2008.03.19号
Vol. 43ホールフーズマーケット

■Shimojo ニューヨーク・ニュースその3 ホールフーズマーケット

ホールフーズ・マーケットは1980年にテキサス州で創業し、アメリカの経済好
況と健康志向、環境への配慮等が重なり、彼らの自然食品、健康食品を前面に
押し出すコンセプトで全米に店舗展開し、大成功を納めている総合スーパーマ
ーケットです。無農薬の青果物や薬品を使わない飼育法で育てられた動物の食
肉などを中心に、顧客が選択できるように通常の食品も取り混ぜて扱います。

その場合に、その商品の情報がハッキリ分かる様になっていることが重要で、
アメリカでも話題に上がっている食の安全はこの位で充分確保されています。
ここでは食品スーパーで自然食品、健康食品を中心にした買い物をするだけで
なく、最近の消費動向を反映して惣菜や半調理品、寿司コーナー、パン・サン
ドイッチ・サラダ類や食品バーコーナーを特に充実させた商品構成と売場にし
他店との差別化にはドライエイジ(乾燥熟成)の最高牛肉等も全面に出されま
す。

マンハッタンのブロードウェイ通りはマンハッタン島の南端から北端まで縦断
する大通りですが、その中間地点がセントラルパーク付近で、丁度その南の端
が59St.になります。その交差点はコロンバスサークルという、複雑に交わっ
た回転型で大きな賑やかな交差点です。その一角にタイムワーナー・センター
というツインタワーのビルが2003年秋にオープンしました。 

ホールフーズのニューヨーク旗艦店は2004年2月にその地下一階にオープンし
ました。売場面積約6千平米で、その一角には約250席のテーブルコーナーを作
りました。マンハッタンでは最初の本格的なテーブル席を持った食品スーパー
でした。

先に述べた食品店内のワインコーナー設置は、ニューヨーク州の法律ではあり
得ないものの、2004〜5年の一時期ですがワインコーナーが設置され物議があ
りました。当然の事ですが、その後それは廃止となりました。この状況や物議
については、次の機会に譲ります。

店内には食品と日用雑貨品だけでなく、ホールボディーというナチュラル志向
の化粧品やビタミン・サプリのコーナーが併設されています。ちなみに、この
モールには約50のテナントが入り、2階部分には大型書店の中にディーン&デル
ーカ・カフェが入り、4階のレストラン街にはニューヨーカーにも大きな反響
を呼んだ最高級寿司店「まさ」をはじめとするニューヨークでもトップクラス
の最高級レストランが入りました。

20年以上前に始まったアメリカの健康志向ブームの一端には、寿司の流行があ
りました。当時のニューヨーカーが好んで日本食を話題に上げ、寿司を食べる
(食べられる)亊や箸を上手に使える亊がトレンドにすらなりました。トレン
ドには波があり消えていくものがほとんどの中、寿司はどんどんアメリカの食
生活に入り込んで、そういう意味でも通常の食事の一部になってきています。
言い換えると、現在では日本人・アメリカ人が元々イタリアのエスニックフー
ドであったピザを日常的に食べる様に、アメリカ人が寿司を食べています。
当然のことながらそのレベルは客の味覚に合わせて向上しています。最近のニュ
ーヨークの寿司ブームでは、寿司の微妙な品質も見分けるようになり、従来の
冷凍商品や新鮮さを失ったパック寿司を扱っては取り残されてしまいます。

ホールフーズではこの寿司コーナーをゲンジ・エキスプレスと提携し、本格的
な寿司を販売しています。サラダバーや惣菜バー等の食品バーコーナーでは、
1ポンド(1LBと表示)幾らという設定で、好きなものを好きなように取り混ぜ
てサラダボウルに取ったり、テイクアウト容器に取ることが出来ます。それを
先にも述べた、店内のテーブル席で飲食出来るとなれば、このスーパーの業態
は完全にレストランと競合していることがお分かりと思います。

日本でも最近非常に話題になっている「ロハス」のコンセプトは、ホールフー
ズが提唱して消費者にウケている自然食・健康食をはじめとする私達自身や環
境に優しいというトレンドと合致する亊が分ります。筆者の考えでは、日本で
の一時的(であろう)流行と完全に違うものと考えます。日本の皆さんはロハ
スの本場はアメリカである亊から、相当それを支持しているアメリカ人がいる
と思われる方が多い様ですが、当地ではロハスという言葉はほとんど知られず
使われていません。ほとんどのアメリカ人はロハスという言葉は知らずに生活
に取り入れています。しかし、おかしな亊に自分や環境に優しいというコンセ
プトを提唱し実践する人達の筈なのに、しばしば彼等はアメリカの巨大なSUV
車等に一人で乗って買い物に来ています。これでは環境云々も本末転倒とも言
えましょう。

ホールフーズ・フェアファックス店
そして2007年2月にオープンした、フェアファックス店についてです。先にも
述べた健康食品・自然食品などを扱う事で全米にブームを引き起こした食品ス
ーパーのホールフーズですが、数年前から惣菜や半調理食品を特に充実させま
した。 

ここでも店内入口付近は、彼等が特に全面に押し出している生鮮野菜・果物の
コーナーです。カット野菜・フルーツなども配色やボリュームまで考えてディ
スプレイされます。扱い商品の一部はオーガニックですが、それに混ざって通
常のコンベンショナル商品が置かれます。しばしば、オーガニック商品と同じ
ものの通常商品が並びます。例えば、オーバニックバナナはペルー産で1ポン
ド(lbと表示)98¢、通常商品のバナナはコスタリカ産で同69¢等です。オー
ガニックと通常商品では、30%程度の価格差がある亊が普通です。ここで目立
つのは、オーストリッチやエミューという鳥の卵も売られています。どう調理
するのでしょう?

店内の出口付近に設置したテーブル席では買った惣菜やスープ、サラダ、サン
ドイッチ、ピザや寿司などを食べられる様にしてあり、レストランに直接競合
する様な新しいスーパーの在り方を提案しています。ホールフーズではテキサ
スの本店とこのフェアファックス店を含む全米の幾つかのロケーションで、ウ
ェグマンズ同様、新しい提案である店内にレストランやワインテイスティング
コーナーを設置しています。例えばここでは、鮮魚売場の前には島が出来てい
て、その島の一部ではシーフードの惣菜を売り、一部はオープンキッチンのバ
ーカウンターになっていて食事が出来る様になっています。

前に述べた様に、ニューヨーク州の法律では、食品店内でビール以上のアルコ
ール販売が出来ず、店内の飲酒も制限されていますがここバージニア州ではそ
れら全てが可能です。従って、これらのバーカウンターでの飲食でも酒類が出
され、まさにレストランに競合させている亊になります。同様に精肉のコーナ
ーの前の島では肉料理に関するコーナーが作られ、パンのコーナーではサンド
イッチ類が扱われるカフェがあります。又、一角には前に述べたゲンジ寿司が
寿司とともにアジア風料理を提供するバーカウンターを作っています。一階の
奥の方にはワインコーナーがあり、そこから二階に上がるとワイン・テイステ
ィング・コーナーが設置されています。先のウェグマンズと共に、現在全米で
最高のスーパーマーケットと言えます。
(続く)

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チャーリー・下城近雄(NY在住、流通コンサルタント)
E-mail:shimojoNY@earthlink.net

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