
| ルイス・ランチの外観 |
オリジナル・バーガー(チーズ付き) |
○元祖ハンバーガーの実力
ここ最近、ニューヨークでは庶民の食べ物であるハンバーガーについて戦争が
ありました。ニューヨークの老舗ステーキハウスが「アメリカ産コーベビーフ
を使ったハンバーガー、$41」を売り出して話題になり、人気シェフ(ほとん
どタレント風)の店では、「トリュフとフォアグラを練り混んだハンバーガー、
$50」等を扱うなど、高級指向戦争となりました。一方、マクドナルドをはじ
めとする大手ハンバーガーチェーンでは、$1メニューの低価格競争がありま
した。
しかし、ハンバーガーの低価格戦争や、これでもかというほどの高級化とは全
く関係なく、アメリカで110年近く前に始まった国民食であるハンバーガーを、
今に伝えているハンバーガー・ショップもあります。詳しくは後述しますが、
アメリカのハンバーガーの歴史を語る上で、必ず出てくるハンバーガーショッ
プが幾つかあります。その一つがニューヨークからも車で行ける範囲のコネチ
カット州ニューヘブン市で、1895年からハンバーガーを売っているという
「LOUIS' LUNCH」(ルイス・ランチ)です。
ここのご自慢ハンバーガーを食べると、お腹を満たすために食べるというより
も、むしろ110年の歴史を味わっているという感慨があります。厚さ約1セン
チ5ミリのパティをミディアム・レアに焼き上げ、ほど良い厚みのトマトとタ
マネギを食パンに挟んで出来上がり。その重さは約250gで、ジューシーで薄
味に仕上がっており、このハンバーガーにはアメリカの最近の味覚とは思えな
い繊細さも感じました。
さて今回のレポートでは、今年ちょうど大衆化100年を迎える米国のハンバー
ガーの歴史といまをお伝えしていきます。「ハンバーガーの起源と言われる老
舗」を3店を紹介いたしますが、中でもこの「ルイス・ランチ」は、現存する
唯一の元祖ハンバーガー店であることから、筆者の「これぞアメリカのハンバ
ーガー店ナンバー1」には、この店を挙げたいと思います。
○ハンバーガーの歴史
ハンバーガーの発祥は、世界の各地で似たような料理はあったようですが、一
番古い物では意外なことに13世紀頃のロシアや東ヨーロッパ、またはモンゴル
などの中央アジア方面から始まったという説が信じられています。肉食文化が
そこにあったからでしょう。自然発生の場合では、色々な言い伝えがあり、こ
こではその一部を紹介いたします。
調査した資料では、13世紀当時に、乗馬にて行動した東欧の遊牧民(ジプシー
等)や労働者や兵士が、その日の昼間に食べる食肉を馬の鞍の下に敷いて出掛
け、数時間後の食べる頃にはその肉がミンチ状になって柔らかくなり、硬い肉
も無駄なく使えたというものがありました。14世紀のハンブルグ(勿論ドイツ)
の商人が航海に出るときには、塩付けの牛ひき肉を食料として持ち、それを当
時はビーフ・タルタルといい、しばしばそれを生で、後には鉄板や網焼きで調
理して食べたそうです。
アメリカでは、言葉の最後にerを付けると、「○○○の地の人(または物)」
となるのをご存知と思いますが、例として、ニューヨークっ子をニューヨーカ
ー(NewYorker)と呼ぶように、それと同じ要領でハンブルグの人をハンバー
ガーと呼びます。ハンブルグの人の食べ物もハンバーガーと呼ぶわけです。そ
してそのビーフのタルタルに炒めたタマネギを練り込んで焼いたものが「ハン
バーグ・ステーキ」と呼ばれ、ハンバーガー(ハンブルグ式の食べ物)の呼び
名になったと言われています。
ハンバーガーと似たような食べ物に、イギリス人の医者であり食の専門家でも
あったサリスベリー博士が作った食事療法がありますが、彼の提唱では「1日
に3回どんな形であっても牛肉を食べましょう」ということで、そのメニュー
の中にサリスベリー・ステーキというのがありました。これは牛のひき肉を使
い、野菜類を練り混んだ具材が多く、肉汁から作ったグレービーをかけて食べ
るもので、日本のハンバーグステーキに近いものではないかと思います。しか
しこれはあくまでも皿に乗せられたステーキのことで、レタスもトマトもピク
ルスもなく、パンに挟んでもありません。サリスベリー博士のダイエット方は、
最近話題になっているアトキンス博士のローカーボ(低炭水化物)・ダイエッ
トに似ている部分もあるようです。
いずれにしても700〜800年の歴史を持つ食べ物であることは間違えないようで、
多分その前から肉食をしていた欧州各国や、食物や文化の元祖と言われるギリ
シャ等でも何らかの関連した食べ物があったことでしょう。
(つづく)
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