2004.10.13号
Vol. 30 ニューヨークの生活と「食」事情(5)

日本とアメリカの消費者動向と考え方には大きな違いがあります。例えば最近
話題に上がる世界最大の小売業であるウォルマートが日本に進出しましたが、
これはかならずしも脅威になるとは言えません。日本の生活パターンはアメリ
カのそれと基本的に大きな違いがあるからで、アメリカ企業はその違いを詳細
なレベルまで理解していない場合が多いからです。

逆の論理を使うと、その違いまで理解したアメリカの企業は成功すると思いま
す。一つ例を上げると、アメリカの家庭では週に1度のまとめ買いなどをする
習慣があるという事はご存知と思いますが、この概念からして日米では決定的
な差があります。ほとんどアメリカ人ファミリーとなっている筆者の家庭でも
買い物は週に1度のまとめ買いをしています。

例えばセールの時に洗剤を10個買い、サランラップ5個入りの巨大なパックを
2個買い、コーラ1ダースで2ドルの時にはこれも10ダース買い、チキンの丸ご
とを10個買ったりします。この場合どれも2〜3ヶ月分の消費量になるのかも知
れませんが、その為の大きなストックスペースが地下室などにあるから可能な
わけです。そして次の週のまとめ買いの時には、在庫が少なくなってきたその
他の日用品である紙製品や他のセールの食材を買う事になります。特別なセー
ルや割引きクーポンは実に有効に使える事になります。言い替えると、2〜3ヶ
月分買ってある在庫を使い切る前に、必要な物のセールを新聞広告等で探して
買い足していくのがアメリカ式の週に1度のまとめ買いと言えます。

こういう事から、コストコや巨大スーパー等で見られるアメリカの大きなパッ
ク商品の理由がお分かり頂けると思います。一部のアメリカ企業は、海外に進
出しても自国の成功を他国に適用しようと考えますが、日本マーケットに関し
ては、初めだけは日本特有の興味本位等もあり好調に見えても、すぐ飽きられ
てしまう事も多々見られます。これを理解しないアメリカ企業に成功はないし
そんな例は私達の周辺に幾らでも見受けられると思います。

アメリカの消費者動向は民族が雑多である事も手伝い、公約数的な大ざっぱさ
になるのだと言われます。その例を挙げると、日本では考えられないこともあ
ると思います。

○店頭の野菜や果物に傷んだものが混ざっていても、その分安ければ客は納得
します(傷んだ商品を取り除く人件費や、そのロスのコスト上昇は商品価格に
跳ね返ると理解し、苦情の対象にしない)。
○ステーキの国でありながら、専門店でもミディアムレアーの焼き加減などほ
とんど実行されません。
○年末に狂牛病が発生しましたが、ニュース報道と異なりほとんどの人は牛肉
の消費を一切抑えませんでした。
○体験者も多いと思いますが、夏の冷房は冷たく、冬の暖房は暑く、デザート
はとことん甘くと、極端です。
(つづく)

→ Vol. 31