1916年に創業したバルダッチはゼイバーズとしばしば比較されるもう一つの元
祖グルメストアでした。屋台販売形式でイタリアンの食材を売り始めたルイス
・バルダッチおじいさんは、1946年に息子のアンディー・バルダッチと、ダウ
ンタウンのグリニッジビレッジに食品店を開きました。現在はその本店をリー
ス切れで閉店し、支店であるブロードウェイの66St.店のみになっています。
イタリア系のファミリービジネスでしたが、5年前にサットンプレイス社(Sut
ton Place Gourmet)が買い取り運営しています。サットン社の傘下には、コ
ネチカット州のヘイデイ・グルメストアや首都ワシントン周辺のレストランチ
ェーンが入ります。現在ヘイデイの店舗もバルダッチ・ブランドへ変えている
最中で、中途半端な状況が見られます。それが従業員のサービスや商品知識に
も反映されていて、これが老舗存続の致命傷にならないことを願っています。
最近の店舗視察中に遭遇した大変懸念されるものがありました。それは惣菜コ
ーナーで買い物をしていた客が、店員に「ロースト・ベニソンって何ですか?
」と質問したところ、「ローストしたベニソンです」と答えました。それで間
違えではありませんが、子供のやり取りではないのだから、そんな亊を聞いて
いるわけがありません。更に「それは何なのですか?」との質問に「豚肉です
」と答え、お客は「こんな色してるわけはないでしょう」と言うことで、店員
がマネージャーへ聞きに行き鹿肉である亊が分りました。販売員のレベルが非
常に低い亊がここで分ります。
次にその直後に精肉コーナーで見付けた問題は、牛のヒレ肉厚切りを2枚頼ん
だお客に切り分けた商品を渡す時に、「廻りが黒っぽくて古いんじゃないです
か?」と聞かれ、店員は「ちゃんとラップして保存してるので大丈夫な高級肉
です」と答えました。本来その説明は「ドライ・エイジング(乾燥熟成)させ
た肉だから、これがベストの状態です」等と答えなければいけません。注文し
た客もまた熟成された肉の意味が分っていない、金額の高い肉が美味しい肉と
思い込んでる客だと言うことが分ります。全てがそうだとは思いませんが、こ
ういう従業員のレベルはグルメストアらしからぬもので、客層もグルメ店の商
品を分らずに来ていると言うことかも知れません。この一事を見ても、この老
舗グルメ店の将来は暗い気がしました。
現在ダウンタウンの旧本店の近くに、ダウンタウン店を工事中とのことで、そ
れがどう変わってくれるのかを私は非常に楽しみにしています。比較されるゼ
イバースの絞った品揃えに対し、こちらは鮮魚・精肉も扱う総合食品店の形で
す。またバルダッチ一家から、家族が独立して開店したイーストサイドの「グ
レーシーズ・マーケット(Grace's Market)」は完全に別のビジネスですが、
内容はこちらに非常に近いものがあり、しかしグレーシーズの方は成功してい
ます。
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