業が
激しい競争をしています。昨年には、パリ・クロワッサン、サーティワン・ア
イスクリーム、ダンキン・ドーナツを展開しているSPCグループの系列会社の
(株)SAMLIP食品が遅ればせながらトック市場に参入しことからも、今後、大
手企業参入が加速すると予想されています。健康志向ブームと大手企業の参入
が相まって、従来の個人経営店型に対してフランチャイズ型の店舗が増えつつ
あります。

その中でも、トック・ケーキを売り物の業界1位の「トックボの一日」を紹介
しましょう。「トックボの一日」は、2003年3月に設立以来、順調にフランチ
ャイズ展開をし、現在97店を展開しています。今後の3年間で250店舗を目指し
ています。トックボの一日は、人工着色料を使用せず、純国産のお米のみで作
り上げるという食材にこだわりを持つトック専門店です。

定番メニューとして人気があるトック・ケーキは、国際品質管理基準のIS0
9001:2000認定の高品質なヒット商品です。トック・ケーキは、10種類以上の
彩のトックが3段に積まれたものです。子供の最初の誕生日や結婚、還暦等の
お祝い用で人気があります。販売しているトックの種類は、淡白な味のベクソ
ルギ・トック、虹色の虹トック、中に餡子を入れるソンピョン、小豆のもち米
トック、日本の餅の味に近いインゾルミ・トック、細長いガレットックなどが
基本のトックです。その他、旬の食材を使った季節限定のトックも製造販売し
ています。「トックボの一日」では、ホームページからも注文して自宅で熱々
のトックが楽しめるようにしています。

本社 トック・パヌンサラム・ドゥル
1320-7,shindang-dong,dalseo-gu,Daegu-City,Korea
電話/82-53-583-4445
http://www.dcake.co.kr/
http://www.dcake.co.kr/company/company_01.aspx

トックボの一日 冠岳店
住所/103, daedo bldg., bongcheon-dong,kwanak-gu, Seoul, Korea
電話/82-2-884-4417
営業時間/平日08:00~20:00, 週末09 :00 ~ 12 :00

(1,000ウオン=126.06円2007年11月7日レート)

筆者略歴
韓国出身。
長安大学日本語科卒業
ソウル首都料理専門学院で和食と韓国料理の調理師資格取得。
草堂大学調理科学科にて外食経営を学び、卒業。
2004年4月に日本に留学し、立教大学ビジネスデザイン研究科(MBAコース)
入学。
2006年3月同校卒業。経営学修士。
2006年4月立教大学経営学研究科博士課程後期入学、米日韓におけるフランチ
ャイズ・システムをテーマに博士号取得を目指している。
その他、日本では「飲食店経営」執筆中、韓国では「外食経営」等に執筆し、
現在は韓国フランチャイズ雑誌Business & Franchiseに日本のフランチャイズ
企業動向を執筆中。
○筆者連絡先 jane0423@hanmail.net

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 米穀情報報 —————————————————-■□
※この情報は、米穀データバンクのご協力により、「米穀市況速報」(日報)
から、一部記事を要約したものを掲載させていただいています。(月1掲載)
記事・図表の無断転載・引用を禁止します。

■ 青森まっしぐら、消費地で関心高まる

青森期待の新品種まっしぐらの消費地での人気が高まっており、食品スーパー
での単品販売も増えてきた。

大阪市内を基盤とする食品スーパーKOHYOの10月下旬の売場では、特別栽培・
青森まっしぐら5キロ1,980円が別スペースで集中販売されていた。納入は県内
の(有)ケイ・ホットライスが担当。通常の精米売場では秋田こまち5キロ
2,180円、三重伊賀コシヒカリ同1,780円(幸福米穀(株))、新潟コシヒカリ
同2,580円、福井コシヒカリ同1,980円(幸南食糧(株))他の品揃えとなって
いた。

一方、同じ大阪市内の外食企業においても「大粒で良食味米が現在のところ求
めている米で、仕入価格や供給面で条件が合えば興味ある」(A社)、「食味
が良く“主張しすぎない(おかずと一緒に食べた時に最適)”米として、サン
プル提供を仕入先卸に求めている段階」(B社)など業務向けでも関心を示す
声が聞かれる。
(2007年11月6日)

■ 新規出店の売上増で増収増益(松屋フーズ中間決算)

(株)松屋フーズ(東京都・武蔵野市)は10月30日、平成19年9月中間実績
(連結)を発表した。売上高302億63百万円(前年比102.8%)、営業利益7億
65百万円(同112.8%)、経常利益7億17百万円(同119.1%増)と増収増益とな
った。

結果については、「既存店の売上高は前年同期を若干下回ったが、新規出店の
売上増で増収となった。デンマーク産豚肉を使用した豚丼など新メニュー、麻
婆豆腐定食など復刻メニューの投入、また秋に実施した新米フェア等が支持さ
れた」と分析している。中間期末における店舗数は、牛めし・定食業態697店、
寿司業態13店、とんかつ業態11店、その他5店の合計726店で、主力である牛め
し・定食業態店が90%以上のシェアを占める。

平成20年3月期の通期見通しは、売上高617億70百万円(前年比101.7%)、営業
利益24億30百万円(同134.5%)、経常利益23億30百万円(同135.5%)が見込ま
れる。同グループでは北海道米を中心としたブレンド米を年間2万トン超使用
しており、その大部分を嵐山工場で自社精米する。19年産米では9月20~27日
の期間、全店において茨城産あきたこまちで新米フェア(復刻メニューの麻婆
豆腐定食に使用)が実施された。
(2007年11月2日)

■ 有力生協、18年産ブレンド商品化を検討

11月以降の出荷を条件に値引販売された系統の18年産古米について米卸業者は
外食・中食企業に対する新規開拓の材料にするほか、食品スーパーや生協へブ
レンド商品の提案を行っている模様。

年間米取扱1万トン以上の有力生協によると、「新潟コシブレンド、秋田こま
ちブレンドとして、18年産米を使っての商品企画が2卸から持ち込まれている。
19年産米の価格体系(精米売場内における価格水準)が確立されていないため
検討中だが、仕入価格でメリットがあれば導入の可能性はある。品質面で当社
基準にクリアすれば生協として古米ブレンドに抵抗はない」(仕入担当バイヤ
ー)という。

また、広域に納入ルートを持つ大手米卸は、「新潟コシヒカリがボリューム的
に大きく、やや手薄な外食企業向けに営業をかけている。その他にも秋田こま
ちなど結構な量を確保しており、食品スーパーや生協へブレンド米として提案
していく考え。大手卸はほとんどが手当しているはずで、今後はブレンドの新
アイテムが各店で登場してくるのでは」(仕入部長)と指摘している。
(2007年10月29日)

■ 「需要見込みを計算する道産米」(大手卸トップ)

関東コシヒカリ、東北ひとめぼれ等との価格が接近する北海道産米について、
大手卸のトップは、「産地では需要の見込みは十分にあると見て、最終的には
売り抜けられると計算しているようだ。当社でも大手外食を中心に相当量の調
達を予定しており、そのほとんどが年間契約での取引となっている」と指摘す
る。

特に全国展開する外食チェーンを例に上げ、「特別に配合したきららを中心と
したブレンド米が確立していて、“お馴染み”の味(食味)として外せなくな
っている」という。

また、産地に対しては17~18年産米の売り方を指摘し、「先行逃げ切り手法な
ど米販売を完全なビジネスとして、実に上手な営業手法で契約に結びつけてい
る。19年産米に関しても他産地銘柄と価格が接近しているが、末端販売のユー
ザーまで見据えてしっかり計算しているのでは」と見ている。

ただ、「ひとつ心配なのは大手卸以外へは入札で手当てして欲しいとアナウン
スしていて、必要に迫られた卸が常識外の札を入れてきた場合」と指摘する。
(2007年10月26日)

○株式会社米穀データバンク:民間のコメ調査会社。生産・流通・市況など
コメに関する情報の提供を行っている。
○問い合せは、ricedata@japan-rice.com
○ホームページ「日本のコメ市場」http://www.japan-rice.com/main.htm

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 『she-Bop terrace』でシェフが腕を振るう3周年特別企画開催

蒲田の屋上テラス・イタリアンレストラン「she-Bop terrace」が2007年11月
で3周年を迎え、3周年特別ご奉仕企画を催す。通常850円~のランチセットが
なんと500円で味わえる。

そして一番の目玉が「オーナーズテーブル」と題された一夜限りの極上ディ
ナーコース(限定20席のみ)。11月8日19:00~からのこの席は1名様から予約
可能。お値段は10,000円。普段は滅多に味わえない厳選素材を用いた特別な
お皿の数々と、お飲み物(飲み放題)を堪能できる。

また、11月12日(月)~11月17日(土)は「スパークリングワイン付きディ
ナーコース」(要前日までのご予約・1名様~)をご奉仕価格3,500円で提供
する。通常5,000円相当のその内容は、下記の通り(予定/仕入れ状況によっ
て変更の場合もあり)。

【スパークリングワイン(グラス)/貝類のマリネ/鴨とインゲンとトマトの
サラダ/パスタ 蒸し鶏と大葉のフレッシュトマトソースのスパゲッティーニ/
特撰和牛ロースのグリエ 香草ソース/ドルチェの盛り合わせ/コーヒー】

○お問い合わせ先:she-Bop terrace (シーバップテラス)
東京都大田区蒲田5-28-8 she-Bopビル6F
TEL:03-5480-5301
営業時間:ランチタイム 11:30~14:00
ティータイム 14:00~16:00(L.O.15:00)
ディナータイム 17:30~23:00(L.O.21:30)
定休日:日・祝 第一土曜日

△▼△▼△▼△▼△▼△

● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ NYその4
ニューヨーク郊外のウエグマンズ(Wegmans)と
スチュー・レオナード(Stew Leonards Yonkers)店

さて、ニューヨーク中食の今回の最大の目的は郊外のウエグマンズ(Wegmans)
とスチュー・レオナード(Stew Leonards Yonkers)店の見学です。ニュー
ヨークでもマンハッタンの喧騒を離れた郊外には、強力な食品スーパーが存在
するのです。私はウエッグマンズは2回目ですが、伝説のスチュー・レオナー
ド(Stew Leonards Yonkers)店は初めてです。

○ウエグマンズ(Wegmans)

まず、下城さんの説明を紹介しましょう
ニュージャージー州ウッドブリッジ市にウェグマンズがあり、生鮮食品・中食
等ではこの地で圧倒的な強さを持っています。ウェグマンズは元々、1915年に
ニューヨーク州中部に位置するロチェスターという小都市で、WalterとJohnの
ウェグマン兄弟が家業である食品店で働き始めた事から始まり、現在71店舗の
チェーンで全米でもトップクラスのパフォーマンスを持つ総合食品スーパーに
発展しました。ウェグマンズは食品店の中でも、初期からこだわりが非常に強
い商店であり、今で言うところのグルメストアーの走りですね。

企業として発展するに従い、関連企業を吸収合併させると同時に、インストア
ー・ベーカリーの導入、初の冷凍食品導入等次々とアイデアを出しそれらを率
先して採用してきました。1930年には既に、300席のカフェテリア付きで、売
り場面積約2000平米のマーケットを開き、「ショー・プレイス」と呼ばれまし
た。その後1931年に株式会社になり、翌32年の世界恐慌の最中には、地域最初
の冷蔵ショーケースと葉物野菜への自動霧吹き装置等を採用しています。1940
年に、当時は「フロステッド」と呼んだ、現在の冷凍食品「フローズン」の販
売を手掛け、その後も地域初のセルフサービスを導入し、常に新しいものを提
案して顧客を感心させ満足させて来たのです。

1968年には、同じくニューヨーク州中部の小都市シラキュースへ進出。その後
も新しいアイデアであるファーマシー(調剤薬局)を店内に併設し、通常の薬
品(ドラッグ)販売のみから発展させ、注文した処方箋薬品が出来上がるまで
に食品の買い物が済ませられるようにしました。今でいえば当たり前ですが、
ウェグマンズが地域で一番初めに採用したのです。実際にウェグマンズ店舗の
多くでは薬品コーナーは広く充実し、カウンターの一角にはドラッグ・カウン
セラーというコーナーがあり、医薬品についての専門家が常駐して客への説明
や相談に乗っています。バーコードをレーザーで読み取る支払い(キャッシャ
ー)システムもウェグマンズが地域初です。

それ以外でもプライベートブランド(PB)方式を確立させ、買い物用ビニール
袋の回収再利用等を他に先駆けて採用しました。学生アルバイトに対する奨学
金制度を作り、また、さまざまな方法で、出店している地域への貢献などもし
て、環境や従業員、地域の住民にも優しいシステムを作っています。それらも
あって、経済雑誌フォーチューンの調査では、「従業員が選ぶ、自分の会社に
誇りを持っていて、この会社で働いていて幸せだ」という調査では、過去数年
連続して全米のトップ10に入っており、2005年は1位になりました。これはア
メリカでは最高のPRです。出店地域はロチェスターからシラキュースへ、そし
てナイアガラの滝に近いバッファローへ進み、ニューヨーク州中部だけでなく
北西部へと進んでいます。

93年には初めてニューヨーク州外へ進出し、その1店舗目はペンシルバニア州
イリーで、そして99年に初めてのニューヨーク市圏であるプリンストン店をニ
ュージャージー州に出店、続いて翌年にはニュージャージー州ブリッジウォー
ターに2店舗目、その南側のマナラパンのニュージャージー州3店舗目、更にニ
ューヨークに一番近いロケーションであるウッドブリッジ店は2003年11月9日
にグランドオープンしました。ニュージャージー州の南部では、5店舗目のオ
ーシャン市店に続き06年3月にMt. Laurel店が、6月にはCherryHill店がオープ
ンしこれが最新店となります。

ニューヨーク市の通勤圏としては、ウッドブリッジ、プリンストン、ブリッジ
ウォーターの3ロケーションです。ほとんどのロケーションで、買った総菜な
どをその場で食べる事も出来る様、ダイニングエリア「Market Cafe」が用意
されています。ウェグマンズでは、コーヒー/カプチーノコーナー、焼き立て
ピザとチキンウイングのコーナー、寿司の実演販売コーナー、自分の好きな物
を自分で好きなだけテイクアウト容器に取るサラダバー/中華料理コーナーも
充実しています。フードバーに展示の食品全てが均一料金になっていて、1ポ
ンド(重さの単位)当たり幾らかという方法で支払います。このコーナーは付
近で働く人達や車で移動中のワーカーのランチや、夕方の仕事帰りに利用など
大変な人気です。ウェグマンズの昼のピークは、通常のスーパーマーケットの
常識を大きく超えているのです。

ニューヨーク市とその周辺郊外の大手スーパーマーケットは24時間営業が多い
のですが、ウェグマンズのこれら3店では午前6時から深夜12時(ウッドブリッ
ジ店は午前1時)までの営業になっています。ウェグマンズでは生鮮、総菜テ
イクアウト/イートイン、加工食品、半調理品、焼きパン/ケーキ・コーナー
等に特に力を入れており、その他の食品雑貨品、ブックコーナー、ガーデン用
品季節商品の品揃え、カスタマーサービス、スタッフ教育、インテリア等も含
めスーパーマーケットの最高レベルです。

通常スーパーマーケットでは3万5千から4万品目を扱うと言われていますが、
最近の顧客の志向に合わせて扱い品目は増える傾向にあり、ウェグマンズでは
少ない時でも6万品目以上を扱っています。グルメストアーや市内のスペシャ
ルティーストアー以外で、キノコの王様といわれるトリュフをおいているのは
このウェグマンズが初めてです。それを買う客層がここには居るということで
すね。

「グルメストア」と呼ばれる判断材料にチーズの扱い品目数があります。数年
前までは250種類前後を扱う店が一般的でしたが、最近は300種類を扱うスーパ
ーマーケットが多く現われ、350種類を越えないと特別なものと思えなくなっ
てきました。ウェグマンズでは700種類以上のチーズを扱い、これはおそらく
ニューヨーク商圏で最大のチーズショップと言えるでしょう。又、ワインコー
ナーも同様で、通常のリカーストアでウェグマンズ程の品揃えをしている店は
ニューヨークでもごく僅かしかありません。(ウッドブリッジ店等一部のNJ店
では酒販が始まっていません)ウェグマンズのブランドイメージが高い事も有
り、ウェブサイトのギフトアイテムにも人気があります。又、ウェブサイトを
使った「処方箋薬の更新注文」等も多く利用されているのです。

ウェグマンズ・ショッパーズクラブという割引き制度等が利用できるセービン
グプログラムがあって、店頭でこれに無料登録し、クラブカードを使うと割引
きになる商品も店内に多数揃えてあります。また、小切手の現金化や特集ニュ
ースやレシピーなどのDMを受け取ることが出来ます。(編集長注:米国では給
料の支払いは小切手で行われます。会社から受け取った小切手は銀行の自分の
口座に入金し、必要な現金を引き出すのですが、給料日にすぐに現金が欲しく
ても銀行に行く時間がありません。そこで食品スーパーなどでは小切手の現金
化サービスをしているのです)

商品によっては20%以上の割引きになる場合もあり、競合他店の同様のクラブ
制度に比べても非常に充実しています。商品の価格を単純に比較した場合、当
然ですが他店に比べて全般的に決して安くなく、低価格のスーパーは他にいく
らでもあります。ウェグマンズでは、他店には無い豊富な品揃えと新鮮さ、ア
トラクティブで明るく楽しい店内ディスプレイ、競合他店では非常に種類が少
ないインターナショナル食品コーナー等でも客を集めているのです。日本のコ
ーナーでは蕎麦、うどん、ラーメン、味噌汁の素、各種調味料、菓子類等を扱
い、日系を除く当地のスーパーマーケットの日本コーナーとしては、非常に充
実しています。その他、スペイン系コーナー、ユダヤ系コーナー、中華コーナ
ー等があります。

現在の日本では競争力の一番重要な部分が低価格になっている様ですが、アメ
リカ人の一部がケチでシビアな事に変わりはないものの、アメリカでは価格以
外の競争も非常に大きな部分を占めていることは確かな様です。ウェグマンズ
の2005年の年間売上は$3.8ビリオンに上がり、それは全米スーパーの31位でし
た。

ウェグマンズ本社があるニューヨーク州ロチェスター市では、「食品スーパー
=ウェグマンズ」というくらいにブランド力があり、業界第2位の「トップス」
を大きく引き離しています。市と周辺に二十数店舗がありますが新旧の全ての
店がそのマーケットに合った店作りをしていて、チェーン展開上では非常に難
しいものの理想の形に近いでしょう。

旗艦店の店内には、Market Cafe というテーブル席とは別に売場の中にもバー
形式の飲食コーナーが設けられ、肉料理や魚料理を客の目の前で調理して提供
し、ベジ・カウンターというサラダを食べさせるバーカウンターもあります。
2007年10月完成予定で、ティー・バーというコーナーも工事中です。

以上が下城さんの説明です。
この説明を頭に入れ、バスでマンハッタンを車で脱出して40分ほど走った郊外
の小型ストリップタイプ・ショッピングモールの一角に立地しているウエッグ
マンと言う食品スーパーを訪問しました。今回は2年前に訪問して以来2回目で
す。通常の食品スーパーと変らない外観の店舗内に入ると店内は大きく2つに
分かれています。1/2のスペースを店内調理の惣菜コーナーが占めています。
残りの半分に通常の食品スーパーと同様に冷凍冷蔵食材、生鮮食品、日用品が
並んでいるのです。3600坪の面積の半分を占める惣菜コーナーには驚かされま
す。

10年ほど前に中西部のテキサス・ダラスに忽然と姿を現したフィル・ロマーノ
氏が創業したイーチーズEatz’s はHMR(ホーム・ミール・リプレースメント、
日本語で言うと中食)と言う言葉を作り上げました。ダラスに忽然と現れた巨
大な持ち帰り惣菜のお店で、店内にはホテルの厨房で使うようなスチームケト
ルやオープンキッチン、ベーカリー機器を備えていました。その見事な料理と
厨房設備を見学しようと、日本からも食品スーパーや外食企業の視察団が連日
押しかけ、日本のデパ地下やオリジン弁当などの持ち帰り惣菜店を生み出した
のです。

ウエグマンズはそのイーチーズもびっくりするような厨房施設を備えています。
日本でこれだけの厨房施設を備えているのは品川プリンスホテルのメインキッ
チンくらいでしょう。品川プリンスホテルは宴会用とレストラン用に2つのメ
インキッチンを備えているのですが、その2つのメインキッチンと同等以上の
器具を揃えているのが、このウエッグマンです。

ピザコーナーには宅配ピザで使用される大型の3段重ねのエアーインピンジメ
ントオーブン、ベーカリーコーナーには大型のベーカリーオーブン、そして、
シェフズ・クリエーションと言うオープンキッチンではスチームコンベクショ
ンオーブンやKFCで使われているような高価な圧力式フライヤーを並べていま
す。これだけの厨房設備を見たのは初めてで思わず呆然と見とれてしまいまし
た。

シェフズ・クリエーションでは色々な料理を出しています。前回はサーモンの
パニーニとチキンサンドイッチを注文しました。暖かいサンドイッチに、茸な
どの野菜がたっぷりついて、7.99ドルと大変リーズナブルな価格でした。今回
はサーモンのグリルとインゲンのソテーのセット10.99ドル、それにサイドオ
ーダーで、ニンジンのソテー2.99ドルと蒸したブロッコリー2.99ドル、クラム
チャウダースープ4.99ドル、ミネラルウオーター1.25ドル、合計24.21ドルと
レストラン並みの価格になりました。ヘルシーな料理で美味しかったですね。
本当はロブスターのサラダが食べたかったのですが我慢しました。その他の人
たちは中華料理のブッフェ(重量制で好きなものを選べる)、ラップ、サラダ、
ピザ、寿司、など、それぞれ好きな料理を頼んでいました。

さて、折角美味しい惣菜を購入しても食べる場所がなかったり狭かったりする
ともって帰らざるをえず、冷めておいしくなくなるという欠点があります。そ
の欠点を補うべくウエッグマンは2階に200席以上の巨大な客席を用意している
のです。マンハッタンのホールフーズの客席は簡素な造作でしたがウエッグマ
ンの客席は高級なファストカジュアルと同レベルの素晴らしい作りとなってい
ます、客席を清掃する従業員が常駐してピカピカに磨き上げています。レスト
ランからは1階の惣菜の売り場を見渡せるようになっています。

レストランよりも早い提供時間で健康的な料理を食べられるし、チップも不要
だと近隣のビジネスマンたちがランチを食べにやってきています。食品スーパ
ーに入っても買い物籠を提げないで帰る客が多いのです。ホールフーズはオー
ガニックの食材をメインにしているため、食肉などは通常の倍の価格と全体に
高いのですがが、ウエッグマンも負けていません。ローストビーフを調理して
いるオープンキッチンの横には関連販売として食肉売り場を置いていますが、
普通のスーパーの倍もする単価なブランド牛を置くなど、ホールフーズとは異
なる素材へのこだわりがうかがえます。

ウエグマンズは1915年にウオルター・ウエッグマン氏が両親の食料品販売店で
働きだし、兄弟のジョンが手押し車で新鮮な農産物を販売しだしたことが始ま
りです。翌年ジョンはニューヨーク郊外のロチェスターに八百屋を開店しまし
た。やがて兄弟のウオルターがその店舗の経営に参加。そして、1921年に食料
品販売会社を買収し、販売商品の幅をベーカリーまで拡大をしたのです。1930
にウエッグマンは300席のカフェテリアを持つ店舗面積560坪の総合食品スーパ
ーを開店、翌年法人化、1949年にセルフサービスの食品スーパーを開業、とい
う歴史を誇っています。

経済界でのウエグマンズの評価は高く、フォーチューン誌のTop 100 Companies

listに選ばれ、2001年には279社のうち68位になっています。2003年には消費
者情報誌のコンシューマーレポートに食品スーパーのランキング2位に選定さ
れています。ホールフーズもウエグマンズもフォーチューン誌では7年連続
「Best Company to Work for」(優良企業100)に選ばれていることでわかる
ように、従業員を大切にすると言う会社の姿勢が成功の秘訣というのは大変
興味深いですね。ウエッグマンも同誌で9年間連続で選ばれ、2005年には1位
にランキングされています。
店内の写真は以下のサイトでご覧下さい。
http://www.wegmans.com/about/pressRoom/photoGallery.asp

会社データー
創業 :1916年
店舗数:71店舗。ニューヨーク州、ペンシルバニア州、ニュージャージー州、
バージニア州、メリーランド州に展開
HPで店舗配置を見ることが出来ます。
http://www.wegmans.com/about/storeLocator/index.asp
本社 : Rochester, New York, USA
経営陣: Danny Wegman, CEO
Colleen Wegman, President
年商 : 2006年の売上高$4.1 ビリオンドル
従業員: 35,000人

○店名  Wegman
住所 15 Woodbridge Center Drive Woodbridge、NJ07095
電話 732-596-3200
HP  http://www.wegmans.com/

○スチュー・レオナード

まず下城さんの説明をうかがいましょう。
1924年に牛乳の配達と販売業でスタートしたスチュー・レオナードは、現在世
界最大の生鮮食品専門店として世界中の小売業界から注目されています。その
理由は、如何に商品の売り方が的確か、如何にお客を大切にしているかを感じ
させるか、と言う亊です。創業者のCharles Leonardは自身の農場(コネチカ
ット州、ノーウォーク)で乳搾りから事業を始め、後に牛乳の配達に合わせて
チーズやバターの乳製品も扱い品目に入れました。

1930年から数年の世界恐慌の時には、赤ん坊を育てていながらもお金がなく、
又母乳も出ず牛乳を買えなかった家庭に対しては、牛乳配達を無償で続けまし
た。その農場は60年代の高速道路計画地に当った為、その地を手放し現在本店
がある場所に小さな小売店を造ったのです。この場所には当時別の農場があり
そろそろ引退したいという売り主との売買条件の中にあった「家畜も一緒に引
き取り他の動物と共に大事に育てる」と言う約束を守り、本店の一角には子供
動物園を設置しました。1969年のことでした。

それを引き継いだ息子スチュー・レオナード(先代の社長)は、牛乳配達を続
ける傍ら、当時十品目程度だったSKU(扱い品目数)にクロワッサンなどのパ
ンを加え店舗販売も伸ばし、頻繁に店舗拡張をしていきました。本店の場合、
大きな拡張工事だけでも今までに30回以上になります。これが世界最大の食品
店となる次の一歩であり、この先代スチューが牛乳販売店から世界最大の食品
店へと発展させた立役者です。

現在では扱い品目も増え、2000~季節により2500SKU程度と言われています。
最近の通常の食品総合スーパーでは顧客の要望により3万5千~4万品目以上を
扱い、時にはウェグマンズ・フードマーケットの様に6万品目を越える場合も
あり、スチューでは如何に扱い品目を絞っているかがわかります。食品店で
ありながらも当然日用雑貨品を扱う必要がありますが、最低品目の扱いとな
っています。

例えば洗剤はスチューがベストと選んだ1社の1種類、トイレットペーパーも
ラップ類も、同じ考えで絞り込んでいます。しかしその絞った品目の扱い量は
必然的に非常に大きくなり、スチューの対仕入れ先(メーカー)に対する発言
力は相当大きなものとなるのです。店舗面積はどの店舗も1万平米(300坪)以
上で、これは当地の平均的な食品総合スーパーの約7千平米に比べても大きな
ものになります。

スチュー・レオナードには、有名な店頭の岩があります。
Rule 1
The Customer is always right!
Rule 2
If the customer is ever wrong, reread rule 1.

重さ5トンのその岩には上記の様に書いてあり、これは
ルール1
お客様は常に正しい
ルール2
もしお客様が間違ってると思ったら、ルール1を読み直せ、という亊にです。

これは先代社長の経験談から来たものだそうで、有名なエピソードが幾つかあ
ります。その一つは、ある時、冬場商品のエッグノックという飲み物を買った
客が味が酸っぱくておかしいと店にクレームを言いました。スチュー自身が試
飲しても正常な味だったので、「お客さんこれはこういう味で正常なものです」
と納得して帰ってもらったものの、数日後に何人もの客から「おたくのエッグ
ノックは酸っぱくて腐ってるものも混ざってるそうですね」とのうわさ話を聞
かされました。この時にスチューにはピンと来るものがあり心に決めたことが
上記で、苦情が来た場合は即刻無条件で返金と取り替えに応じると言う亊にし
たのです。

それが高じたエピソードが沢山あり、例えば、夕方チキンの胸肉を買いに行っ
た客がたまたま品切れで買えない亊があり、店頭の「店長への意見箱」にそれ
を書いたところ、名前から住所を調べて約1時間後にスチュー・レオナードの
看板が入ったトラックでチキンの胸肉の特大パックを配達しました。又、鳥の
まるごとを買ったお客が、それをオーブンで蒸し焼きにしたところ、電話の話
に熱中して焦してしまいました。焦げたチキンを店に持ち込みいつもと同じ時
間と温度で調理したのに、今日の鳥の丸焼きは焦げてしまったと嘘を言ったと
ころ、代わりの鳥一匹まるごとと共に、店で焼いて売ってる蒸し焼きも貰った
等が有名です。

しかし先代スチューは脱税による罪、商品の量目過大表示の罪などで刑務所に
入ってしまい、長男スチュー・レオナードJr(ジュニア)が1982年に社長を引
き継ぎました。本店の年間売上げは$102ミリオンと発表され、3店舗の売上げ、
インターネット販売やケータリング、小さいものでは企業セミナーなどの合計
売上げは$300ミリオン近いと発表されています。経済誌フォーチュンが発表す
る従業員が誇りをもって働ける企業の常連ですが、2007年はベスト51位に選ば
れました。

顧客は食品を買うためだけにここへ来るのではありません。駐車場横の子供動
物園(小動物コーナー)では子牛、ヤギ、鶏、七面鳥等が飼われていて、私達
が餌をあげたり触れる様にしてあるので、それを楽しみに来るのです。夏場に
は店の入口に手作り(らしい)バーベキューやホットドッグのコーナーがあり
煙を上げています。お腹が空いている時にはこの匂いがたまりません。その横
には季節によって、花、スイカ、トウモロコシ、パンプキン、クリスマス商品
等が山積みにされています。ここでは常にこのボリュームで客の目を引きつけ
るのです。

入口にはソフトクリームのコーナーがあり、大人も子供も楽しそうに食べてい
ます。出発が牛乳屋だけに大変おいしいソフトクリームを作っていて、子供連
れのお母さんは多分、先に買物を済ませて良い子にしてたら後でソフトクリー
ムを買ってあげるから、とか言うのでしょう。(その反対で先に食べさせてし
まう場合も多いですね)フローズンヨーグルトなども特有の癖が全くなく、大
変美味しいのです。入口から入ると直ぐパンのコーナーがあり(本店の場合)
作っている所が見えて良い匂いがし、色と温度を感じさせるように山の様に焼
き立てのパンが積んであります。試食もどんどんさせ、焼き立てのパンはそれ
だけでも美味しいと決まっているので、ここを通る人の殆どがこの匂いと雰囲
気に釣られて必要以上のパンを買って行きます。

次に牛乳のコーナーがあり、そこでは牛乳のパック詰めという最終段階だけを
お客の目の前でおこないます。そこを通る客の全てにこれ以上新鮮な牛乳はな
いと確信させるのです。来店客の殆どが牛乳を買っています。対面販売が多い
のもここの特徴で、肉も魚もハムソーも、野菜も果物も対面販売です。週末や
夕方などには最後のキャッシャー(レジ)が込む事がありますが、動物の着ぐ
るみを着た店員がアメ玉やちょっと形が崩れて売れないクッキー等をカゴに入
れて回って来たりして子供を(大人も)楽しませます。店内のあちこちにディ
ズニー・ランドの様な機械仕掛けの動物や野菜果物が置かれ、それが歌って踊
っています。現在本店から30分程北にダンベリー店、40分程ニューヨーク市寄
りにヤンカース店があり、それらも同じコンセプトです。

という説明を聞きながらフリーウエーを走ってヤンカース店に向かいます。す
ると前方にEcit6A Stew Leonard Driveという道路標示が出ているではありま
せんか。その出口の左側の丘に農家の納屋風の建物とサイロがそびえています。
丘を登っていくと目の前に広大な駐車場を備えた巨大なお店があります。私は
惣菜中心のこじんまりとしたお店を想像していたのでその規模に驚かされまし
た。農家納屋風の建物の目の前には今の時期の巨大なパンプキンが大量に陳列
されています。その横を通って店舗に入ろうとしたらまず、スープの試食を進
められました。さらに関所があります。店舗入り口横のアイスクリームスダン
ドです。ここを訪問する子供(大人も)の殆どが買うといわれています。勿論
買い求めました。テーラー製のサンデーマシンですが、自慢のこってりしたア
イスクリームミックスのためでしょうか、オーバーランの少なく(空気含有量
が少ない)クリーミーな味にはさすがと感心させられました。

さて、やっと店内に入るとまず豊富に陳列された野菜売り場です。店内は通常
の食品スーパーのように整然と陳列されているのでなく、日本のドンキホーテ
のように迷路のようになっています。それが楽しさの演出なのでしょう。野菜
も竹製のカゴに入れて陳列したり、りんごは人間の背の高さまで積み上げるな
ど、工夫されています。牧場からスタートした名残でしょう、チーズや牛乳な
どの乳製品、生肉、加工肉、にこだわりを感じさせます。牧場直仕入れと銘打
った生肉の売り場には何とエイジドビーフが置いてあります。ショーケースに
入っている熟成させた黒く変色した肉の塊から注文により切り分けてくれるの
です。家が近くだったら買って帰ってバーベキューで食べたくなりますね。

ぐっと我慢して加工肉の売り場にきたら、うれしいことにパストラミの試食を
しています。大きなパストラミの切り身をパンに乗せて好きなマスタードをつ
けてくれます。思わずお代わりをしてしまいました。次は名物のミートボール
丸ごと一個、その横はチーズ売り場でそれも試食。店内のいたるところに試食
コーナーがあり、一周するとランチは済んでしまうほどです。出来立ての惣菜
売り場も壮観です。中華、揚げ物、サラダ、などそれぞれの巨大なセルフサー
ビスの温冷のショーケースに出来上がった惣菜が並んでいます。

揚げ物コーナーにはKFCの店舗で使うような巨大な8ヘッド(8羽)の圧力釜1台
と4ヘッドの圧力釜2台が並んでいました。さらに通常のフライヤーの5倍ほど
の巨大なフライヤーでフレンチフライやオニオンリングを揚げています。美味
しそうですね。これからディナーに向かうというのをすっかり忘れて食べ歩い
てしまいました。こんな食品小売店が日本にもほしいですね。

○店名  Stew Leonards Yonkers
○住所  1 Stew Leonard Drive  Yonkers, NY 10710
○電話  (914) 375-4700
○HP
会社  http://www.stewleonards.com/
ヤンカース店
http://www.stewleonards.com/html/directions_yonkers.cfm

追伸
先週のホールフーズの最新のお店の情報ですが、LAの須賀田先生から以下のよ
うに写真を提供していただきました。ぜひお楽しみ下さい。

プラザ エル セグンド「ホールフーズ」とカテゴリー・キラー群です。
須賀田三之介
○マイアルバムへアクセス!
http://www.photohighway.co.jp/AlbumPage.asp?un=9181&key=2036962&m=0

須賀田先生ありがとうございました。

関連記事

メールマガジン会員募集

食のオンラインサロン

ランキング

  1. 1

    「ダンキンドーナツ撤退が意味するもの–何が原因だったのか、そこから何を学ぶべきか」(オフィス2020 AIM)

  2. 2

    マックのマニュアル 07

  3. 3

    マクドナルド 調理機器技術50年史<前編>

アーカイブ

食のオンラインサロン

TOP