| 2003.7.9号 |
| Vol. 2 ニューヨークのピッツェリア(2) 「コール・オーブンの本物から大衆ピザの時代に」 |
| 初代ロンバルディは、後のニューヨークピザ店の発展にとって大きな影響を残 し、たくさんの老舗ピザ店主達にピザの作り方を教えたということです。ニュ ーヨ[クのトップピザ店として有名なGrimaldiやPatsyの初代オーナーも、初代 ロンバルディに師事していました。1924年にブルックリンに開いたTotonno's Pizzeriaも、29年にグリニッジ・ビレッジに開いたJohn's Pizzaも、全く同じ ようにパンの使い方を変えることによってピザ屋になっていきました。 それらのピザの老舗と言われる店では、ピザのスライス売りをしないというこ とにもこだわっているようです。老舗のピザ専門店でスライス売りをするのは 、前出のハーレムのPATSYだけと言われています。PATSYは1933年に現在のイー スト・ハーレム、1番街の118ストリートに開かれ、開店当時から丸ごとのピザ と共にスライス売りをしたということで、これがニューヨークではじめてのピ ザのスライス売りという、ファーストフードの出発点になったと言われていま す。そしてこれはニューヨーク初と言うだけでなく、おそらく全米初のスライ スピザだろうと想像されます。 ピザ用オーブンは、技術的なことだけではなく、環境や消防規制などで新設は できないことになっていて、今では薪や石炭のピザ用オーブン(コール・オー ブン)はほとんど残っておらず、マンハッタンでは上記の老舗ピザ店のほか数 店だけがコールオーブンを使っています。レンガ作りのオーブンは(ガスも)、 水分の飛び方や高温では、ステンレス製などに比べて確実に一段勝るものがあ りますが、レンガ作りのコールオーブン(燃料が石炭又は薪)は更に超高温に なり、独特の香ばしさとパリパリ感が加わった最高のピザが作れると言われま す。 ニューヨーク最初のピザがロンバルディピザ店で売られたのは1905年ですが、 1800年代の終わりからこの頃までは世界中からアメリカに移民が押し寄せた時 代であり、世界中の食べ物が紹介されはじめたと言えます。1880年から1920年 の間にイタリアからの移民だけで400万人あったそうです。そして1945年前後の いわゆる第二次世界大戦後は、イタリアを含む世界中の戦地から帰国した元兵 士達がその地で見て食べた物を懐かしく思い、そこに目をつけた移民達がこぞ ってエスニック料理の店を出し、誰でも世界中の料理が何処ででも食べられる ようになりました。 ピザのスライスもその一つで、1950年頃を境に全米で食べられるものとなりま した。また、1955年に開発されたホバート社の大型ミキサーによって、ドウを 簡単に大量に作れるようになったという事実もあります。私の取材に応じたイ タリア系の老ニューヨーカーの話では、戦前は何処にでもピザ屋がある状態で はなかったそうですが、当時はコールオーブンの本物ピザが多く、戦後の流行 りでほとんどがガスオーブンに変わり、味も変わってきた代わりに、いつでも 何処でも食べられるようになった、ということでした。 ピザ店を経営する側としては、ステンレス製ガスオーブンは安くて簡単で、レ ンガオーブンのように長時間の予熱も不要な上、熱くなく、排気も奇麗でたく さんのピザが平均的な焼け具合で出来るという、一石何鳥にもなったことでし ょう。これは我々客側にとっては大変な迷惑な話と言えます。 |
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