| 2003.7.30号 |
| Vol. 5 ニューヨークのピッツェリア(5) 「満腹派には厚め具だくさんピザが人気」 |
| 今回の調査で、古くからの人気ピザ店では、やはりトッピングもシンプルで、 薄焼きパリパリのピザが多いことを実感しました。また郊外や街中でも一般の 人が好んで食べる種類のピザ店の中には、クラストもチーズも厚目でトッピン グの種類も多く、それらにはチキンマルサラソテー(照焼きチキンに近い)や サラダを乗せたピザ、またトッピング・コンビネーションなどが多く見られま した。これは味に洗練さがなく、食べてお腹が一杯になれば満足という種類の 人が好んで集まる店と考えます。 我々のピザの認識と異なるものに、「シカゴ式ピザ」または「ディープパン・ ピザ」と呼ばれるピザがあります。これは高さ3センチ程のフライパンのよう なナベ皿の中にドウを厚く敷き詰めて、その上に層を作るようにチーズとソー スとたっぷりのトッピングを乗せてオーブンに入れるスタイルです。シカゴで はPizzeria Uno(ピッツエリア・ウノ)などが有名チェーンとして全米に出てい ます。これはニューヨーク式の簡単で早い上、テイクアウトや立ち食いも出来 るタイプに比べ、テーブルで皿にとって食事をする目的のスタイルと言えまし ょう。 カリフォルニア式では、ピザが概して小さめでちょっと厚目のピザが多く、好 みのトッピングを乗せて一人で1枚食べられ、そのトッピングの種類もシーフ ードやパイナップルなどもありバラエティーに富んでいて栄養バランスも良い でしょう。California Pizza Kitchenというレストランチェーンはニューヨー クにも進出しています。 長方形で厚いドウの「シシリアン・ピザ」と呼ばれるスタイルも人気がありま す。基本的にはこれまで取り上げてきたピザと同じ素材ですが、ドウの厚みが 15ミリから25ミリにもなりますので食感が違い、パンを食べる感じです。ピザ の原形がピタ・ブレッドやフォッカチアを使って出来てきたものと考えれば、 この厚目のピザは正統派の一つかも知れません。またシカゴ式のパンピザとの 中間になるとも考えます。ニューヨークではあまり見かけませんが、最近「グ ルメ・トッピング」という言葉が使われます。これは例えば、チキン、牡蛎、 白身の魚、マグロ、アルファルファ、もやし、アーティチョーク、タンポポの 花等のほかに、鹿の肉、鴨の肉等を使うものです。 またそれとは別に、全米のほとんど何処にでもドミノ・ピザ、パパ・ジョンズ 等を筆頭にしたデリバリーのチェーン店があり、これは簡単で便利ですが、味 は比較の対象になりません。しかしピザはアメリカ最大のデリバリー食品であ ることに間違えはなく、アメリカ人はこれでも「充分美味しい!」と感激し、 1リットルサイズのソーダやビールを飲みながら食べています。 ●何枚でも食べられる老舗の薄焼きピザ Lombardi'sはニューヨークで一番はじめに出来たピザ店というだけでなく、こ れが全米のピザの元祖となり、又、後続のピザ店は必ず何らかの影響を受けて いるある意味でのベンチマークのピザ店と言えましょう。今でもソーホーの Spring Streetにあり、店舗は狭く細長く、古き良き時代を思い浮かばせる店 作りです。有名人の来店も多く、テレビのヒストリー番組やグルメ番組でも何 度も取り上げられ語られています。 Patsy's of Harlemは前出の通り、1933年に現在地イースト・ハーレムにスラ イスも売るピザ店として開きました。当時この1番街の118ストリート付近は リトル・イタリーと並ぶニューヨークで最大級のイタリア人街だったそうです。 今でもこの一角と2〜3ブロックのみがイタリア人街になっていて、その廻り を中南米系とアフリカ系が囲んでいる形です。しかしイタリア人街ですから、 ここを治める顔役(ゴッドファーザー?)が居るようで、ハーレムでもこの付 近は不思議と悪い事も起こらなく安心だ、との事でした。 ニューヨークの通常のプレインピザでは、プロセスされたモッツァレラを使い ますが、ここでは昔からのレシピに従ってホームメイドのフレッシュ・モッツ ァレラが使われています。フレッシュ・モッツァレラのスライス(一切れ)は コールオーブンでリヒートが出来ない(オーブンの床面にこびりつく)とされ ており、これがスライス売りをしない一つの原因と思います。また冷めたフレ ッシュ・モッツァレラは水分が出るので、パリパリのクラストがしんなりして しまいます。ここのメニューには他店にほとんど無いアサリのピザがあります。 コールオーブンでピザを焼き、焼き時間は4分と非常に早いために食感は外は パリパリで中はもちっとしており、これが美味さの秘訣と思います。 開店以来のレンガ作りの石炭オーブンを持っており、その温度は摂氏500度以上 に上がるそうです。このピザは元々薄焼きであるニューヨーク式ピザの中でも 特に超薄焼きで、このオーブンで焼くと2分半で焼き上がります。焼き立ては パリパリに仕上がりますが、薄いために早く食べないとぬるくなってしまいま す。しかしこの薄焼きピザはクラストが薄いだけでなく、トマトソースとチー ズも非常に薄く作られていて、時間が経って冷えても堅くならない特徴があり ます。食べた感じも非常に軽く、何枚食べても大丈夫と感じさせます。 |
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