2003.8.27号
Vol.8 ニューヨークのピッツェリア(8)
    「トッピング・オン・チーズのどっしりピザ」

Ray's Pizza (6番街、11st.)は、私がはじめてニューヨークに借りたグリ
ニッジ・ビレッジのアパートに近くにあり、当時から良く通ったものです。グ
リニッジ・ビレッジにはもう一つピザの超有名店、John's Pizzaがあり、そち
らには更に近かったので夕食等で世話になりました。John'sではスライス売り
をしていないので、Ray'sに行く機会の方が多かったと言えます。

実はこのRay'sピザには大きな失敗があり、商標登録をしていなかったために
他のRay's Pizzaもどきに同じ名前を使われてしまいました。ニューヨークに
は似た様な名前のRay's XXXX(BariやOriginal等)Pizzaというのが何十軒と
あります。Rayというのは元々個人の名前(Raymond等)ですから、ピザ店や商
店にその名を付けるのも不思議ではなく、今となってはどうしようもありませ
ん。この老舗Ray'sは「Famous Ray's of Greenwich Village」として登録して
おり、ほとんどのニューヨーカーはこれが本物と理解しています。これを試し
たいという方は店の場所を再確認下さい。

Ray'sのプレインピアも平均的な7オンスで$1.95のスライスですが、ここで
有名なピザは、トッピングを乗せ更にチーズを乗せたどっしりしたピザと言え
ます。ニューヨーク式ピザの典型とは少し違うピザですが、このグリニッジ・
ビレッジは前出のBen'sやArturo's、John's等のピザ屋が無数に集まる学生街
の激戦区であり、客層によってはこの種を好むことはうなずけます。Famousパ
イというのがあり、トッピングはオニオン、ペパロニ、ソーセージ、ピーマン、
マッシュルームなどを乗せて更にチーズをたっぷり乗せて焼くピザで、これは
私の調査のアメリカ人が好むトッピングベスト5にピッタリ重複しました。そ
してこれはスライス1枚で充分お腹にこたえるものです。

通常のスライスに一つトッピングを注文すると、スライスの上にトッピングを
乗せその上に更にチーズを乗せてリヒートします。チーズは融けて熱くなりま
すが、その中のトッピングは熱くなりすぎずに食べやすいと言われています。
トッピングの品目数は20を越え、当地ではほとんど見られないパイナップルと
ハムのハワイアン・ピザも扱っています。これはニューヨーカーはほとんど知
らない上に衝撃的な食べ合わせと言われています。また、このボリュームは客
によっては非常に重要で、差別するわけではありませんが、夜になると黒人な
どが大きなキャデラックに乗ってこのピザを食べに来ています。どのピザ屋に
も逸話がありますが、ここでは二人のイギリス人ビジネスマンが飛行機に乗る
直前にピザ40枚をテイクアウトで買い飛行機で本国へ持ち帰った等があります。
ここでは別会社を使って、全米向けに冷凍ピザの翌日配達をしています。10イ
ンチのプレインピザ(冷凍パック)3枚のセットが$39で発送されます。Ray's
Pizzaは、筆者にとって境目を小差で越え、プレインピザ以外はニューヨーク
式とは呼ぶ事が出来ません。

Louie & Ernie'sは1959年に、現在店のあるブロンクス地区に引っ越していま
すが、それ以前はPATSYがあるイースト・ハーレムのイタリア人街にピザ店を
開いていました。こちらも初期からピザのスライスを売っていた様で、そのこ
とからもこの地区がピザスライスの販売という現在のファーストフード的なビ
ジネスの発祥になっているように思います。

Louie & Ernie'sのピザは薄焼きで、スライスはほぼ平均的な大きさながら5
オンスの軽さで$1.80です。非常にこだわりを持っていて、使うモッツァレラ
は、ウィスコンシン州産のフル・クリーム種だけで、これも他のチーズを試し
た上で、多少匂いが強いものの、これが非常にピザにとって重要だそうで、こ
のチーズだけに決めているとの事でした。このチーズもグラインドしてからす
ぐ使うのが味の秘訣で、作り置きをしません。ドウは毎日決まった量だけを作
り、ドウが無くなった時点でその日の営業は終わりです。

ほとんどのピザ店で、ピザと同じドウと素材を使ったcalzone(英語ではカル
ゾーン)という包み込む型のピザパンもメニューにあり、この店ではプレイン
ピザと同時にリコッタチーズ入りのカルゾーンも有名です。店の前の道路Crosby
Avenueは、初代店主が亡くなった後にニューヨーク市によってその一角に別名
が付けられ、「Ernie Ottuso Square」と呼ばれています。
→ Vol. 9