2003.8.13号
Vol. 7  ニューヨークのピッツェリア(7)
    「絶妙な素材のハーモニー、後を引きクセになる美味しさ」

Di Fara Pizzaは、マンハッタンから離れたブルックリンという地域にあり、そ
の昔はダウンタウンの中心地から離れた郊外の高級住宅地を控えた駅前商店街
付近という立地でした。今は街の状況が変わり、ちょっとごみごみした地域の
駅前になっています。ユダヤ人労働者階級などがその付近に多く住んでいます。

オーナーのDomenico Demarco氏は40年以上この店で全く同じピザを作り続けて
いて、店の内外もその歴史を感じさせます。私はニューヨークのピザ店と日本
のラーメン店には共通するものがあると思っていますが、このDi Faraにように
(PatsyとLombardiも同じ)、昔ながらの決して奇麗でない店で時間を掛けて手
作りされる一品は絶品で、それも美味いラーメン屋を見つける条件として共通
するものがあります。

Di Faraはニューヨークのピザの美味い店の比較やトップ10等、またはガイドブ
ックや雑誌で、必ずと言っていいほど取り上げられ、また評価も高い店です。
その秘密は何処にあるのでしょう。Di Faraでは3種類のチーズを混ぜて使って
います。イタリア製の水牛のモッツァレラ、濃厚牛乳のモッツァレラ・グラン
デのミックスをピザに乗せて焼き、焼き上がったところへgrana padanaという
イタリア製パルメザンチーズを振りかけます。チーズは発酵した食品ですから、
独特の匂いと味がありますが、慣れてしまうととても美味しく感じて、匂いも
気になりません。納豆やヨーグルトも同じ原理です。

と言うのも、この店のチーズの混ぜ方には独特の匂いがありますが、逆にそれ
がトマトソースとクラストと絶妙な味でオリーブオイルとの相性を上手く合わ
せています。言い替えると、後を引きクセになる種類ということです。トマト
ソースは生のトマトとイタリア製の缶入りトマトをスパイスと混ぜて作る少し
甘めの特製です。生のトマトは毎日微妙に味が違うので、ソースの配合も毎日
それに合わせて変えているそうです。

Di Faraのスライスは5オンスと小さめで、これは薄いためにこの重量なのだと
思います。手作りのドウは空気が多めに入って軽くてクリスピーな感じも絶妙
です。店頭には生のバジルや枝に付いたままのオレガノ等があり、それを使っ
て店主はのんびりマイペースで作りますが、待ってる客は文句一つ言わないし、
それほど込んでる状態は見たことはありません。私が行く昼間は、いつもダラ
ダラ客が入っている状態です。

$2.25という値段は、このスライスの大きさとロケーションを考えると非常に
割高ですが、店主は最上の材料を使った美味しい物が高いのは当たり前で、味
の妥協はしないのだそうです。それでもこの吟味されたイタリア素材を使った
ピザは後を引き、クセになった常連客がたくさんいるのです。
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